ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Aより皆様へ
日時: 2011/05/30 22:28
名前: サイ (ID: vlsSoCkf)



こんにちは。サイと申します。ここで小説を書こうと思います。コメントもどんどん書いて下さい。


注意
・荒らしは絶対ダメ!!
・更新が不定期。


以上です。どうぞよろしくお願いします!!

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Re: Aより皆様へ ( No.6 )
日時: 2011/06/25 21:41
名前: サイ (ID: IY.5e5Uz)


コメントありがとうございます。

ええもう、どんどんホイホイされて下さい!!
不定期な更新ですが、これからもよろしくお願いします。

Re: Aより皆様へ ( No.7 )
日時: 2011/08/02 11:55
名前: サイ (ID: OPgvGJrB)


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんんさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
薄暗い部屋で少年は頭を抱え懺悔する。身体の筋肉は強張り、目からは涙が流れ、掻き毟った腕からは血が流れている。それでも少年は懺悔をやめようとしない。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなっ・・・ゲホッ!ガッ!!・・・ぅう・・・ぁ、・・・。・・・・・・・・・めんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
喉が裂ける。血が涎と共に垂れてくるが少年は気にしない。外で見せる態度とは真逆。きっと少年の知人が今の彼を見たら、こいつは誰だと言うだろう。全てに怯え、全てに懺悔する、こんな哀れな少年なんて知らない、と。
少年が懺悔する理由?焦らなくても、もうじきその原因がやって来る。
「おい、何やってんだ。」
ほら、来た。
「に、兄さ、」
鋭い視線を向けられ、少年の緊張が最高に達した。身体が震える。息が上手く出来ない。視界が霞む。
少年はこの男に恐怖を抱いていた。同時に、憧れでもある。男は少年が絵描く人間像をそのまま形にしたような人間だったから。・・・と、少年はずっと、そして今でもそう錯覚している。実際は、両親を早くに亡くし、一番多く触れてきたこの男がそのまま人間像になったというだけの話しだった。
「・・・・・・っ!ぁ・・・。」
「・・・・・・。」
いきなり意識を失った少年を、男は冷たいままの目で見下ろす。
少年は時々このように突然意識を失う。その全てがこの男の目の前で、だ。それは長時間の緊張状態に危険を感じた体が、脳の命令を無視し、無理やり意識を眠らせるというものだった。
「はぁ・・・、まあいい。」
そういえば、まだ懺悔の理由を話していない。
「ふっ。・・・アハハ・・・。ハハッ!」





「あぁ!!今日も俺は人間だった!!!」
男、もとい、Aが叫ぶ。


「お前はもっと精神的に強くならなきゃね?美紗。」
足元で気を失う少年にそう言った。
美紗と呼ばれた少年は、10人が10人振り返るような、そんな綺麗な顔立ちだった。










一日が過ぎ、夜が来る。すると美紗は懺悔を始める。
Aの弟として生まれてきた、それが美紗の罪。
決して許しを貰うことなど出来ない、足枷よりも重い罪。




Re: Aより皆様へ ( No.8 )
日時: 2011/08/06 21:47
名前: サイ (ID: oEzrruap)


朝、目が覚める。そこにいるのは学校で見せるような冷たくも美しい美紗の姿。昨晩の憐れな少年の姿はもう、そこにはない。
実を言うと美紗自体、昨晩の事など覚えていないのだ。そうしなければ、美紗の命に関わってしまう。だから、忘れることで脳にストレスを与えてでも゛Aの身内”という事実を忘れなければならなかった。最優先は美紗の生存だったからだ。




・・・・・・・・・

「おっはよー!!美紗ちゃぁーん!」
「・・・・・・。」
「えっ、無視?」
☆マークを付けそうな勢いでやってきた友人を、華麗に無視する。
日常茶飯事だから、問題ない。
「悪かったよー。ふざけすぎた・・・おはよう!」
「・・・・・・。」
「えっ、なおも無視?」
日常茶飯事だから、問題ない。


「あっ、吉田だ。今日も輝いてるねー!変人だけど。・・・・・・・・・・・・・・・って、アレー?美紗がいない!!何で!?何でなの!?」
今だけは桜より、一人で騒いでいる友人の方が、周りの目には変人に映った。




・・・・・・・・・


(なにあの人、すごく煩い。)
桜は一人で騒いでいる男を冷たい目で見る。しかし、その情報は桜にとって何の価値もなかったのですぐに目をそらす。

桜の足は学校へ向かっていない。桜が行きたい場所は誰も訪れないような1つの寂れた公園。
「おいで、ハル。」
木の後ろから現れたハルと呼ばれた゛一人の少女"。桜はここでこの少女を゛飼って"いる。
「一緒に住むのは、母さんが許さないから。」
ハルを連れ帰っても、母親が決して許さないことは分かりきっていた。だから、誰も寄り付かないこの公園で飼っている。
ハルを撫ぜる桜。その顔に表情など存在しない。逆に、ハルは満面の笑みを浮かべている。正反対。しかし、深い闇を纏ったようなその目だけは、同一であった。



「ごめんね。」
「今度それ言ったら、もうここには来ないから。」
「うん、ありがとう。・・・・・・優しいんだね。」
「・・・どこが?」
桜は自分の噂を理解しているつもりだった。だから、自分を優しいと言うハルが理解できない。
実際に桜の言うことは正論だった。本当にハルのことを思うのであれば、こんな汚い公園に置いていくのではなく、警察や孤児院に連れて行くべきだ。
しかし桜はそれをしようとしない。何事にも無関心な桜がそうまでしてハルに執着する理由、もったいぶっても仕方ないから率直に言おうと思う。それは桜とハルが姉妹だったからだ。いくら桜でも、家族を見捨てるような最低なことはしない。桜は無関心で冷たく、ついでに無表情でもそれくらいの常識はあった。


「ありがとう、お姉ちゃん。大好き。」
「あっそう。」






Re: Aより皆様へ ( No.9 )
日時: 2011/09/09 23:39
名前: サイ (ID: ly29w5Uv)




「ふとした瞬間に、その人の人生が見えるんだ。」



1人の警官が後ろから鈍器のようなもので殴られその場に倒れる。突然のことで受身が取れず、意識が朦朧とする。
かなり殺しなれている、長年の経験からそう思った。
しかし、振り返ることができない。首を折ったのかも知れない。だとすると自分はもう長くないことを警官は悟った。
なによりも、犯人にされるがままの自分を恥じた。



「見えるといっても、そんな大層なことではない。そうだな・・・例えば、車に乗っている人がいるとしよう。その人は車を運転したいと思い、練習を重ね免許を取った。そんな些細なことさ。しかし、それだけで私は1人ではないんだと実感できる。私のように平凡な人生を送っている奴がいる。そんな同族意識さ。小説の世界は狭いと言っている人間がいるだろう?実際はそうではないんだ。小説では色んな視点から物語を捉えることが出来る。それに比べ現実では己の視点からしか捉えることが出来ない。結局、他人の考えなんて推測することしか出来ないんだ。そう思うと自分が世界から隔離されているような気がしてね・・・・・・。変だろう?」




ボキッ
どこかの骨が折れる音がした。もう痛みなんて感じない。ただ、折られているという事実がそこにあるだけだった。
ただの殺人貴にしてはやけに殺し方が丁寧だ。まるで、何かを確かめるように丁寧に丁寧に壊されていく。
そして、警官は気付く。こいつはAだ、と。
警察が目を血眼にして探している殺人貴A。ちくしょう、気付かなかった。警官は悔しさに涙を流した。




「私も、主人公になりたかったんだ。この世界の中心人物になりたかった。誰かに認めて欲しかった。私は1人出ないと思いたかったんだ。だから私は警察官になったんだ。まるでどこかの物語の主人公にでもなったつもりでさ。演じるなら悪役よりカッコイイヒーローの方がいい。そうだろう?単純な理由だった。しかし、やっぱり物語りは物語、現実は現実さ。私は主人公になんて到底なれなかった。精々脇役が適任だ。寂しいものだな。」




どれくらいの時間がたっただろう。何秒か、何分か、あるいは何時間か。
・・・そんなことは関係ないか、自分は死ぬのだから。そう思ったとき、唐突に体が反転させられる。
Aと目が合った。



「だから驚いたよ。本当にあんな人間がいるんだな。」



電流が体を走ったように警官は感じた。こんな殺人貴は見たことがなかった。
狂気、快感、怯え。色んな感情が入り混じったその目に魅入った。
あぁ!!自分は何てちっぽけな人間なんだろう!!
あぁ!!世の中にはこんな目をする人間がいたのか!!
あぁ!!そんな人間に私は出会ったのか!!
警官が感じたものは、紛れもない゛喜び"。そして同時にAが自分を見ないというどうしようもない失望だった。



「あいつは私の人生をいとも簡単に否定した。不思議と嫌悪感は感じなかったよ。あぁ、悔しい。もっと早くにあいつに出会えていたら・・・。」




Aは一通り警官の体を調べ、恍惚の笑みを浮かべた。




「あぁ!!今日もまた俺は人間だった!!!」
「あいつの、Aの人生と私の人生がほんの一瞬でも交わったことが、私の人生の最高のドラマだったよ。」













Re: Aより皆様へ ( No.10 )
日時: 2011/10/28 21:20
名前: サイ (ID: 94NBGR1U)




ああ、あいつが憎い。私はこんなに頑張ってるのに、私はこんなに努力してるのに、あいつだけ愛されるだなんて!






「やめてよお母さん!!痛い、痛いよ・・・っ」
「黙れ!あんたを見てるとあの女を思い出す!!」
奇声を上げながら私のお腹を何度も蹴るお母さん。
「っおか、さん」
「私はあんたなんかの母親じゃない!!」
私とお母さんは血が繋がっていなかった。私のお父さんと再婚して、こうして家族になったのだ。お母さんも最初は優しかった。元々お母さんの子供だった姉にも、不満はなかった。それなりに幸せだったはずなのに、
「あの人・・・!またあの女に会ってやがった!!」
お父さんは、私の前のお母さんと浮気をしたらしい。それも何度も。別れた妻と何故・・・、そんなことを考えても、理由なんて分からない。浮気をしたという事実が、そこにあるだけだった。
最初はお母さんも影で泣いているだけだった。しかし、何度も、しかも前の妻と浮気されたということに、悲しみは憎しみへと変わった。でも夫は愛してる。失いたくない。憎いのはあの女。ああ!!この家にはあの女の血を引く子供がいる!!なんて汚らわしい!・・・・・・これがお母さんの思考だった。
「あんたを殺さないのは、半分だけあの人の血が流れてるからよ!!」

[ これが、一ヶ月前の記憶 ]







「また蹴られたの。」
「・・・・・・・・・。」
全然心配なんてしてない風に聞いてくる姉を睨む。なんて醜い嫉妬。でも、これくらい許されるでしょう?お母さんの愛は全部あんたが独り占めしてるんだから。
「私となんて、話したくない?」
「・・・・・・・・・。」
「私にそんな態度を取って、困るのは自分自身だよ。」
この言葉は皮肉ではない。事実だった。前に一度、姉に口答えしたことがあった。その場を目撃したお母さんは今までにないくらい怒り、強い力で私を蹴った。それはまるで、親が自分の子供に害成すものを排除するかのように。
私を蹴った理由が、私の生みの母のことではなく、姉を守ることだったことが何より辛かった。
結局その日は、気絶するまで蹴られつづけた。
「・・・っ。」
「・・・・・・まぁ、話したくないのならそれでいいけど。」
あの日の悪夢を繰り返さないように、唇をきつく噛んだ。

[ これが二週間前の記憶 ]







遂に、限界が来た。
お母さんの理不尽な暴力への怒り、憎しみは1人傍観を決め込む姉へと向かった。
(第三者を憎む・・・。ふふっまるでお母さんみたいね。)
包丁を持って姉の前に立つ。表情の変わらない姉にまた腹を立てて、今まで溜め込んでいた汚い言葉を吐き出した。それでも姉は動じない。
いつもそうだった。いつも私を見下して、心の中では笑ってたんでしょう?今だって、本気じゃないと思ってるんでしょう!?アハハハハハハハハハハハハ!!!残念!本気なのよ!!
「あんたなんてあんたがいなきゃあんたがあんたあ、あああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!」
姉に襲い掛かった私を、横からバットで殴りつけたのは、お母さんだった。

[ これが一週間前の記憶 ]







目を覚ましたら、見知らぬ公園にいた。殴られてからの記憶がない。気絶していたのだろう、頭から血が出ていた。死ななかったのは奇跡に近い。
誰が連れてきたのか。遂にお母さんが私を捨てたのだろうか。
あぁあ!頭が狂いそうだ!!私はお母さんの愛を取り戻すことが出来なかった!!
足音がして、後ろを振り返る。
「ここなら、誰も来ないよ。」
「・・・・・・おねえ、ちゃん・・・?」
「私がここで、あんたを飼ってあげる。」

[ これが六日前の記憶 ]







あれから私はここで飼われている。姉の言った通り、この公園には誰一人として来なかった。つまり、お金を持っていない私は姉に縋り付かないと生きてはいけないのだ。
ああ、何て屈辱だろう。あんなにも憎い相手に飼われているなんて!

「おいで、ハル。」
「一緒に住むのは、母さんが許さないから。」

死ね!!

「ごめんね。」
「今度それ言ったら、もうここには来ないから。」

死ね!!

「うん、ありがとう。・・・・・・優しいんだね。」
「・・・どこが?」

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!

「ありがとう、お姉ちゃん。大好き。」
「あっそう。」

死んでしまえ!!!!!!

[ これが昨日の記憶 ]












胸の内に本音を隠しながら明日を待つ幼き少女。
少女に差し伸べられるのは、救いの神の手か、殺意に踊らされたナイフか。
未来のシナリオを書くのは人間だ。そういう意味では、世界からの隔離という形で筆を取り上げられた少女はもう、人間ではないのかもしれない。





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