ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 【瞳の奥】〜shadow moon〜
- 日時: 2011/10/21 07:08
- 名前: るりぃ ◆.VGogta6H. (ID: jklXnNcU)
- 参照: しばらく放置している間に大変なことになってら
初めましての方が多いと思われます。
こんにちは、るりぃと申します。
今回は苦手な恋愛ものに挑戦しようと思いまして。
血迷ったと考えてくださって結構です。
くどいようですが恋愛ものは苦手です。
なので色々とおかしいです。
——特に注意すること——
・主人公がヤンデレ
・ヤンデレじゃなくて不器用なつもり
・でも一般的でいうヤンデレ
・痛々しい
・これも愛だと主張してみる
・これも恋だと主張してみる
・流血表現あり
・作者が恋愛ものをまったくと言っていいほど読んでない
・たまに此処が増える
————————————
↑上記に危険を感じたらプラウザバックでお戻りください。
いえ、高速でお逃げください。
よろしいですね?
では、私の考える愛の世界に、暫しおつきあいくださいませ。
--------------目次---------------
第一幕
【シオン】>>1
【ローズマリー】>>2
【ブドウ】>>5-6
【サイプレス】>>7
【ウラジロ】>>8
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Page:1 2
- Re: 【瞳の奥】〜shadow moon〜 ( No.5 )
- 日時: 2011/02/21 18:53
- 名前: るりぃ ◆.VGogta6H. (ID: opLc/10u)
- 参照: しばらく放置している間に大変なことになってら
我は黒鋼 夜。
GIグループとかいう会社の跡取り息子だ。
一人称は父の一人称がそのままうつったもの。我の容姿もまた然り。
小さい社長だといわれ、褒められ愛でられ育ってきた。
昔はそれが誇らしかった。
でも、今は……
「うわぁぁぁああああっ!!」
我が妹の絶叫で我に返る。
妹は先ほどまで手に持っていた鎌二本をおとして、あたりに彼岸花のように紅いものを咲かせて。
傍目にみたら、死神にしか見えないであろう今の妹の容姿は、我には曼珠沙華そのもののように見えた。
機械人形の忍、紅の惨殺者、漆黒の悪魔、傾国の美女、様々な通り名で呼ばれた炎のように燃え盛る深紅の瞳を持つ忍、紅 冷嘉を叔母に持ち、翡翠の偽善者と呼ばれた葉を叔父に持つ我が妹、黒鋼 鵺。
叔母の淡麗な容姿と面差しを引き継ぎ、叔父の優しい性格を受け継いだ鵺。
だが、その面差しはまだ何処か幼さが残っており瞳は黒く、どこまでも澄んでいて、黒曜石のようだ。
ころころとよく表情が変わり、どこまでも優しく、甘い鵺。
漆黒の髪は丁寧に手入れされていて、太腿のあたりまで伸びている。
そこまで伸ばしたのは幼いころに我が言った事を忘れていないのだろう。
「お前の髪は長い方が綺麗だ。これからずっと切らないで伸ばせ。」
鵺はその言葉に、はにかんだような、照れたような笑顔でうなずいた。
あの頃の我に戻りたいものだ。
と、呑気に回想にふけっていた時、どさっという何かが落ちる鈍い音がした。
そちらに視線を向ければ、鵺が倒れていた。
錯乱状態だったのだろうか? 疲れていたのだろうか?
まぁ、そんなことはどうでも良い。
とりあえず此処の用はすんだ。鵺を連れて帰らなければならない。
そう思って我は倒れている鵺を抱きかかえた。
- Re: 【瞳の奥】〜shadow moon〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/23 06:44
- 名前: るりぃ ◆.VGogta6H. (ID: opLc/10u)
- 参照: しばらく放置している間に大変なことになってら
鵺を鵺の自室に寝かせてから、我はその部屋を出て、ゆっくりとため息をつく。
鵺は、正気を保ったままでは戦えないが、狂気の中に突き落としてやれば、我にも勝る力を発揮する。
そして、何より、夜は不死身だということ。
鵺は暗闇と霊に愛されている。
だから、本人がその気になれば、霊を自由自在に操れるはずだ。
そうしなかったのは、鵺がその能力を恐れ、封印したから。
全ては封印へと導いた、陽太とかいう奴の所為だ。
あの全てを包む太陽の瞳で、鵺を包んで、連れ去ってしまったあの男。
あの男の所為で鵺はただの一般人になってしまった。
可哀そうな可愛そうな鵺。
でも大丈夫だ。
これからは我が守ってあげられるから。
神様なんて信じないが、この時ばかりはいると信じてやまなかった。
——神様、鵺は我のたった一つの宝物。どうか、もう奪わないでください。
しばらくしてから己の行動を見返し、やはり馬鹿馬鹿しかったかとひとり呟くと、己の書斎へと足を進めた。
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title by…ブドウ:花言葉【宵と狂気】
- Re: 【瞳の奥】〜shadow moon〜 ( No.7 )
- 日時: 2011/03/03 07:01
- 名前: るりぃ ◆.VGogta6H. (ID: opLc/10u)
次に奪われたのは、兄様でした。
「兄様、兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様兄様!!」
唯ひたすらにそう叫ぶ。
でも、喉が枯れたので叫べなくなった。
「黒影様、それでこの女の処遇ですが……」
「黒鋼本家のごく近縁と言えど力がなければ不要。ご主人様よりこの女の処遇は一任された。」
そこで、黒影様と呼ばれたひとと私の視線がかち合った。
研ぎ澄まされた刀のようなその雰囲気は鋭利で危うくあるけれど、とても魅力的な感じがした。
その顔もとても端正な顔立ちだと思う。
けれど、狂気や狂想、とにかく負に分類される何かがその端正な顔立ちを覆ってしまっているようだった。
すると、何かのつめたい感触が私の顎をすくいあげた。
つい、と差し向けられたそれは、黒影様の刀の白刃。
峰で私の顎をすくっているからして、その切先は喉をとらえていた。あまりに容易い殺人行為。
「誰にも必要とされず、いつ殺してもいい女。」
ただ淡々と私を見つめてその言葉を言った黒影様は、けれど次の瞬間には皮肉げに唇をつりあげた。
酷薄な笑みだった。
刹那、着ていた小袖の襟を掴まれる。顔がすぐそこまで接近し、驚いた次の瞬間にはずるりとした感覚。
舌。舌で首筋を、1番太い血管の通うそこを舐められた。
「……!」
「貴様はこれより私の私物。使い物にならなくなるその時までは死すら許さない。」
覚悟することだ。
そう言った三成様はまた皮肉げに口元を笑ませ、首を甘噛みする。
これはいつでもお前なんか殺せるという意味だろうか。
兄様のように。
兄様……
「私に、兄様なんていたかしら?」
分からなくなった。すべてが白くなった。
そしたら、黒影様が微笑った。
耳元に唇を寄せられ、囁くように言われる。
「兄様なんてお前にはいない。お前の名前は銀 雪。私の所有物だ。」
————それは、本当にあいをうしなったひのこと。
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title by…サイプレス:花言葉【死、絶望、哀悼】
- Re: 【瞳の奥】〜shadow moon〜 ( No.8 )
- 日時: 2011/03/08 21:08
- 名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: SHYi7mZj)
- 参照: トリップ変更しました
不変など、どこにもなかった。
執務の空き時間に最近あの人から奪った——……黒鋼 鵺こと銀 雪の様子を見ようと雪のいる私の私室へ向かう。
なんてことはない。
ただ自害されたり脱走されたりすれば手間なだけだ。
初めて会った日に雪を戦場に連れ出し、それから1日雪は眠っていた。
その次の日も今までの疲労と相まって碌に動けはせず、白湯を飲ませて強制的に眠らせた。
体調が回復した次の日に雪はこう言って来た。
『何かすることはありませんか』
それは私に戦場に連れ出される以外にこれと言ってすることがないためだった。
最近目立った行動を見せる組が見えないので、必然的に雪の生活は空白の時間で埋め尽くされた。
かと言って自分の所有物であるはずの雪をメイド代わりにするのはどこか気に入らない。
だから私は雪に私の傍付きとしての役目を覚えさせ、私がいる時の世話は雪にさせている。
しかし役目を与えてもそれは私がいる間のこと。
それ以外の時間は結局暇な時間に過ぎず、尚且つそれが一日の大半を占めている。
一応適当に針と糸と布を渡して刺繍でもしていろと言っておいた。もちろん刺繍だから鋏は渡していない。
やって来た部屋の戸を開けてみる。いない。
それに若干眉根を顰めつつ雪の姿を探した。忍がついているのでそんな遠くにはいない筈だ。
そう思い庭に面した縁側の廊下を歩いていれば、存外にも早くその姿は見つかった。
庭に、彼岸花が群れ咲く中にいる。
長い漆黒の髪に、それと対を成すような抜けるように白い肌。
その唇は紅でもひいたかのように赤い。
何より長い睫毛に縁取られた瞳が印象的な彼女。
視線の先は、どこか遠くの……あの会社の方向を向く。
今日来ている漆黒の着物は彼岸花の鮮烈な赤にくらくらするほどよく映えていた。
すると雪の白く細い手がするりと彼岸花の茎へと差し向けられる。
それに思わず、声を出す。
「貴様……鱗茎でも含み死ぬつもりか。」
「月影様……」
驚いたような声音。
近づけば少しだけ怯えるように身じろぎをする。
それに私は少しだけ苛立ちながらも雪の手を彼岸花から退けさせた。
彼岸花は毒草だ。
その全てに毒があり、殊更鱗茎……つまり球根の部分には強い毒がある。
花茎の汁に触れた場合さえも毒によって皮膚炎を起こすことも。
雪の白い肌を私以外のものが侵すと思うだけで虫唾が走った。
これは私の私物なのだ。
「死のうとなんて、してない、わ。」
そう言って雪の瞳が翳る。
続けて、「供えようとしただけよ」と言った。
雪の唯一の血縁者だった兄が死した場所。
そして……彼女が愛した人間と暮らしていた場所。
偽善者、機械人形、黒烏、惑人。
そう呼ばれた者であるのに、その上記憶も無いのに、雪はそれを心で覚えていて、弔おうとする。
理解ができなかった。
文字通りに冷酷非情だった兄や彼らの傍にいて、それと知ってもなお慕っていた彼女が。
力こそが全てである極道において最も不要な、戦えない女を傍に留め置いていた彼らが。
私はチッと舌打ちすると数本の彼岸花の茎を手折った。
それを雪に押し付ける。
「手折った所には触るな。長く触らずにさっさと供えろ。」
驚いたように雪の伏せていた瞳が揺れる。そして次の瞬間には———……
はにかむように、笑っていた。
「……ありがとう。」
雪はとても大切そうに、慈しむように目を閉じて彼岸花を抱きしめた。
目を瞑っていた雪には、私の変化は知れなかっただろう。
雪が笑ったその瞬間、私は全ての時が停止したような感覚を覚えた。
今まで私が見た雪の表情は恐怖や絶望、懐古や追憶と言った負に分類されるそれだけだった。
それが、やわらかく笑った。
だから、なんだと言うのだ。
自分の所有物が今までと少し違った表情をしただけで、何故。
何故私の心はここまで掻き乱されているのだ。
ありえない。
私の心に架かるものは父上と主君、唯一の友、それから組だけであるはずなのに。
——彼岸花には色々な異名があると共に色々な花言葉がある。
雪の中にあるのは『諦め』か『恐怖』か、それは知れない。
けれど今、雪は曼珠沙華そのものに見えた。
白くやわらかい、見た人を悪から離れさせる力があると言われる天上の花。
触れ難い?
違う。
幻影のように今にも消えてしまいそうな雪の存在を確かめたいくらいだ。
まして雪は私の所有物。
手を伸ばすことに何の遠慮も要らないはずだ。
それでも私の手は宙に浮いたまま、雪に届かずにある。
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title by…ウラジロ:花言葉【魅惑、曖昧、神秘、魅力ある人】
- Re: 【瞳の奥】〜shadow moon〜 ( No.9 )
- 日時: 2011/10/21 07:09
- 名前: 華京 (ID: jklXnNcU)
ちょっとの間ロックしていましたが連載再開したいと思います。
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