ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- コランダムの空
- 日時: 2011/07/19 08:54
- 名前: 宇宙 (ID: xETOa9mj)
どーも、宇宙(そら)です。
駄文ですが読んでいただけるとうれしいです。
でわ、登場人物を紹介しようとおもいます。
木霊 青葉 こだま あおば
真守 海稀 まかみ みき
夏目 咲夜 なつめ さくや
綾村 要 あやむら かなめ
桜庭 一樹 さくらば かずき
野々村 夏希 ののむら なつき
春間 厳臣 はるま たかおみ
須賀 歩夢 すが あゆむ
葉沢 結祈 はざわ ゆき
〜本編〜
>>0〜 勇者の朝
〜番外篇〜
>>6 真守海稀の苦痛(あくむ) 【SS】
>>9 葉沢結祈、その後 【SS】←ネタばれ含みます。
>>10 桜庭一樹の祈り 【SS】←ネタばれ含みます。
〜 『コランダムの空』本編スタート 〜
勇者の朝
冥王(めいおう)100年 西暦2700年、コランダム星は冥界の者たちに支配され死の星と化すと予言がなされた。
現在人々は冥士(めいし。死者のこと)たちのもとにひれふしている。
希望のなくなったコランダムに現れた勇者(かれ)は一すじの光だった。
彼の名は木霊青葉、22歳という若さで異次元に生きる天才。勇者となるまでの彼は自らの気配をひそめ、ひっそりと生活をしていた。
つづく。
- Re: コランダムの空 ( No.1 )
- 日時: 2011/06/25 13:44
- 名前: 宇宙 (ID: WkxsA0sZ)
ジリリリリリリリリリリリリリリ。
目覚し時計が大音量で7時を告げた。俺はまくらもとの目覚ましに手をのばす。体が宙に浮くのを感じ、しまったと思うがもうおそい。俺は床にたたきつけられた。
「いってェ……」
腰をさすりながら起きあがると、ケータイにメール受信のランプが点滅していることに気づいた。
急いでフォルダをひらくと差出人は真守海稀。
『おは〜!!
あおおきてる?って起きてるわけないよね〜、6時だもんね〜。
話したいことがあるからさ〜、8時に「クリスタル」にきてくんない?
俺のおごりだから、ね?
はやく調べないとヤバいよ!!』
朝6時に送られてきたメールがキラッキラのデコメで、俺は完全に目が覚めた。
つづく
- Re: コランダムの空 ( No.2 )
- 日時: 2011/06/26 15:14
- 名前: 宇宙 ◆Rc6Rcb4vBU (ID: WkxsA0sZ)
アイツ何時に起きてんだよ、と思いつつワックスでいつものヘアスタイルに整える。
時計を見ると約束の時間まではあと50分しかない。俺は急いで着替えて駅へと向かった。
バスが行ってしまった後だったので全力でチャリをとばす。ギリギリで電車に飛び乗り、俺は安心した。
実は俺の家は片田舎ヶ丘村にある。この村は1日にバスが2本しか通らない。しかも一番近い駅まではチャリで最低でも40分はかかる。
電車にゆられること9分、中央街(セントラルシティー)についた。
「クリスタル」は駅の前なのでそのまま店内に入り、22号室のトビラをあける。
ノリのいい曲が大音量で響いてきた。人気No、1の女性ロックバンド「女神」の「希望」だ。
「おい、みき。音でけぇよ!」
俺が言うと海稀は顔をしかめた。
「音よりもあおの声の方が大きいじゃん」
「るせぇ!」
はぁっ、とためいきをつき海稀は呆れ顔をする。俺は気に食わなかったが黙っておく。
「もう、そう細かいことにつっかかんないの。まぁあおだから仕方ないけどね」
そうかそうか、『俺だから』な。あとでかみ殺してやるか?
そんな心の声はしまっておく。
「で、話したいことってのはなんだ?くだらねぇことだったらかみ殺すぞ」
俺が言うと海稀はいきなり真剣な表情になった。こころなしか顔が青くなっている。
「じつはね、予知をしたんだよ。来年、死者たちがこの世界を侵略しにくるんだ」
どうやら顔が青くなっているのは気のせいではないらしい。海稀はふるえていた。
「そうだったな、お前は超能力者だったよな。忘れていたよ、予知をするのがこわいということも」
海稀はムリヤリ笑っているような顔を俺の方に向けた。
「もう、忘れないでよ。予知をするのって、けっこうな苦痛なんだからね」
「ああ、すまん」
俺はそう言い、海稀に抱きついてしまった。気色悪くて仕方ないのだが、俺の精神状態はけっこうやばいことになっているのでどうしようもない。
「俺、これからどうすればいいのかなぁ……。コランダムが死の星になるんだったら、苦しくて苦しくてどうしたらいいかわかんねぇよ……」
よく考えてみれば、はじめて海稀の前で弱音を吐いた気がする。
「う〜ん。それってゆっきーのことでしょ?」
海稀にはもう見破られている。
「そうだ、結祈のことだ。結祈も長くは生きられないとなると耐えられないんだ」
葉沢結祈は俺の片想いの相手である。—が、なかなか告白できずにいる。そのうち誰かに持っていかれそうだが、そうなっても文句をいえたものではない。ことあるごとに海稀がつつきにくるのもそこが理由らしい。
つづく
- Re: コランダムの空 ( No.4 )
- 日時: 2011/07/04 00:23
- 名前: 宇宙 ◆Rc6Rcb4vBU (ID: WkxsA0sZ)
つづき
↓
「まだ誰にももっていかれてないことを感謝しなよ?ゆっきーってかわいいからじきにもっていかれちゃうんじゃないの?」
それを聞き、俺の気分は沈んだ。
「——そうだよな」
もう、と海稀は呆れ顔でため息をついた。
「あおってそーゆーとこ弱いよね?空飛んでるときは強気なくせにさ」
つづく。
- Re: コランダムの空 ( No.5 )
- 日時: 2011/07/09 13:10
- 名前: 宇宙 ◆Rc6Rcb4vBU (ID: WkxsA0sZ)
そう、俺は戦闘機を振り回して空を飛んでいる。戦闘機の操縦資格をとったのは6年前、16歳のときだ。もちろん俺は空軍に所属し、幹部として働いている。実は海稀も俺と同期・同格の空軍のパイロットである。
「悪かったな、弱気で。これがはじめてなんだよ、俺は」
海稀は笑う。
「ふーん。慣れたら強気になれるとでも?いっとくけどね、俺もけっこう弱気だよ?」
「そうか、やっぱり強気になるのは大変なんだな……」
俺もつられて笑った。
「俺なんか彼女に泣かれてばっかりだから弱気でなんかいられないけど——実は、それが空で強気でいられる理由なんだよ。彼女に泣かれることが一番辛いからね」
そして海稀は言った。「ゆっきーの気持ちも考えてみなよ、あおならわかるはずだから」と。俺がその言葉の意味を理解するのはもう少し先のこととなる。
と、俺のケータイがポケットの中で心地よいリズムをきざみはじめた。
「——キミがボクにくれた初めてのプレゼント
たった少しだけの笑顔
キミがいたからボクはここにいるんだ
消えかけてたボクを救い上げたものはね
そうさキミの笑顔なの
絶対忘れることなどない
輝いていたキミの笑顔
ボクにとってのエンジェル・スマイルだから
今度はボクの番さ愛しのマイ・プリンセス
今も褪せない虹色のスマイル
ささやかな虹色のプレゼント
」
海稀は俺のケータイのメールの着信音にあわせて歌いだした。
歌がウマいヤツっていいよなぁ、と俺は海稀のことをみつめる。
「ん、なに?ってゆうかさぁ、はやくたみたち呼んで?」
海稀の顔が命令するときのそれになっているので、俺はおとなしく従った。
つづく。
>>11
にとんでください。
- Re: コランダムの空 ( No.6 )
- 日時: 2011/07/06 17:13
- 名前: 宇宙 ◆Rc6Rcb4vBU (ID: WkxsA0sZ)
〜 真守海稀の苦痛(あくむ) 〜 ※SSです。
それは突然襲ってきた。
助けて
殺さないで
お願いだから
ねえお願い
この星の人たちを
助けて
ねえお父さん
なんとかできないの?
青葉クンを
助けることはできないの?
青葉クンの大切な人を
助けることはできないの?
ねえお父さん……
美しい衣をきた少女は訊く。
無理だ
この星はもう
救えない
あとは死の星になるのみ
悲しいけれど
どうにもならない
せめて青葉クンは苦しみが少ないように
チカラを尽くそう
たとえ世界を巻き込んだとしても
お父さんと呼ばれた男は答えた。
神としてのチカラの全てを使っても世界は救えない、それが男の顔にはあった。
はやく事態に気付けなかった自分への苛立ちとともに。
それは後悔や悲しみに溶けて複雑な模様をつくっている。
それが海稀にはわかった。
自分がその親子であるかのような気持ちは苦痛をもたらすが、今はどうでもよかった。
だだ一人、木霊青葉が助かるのならば。
彼のためにならどんな殺され方をしてもいい気がした。
END
この掲示板は過去ログ化されています。