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闇の刻印 光の乙女
日時: 2011/05/20 00:20
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.h6.dion.ne.jp/~kazaya/yamiyokyara.htm


まだ未完の小説です。
いろいろなところで、こっそり公開していたりします。
もしよろしければ、お楽しみください。

URLには、キャラクター紹介のページとリンクさせてます。
HPもありますが、そちらの更新は、当分先になりそうですので、こちらで続きを楽しんでもらえると嬉しいです。

ジャンルは現代ファンタジーです。

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Re: 闇の刻印 光の乙女 ( No.4 )
日時: 2011/05/20 00:24
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.h6.dion.ne.jp/~kazaya/yamiyokyara.htm

4.闇夜
 
 静寂が監獄に染まってくる頃。
「おい、兄ちゃん。何、へらへらしてんだい?」
 私の部屋の向かい。そこには先客がいた。彼も何か罪を犯したに違いない。たまに私に話し掛ける者。名前は知らない。いや、覚えていない。
「……今宵は美しい満月。時は満ちましたか」
「なんだいそりゃ? 兄ちゃんのとこから月が見えるのかい?」
「いいえ。ですが、分かります。教えてくれる者がいますから」
「?」
 にこやかに話す。恐らくこれが最後の会話になるだろうから。
 ふと、目の前の鉄の檻を見つめた。
「どうしたんだい? 兄ちゃん……」
 すうっと深呼吸をする。
「?」
 首を傾げて向かいの隣人は私を見守る。
「はっ」
「何ぃ!?」
 その檻はいとも簡単に歪んで、私に出口を提供してくれた。どうやら、向かいの隣人は驚いているようだ。
「では、ごきげんよう」
 そう言って抜け出した。
「うわあああああ! 脱獄だあああああ!」
 そう、追いかけっこは始まったばかり。私は隣人の言葉に怯むことなく、その場を駆けだした。

Re: 闇の刻印 光の乙女 ( No.5 )
日時: 2011/05/20 00:25
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.h6.dion.ne.jp/~kazaya/yamiyokyara.htm

5.剣
 
「なんだって、こんな不気味な剣を見張って置かなきゃならないんだ」
「仕方ないだろ? それがおれらの仕事なんだからさ」
「そうだな。……ん? さっき、この剣が光らなかったか?」
「へ? そんなことないだろ? これはタダの、変哲もない凶器なんだからな」
「でも確かに……ほら、光った!」
「うわっ?」
「おいらの言う通りだっただろ!」
「違うだろ! と、とにかく報告しに……」
 
「どうも、初めまして。今晩もお疲れ様ですね?」
 そこに現れたもう一人の男性の声。剣を見張っていた2人は、ゆっくりと声の方向に視線を集めた。そこには闇に紛れるような漆黒の髪を持つ青年がいた。
「何だお前はっ?」
「その剣の主……といえば分かると思いますが?」
 青年が微笑む。
「ま、まさか……脱獄っ?」
 2人の見張りは焦りながら、剣を守るように後ずさる。
「それよりも、そこにあるものを返して頂きませんと。後々、困ることになるので」
 そう言って青年は一歩前に出る。
「だ、駄目だっ!」
「……実力行使は避けたかったのですが」
 青年はそういって。
「少しの間、寝て貰います」
 2人を一瞬で気絶させた。
「すみません、あなたを迎えに来るのが遅くなりましたね……」
 苦笑。
 そして、光と共に。
『遅すぎじゃ! 何をしておった? お陰でお腹と背中がくっつきそうじゃ。さっさとお前の……』
 剣の上に浮かぶ青年とよく似た女性が現れる。その身体は透き通って向こうの壁まで見えた。
「説明は後です。とにかく、ここを早く出るのが先決ですから」
『そのようじゃ』
 遠くから騒がしい声が聞こえてきた。追っ手はすぐそこまで来ている。
 よく似た2人は無言で頷くと、青年は剣を手にして足早にその場を去った。

Re: 闇の刻印 光の乙女 ( No.6 )
日時: 2011/05/20 00:35
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: JJ3BeOFP)
参照: http://www.h6.dion.ne.jp/~kazaya/yamiyokyara.htm

6.滝壺
 
 青年は追い込まれていた。背中は窓。窓を開けると、そこは崖で、下には滝壺が見えた。
「さあ、観念しろ。もう、お前に逃げ場はない」
 追っ手の一人が剣を持つ青年に話し始めた。そういえば、青年は剣を持ちながら、それを使って追っ手を斬ることはしていない。
「そうそう、窓から出ようとするな。その滝壺には渦があって、落ちた者の死体が上がらないらしいからな……」
 にやりと、嫌らしい笑みを浮かべた。
「そうですか。それは良いことを聞きました」
 青年はその目を細める。
「では、ここから落ちれば何もかも終わりと言うことですね?」
「そうだ。わかったなら大人しく……」
「今度は違う場所でお会いしましょう。出来ればの話ですが」
 そう言って。
 開いた窓から。
 背中から落ちるように。
 闇に身を投げた。
「馬鹿野郎っ!」
 追っ手はそれを押さえようと急いで手を延ばしたが。
 ばっしゃーん!
 無駄だった。
「もう、生きていないな……」
 追っ手の誰かが淋しそうに呟いた。
 
「どうやら、何とかなったようですね……」
 追っ手が滝壺を見て引き揚げるのを、上空から見ている者がいる。
 青年だ。その青年の様子がおかしい?
 背中には、コウモリや恐竜を思わせる、大きな黒き翼がはためいている。
 頭には延びるような角。
 そして、トカゲの様な尾を携えて。
「そろそろ落ちた剣を回収しないと、彼女に怒られますね」
 そう言って笑う。そして、青年は右腕を空へ掲げた。
「血の契約に基づき、我が声に応えよ! 黒龍剣!」
 しぶきと共に現れたのは先程の黒い剣、黒龍剣。
 ぱらぱらと青年に水の雫がかかる。
『何をするのじゃああああああ!』
 やはり、それでも彼女は怒っていた。
「すみません。この方が楽なので。それに上手く追っ手を撒くことが出来ましたよ?」
『だからと言って滝の中に落とす馬鹿がおるかっ! 儂を殺す気かっ!』
「……剣ですから、死にはしないでしょう?」
『儂は腹が減って腹が減っていらいらしておるのじゃっ! とにかく、早くお主の血を貰うぞっ!』
 そう言って剣は柄にある触手を伸ばし、青年の腕に突き刺した。
「言っておきますが、これから合流ポイントまで飛ばなきゃならないんですよ? あまり吸いすぎないで下さいよ?」
 青年は苦笑して、その場を飛び立った。
 空には美しい満月が、闇夜を照らしていた。まるで、青年を導くかのように……。

Re: 闇の刻印 光の乙女 ( No.7 )
日時: 2012/01/13 20:57
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: 76WtbC5A)
参照: http://www.h6.dion.ne.jp/~kazaya/yamiyokyara.htm

7.聖女

 ふわりとした長い金髪が揺れる。
 その手には、大きな買い物袋を抱えて。
 と、彼女の足が止まった。
「あら……」
 そこには、小さな白猫が鳴いていた。
 可愛そうに足に怪我をしている。
 彼女は辺りを見渡し、人がいないのを見ると、そっとその手で怪我をした足を包んだ。
 するとどうだろう。みるみるうちに、猫の怪我が治ってゆくではないか。
「これで良しっと」
 笑顔で彼女は子猫を抱き上げると、ゆっくりと帰路に戻っていった。

「ただいまーっ」
「おかえりっ」
 彼女の声に、奥からやってきたのは。
「美味しい物は買えた? マリア?」
「もう、ばっちりよ! キャシー!」
 なんと、リュートを担当した弁護士、キャサリンその人であった。
「……キャシーには、すっごくお世話になってるわよね」
 ぽつりとマリアと呼ばれた女性は、今までのことを思い出すかのように呟き始める。
「そんなことないわ。記憶を失って倒れていたあなたを放っておけないもの。それに……」
 マリアの首に揺れる、ペンダント。その裏には文字らしきものが刻まれていた。
「これだけだものね。あなたのことを示すものは……」
 またペンダントには、蓋がついてあり、中に何かが入っているように思われた。
「けれど、開かないのよね、これ……」
「キャシー……」
「早く、思い出せると良いわね。あなたの記憶も、あなたの名前も……」
 そのキャサリンの言葉に、マリアは寂しげな微笑で応える。
「私は……」
 と、マリアの胸からにゃあと小さな鳴き声が聞こえた。先ほど拾った白猫のものだ。
「あら、新しい住人かしら?」
 キャサリンの言葉にマリアは、新たな住人となる白猫を紹介したのだった。

Re: 闇の刻印 光の乙女 ( No.8 )
日時: 2012/01/13 20:56
名前: 秋原かざや ◆FqvuKYl6F6 (ID: 76WtbC5A)

7をちょこっと修正。
なんとまあ、突発的に書くとだめねー。


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