ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- オンガク戦争 参照100超え!有難う御座います!
- 日時: 2011/03/31 08:18
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
お早う御座います、
こんにちは、
こんばんは。
クリック心より感謝します。
駄作小説書き、楓というものです。
今回書かせていただく小説は【オンガク戦争】という題名です。
音楽の組織的な話ですね。
戦い描写もあると思いますが変です。そこは断言できます←
読んでくださると嬉しいです。
あまり専門用語は使っていません。(というかそこまで詳しくないです^^;
◆注意
・グロ描写を含むかもです。苦手な方、Uターン。
・荒らしさん。左上の←を10回ほど押してください。
・私、楓のことや私のかく小説が嫌いな方、見ないほうがいいですよ?
→おkな方是非読んでやってください。泣いて喜びます。
◆お客様
レイビ様 風様
コメいただければ全力で返信いたします!
頂き物
歌詞
遮犬様より【忘却オンガク】 >>11
プロローグ >>1
第一楽章 >>2->>6 >>9 >>10 >>14
- Re: オンガク戦争 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/27 11:09
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
『緊急事態、発生。緊急事態、発生。直ちに総動員で向かうこと』
赤いランプがくるくると回り建物中の人間が走り回る。
ただ淡々と警報を伝え続ける女性の声もなんだか冷たく感じた。
黒を基調としたシンプルな隊服はただ動きやすさを重視したものであり、
なりふり構わず武器を持った人間が何人も警戒度の高い地点へ向かっていった。
「音楽部隊はまだか!?」
梅の花を象ったバッチを胸に2つ付けたがっちりとした体形の男が大きな声で叫ぶ。彼は、牧野 悠セカンド。防衛部隊に所属している。
…彼の放つ言葉に違和感を感じるのは気のせいだろうか。緊急事態に何故、音楽部隊…。
牧野の頭も少し気になるのだが、まあ良いだろう。
此処の対サウンズ計画特殊音楽隊が警報を鳴らした理由は
——侵入者。
正規の来賓ならば、少しの手続きと身分証明だけで楽々とパスできるのだが、
それをせずに入ってきたということは【敵】ということになる。
ぴん、と張り詰めた空気になる。
…♪
どこからかこの空気に不似合いな音が聞こえる。その音は自然に大きくなってゆき、近づいているようだ。
ザッ
10数名の人間が楽器の変体のようなものを持って並んだ。ヴァイオリン、トランペット…。
他の隊員もごくりと唾を飲む。
「——音楽部隊のお出ましだ」
ニヤと笑う牧野。そこには興奮の色が見えた。
「序曲—オーバーチュア—」
その楽器の変体のようなものを持っている集団の真ん中に立っていた美形だが仏張面の男性が
言う。この美形は水嶋涼太セカンド。若くしてセカンドになった音楽部隊のエリートだ。彼は右側にいた人間に
「奏。これは、お前一人で十分だろう?」
といった。
「当たり前です」
即答の、戦闘服からして男が指の線を動かす。それは恐らく…ピアノ線だ。
ターゲットは侵入者および敵である目の前の男2人。
他の隊員はというと…見物。
赤いランプの警報を伝える女性はプログラムで仕方なく『総動員で』と伝えたが、所詮相手は
二人、しかも素人と来ている。
彼、佐久間 奏フィフスでも十分なほどの相手だ。
「練習曲—エチュード—」
奏が発した言葉を意訳すると“お前達と戦う事など練習にもならない”とまあこんな感じだ。
指を可憐に動かす。その滑らかな動きはいくらフィフスとはいえ同じ部隊でも類を見ない。
リズムに合わせ、ピアノ線は敵を切りつける!
彼らは抗う術もなく、ただ切りつけられている。
乾いた音とも鈍い音とも言える音を出し、周囲の人間には見えない速さでピアノ線を動かしてゆく。
「ゆ…許してくれ!」
片方の男がたまりかねたように哀願した。
奏はちらりと水嶋を見、指示を促す。水嶋は牧野に目配せをした後、
「話を聞きたい、そこらへんにしとけ」
と言った。
奏はピアノ線をしゅるしゅると巻き上げると元の位置に戻った。恐らく奏の立ち居地なのだろう。
「じゃ、処理は防衛部隊で頼む」
と水嶋は牧野に2人の男を引き渡し、音楽部隊全員に向かっていった。
「ご苦労であった!各自持ち場に戻ること!」
見た目からはあまり想像できない、力強い声がよく通っていた。
その声とともに十数名の人間が動き出す。
- Re: オンガク戦争 ( No.3 )
- 日時: 2011/02/27 17:29
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
奏と男二人は廊下を歩いていた。入り組んだこの広い建物ではいくら長い間所属していても迷うので
一人での行動はできるだけ避けるべきなのだ。
「あー俺も戦いたかった…」
頭の後ろに手を組み残念そうに言うこの男。茶色の短髪、背が少し低く、170はないと思われる。
手にはドラムなどをたたくスティックが握られていた。恐らく彼の武器はこれなのだろう。
彼の名前は小形英治サード。奏と同い年だが、この組織に入ったのは奏のほうが早い。
ただ彼がサードだということは、年に1回ある、階級を上げるための昇進試験に2回合格したということになる。
彼はその試験を全て実技の成績のみで通っているのだ。
いわゆる、運動バカである。
「そんなこと言ってはいけませんよ?僕達はただ戦う為に此処に入ったのではないのですから」
仕方ないですね、という風に笑う長身の男。少し長めの髪を耳にかけながら小形と話をしているのは
松岡司サード。クールで敬語口調の彼の手に握られていたのはクラリネット。
これも武器だ。
「ちぇーつまんねぇ」
口を尖らせてみるが、松岡はただ微笑んで見せるだけだ。
「あ、そういえば、あの男二人、サウンズ計画のサポーターだったみたいですよ?」
思い出したように松岡が言う。
「そうなんだ…。大変だよな、この頃サポーターの侵入者がものすごく増えてる」
ここではじめて奏が口を開く。
そう。此処対サウンズ計画特殊音楽部隊、略して対サウ部隊の発足理由は、【サウンズ計画に対抗するため】。
ただそれだけだ。まあ、まず浮かんでくるのは【サウンズ計画とは?】ということなのだが。
サウンズ計画とはこの対サウ部隊ができる1年前に発足した、音楽の研究組織のことだ。
表向きは音楽療法など兎に角音で人を幸せにさせるということをスローガンとして掲げているのだが
裏では世界の破滅のために音を利用しようとしている組織だ。
それに対抗するため、【音楽は音を楽しむと書く】ということを唱えた佐久間泰三コンダクター、
つまり此処のボスが対サウ部隊を作り上げたのだ。
ちなみにここの最高コンダクター、佐久間泰三は奏の祖父に当たる。
「サウンズ計画の活動の幅は凄く広いですからね…」
松岡は持っていた携帯の画面をずい、と二人に見せた。
『横山氏、骨折の患者を音楽で即治癒!—サウンズ計画特集—』
- Re: オンガク戦争 ( No.4 )
- 日時: 2011/02/27 18:12
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
インターネットを通して見られるニュースサイトで書かれていた内容はこうだ。
サウンズ計画の横山氏が骨折したの患者に音楽療法を試み、成功。患者は元気に何の不備もなく生活できるようになった。
とまあ簡単に言うとこんな感じだ。これを見れば、なんだ、サウンズ計画っていい組織じゃん、となる。
しかし。
「これ、完全に治ってないよな?」
口を開くは奏。画面をじっと見つめ患者といわれるその女性の手を指差す。
「ほらここ。サウンズ計画の“モルモット”のマークが付いてないか?」
確かに女性の腕には、【S】と【♭】のマーク。
これは音楽の周波数を微妙に変えて相手をコントロールすることを試みている
サウンズ計画の“モルモット”になったことを示すマークだ。
何人もの被害者を見てきた奏たちには分かる。
「ホントだな。ってことはこの患者…」
「本当に治ってないのに無理やり動かされてることになりますね」
3人の顔はかなり青ざめているようにも見えた。
「ってことは違う足にも負担がもっとかかっていろんなところが骨折していくってことにも
なりかねないよな」
と奏。3人の間に凍った空気が沈黙と共に流れた。
みな、それを想像したようだ。
「じーちゃんに一応報告してくる」
沈黙を破ったのはこれまた奏で、すたすたと廊下を歩き去った。
松岡と小形はキョトンとし、思い出したかのように叫んだ。
「迷うぞ!!?」「迷いますよ!?」
* * *
2人の心配は無用だった。小さいときに此処に来て、何回も遊んでいたのもあり、殆ど迷うようなことはない。
コンコンと握った手で大きな扉をたたく。此処は最高コンダクター室。
「失礼します」
重い扉は古いシーソーのような音を出しながらあいた。
「おじいちゃん、サウンズ計画がまたヤバイことやりだしちゃったみたいだよ?」
急に女口調になる奏。
というよりはさっきの男口調のほうが変だと言ったほうがいいだろう。
奏は正真正銘の
——女。
諸事情があって、男として此処に所属している。彼女が男ではないと知っているのは祖父だけなのだ。
だからここでは女口調で話している、というわけで。
「何をだ?」
威厳を持った、低い声で話す老人こそ、奏の祖父であり、ボスの泰三だ。
奏は先ほどの、松岡のニュースサイトの話をした。
「成る程な、その女性が被害にあっていると」
そう口にした泰三はふむ、とうなってからしばらく書類をぱらぱらとめくり何やら書き込んでいた。
奏はうろうろと部屋の中を歩き回り、祖父の出方をみた。
5分たったか10分たったかは分からない。
しばらくして、ばん、と部屋中に響くような大きな音で机を叩きこう言う。
「直接命令を下す。音楽部隊所属小形サード、松岡サードそして佐久間フィフスにこの女性を救う任務を与える」
「了解しました。即、小形上官、松岡上官に伝えてまいり、準備が整い次第、出発させていただきます」
奏も、自然と仕事用の言葉遣いで話をしていた。
- Re: オンガク戦争 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/02 21:04
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
防衛部隊2名。
これが奏たちに付けられた護衛だ。ニュースの情報によると、例の彼女はサウンズ計画が建設し
運営しているサウンズ病院で検査などを受けているという。
現在は自宅での休養となっているのだが、週に2,3回検診のために彼女は病院を訪れる。
そのときを狙ってThe Heartを破壊するのが目的だ。
The Heartとは、サウンズ計画のモルモットにするときに当てる周波数を半永久的に出し続ける機械のことで、
よく効き、コントロールできるようにする周波数は人によって微妙に違う。
対サウ部隊がサウンズ計画に対抗するのに梃子摺(てこず)っているのの理由の1つはこれだ。
1つを破壊しても他に無数とあるThe Heartは動き続けるのだからきりがない。
それに1つを探し、壊している間に他のThe Heartが生み出されるので、さらにきりがないのだ。
「それにしても、こんな記事から任務が与えられるなんてなぁ」
頭に手を回して組み、少し大きな声で話をしているのは小形だ。どうやら頭に手を回して組むのは
彼のクセらしい。
武器もスティックと手軽で、肩に背負っているリュックに余裕で収まっている。
ソレに対して受け答えていた松岡と奏は大荷物に苦戦している。
じりじりと太陽が照りつけ、楽器の様子が気になる松岡は、タオルを楽器ケースにかけた。
「まあ、直接、横山太志とかかわった人物ですし、何か聞けるかもしれませんよ?」
流石というところだろうか。何でもマイペースでポジティブ、のように振舞って気を使ってくれている。
「だな」
奏も一言だけだが松岡に賛同した。
サウンズ病院は本部から3つも街を越えた大都市に設置されている。
そこでは偉い大学の教授なんかも出入りしており、世界規模に有名だとか。
ただ患者が急に異常なほどの回復を見せたりと不可解なことも多々起こることでも有名だ。
逆にその異常な回復を期待してわざわざ遠くから足を運ぶ人もいるそうだが。
本部からは通常ヘリで移動なのだが、運悪く、今日はヘリの修理中だ。
したがって3人と防衛部隊の2名は車でもなく、電車でもなく、徒歩での任務となった。
これがいろいろと大変なことに繋がってしまうわけだが——
- Re: オンガク戦争 コメ求む← ( No.6 )
- 日時: 2011/03/06 15:42
- 名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)
「なんでこんなに暑いんだぁぁぁっ!」
ついに小形は叫びだした。
奏も小形を慰める気力を太陽に奪われ、仕方なく
「同感」
と言ってしまう。
誰一人、太陽に会いたくないようで道にも人影はなかった。
アスファルトからは蜃気楼が見えている。
「そういえば、どうして小形君はファイティストになったんですか?」
松岡は気を紛らわせるように話題を探したようだ。
ファイティストとは、戦う演奏者のことを指す言葉で、奏たちのことを言う。
実を言うとファイテストは一部の能力者なのだ。楽器を自分の音楽センスで
変形させ、戦うのだ。
このファイテストになる可能性は0に近い。だから対サウ部隊の音楽部隊は十数名しかいないのだ。
「なんかなぁ…成り行きで。中学生のときに吹奏楽部に入って打楽器やってたんだ」
にこにこと笑い懐かしそうに言う。
「で、ある日突然演奏中にスティックが自分で動き出したってワケ」
そこまで一気にいうと、一拍おいて、
「奏はどうよ?」
と話しかけた。
「え、それだけで終わりですか?」
汗を一滴、地面に落とした松岡はそのあとに、なんて単純な、と付け加えた。
「それだけなんだよ。…で、奏は?」
小形は視線を奏に移した。だが奏は何も言わない。
「かーくん?もしかして覚えてないんでちゅかぁ〜」
馬鹿丸出しの話し方で奏に言う。
奏は上を向いたり首を傾げたりと怪しげな動きを繰り返し、最後に結論が出たのか
口を開く。
「…改めて考えると思い出せない」
まさかの回答に驚いたのか、二人は口をそろえて、
「「ええっ!?」」
と言った。小形が顔をずいずいと子どものように近づけてくる。
「マジかよ?」
それをよけるように後ずさりしながら、奏は答えた。
「ああ。物心付いたころにはもう、両親がいなくて、対サウ部隊のじーちゃんに育てられてて…
そのときにはもうファイティストだった気がするんだ」
それを聞いて今度は松岡が口を開く。
「ご両親はご病気か何かで…?」
両親。それこそファイティストになった理由以上に覚えていない。
「いや、じーちゃんに聞いてるのは事故だ。それ以上は教えてもらえなかったんだけどな」
一同はだまってしまった。
まずいことを聞いてしまったと思ったのか、珍しく空気を読んだ小形が道の先を指差す。
「あ、あそこに人がいる!水貰おうぜ!」
取り敢えず、空気を読んでくれたことはありがたいのだが、人はいない。
人影さえ見えない。
「あの…小形君?暑さで頭がやられたんじゃ…」
「バカ言うな!俺の視力は2.0だっ」
腕組みをし、ぷん、と横を向く。
23歳のいい大人が…とかなんとか思いながらも道を進む。
何もない一本道の先には、小形の言うように人がいた。
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