ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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異世界少年。-届いた叫び-
日時: 2011/06/24 21:39
名前: くっきー (ID: st6mEGje)

嫉妬、憎しみ、劣悪感。
そんなもん抱いて何が楽しいんだか。
さっぱり分からない。
心の中にそんなもんしまい込んでるから、
足下すくわれて悪魔に心を食われるんだよ。

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目次

登場人物紹介 >>001
プロローグ  >>002
第一話    >>003
第二話    >>004
第三話    >>005
第四話    >>006

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Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.5 )
日時: 2011/06/23 21:25
名前: くっきー (ID: G2ENsTvw)

第三話 「別人」

ギュッと目を瞑っていた羅羽は震える手で胸の心臓あたりを触った。
・・・・あれ?
突き刺さっているはずのナイフがない。痛みも感じない。
ってことはあたし、生きてる!?じゃあさっきの血は——!?
羅羽は目を開け、目の前で起きていた出来事に驚いた。

「え・・・ッ」

口から驚きの声が出る。
目の前には、男の子が羅羽に突き刺そうとしたナイフを素手で握っている銀髪の少年がいた。
背をこちらに向けているため顔は見えないが、その少年の手、右手は真っ赤だ。血で染まっている。
どういうこと・・?
羅羽は手で口を押さえ、その場にヘナヘナと座り込んだ。

「ったく・・・・」

舌打ちに近い声で少年は呟いた。
聞き覚えのある声。この人知ってる。だけど・・誰だったっけ・・・・?

「邪魔、どけ。殺す」

男の子の口から出た声はしわがれた老人みたいな声だった。キッと男の子は少年と羅羽を睨み付ける。
その迫力に羅羽の体が硬直した。
恐怖で動けない。怖い。怖い怖い怖いよ!!
少年はナイフを握ったまま奪い取るように手を振り切った。
血が飛び散り、少年が着ている白いブラウスに赤い斑点をつくった。
男の子が後方へ跳躍し、少年との距離をつくる。

「あーぁ・・・・。これで二回目だ」

ため息混じりの声で少年が言った。
そのまま少年は何事も無かったかのように少年に歩み寄る。

「やめろ・・・・来るな・・・・」

そう男の子が言いながら、一歩二歩と後ずさる。
少年と男の子の距離が手を伸ばせば届く距離になったとき、少年は足を止めた。

「うわあああああ!!!」

男の子が狂ったようにナイフを大きく少年に向かって振り落とそうとした。

「危ない!!」

羅羽が叫び、立ち上がろうと手を地面につく。
だが少年は素早くナイフを持っている男の子の手首を掴み、ぐいっと地面の方に引き寄せる。
男の子の顔が地面に向けられたが、男の子はそのまま顔を上にあげ、少年を睨み付ける。
その時少年の片方の何もしていない手首に黒いリストバンドが見えた。

あ・・・れっ・・?あのリストバンドって、まさか・・!?

「はい、サヨナラ。よい子はもう寝る時間だぜ」

そっと少年は囁くように言うと、リストバンドを付けている方の腕、右手で男の子の頭を指ではじく。
そのとたん、男の子はドサリと倒れ込みそうになった。
男の子の手首を放し、少年は倒れ込みそうになった男の子を支える。

な・・・何。何だったの、今の・・・・。

数秒の沈黙の後、男の子の体の上に黒い林檎みたいなモノが浮かびあがる。
少年はそれをつかみ取ると、はあとため息をついた。

「・・・・ッ、痛ッ」

少年が右手を押さえる。しかしもう、真っ赤では無かった。血が消えていたのだ。
あんなに流血していたのに?どうして・・・・。
ああもう駄目、このまま倒れ込みそう。
羅羽は声を振り絞り、少年に問いかける。

「冷木・・?冷木なの?」

少年は無言のまま、くるりとこちらを向いた。銀髪が月の光で輝く。その髪とは正反対に、少年の目・・血のような深紅をした目は、鋭い光を放っていた。
                      To Be Cohtihued....

Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.6 )
日時: 2011/06/24 21:41
名前: くっきー (ID: st6mEGje)

第四話 「突きつけられたナイフ」

「・・・そうだけど?」

羅羽の問いかけに少年——離兎は返事をした。
そして羅羽の方へ近づくと、男の子を地面に横にさせ、握っていたナイフを取った。
男の子はすやすやと眠っている。

「ね・・ねえ冷木、これどういう状————」

羅羽が言い終わる前に離兎がナイフを羅羽の首筋においた。
少しでも動けば首が切れてしまう。
えっ、えっ、これどういうこと?!
羅羽はそのまま離兎の顔を見る。表情は・・冷たかった。

「動くな」

冷たい声で離兎が言った。
見たもの全てを凍らせてしまいそうな目つきで離兎は羅羽を見る。

「動いたら首、切れるぞ。俺はあんたを殺すことだってできる」

ナイフが少し動いた。
羅羽は大きく息を吐き、真剣な表情で離兎を見た。

「殺したって良いよ。でもあたしは冷木に何もする気はないから」

冷静さを取り戻したつもりだったが、声が震えていた。手も震えている。
「殺したって良いよ」そう言ったものの、やっぱり怖い。泣きそうになるのを必死でこらえた。

「何で俺が「冷木」だって分かった?」

何であんたの声はそんなに冷たいの?
そう言おうと思ったけど、質問返しにするのはやめておいたほうが良さそうだ。

「・・・・まず服装。あんたそれ、制服のままでしょ?」
「・・・」

無言の離兎に羅羽は続けた。

「あと口調とか目つきとか・・・そんな感じ?あぁ、直感だけど」

言い終わってから離兎を見ると・・・あぁ、やっぱりそうですか。呆れ顔だった。

「馬鹿か、あんたは」

ボソリと離兎が呟く。
「馬鹿で結構」と羅羽は小声で呟いた。

「あと一つ、あんた・・・」
「何?」

また鋭い質問が来るとか?身構えておこう、うん。

「あんたの名前は?」

・・・・何それ。そんなこと聞くの?すっごい簡単な質問じゃん。身構えて損した。笑えちゃう。

「あたしの名前は———・・」

・・・あ・・れ?
言葉がつまる。出てこない。確かに名前はある。あるよ、あるんだけど・・・出てこない。
何これ。駄目だ、出てこい、あたしの名前!!

羅羽は離兎を困ったように笑いながら見た。

「名前・・・何だったっけ——・・・?」
                       To Be Cohtihued....

Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.7 )
日時: 2011/06/28 20:50
名前: くっきー (ID: .pUHQCO0)

第五話 「自分の名前」


あれ?あれれっ?どうしよう分からない。名前?何だったっけ。
頭の中が真っ白。記憶の糸がからまっている。ほどけない。ほどこうとするともっとからまってしまう。

「分からないのか?」

離兎の表情が険しくなる。

「分からないというより・・・思い出せない」

あたしは少し悲しくなった。自分の名前の記憶だけ抜け落ちている。
でもそのかわり、ここがどこか少し分かった気がした。
ここがどこで、目の前にいる冷木が・・・・離兎が何でここにいるのかも。

「・・・そうか」

フッと離兎が笑う。
そしてナイフが首筋から離れた。
危ない危ない・・・怖かった・・・。
体中の力が抜ける。

「じゃああんたも二重か」

・・・へっ?二重?何て言った?

「二重?何それ美味しいの?」

あたしが聞き返す。はい、恒例のボケですね。
離兎はあたしの目の前にしゃがみ込んであたしの顔をじっと見た。

「な・・・何?」

ちょっとヒキ気味であたしは言った。
何見てんの。どしたの?!
あぁ、そういえば離兎の髪、銀色だ。ん?でも学校だと黒髪だったよね?何で?でも綺麗。深紅の目はちょっと怖いけどね。今まで存在感薄かったけど、今見るとそうでもなさそうだ。

「何て呼べばいい?」

あたしが離兎に問いかける。

「・・・は?いきなりなんだよ」
「いやだから。何て呼べばいいわけ?苗字だと何か嫌だし・・」

一瞬の沈黙。・・・何故苗字だと嫌かはあたしにも分からないけど・・って、さっきからこればっか。

「いいよ、好きに呼べば?」
「それだと困る。あたしネーミングセンス悪いから」

離兎の答えをあたしは却下した。はあと離兎がため息をつく。

「・・・呼び捨てでいい。俺元々名前ないから」
「へ?うん、分かった。じゃあ離兎で」

「名前がない」ってところに引っかかったけど。まーいっか!あたしってやっぱ天然?
あたしはニッと笑ってみせた。離兎も呆れ顔で少し微笑むと、真剣な表情であたしを見て言った。

「いいか、あんたの中には「もう一人のあんた」の記憶がある。あんたはここに来て少し思い出そうとしてるんだ。だから名前も分からない。それをあんたに自覚させることも出来るけど・・・そうしたらあんたは二度と普通の生活には戻れない。どうする?今ならまだ何も知らないから、今起きたことを全て忘れて、元の世界に戻ることも出来る。決めるのはあんただ」

いきなりそんなこと言われても困るしっ!
でもあたしはキッパリと返事をした。

「いいよ、知らないよりも知って苦しんだほうがいい」
「そう言うと思った」

離兎が人差し指を動かし、あたしの額の前で止めた。

「後悔しても知らないからな」
「分かってる」

覚悟はとっくのとうに出来てる。

「じゃあ行くぞ・・・羅羽」

離兎の指が額に触れる。
時が——止まったように感じた。
                       To Be Cohtihued....
                 
                         

Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.8 )
日時: 2011/06/28 21:18
名前: 綾 (ID: EISW2Oxw)

いい作品ですね!!
続きが気になります!頑張って下さい。私も「呪死」という作品を作っているので良かったら見てください!

Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.9 )
日時: 2011/07/08 21:57
名前: くっきー (ID: OKWmWpv7)

綾さん>>>
コメントありがとうございます。
いい作品だなんてとんでもない(笑
励ましの言葉を貰えると私もやる気が出ます(`・ω・)b
はい、是非見させてもらいます^^
コメントありがとうございました。


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