ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 世界の怪談(短編集)
- 日時: 2011/10/16 21:24
- 名前: 涼 (ID: /iUvxDbR)
始めまして涼と申します。
題名のとおり色んな国のいろんな
怪談話を書きたいと思います!
テレビで見たのをもとにしたり、
自分で考えたりとか色々です(笑
たまーに妖怪やお化け系も出てきます。
怪談話ではないですよね;
すいません。
とにかくよろしくお願いします!
——
#01(パソコン)>>1 #00(陰陽師)>>4
#02(ドライブ)>>2
#03(童歌の娘)>>3
#04(吹雪の晩)>>5
#05(雨の日の出来事)>>6
#06(学校)>>7
#07[幻の女性]>>8
#08(紅い浴衣)>>9
#09[ハーメルンの厄災]>>14
- Re: 世界の怪談(短編集) ( No.3 )
- 日時: 2011/05/19 17:52
- 名前: 涼 (ID: Q7YZ/LhH)
#03 ( 童歌の娘 )
「いつ待てば愛しき男は来る? それは待つまで待とうぞ、
いつ願えば待っていた男は来るのか? それは信じねばならぬぞ、
無常だと無情になったとしてでも、待ち続ける、
いつか、我が身の元へと帰ると信じて——」
深い深い森の奥の茅葺小屋に響き渡る歌声に聞き惚れる男、
その男はあたしのいる小屋の方へ来た。
———— あの人かしら?
男はあたしの小屋に入るな否やあたしを見て愛想良くデレデレした。
だけど、あの人とは全然違う。
よくもあたしを騙したわね、目付きが鋭くなった事に気付かぬ鈍い男。
あたしは床に上がり込ませて油断した男が小屋を見回す最中に台所から
包丁を取り出した。気付いた男は悲鳴を上げる、が無惨にも殺された。
血で紅く染まった床のまま、あたしは男を小屋のすぐ近くにある湖に、
投げ捨ててやったわ。序でに持ってた銭や土産を貰った。
そして血で汚れた小屋の中を掃除する。
こう繰り返してもまた、あの人の事を思い、唄うの。
あの人はいつ来るのかしら、好い加減に帰ってきても良いのにね。
唄い続ける。何度も何度も、まだ帰らぬあの人の事を思い、唄うの。
ある日、あたしの元へまた男が来た。
いいえ、あの子はまだ青年だ。あの人と違う。
だけど、まだ若いし、人里に離れた所に住んでるですもんね。
仕方ないわね、特別にこの小屋に来ても良いわ。
甲斐甲斐しく出迎えたら、無表情の(近くで見たら)美青年は一言。
「俺の名前は安堂司、陰陽師だ」
「へぇ……」
何で陰陽師が此処に来るのかしら?
なにやら嫌な予感……
「あの人は帰ってこない」
「何ですって……!?」
無断で来たくせにいきなり失礼な男ね。あたしに何しに来たのよ…!
目が自然と釣りあがる——。だけど青年は微動だにせず。
「あの人はお前に殺されたんだ、思い出せ——」
「あああああああああああああああああああああああああっ!!」
髪を掻き毟る。
あたしの大好きなあの人は……あの人は。
あたしがまだ生きていたころ、あの人は仕事の都合で旅に出た。
すぐに帰ると言われ、その言葉を信じ、ずっと待ち続けてた。
だけど幾多の歳月を越えようとも、帰ってこない。
不信に思ったあたしはあの人に教えられた旅先に向かえば——。
視界に移ったのは見知らぬ女が隣に寄り添い子供と戯れる姿。
その瞬間。あの人と目が合った。
あの人に裏切られたんだ、とそう直感した。
あたしは悔しく悲しくて泣き叫んだまま、森に入り奥深くにある湖に、
身を投げたんだった———。
「いやあああああっ!! あの人が、あの人が悪いのよッ!!」
「たしかに。だが、お前はそんな〝あの人〟とその間に出来た女と子供を容赦なく全員皆殺しにしたんだろ? その女も知らなかったのにな」
そうよ、だから何が悪いのよ、あの人が裏切ったんだから、その罰に。
あたしは死後、毎晩あの人の夢に出てきて恨み言を吐き続けたわ、
心を奪った憎きあの女の夢にも現われ、子供も次々呪い殺してやった。
日に日にあの人とあの女が痩せ細り、苦しんだわ。
子供に遂に全滅した。
あとはあの人たちだけ——— 遂にある晩、殺した。
「うふふ……あはははははははっはははははっははははははははッ!!」
「何が可笑しいんだ」
「あの人が……自分のしでかした事に苦しんだ姿を思いだしたのよッ!」
「だったら、お前も苦しめ」
「あはは………?」
瞬間あたしの身体は炎に包まれた。
地獄のような苦しみにあたしは悶えた。
目の前の青年陰陽師はそんなあたしを見て。
「苦しいだろ? お前のした罪は重い、だから——地獄に落ちるんだ」
「いや………いやあああああああああああああああっ!! 熱い!! お願いだからあああっ!!」
「罪を犯し、哀れな魂よ。—— 死と共に地獄へ参れ」
「た————————け——————————て………」
炎の向こうに黒い影が陰陽師のほうに差し伸べようとするも、
一瞬で炎と共に消え去った。
地獄に送られたのだ。
哀れな罪深き魂は地獄に送られ、地獄の苦しみを味わうのだ。
青年の陰陽師も既に死んで霊魂の身なのだが、
何故このような事を仕出かすのかは、
誰も知らない。
Fin
- Re: 世界の怪談(短編集) ( No.4 )
- 日時: 2011/05/19 18:03
- 名前: 涼 (ID: Q7YZ/LhH)
— お知らせ —
(03)に出てきた青年陰陽師くんが
なんとシリーズ化にッ!
という訳で簡単な経歴や過去を
ここに書きます(笑
石を投げないでね(黙れ
ちなみに時々出てきます
◇
名前:安堂 司(あんどう つかさ)
性別:男
年齢:永遠に18歳のまま
性格:常に冷徹&冷静沈着、無表情
過去:思わぬ事故で18歳の時に死んだが、
閻魔大王の命令で死んだ罪人の魂を
地獄に送る役目を背負う羽目に。
備考:先祖代々高名な陰陽師で先祖はなんと安部清明。
何でも彼の息子の子孫の血が繋がってるとか、
彼はその際に安部清明を越すくらいの、
天才的な陰陽師だったが前述のとおりに
その腕前の所為で永遠に転生も成仏できず、
死んだ罪人を地獄に送る役目を背負った。
地獄に帰る際、彼を地獄へ帰らせる役目の
牛車の牛(名前はギュー)に
ギューから、とても懐かれていて
絶対忠誠心を持たれている、主人でもある。
仕事の際に言う言葉
「罪を犯し哀れな魂よ、死と共に地獄へ参れ」
◇
以上です!
なんか長いですね笑
- Re: 世界の怪談(短編集) ( No.5 )
- 日時: 2011/05/20 19:51
- 名前: 涼 (ID: Q7YZ/LhH)
#04 ( 吹雪の晩 )
ある所に姉弟が二人だけの小さな家に住んでいた。
両親は流行り病で幼い頃に次々と死んでしまった。
それで二人で一生懸命お互いを支え合って生きてきたの。
姉のエレーナは年頃の娘なのに誰の所にも嫁入りせず、
気侭に暮らしていた。
エレーナは18歳、弟のミーシャは16歳だ。
姉のエレーナの異性に対する無関心さにミーシャは度々こう言った。
「姉さん、もう僕は一人で自分の世話は出来る、だから姉さんは嫁入りしなよ」
「良いのよ、アタシはミーシャと気侭に暮らしていたいわ」
と話題にしてもはぐらかすのだった。
そんなある晩、吹雪がいつにもなく強さを増した頃だった。
「寒いわね、明日は大雪ならなきゃいいけど」
「薪が足りなくなるかも知れない、明日晴れたら、薪拾いに行くね」
ミーシャはそういうと、暖炉に新たな薪を入れた。火の勢いが増す。
エレーナはソファーで編み物を、ミーシャは狩りの銃を手入れをしていた時。
—— コン、コン
最初は吹雪の音で聞こえなかったが、次第にコンコンと音が増した。
こんな酷い吹雪でしかも夜に何事だ、とミーシャがドアを開けた。
目の前に美しい女性が立っていた。
あんまりの美しさに見惚れるミーシャを他所にエレーナは尋ねた。
「こんな夜遅く何をしているのですか?」
「突然の吹雪で道に迷いましたの、どうか一晩泊めてください」
ふと、ミーシャは女性に違和感を覚えた。
良く見ると女性の服装が薄着だったのだ。
今は長く厳しい冬なのに。
ただでさえ吹雪のない冬も寒いのに吹雪はもっと寒いはずなのだ。
そのことに気付いたエレーナとミーシャはただ震える思いだが、
寒そうにしている女性を見るうち、哀れんで中に入れてやった。
女性に暖かいホットミルクを渡し、使われてない部屋へ案内した。
女性が眠りについた後、エレーナたちも眠りについた。
真夜中にふとエレーナは目を覚ました。
何処からか物音がするのだ。
「…………………?」
何事だろう、エレーナはそっと部屋を出た。
リビングの方から物音がする。
エレーナは足音立てず、リビングのドアの隙間が開いてたので覗けば。
人影が何かをしていた。
エレーナは。
(あの女性だッ!!)
すぐに思いつき、気付かれないよう急いで弟の寝てる部屋に向かった。
エレーナに説明されたミーシャはライフル銃を持ってリビングに行く。
二人が来たことに気付いた人影は逃げようとする、がミーシャにより、
ライフル銃で撃たれてしまった。
同時にぎゃあああああああっ、という猫の鳴き声がした。
灯りをつけ、急いで女性のいる部屋に入った二人が見た光景は。
ベットにいるはずの女性の姿はなくなっていた。
◇
翌朝二人は昨日のことについて話し合っていたさいに誰かが訪ねてきた
隣に住む老夫婦のお婆さんだった。お婆さんはこんな世間話をした。
「昨日ね、隣町で相次いで殺人事件が起こったんだよ、しかも、噂だけど被害者は全員猫に引っかかれたような傷跡があり、現場で白猫が目撃されてるらしいわ、あなたたちも気をつけなさいね」
その話を聞いた直後、エレーナは茶を沸かそうとキッチンに行ったとき
異常な悲鳴をあげたのだ。
驚いたミーシャとお婆さんが見た光景は。
白猫が血まみれで倒れている姿だった、そして爪は紅く染まっていた。
.
- Re: 世界の怪談(短編集) ( No.6 )
- 日時: 2011/05/20 22:30
- 名前: 涼 (ID: Q7YZ/LhH)
#05 ( 雨の日の出来事 )
とおくとおくだれかのひめいがきこえました。
わたしはなんだろう、とおもいふりむいたとたん、めのまえがまっくらになった。
わけがわからないまま、めざめるとおかあさんたちがないていた。
—— どうしてないているの?
そのことばさえでなくて、こわくなったわたしはないちゃった。
そして〝びょういん〟をとびだしたの。
どれくらい、あるいたのでしょうか……
なきやんでもうおそとがまっくらなのにだれもわたしをしんぱいしない
まるでわたしが〝そんざい〟しないかのように。
かなしくなったわたしは〝おうち〟にかえろうとあるきはじめました。
だけど、なかなか、おうちにかえれない。
いつものみちがなんだか、とおくかんじるのでした。
つかれたわたしはこうえんのべんちにすわり、ひとやすみしたけど。
だれもいない、もうおうちにかえるじかんだもんね。
いつもなら、おかあさんがむかえにきてくれるはずなのにきません。
なんでわたしはびょういんにいたのかな、なんでおかあさんたちは、
わたしをみてないていたのかな、お医者さんと看護婦さんが、とっても
かなしいかおをしたのはなんでなのかな。
わけがわからず、ひとりでぶらんこをこいでいたら。
とーってもきれいなおんなのひとがやさしくほほえみながらきました。
「何をしているの?」
「わたしね、おかあさんたちがびょういんでないていたの、だからこわくてこわくてとびだしちゃった。いつものこうえんにきたのにおかあさんはむかえにきてくれないの」
「おや、まあ—————」
おんなのひとはこまったように、にがわらいしました。
わたしはなにかいけないことをいったのかとおもったけどおんなのひとは。
「あなたには逝くべき所があるのよ、一緒に逝きましょう?」
「うん————」
「お父さん、お母さんはあなたの事を愛しているわよ」
「あいしてるの? すずのこと、だいすきなの?」
「えぇ」
「おうちにかえりたい」
「ふふ……もうすぐ帰れるわよ」
おんなのひとは〝あのよ〟とよばれるところまでおくってくれました。
そしてとてもおおきくておんなのひとみたいにきれいなおとこのひとが
わたしにこういいました。
「また、転生しなさい」
「愛川鈴、そなたの閻魔大王様による審判はこれにて終了ッ!」
きれいなおとこのひとがゆびさすほうにいくと、まっしろなひかりが、
きらきらとひかっていました。
わたしはそこへむちゅうでかけだしたの。
とちゅうでえんまだいおうさま、とよばれたおとこのひとのほうへ、
ふりむいたら、あのおんなのひととおなじやさしいえがおでした。
そして、てをふったのでふりかえしました。
「今度こそ来世を生き抜きなさい」
というおとこのひとのこえとともにわたしのしかいはまっくらになりました。
◇
「あの子が死んでもう3年になるわね———」
「ああ、鈴はとても優しい子だった」
「何であの時、あの場所にさえいなければ——と思ってたの、だけど、今は鈴の冥福を祈るわ」
「交通事故だったんだ、相手側も悪気はなく完全な事故だったんだ。それに相手もちゃんと反省して毎年命日に花を差し向けてくれるじゃないか」
「そうね、鈴——— 今頃生まれ変わってるかしら?」
「変わってるさ」
ある夫婦が見た窓の外は雨になっていた。
あの日、あの時に鈴は交通事故で死んでしまったのだ。
だが、夫婦はその死を乗り越え、今は慎ましく生活していた。
外は相変わらず雨。
夏の夜、小雨が降った。
亡き娘を思い、それを知るかのように振り続けた——。
Fin
- Re: 世界の怪談(短編集) ( No.7 )
- 日時: 2011/05/22 14:53
- 名前: 涼 (ID: Q7YZ/LhH)
#06 ( 学校 )
ある日の夕方。部活が家庭部だった私は片付けていた。
今日は大好きな苺タルトが作られたから、
片づけが面倒に感じなかった。
多く貰った苺タルトを薄茶色の紙袋に3個入れた。
そして鞄に仕舞う。残念だけど家族に分けず一人で食べるため。
「春海、上手くできたじゃんか」
「そう、郁美?」
友人の郁美と喋りながら片付け終えた。
先輩たちはすでに先に帰って調理室は私たちだけだった。
調理室に鍵を掛け、職員室に戻したあと、私たちは廊下を歩く。
1階に降りたさい、郁美が突然こう言い始めた。
「ねぇねぇ、調理室の噂、知ってる?」
「何それ?」
郁美の顔がニヤリ、と笑ったように見えたのは、気のせいだよね。
次のようにこんな話をし始めた。
「昔々にある女の子に親友だと思ってたのにだよ、彼氏を奪われた子がいたんだ、その子は悔しくて親友と同じ部活の調理室で自殺したんだってさ、それから夜な夜な泣きながら出るだってさ。まあ、それはもう数十年前の話なんだけどねー」
「えー、そんなの知らなかったなあ」
そんな噂があるだなんて調理室が入りづらくなるじゃん。
はあ、と溜息した私に郁美は話を続ける。
「それでね、その親友はその後、その彼氏と結ばれ子供に恵まれ孫もできたんだってさ」
郁美の声が低くなり、私はある違和感を始めて覚えた。
( こんなに、廊下……長かったかな? )
先程から随分と歩いているつもりなのに、まだ玄関に着かないのだ。
私は郁美に知らせようと、郁美のほうに振り向いたら、
郁美はセーラー服という昔の制服を着てて三つ編みだった。
驚く私を他所に、目から血を流して、郁美は話を続ける。
「その親友の名前が杉本晴子、自殺した女の子の名前は飯田郁美、というんだよ」
郁美の言葉に私は気付いた、郁美は調理室で自殺した女の子だと。
そして親友の名前が私のお祖母ちゃんの名前だと。
身体が震える私を郁美は冷めた目で見て。
「気付いた? あたしはあんた等を絶対に許さないッ!! 道ずれにしてやるっ!!」
「きっ……きゃああああああああああああああっ!!」
——
学校の廊下で見つかった変死体で見つかった杉本春海。
その子の葬儀が執り行われ、やがて終わった。
遺族たちはこう言いあった。
「やはり、またか……」
「お祖母ちゃんが昔の過ちで私たちが巻き込まれるだなんて良い迷惑よ」
「もう、この家に生まれたが最後だな」
と諦めついた声で言いあったという……
あなたも昔になにか、
過ちを犯しませんでした?
Fin
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