ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- レベル能力者
- 日時: 2011/06/02 19:18
- 名前: 比奈 (ID: KNtP0BV.)
こんばんは、はじめまして、比奈です、
こないだは挫折したんで今度はしないように頑張ります。
- Re: レベル能力者 ( No.2 )
- 日時: 2011/06/04 16:33
- 名前: 比奈 (ID: KNtP0BV.)
Ⅰ章 無法地帯
西暦××××年————つまり、今、日本は無法地帯だ。
無法地帯になったのは、とある科学者が生み出した“レベル能力”という“菌”が流行り出したのが全ての元凶だった(レベル能力という細菌を無差別に人にばら撒いた)。
レベル能力はレベルに応じ強さや使える能力などが変わるが、それを持っているのは何百人にひとりという割合だった。
最初は科学者も遊び心で創ったらしい。
念力通思や瞬間移動など、まだこのぐらいで済んでいたなら良かった。
が、それを面白がった科学者の行動はじょじょにエスカレートにしていった。
気づけば空間を歪ます、炎を噴出させる、電撃の槍など人間に被害を及ぼすものばかり出来ていた。
当然、そうすれば日頃政府への恨みがあった奴がテロを起こしたりもする。
それを真似、能力者が一般人を殺すなんて事件も日常茶飯事。
最終的にこの国には、ほとんど能力者しかいなくなっていた。
そして俺も————その能力者のひとりだった。
「なぁあんた、おれと勝負してみねぇーか。ちなみに俺は能力者だ」
普通能力者は能力者同士ではあまり戦わない。
そんなことをしたら絶対に無傷では済まされないからだ。
だがたまに、極たまに、そんな物好きがいる。
危険を顧みず挑んでくる、馬鹿が。
例えば今、俺の目の前にいる奴とか。
「は、正気?」
嘲笑うようにいうとへらっと笑い、
「おれぁ嘘と暴言は絶対に言わないんだぜ? なぜならおれは紳士だからだ。解ったか」
「キミが馬鹿ってことはね」
「はん。言ってろ」
そういうと、そいつは手から鋭い電撃を奔らせ————俺に襲いかかって来た。
- Re: レベル能力者 ( No.3 )
- 日時: 2011/06/05 15:31
- 名前: 比奈 (ID: KNtP0BV.)
「っ!? ぐ、ぁあっ!!」
呻き声をあげたのは俺ではなく、相手の方だった。
地面にうずくまり、それでも笑顔を魅せて俺に視線を投げた。
「……、っは、さっすがーぁ。……でも俺もこんなんじゃ、やられねぇよっ!」
ビリッという音と共に、手中から電気の球体が作られた。
それをぶん、と俺に投げつけると、俺のお腹にめり込んだ。
「それが電撃の球よ。百万ボルトで————ぎゃぐああああああああああああああっ!!!」
彼は凄まじい悲鳴をあげた。
俺は彼の手に触れたわけでも、彼のように手からなにか出したわけではない。
————痛みが反射したのだ。
「ぐ、ああああああああっ…………っふ。あ、はぁ、…………は、は。やんじゃ、ねぇかよ」
せめてもの抵抗とばかりに睨んでくる。
もう手もまともに動かせないはずだ、なんせ百万ボルトの電流を“くらった”のだから。
「は……。おれの負けだ。おれを殺すか? それとも売るか? それとも奴隷にでもなろうか。……おれは敗者だ。もうどーなっても構わねぇよ。好きにしやがれ。…………でも」
そいつは複雑な表情で、
「ひとつ、教えろ。なんでおれはお前に攻撃にしたのに、あんたには攻撃されてないのに、あんたは無傷なんだよ…………。物事には必ずトリックがある。おれに、そのトリックを教えてくれ」
動かせない手を少しずつ動かし、土下座をする体制となった。
はぁ、と小さな溜息をつき、
「べつに俺は殺そうなんて気は微塵もないよ。売る気もないし、奴隷にする気もない。……教えてあげるよ。俺の能力は“痛みの反射”だ。俺に痛みを与えた人間はその痛みがそのまま返ってくるってものさ。転んだ痛みとかは別としてね。————さて、キミみたいな馬鹿にでも解るように説明したつもりなんだけど、通じた?」
そいつは頭を地面につけたまま、ふっと笑い、
「…………あぁ。最高に解りやすい説明だ」
- Re: レベル能力者 ( No.4 )
- 日時: 2011/06/05 15:20
- 名前: 比奈 (ID: KNtP0BV.)
@
「おれの名前は逢原爽汰だ。能力は“電撃”。あんたは?」
その後、微妙に仲良くなった二人は暫く喋り爽汰の「あれ、あんたの名前なんていうんだ?」という疑問により、随分と遅い自己紹介が始まった。
「白色真白。能力はさっき言ったね」
「へー真白か。何歳?」
「……会って間もない人に歳を訊くの。……十七だよ」
呆れながらも一応質問には答える。
するとおぉっと感動したように顔を明るくさせ、
「おれも十七! やー初めてだ。おれと同じ歳の奴。友達はいるんだけどさ、そいつおれより十個年下なんだよなー」
苦笑いしながらぽりぽりと頭を掻く爽汰を軽く睨み、
「やめてよね、くだらない冗談は好きじゃない。キミに友達? ふざけてるの? それとも殺されたいの? ホントに奴隷にされたいの? Mなの?」
「んだよー、真白すげぇおれのこと貶してるよな。それにふざけても殺されたくも奴隷にされたくもMでもねぇよ。おれだって友達ぐらいいるさ。すっげぇ良い奴でな、戦闘能力も高いんだ。それで、」
凄く嬉しそうに語る爽汰は輝いていた。
だが俺は別に大して興味もないので聞くふりをして、考え事に耽ることにした。
(なんで俺こんな馬鹿と喋ってんの? ……コイツ、どうしようか。馬鹿だし、適当なこと言って逃げようかな。……俺は、こんなところで愛想笑いを振り撒いてる時間なんてないんだ。一刻も早く————“探さなきゃ”いけないんだ)
「ねぇ、悪いけど俺はちょっとこれから用事があって、」
まだ俺が話をしている最中の、そのときだった。
ドガァンッ!!
突如、凄まじい大爆発音が鳴り響いた。
- Re: レベル能力者 ( No.6 )
- 日時: 2011/06/05 14:54
- 名前: 比奈 (ID: KNtP0BV.)
主人公@
白色 真白 masiro siroiro
自暴自棄な少年。常にポーカーフェイスでいて、冷静。
レベル∞で、能力は“痛みの反射”。
偽善者とペテン師が嫌いで、見ると虫酸が走る。
一人称:俺 三人称:キミ
サンフルボイス
「俺はレベル∞だけど、それでも戦うなんて正気の沙汰じゃないよ」
「馬鹿なの? アホなの? 死ぬの? 死ねば?」
「おいで。全員殺ってあげるから」
- Re: レベル能力者 ( No.7 )
- 日時: 2011/06/05 18:59
- 名前: 比奈 (ID: KNtP0BV.)
咄嗟に耳を抑え、隣にいる爽汰に目でなにがあったの、と問いかける。
爽汰も煩そうに顔を歪め、判らないというふうに首を横に振った。
(今……なにが起こったわけ?)
チ、と聞こえないぐらいの小さい音で舌打ちする。
「っ真白、アレ、……」
がくがくと俺の肩を揺さぶり、指で俺の後ろを指す。
その指の方を見ると、そこにはまるで今の今まで戦争があったような風景が広がっていた。
高層のビルは倒れ、草木は散りになり、人が血みどろになって転がっていて、なにより————炎が燃えたぎっていた。
パチパチどころの問題ではなく、ボアボアという表現が合っているという、そのぐらい激しい炎だ。
ただ森を放火し、人を殺しただけ、というわけではなさそうだ。
放火ぐらいじゃこんなに酷い状態にはならない。
「地獄絵図って感……なんでキミは震えてんの」
見ると隣で爽汰がぷるぷると震えている。
爽汰は恐怖と驚きが混じったような表情で、
「……真白は、あんなに人が死んでるのが見てどう思うんだよ? なにも、感じないのか?」
うん、と首を縦に振ると軽蔑の混じった視線を向けられた。
そんなこと構わずに俺は話し始める。
「この世界はもう、というかこの国は崩壊寸前で、争い事ばかり起きているんだ。キミだってどんな形であれ人を殺めたことぐらいあるでしょ」
爽汰は重々しくもこくりと頷いた。
「人間は呼吸をするだろ。呼吸をするのは珍しいこと? テレビで人間が呼吸をしました、なんてニュースを見たことがある? やってないよね。それはなんで?」
その問いに爽汰は答えずに、次俺から紡ぎだされる言葉を待っていた。
「答えは“それが当たり前のこと”だからだよ。当たり前のことなんだ。————争い事なんてもう、当たり前なんだよ」
シィン、と。
長い沈黙が辺りを支配する。
聞こえるのは相変わらず燃えている炎の音だけ。
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