ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 引き摺る靴と殺人本・感想待ってます!
- 日時: 2011/03/05 20:58
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
こんにちは
知ってる人は知っている真由子です
もういちいち説明するの面倒臭いので手短に。
はい、ド素人です。
そのくせにはスレ何個もたてているという・・・。
とにかくよろしくです。
下手ですが大目に見てやってください
感想くれると嬉しいです。
※荒らし、ユーターン!
※文章が可笑しかったりします
※誤字脱字等ありましたら教えていただけるとうれしいです
という事ですね。
頑張りますのでよろしくお願いいたします。
::本編::
>>1 プロローグ
=第一章=
>>2 ビニール傘
>>4 殺人本
>>5 後悔
>>6 巻きつく手
>>7 元カノの死
::本編::
Page:1 2
- Re: 引き摺る靴と殺人本 ( No.4 )
- 日時: 2011/03/04 23:20
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
「殺人本」
遊基のスニーカーはぬかるんだ地面と泥のせいで台無しになった。
水と泥で重くなったスニーカーを引き摺って遊基は歩く。
ふと、遊基は本屋の前で立ち止まった。
吸い込まれるようにして、本屋の中に入る。
ごく一般の本屋だった。
なんの変哲もない白い床にクリーム色の壁と、ズラッと並べられた本達。
売れない本はいつまでも此処においてあるのかな。
遊基が本棚に当たったせいで、本が雪崩のように落っこちてきた。
「憂鬱から」
「空」
「殺人本」
・・・殺人本?
落っことした本を拾いながら、殺人本の表紙を見た。
「殺人本」という本は他の本と何か違う気がした。
黒の背景に銀色で「殺人本」と書かれており、赤黒い血痕が付いていた。
とんでもない魔力や殺気、それと何か・・・。
そんなものが篭っているのではないか。
決して、僕みたいな人間が手にしてはいけないような、そんな本。
裏表紙を見てみると「この本には全世界の人々の死期・死亡原因・道具を示してある。貴方の死期ももちろん・・・。」と言う胡散臭いキャッチフレーズ。
初版は兄が死んだ日・・・2006年9月10日・・・。
偶然だろうが、何か引っ掛かる。
著者の部分は赤黒い血痕で汚れ見えなくなっていた。
予言か、それともただのインチキか。
これは賭けだ。
どちらに賭けるか。悩みどころだ。
遊基は少し躊躇ったがこの本を買う事にした。
この本が——・・・、この本がもし本物なら兄の事も書かれているはずだ。
そして、未来を僕の手に委ねてみたかったから。
- Re: 引き摺る靴と殺人本 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/04 23:37
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
「後悔」
「こ・・・この本・・・本当に買うんですか?」
レジの若い女が震えた声で僕に訊いた。
遊基が嫌そうな顔を無意識にしていたためか、この本のタイトルからか、女の顔は泣いているようにも見えなくは無かった。
「ええ・・・そうですが・・・」
財布を開けて待っている遊基は答えた。
女は俯いて
「この本が・・・貴方を不幸にするかもしれませんよ・・・?」
おどおどした口調に多少腹は立ったが、笑顔を無理矢理振りまいて
「僕には・・・やらないといけない事があるんです」
というモンスターと戦わなければならない青年の役になりきった。
もちろん僕はモンスターなんかと戦わない。
「大丈夫です」
と最後に決め台詞を言って、代金の2500円を払った。
とんだ無駄遣いかもしれないが、本物だったら2500円以上の価値が出るだろう。
とにかく僕は、この本に自分の命をかけたい。
僕の命で、他の人を救えるのならば———・・・。
- Re: 引き摺る靴と殺人本 ( No.6 )
- 日時: 2011/03/05 11:38
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
「巻きつく手」
最後に決め台詞を言って店を出た僕は、真っ直ぐと家に向かった。
靴に付いた泥も、既に乾いている。
父が建てたロッジ風の家はすぐそこだ。
が、何故か足が重い。
「!?」
遊基の靴に手が巻きついていた。
その手はアスファルトの中からにょっこり出ていて、なんとも気味が悪い。
手で靴に巻きついている手を解こうとしたがどうにも解けない。
遊基は仕方なく気味悪い手と一緒に足を引き摺った。
ザッ・・・・ザッ・・・・。
嫌な音を立てながら引き摺った。
手は未だ離れない。
「んだよ・・・何だって言うんだよ!何がしたい!お前は・・・!!」
怒鳴ったせいで荒い息が一分ほど続く。
巻きついた手は仕方なさそうに遊基の靴を放した。
内心ほっとしているが、恐怖という感情も残っている。
自縛霊?
だとしたら何があっただろう。
遊基は動く気をなくしてしまい、地面に座り込んだ。
遊基は考えているフリをしているだけで実際頭では何も考えていない。
声を掛けられたのは座り込んで5分も経たないうちだった。
「おーい!遊基ー?何してんだお前」
声の主は鈴木相馬。
遊基の親友でもある相馬と最後にあったのは一昨日。
普通の相馬だった。
相馬だけには変わらないで欲しい。
僕が狂ったら相馬は僕の事を助けてくれるのだろうか?
「遊基?」
と、ここで遊基は現実に戻された。
「えっ?あ・・・相馬!」
遊基は座りながらも答えた。
「お前顔色悪いけど大丈夫?」
ベタなストーリーのようになってしまうが、遊基は笑顔を作って「大丈夫」と答えた。
相馬はどこか抜けた表情で、「つーか何してんの?」とまた問いかける。
本当に僕は何をしてるんだ?と、遊基は初めて考えた。
「ひ・・・日向ぼっこ・・・?」
と遊基は無理な言い訳をした。
相馬は顔を少し歪ませ、ふーん、と何所かを見つめながら答えた。
遊基は立ち上がった。
もう足に手は巻きついていない。
そして、軽く足踏みをして玄関のドアを開けた。
サンダルの上で、きつくなったスニーカーを抜ぐ。
これにも一苦労する。
「おっ?これいい靴だな」
相馬はそういってその気に入った靴を手に取る。
その靴は・・・兄の遊走が最後に履いた靴———・・・。
事故現場に揃えて残されたあのスニーカーだった。
- Re: 引き摺る靴と殺人本・感想求む!(黙れ ( No.7 )
- 日時: 2011/03/05 19:26
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
「元カノの死」
相馬は兄の履いていたスニーカーを手に取る。
「そ・・・それは・・・。」
遊基が口篭ると相馬はめんどくさそうに「なんだよ」と答える。
見知らぬ人がこの光景を見たら「不良が気弱男を脅してる」ようにしか見えないだろう。
遊基はまごまごとした口調で
「それは・・・兄ちゃんが履いてた靴なんだ・・・」
と相馬を若干苛つかせながらも語った。
相馬は慌てて靴を手放す。
嫌な音を立てて靴が地面に落っこちる。
「悪い」
相馬は靴をすまなそうに拾う。
「ま、気にすんな!あがってあがって!」
遊基は気を取り直して冷え切った部屋の中に入る。
「あのさ・・・、何でお前ん家来たかわかる?」
突然相馬は真剣に語りだした。
しんみりとした気まずい空気が流れる。
「な、なん」
「愛砂が死んだ」
相馬は遊基の言葉を遮って愛砂の死を告げた。
愛砂は相馬の彼女で、遊基の元カノでもあった。
無邪気で、可愛い今時の高校生。
その愛砂が———・・・死んだ?
「冗談はやめろ!」
遊基は取り乱し、相馬に襲い掛かる。
相馬は遊基の腕を押しのけ話を続ける。
「こ、これが・・・事故現場に・・・」
そう呟くと、なにやら靴らしきものをバックから取り出す。
ピンクの生地に白いラインが入った女物のスニーカー。
愛砂が履いていたもの———・・・。
「これが・・・お前の兄ちゃん・・・遊走さんが死んだときと同じ場所で見つかって・・・。・・・それも、同じ方を向いて同じ時間で・・・。さっき・・・死んだ・・・。」
相馬の声は途切れ途切れになっていた。
そして、たまに荒い息使いも聞こえる。
「さっきって・・・・・・・!お前!喜んでるんじゃないのか・・・?」
遊基は相馬のさっきまでの態度が「愛砂の死」を喜んでいるようにしか見えなかった。
そして、また相馬に襲い掛かる。
「待て!話を最後まで聞け!」
怒鳴りながらも相馬の声は振るえている。
「嘘だよな・・・?冗談だろ?二人で俺の反応を見て楽しんでるんだろ!?そうだろ!出て来い!愛砂!!!!出て来い・・・!愛砂!!あい・・・さ・・・ああああああっ!!」
遊基は完全に取り乱して枕を踏みつけた。
何度も、何度も。
「遺体は・・・向日葵公園の噴水前に・・・」
相馬は泣きながら話す。
「な・・・なんで・・・・・・・。」
「知るか・・・!」
二人とも震えた声で討論を始める。
愛砂の死を二人は未だ信じられなかった。
愛砂・・・・。
遊基は声に出さず、心の中で呟いた。
いくら元カノだとしても、「人が死ぬ」なんてものは辛すぎる。
ましてや相馬は相当な傷を心に負っただろう。
「何で・・・・・・愛砂なんだ・・・。」
相馬は呟く。
愛砂が死ぬなんて・・・。
- Re: 引き摺る靴と殺人本・感想待ってます! ( No.8 )
- 日時: 2011/03/06 11:52
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
「自分勝手」
あの後、二人ともどうしていいか分からず、ただ「愛砂の死」に泣いた。
ただ、ただ。
そして、やっと遊基が口を開いた。
「向日葵公園に行こう」
と。
泣いて濡れながらも真っ直ぐな目だった。
相馬がいくら「警察に追い返されるからやめよう」と言っても遊基は行くと言ってきかなかった。
相馬は仕方なく遊基の言いなりになった。
遊基の自分勝手はいいところでもあり、わるいところでもある。
遊基は相馬に気付かれないように兄の履いていた靴をバックにしまった。
薄暗くなった世界に二人の少年。
生ぬるい風が二人を包み込んだ。
「久しぶりだなぁ—」
相馬は声を上げた。
「何が?」
恋人が死んだとは思えない話しぶりだった。
「やっぱいいや・・・」
と、苦笑いを浮かべて相馬は話を中断した。
きっと愛砂の話だったのだろう。
向日葵公園の入り口には沢山の人だかりができていた。
「また人が死んだんですって」
「やーね、気味悪い。三國さん家の息子さん以来じゃない?」
「今回はその三國さん家の弟の彼女なんですって」
「厄でも持ってるんじゃないの?」
上辺だけの付き合いと言うのはこういうことか。
近所の小母さんが本音を振りまいていた。
「ちょっと!アンタ等何言ってるのよ?遊基君が役なんて持ってるわけないじゃない!」
と、話に割り込んだのは花屋の瑠奈だった。
元・不良の瑠奈は荒々しい口調で40代の女達の中に割り込んでいった。
瑠奈は振り向くと、遊基と丁度目が合ってしまい、周りの小母さんもあ、というように顔を逸らした。
「遊基君・・・。」
瑠奈は茶髪を生暖かい風に靡かせながら遊基の元へ走ってくる。
パンプスが地面を叩いて出す「カツンカツン」と言う音が五月蝿い。
瑠奈は同情した顔で「大丈夫?」ときいてくる。
「大丈夫です、大丈夫じゃないのはコイツですよ」
と遊基が返すと瑠奈は「どうしてよ」とまた問う。
「死んだのはこいつの彼女ですから」
と遊基は何の気遣いもなく答えた。
相馬は一瞬躊躇ったようだが、苦笑いを浮かべて
「先に逝かれちまいました」
と今にも泣きそうな顔で答えた。
瑠奈はそう、と言う顔をしてうつむいた。
公園の前の小母さんは警官に邪魔だ、と追い返されていた。
遊基達の横を通るとき、小母さんは遊基と瑠奈の事を睨みつけた。
瑠奈が睨み返すと小母さんは逃げるように帰って行った。
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