ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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九十九怪談 第一回【合わせ鏡】
日時: 2011/08/14 14:20
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

こんにちは。斑です。
更新は遅くなるときもありますが、宜しくお願いします。


——

皆さん、【九十九怪談】を知っているでしょうか。
名前の言う通り九十九の怪談をする、というものです。
ですから、【百物語】とは違うというのはお分かりですね?
最後まで語ってしまったら……一体どうなるのか。
私=先生の役を務めさせていただいているので、生徒達には危険に晒したくないものです。
ですから【九十九怪談】をやることにしたのです。
学校の体育館を借り、蝋燭の灯をともし、貴方も参加しませんか?
なんなら、見ているだけでもいいんですよ。

おっと……生徒達も準備が出来たようです。
生徒が私を呼んでいますね…では、私も行きましょう。



さあ…始めましょう【九十九怪談】を———。


>>1 仲村君
 
第一話【消えた警備員】前編>>2 後編>>3 >>2->>3

>>4大野君

第二話【合わせ鏡】>>5>>6>>7

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Re: 九十九怪談 第一回 ( No.3 )
日時: 2011/08/08 15:31
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

 第一話【消えた警備員】後編(前編→>>2)


   (多少グロテスクが入ります)


男は振り向いた。

だが、そこには誰もいなかった。ただ見えるのは暗い廊下だけ。

——あいつじゃなかったのか……。

そう思ったところで、別の考えが浮かぶ。


——では、誰だ?

体がぞくぞくする。

まだ音はしていた。


〝ガタッ…ウィーン………ゴトッ〟


男がいなくなったとはいえ、この音の正体を確かめなければ気が済まな

い。恐ろしいが——進むしかない。男は後で探そう。そして直ぐに此処

から出て行ってやる。


男はそう決意すると一歩を踏み出した。




男は知らなかった。



さっき、肩を叩かれたのが〝誰か〟からの警告だったことに。


男は見てはならないものを見てしまう事になろうとは。








それは直ぐに起きた。

男は階段の直ぐ傍まで来て顔が青ざめた。腰が抜けてしまっていた。



男が見たのは———




此処最近動かしてなかった筈の機械が動いていた。

そしてレールに流れていたのは人間の手頸。

大量に流れ出し、最後には置いてあるダンボールに落ちた。


———何なんだよ?!

頭の中に「逃げろ!!」という単語が何回も通過する。

きっと男の本能がそう言っているのだろう。

だが体が動かなかった。

例えるなら金縛りだろう。


そこでふと男の頭に、ある事がよぎった。


最初に工場に入って嗅いだ匂い。

鼻がツンツンする匂い。



あれは紛れもなく人間の血の匂いであった。


男が「嗅いだ事がある」と言ったのはこの匂いで間違いなかった。

本来、あそこで気付くべきであった。人間が立ちよって良い場所ではな

いと。戻るべきだと。

さっき、肩を何者かに叩かれたときに逃げるべきだったと。

あれが「最後の警告」であったと。


だが——男は遅かった。知ってしまった。何故、送った警備員が返って

こないのか。


おそらく、あの手頸のどれか——もしくは全部が——送られた警備員

の手頸。決してサボって帰ってこなかった訳ではなかった。

あの噂通りだ。



〝あの工場は呪われていて、入ったものは戻って来ることはない〟

最悪だ。

その時だった。

男の後の方で何かを引きずる音がした。

男は振り向いた。


そこには、鎌を持ったうつむき加減の髪の長い老婆と……老婆の左手に

は男が引きずられていた。


——「!!!!」


その男は、工場へ一緒に来た男だった。男には両手首がなかった。

おそらく大量出血で死亡している。

——男はあの鎌でやられたのか!!!


逃げなければ。

だが体が動かない。


そんな男に老婆は構わず、無残に鎌を振り落とす。


「う、うわっ……やめろォォォォォオオッ!!」




   


  ■


男二人は気づいていなかったようだが、更衣室に積み置かれた段ボール

には小指が覗かせていた。

そして——開けていた入口は閉まっていた。


  ■

男二人が戻ってこない事を気にした新たな社長は、今までの事を調べ上

げ、警察に依頼した。

「工場を捜査してくれ」と。


そして警察は工場内を調べたが、何もなかった。段ボールも。

鼻をつく匂いも。

だが、警察は念のためと二度と誰も入らないよう封鎖した。



もう少しそれが早かったら——男二人は助かっていたのかもしれない。



  ■


工場は今も動いているようだ——————



 ■完■




「これで、俺の話は終わりだよ」

仲村君は笑顔でそう言うと自分の目の前にあった蝋燭の灯を消しまし

た。

あと98話残っていますね。

さぁ、どうでしたか?

一話目は。

仲村君は語り方が上手ですね。

それに、詳しいですよね。

友達から聞いたとしても、その友達はどこで知ったのか?

仲村君が体験したような感じで語ってくれましたね。


二話目はどんな話でしょう?











Re: 九十九怪談 第一回【消えた警備員】 ( No.4 )
日時: 2011/08/09 18:46
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

仲村君の蝋燭が消え、少し暗くなったような気がしてきました。

さぁ、次は——仲村君に突っ込んでいた——

「次は大野だぞ!!」

誰かが言ってくれました。

「おおぅ。俺は爺ちゃんから聞いた話をしようかな。多分、やったこと

がある人もいると思う———」

Re: 九十九怪談 第一回【合わせ鏡】 ( No.5 )
日時: 2011/08/14 13:51
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

 
 第二話【合わせ鏡】





爺ちゃんがいた小学校では、ある事が流行っていたんだって。

「合わせ鏡」って知っているよね。

午前2時、合わせ鏡を見ると、将来の自分が見えるらしい。

爺ちゃんは夜2時に起きることが怖くてやらなかったって言ってた。

でも爺ちゃんの友達はやったんだって。「止めとけ」って言ったんだけ

どね。ほんと、爺ちゃんの言う事聞いとけばよかったのに。



 ◆


学校の授業の終わりのチャイムが鳴った。

すべての教科が終了し、給食、掃除も終え、一斉に生徒たちが昇降口に

溢れる。

そんな中、大野博(語り手の祖父)と中野貴志は教室に残っていた。

ランドセルを教室の机の上に置き、人がいない事を確認して、中野は

話し始めた。

「おい、『合わせ鏡』って知ってるよな?」

「そりゃあ、知ってるよ。何故か知らないけど急に流行ったよな」

「そういうのが流行って言うんだよ」

「そうだな……で?何なの?」

大野が聞いたところで中野がにやりと笑う。大野は嫌な予感がした。

中野は何か企んでいる時にこういう顔をする。

大野は顔をしかめた。

「まさか、それをやろうって言うんじゃ……」

「当たり。ほら、この学校の三階の奥の部屋に三面鏡が確かあったはず

だ。今日、やろうかなって思ってるんだよ。親の了解なんていらねぇよ

よ。すぐ帰って来るんだから。校門は閉まっているだろうから、登れば

いい。ちょうど、今日の2時は先生が回るから教室は開いてるよ」

よくペラペラと喋るものだ。

「俺は嫌だよ」

「は?」

今度は中野が顔をしかめた。

 

 一旦切ります

Re: 九十九怪談 第一回【合わせ鏡】 ( No.6 )
日時: 2011/08/14 13:50
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

>>5の続きです


「何でだよ?」

「……怖いじゃん。何かあったら嫌なんだよ」

大野が言い終えると、中野はこう呟いた。

「つまらない奴だな」

中野はランドセルを取って教室を出て行った。大野はその背中に向けて

言う。

「お前も止めといたほうが良いぞ!」

「うるせぇ!余計な御世話だ!」

中野は振り返らずに言うと、もうそれっきり姿は見えなくなった。


 ◆ 

中野は午前一時五十分に家から抜け出すと、学校に向かって歩き始め

た。親はもう既に寝ているから、抜け出すことは簡単だった。

中野の家から小学校までは5分で行ける。

(大野の奴……)

ちょっと心細いところもあったが、こんなのに挑戦できない奴は男じゃ

ない!

明日皆に自慢してやろう。




学校に着いた。予想通り学校の中はまだ電気がついて、おまけに校門

まで開いていた。中野は迷わず入ると昇降口に行き、中へ入った。

そして誰にも気づかれぬよう階段を上る。



そして三階——

奥に行くと『倉庫部屋』というのがあった。

中野はそっとドアノブを触る。

カチャ。

よかった。開いていた。

Re: 九十九怪談 第一回【合わせ鏡】 ( No.7 )
日時: 2011/08/14 14:21
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

 第一話【合わせ鏡】(>>6の続きです)



中野はそっと「倉庫部屋」に入ると、すぐにドアを閉めて、持ってきた
懐中電灯をポケットから取り出して辺りを照らした。
いろいろなものが置いてあった。積み上げられたダンボール、使わなくなった人体模型(何故捨てなかったのか)など、それと……三面鏡が置いてあった。
中野は三面鏡に歩み寄ると、腕時計を見た。ちょうど二時。



三面鏡を開けた。



—————んんっ?


(映んないじゃねえかよ)


そう。三つの鏡には中野の姿が映らなかった。
ほこりでも鏡に付いていたのだろうか。
鏡を触ろうとして右手をのばした。
そのときにちょうど腕時計が見えた。二時一分。

(あ〜あ、これじゃあ意味がない)

中野はため息をついて諦めると倉庫部屋を出た。
そして先生に気付かれることなく学校を出た。



◆ ◆ ◆

≪今朝二時頃、○○小学校の交差点でトラックとの交通事故がありました。被害者は小学生の男の子で頭を打って即死、トラックの運転手は居眠り運転をしていたとの事。トラックの運転手はすぐさま逮捕されました。トラックの運転手は『急に眠気が差した』と認めています。
なお、少年の手には何故か懐中電灯が握られて———≫

「可哀そうねぇ…この子」

テレビを見ながら、どこかの母親が呟く。

「でもさぁ、何で懐中電灯持ってたのかな」

隣にいた少女が母親に聞く。
母親は首を傾げながら答えた。

「『合わせ鏡』でもしてたのかねぇ?」

「合わせ鏡?」

「うん。私の時も流行ったよ。深夜二時頃に合わせ鏡をすると将来の自分が見えるって。あの男の子、わざわざ学校に行ってやったのかもよ?…映んなかったんじゃない」

「自分の姿が?」

「そう」

「そんなことないよ〜」

少女が冗談でしょ、と笑う。

「そう、冗談よ。でもね…映んなかったら将来、自分は生きていないっていう意味にもなるのよ……」



 完



◆ ◆ ◆


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