ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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怖いよね?
日時: 2011/08/12 17:24
名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: LXdRi7YQ)



初めまして、こんにちわ。
夕海ゆみです。
皆さん、よろしくお願いしますね。


——


01 / 心霊から人間の業まで色んな「怖い」が主な物語です。
02 / 短編集、オムニバスストーリーです。
03 / 荒らし、宣伝、口論、マナー違反等は一切お断りします。
04 / 皆さん、仲良くしてくださいね。


——





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Re: 怖いよね? ( No.1 )
日時: 2011/08/13 12:12
名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: LXdRi7YQ)

  #01 [雨宿り]


じわじわ、と雨水が暑いアスファルトの地面に染みだす。
真っ黒な染みが出来上がった。
今は夕立ち。ある少女が、とある学校の玄関前で雨宿りしていた。
淡いピンク色のワンピースに靴は黒くフリルのついた愛らしい靴。
白くレースのついた傘を持っている。
しかし、少女は玄関前で雨宿りをしていた。
傘を差してそのまま下校せず、じっと玄関前に立ち尽くしている。

「あーあ、大嫌いな雨だわ」

少女は郊外の小さな町。そこの議員の一人娘だった。
少女を溺愛する父親は、残念ながら今日は秘書の車で迎えに来ない。
今朝、少女に対し申し訳なさそうに告げたのを思い出す。
仕方ない、と案外この少女は父親思いの少し我儘な娘らしい。
傘を広げ、玄関を後にした。




             ■



途中で本降りになった。ただの夕立ちなのに、と苛立ちを募らせた。
雨が本格的に大雨となり、少女の体の一部をずぶ濡れにさせる。
しかし、傘を差した方が幾分マシ。
通学路の途中。神社を見つけ、逃げ込むかのように中へと入った。
雨の所為で神社の中は数人が雨宿りしている。
少女も人の集まる雨宿りに加わった。
—— 雨宿りする人の何処かが可笑しい。
次第にそう思い始める。何処かが現代と違う。
何処が違うのか。……ようやく分かった。
服装だ。雨宿りしている少女以外の人たちは戦争中の服装だったのだ。
戦争ドラマに出てくる、おかっぱ頭や女性の髷頭まげあたまなど。
男性は兵士のような帽子と格好。
少女は最初ドラマの撮影か、と思う。だけどそんな話を聞いていない。
本格的に大雨が激しく降る。少女の背筋も思考も凍らせる。
それでは、この人たちは。


「君」


初老の眼鏡をかけた男性に言われた。
少女は声のした方へ顔を上げる。

「君。もうすぐ雨が上がるから、早くお帰りなさい」
「え……?」

外を見れば、雨が少しずつ治まってきてる。

「ほら、もう上がったよ。それから君ももうすぐ逝くべき処に逝くんだ。ボクたちは里帰りだから良いけど。君はまだ審判を済ませてない。なるべくお行儀良くしなきゃ、閻魔様に怒られるからね」


—— 目の前の視界が揺らめく。

何を言っているのだ。この人たちは。
可笑しい、可笑しい、自分は生きているのに。
少女は怒りと恐怖で混じった感情が込み上げてくる。
からかわれた、と怒りでつい神社を飛び出す。
境内の階段を降り、そのまま町へと走っていってしまった。



           ■



少女が飛び出した神社。
そこに雨宿りする戦時中の格好をした人々。
男女、子供、老人。年代関係なく人々は晴れ上がった空を見上げる。
そして、少女に声をかけた初老の男性がぽつりと呟いた。

「可哀想に、今度で自縛霊になってしまうね。自分が死んだことを認めないからだなあ」




その日、ニュースでとある議員の一人娘が雨の日に事故で死んだらしい。









END

Re: 怖いよね? ( No.2 )
日時: 2011/08/14 12:39
名前: 姫更 (ID: 19CtFRjf)

おおー・・・

申し遅れましたw
姫更といいます。
私も怖い話書いてるんですけど、やはりレベルが違うような気がしてきましたww
更新頑張ってください!

Re: 怖いよね? ( No.3 )
日時: 2011/08/14 14:52
名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: LXdRi7YQ)

         姫更様


いえいえ、私よりも姫更様のほうが怖かったです!
これからも、一緒に頑張りましょうね。
私も姫更様の怖い話を見てファンになりましたw

Re: 怖いよね? ( No.4 )
日時: 2011/08/15 20:15
名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: LXdRi7YQ)

  #02 [路地裏]


今日もまたあの路地裏へ遊びに行く。
何度も何度も親に行ってはいけないと言われた場所なのだが。
理由はあの路地裏に住んでた子供が一斉に行方不明になったらしい。
それは数年前の話だが。
けれども、子供は好奇心の塊。親の言いつけを守らず、毎日あの路地裏へ行く。
理由はあの路地裏は自分の抑えきれない好奇心を刺激してくれるのだ。
何を好奇心が刺激するかと言うと、路地裏に小さな小さな神社がある。そしてその隣に祠が。
祠に祀られてるのは、お地蔵様でなく狐だった。—— そう、稲荷神。
何故お地蔵様ではなく狐なのか、の可笑しさも相まって自分は良く遊んだものだ。
何処か薄暗くしかし涼やかな気温、以外に広々とした草原みたいな草花が生い茂る場所。
薄暗いけど、時々だが暖かい日光が差し込むのだ。
そして木々たちの爽やかな風が、吹き渡る。
こんな絶好の数少ない自然がある場所を見過ごすわけがない。
自分は今日も遊びに来た。
今日はいつになく何処か陰惨な雰囲気を醸し出していた。
違和感を覚えつつ、自分は友達が出来ない暗い子供だったので一人遊びしか出来なかったのである。
いつものようにお気に入りのボールを持ち、壁に当て跳ね返るボールを跳ね返す。
それらの繰り返しをしてたところ、ある歌声が聞こえてきた。



鞠を返して、鞠を返して。
おらの手鞠を返してくんろ。
おらのおかあちゃんの形見なり。

鞠を返して、鞠を返して。
おらのおっとちゃんがくれた手鞠なり。
おらのばあちゃんが作ってくれた手鞠だべ。

鞠を返して、鞠を返して。
おらのねえちゃんがくれたさ、鞠だべ。
おらのじいちゃんがさ、あげた鞠だべよ。



東北の方言混じりの歌だった。一般的に知られてない童歌だろう。
今時こんな古臭い歌を歌う子がいたんだな、と自分は感心した。
内容の意味は鞠を返して欲しいらしい。
だが、自分が持っているのはボールで鞠でない。
それどころか、歌を歌ってる子は何故そんな歌を歌うのだろうか。
まるで自分の持ってるボールを狙っているような歌だった。
思わず、持ち前の好奇心で自分は言ってしまった。

「だ、……誰?」

しかし、辺りを見回しても、誰もいない。
ただ、神社へと続く階段の先が薄暗いくらいなものだ。
とうとう、自分は怖くなった。
慌てて壁の端に転がったボールを持ち上げ、逃げるように走り去った。
その間にあの歌声が背後で聞こえたような気がした。
それから、自分はあの日以来あの路地裏に行かなくなった。
親が不審がり、事情を聞いたので自分があの歌のことを話した。
しかし、親はパソコンでその童歌を調べても、出て来なかったという。
では、あの童歌は何なのか。
それで、あの童歌を歌った子は誰なのか。
老人なら、まだしも、自分はたしかに聞いた。
幼い女児が歌った声だった、と。
その数年後、ある小さな事件が新聞の片隅に載った。


——— 江戸時代と思しき女児の白骨化死体と、
何故か現代の行方不明の子供たちの死体が一緒に見つかったという







END


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