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赤頭巾は今日も戦う(オリジナル小説)
日時: 2011/10/23 20:01
名前: 星空咲耶 (ID: XLYzVf2W)

バンッ…。ドカッ…。ズドーンッ…。
森に轟く爆発音。
その騒ぎの中心には、一人の少女がいる。
名を、『ナクリ』と言う。
その小さい体には吊り合わない、大きな赤い頭巾を被っている。
音が止む。
彼女の回りにいたものたちは、もう居ない。
「451…」
数を数え、ほっと一息。
そう、彼女は…赤頭巾をつぎしもの。

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Re: 赤頭巾は今日も戦う No1 ( No.1 )
日時: 2011/10/23 21:21
名前: 星空咲耶 (ID: XLYzVf2W)

「疲れた…」
頭が痛い。
今日は、力を使い過ぎたらしい。

ポタ。

涙が頬をつたって落ちる。
もう止めたい…。
戦った後に、よく思う。
『おおかみ』なんかと戦わず、普通の人と同じ用に生きる事が出来たなら…。
あるわけ無いけど。
だって、私は、赤頭巾をつぐものだから…。
人とは、違う時間で生きているから…。
それに……私の手は『おおかみ』達の血で汚れているから…。


あり得ない。わかってる。
わかってる……けど、だけど…もし、私は、赤頭巾をつぐものじゃなくて、普通の人達の間に生まれた子供だったら…。
考えれば、考えるほど苦しくなっていくのに…止められない。


どうしようもない負の連鎖。
考えたくないと思うほど、考えてしまう。


戦いの後は、感情が表に出てくる。
その事を見せつけるかのように、涙があふれでる。


泣きたく何か無いと強がっても、まるで「嘘つき」とでも言うかのように…。

Re: 赤頭巾は今日も戦う ( No.2 )
日時: 2011/10/23 23:01
名前: 星空咲耶 (ID: XLYzVf2W)

「いけないっ!」
やってしまった。
銃の弾、残り少ないの忘れてた…。
「町まで行かなくちゃ…」
町かぁ。3週間前に行ってから、行って無いや。
パン屋のおばさまは元気かしら?
行って見ようかな…。
どうしようかなぁ。


カラン、コロン。
「ありがとうございました」
ラッキー♪
今日は銃の弾が安く買えた。
やっぱり、おばさまの所行こうかな。時間もあるし…。


カラン。
「いらっしゃいませ……!!!ナクリちゃんじゃない!どう?元気にしてた?」
ニコニコニコ。
すごい笑顔。
おばさまが笑うと、つられて笑っちゃいそうになる。
「こんにちは、おばさま!」
本当に不思議。さっきまであんなに悲しかったのが嘘のよう。
「また…来ちゃいました」
それから、少し話してお店を出る。
「…また、こっちによる事があったら何時でもいらっしゃい」
別れ際にそう言われた。
「はい、ではその時まで…さようなら」
嬉しい。
おばさまと話しをしていると、それだけで元気になれる。
あの時出会えて、本当に良かった。


おばさまとの出会いは、教会。
人と違う事が悲しくて泣いていた時、ちょうどおばさまが入ってきた。
その時も、おばさまとたくさん話した。
あの時は不思議だった。
何故、こんなに元気が出るのか。
でも、今はわかる。
おばさまは私を、一人の人間として扱ってくれたから。
それだけだけど、それ以外の理由もあるだろうけど…でも、それが嬉しかった。
これが幸せ。
今でも思う。おばさまと出会う事が出来て、良かったと心から思う。



おばさまの家が遠ざかる。
寂しいなぁ。
寂しい…。


でも、しょうがない事、だから…ね。
頑張ろう。





それは、町の外れに来た時だった。
…ゥオーン。
『おおかみ』が出た!?
場所は…ま、町の方?
「おばさま!!!」

Re: 赤頭巾は今日も戦う ( No.3 )
日時: 2011/10/23 23:54
名前: 星空咲耶 (ID: XLYzVf2W)

走る。ただひたすら『おおかみ』のいる方に向かって。
お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。お願いします。


着いた時は、酷い有り様だった。
家は壊れ、木はほとんど倒れていた。


「おばさま…」
どこ?
どこ?
どこにいるの?


パン屋に辿り着いた時はもう、手遅れだった。
目を見開いた状態で倒れていた。


その後、どうしたのか覚えていない。
わかる事は、血まみれになった私がいて、おばさまが目の前に横たわっている事だけ。
『おおかみ』は倒したようだった。





少女は笑う。
楽しそうに笑う。
「もういない」「もう何処にもいないんだ」と繰り返す。
その少女の名を、『ナクリ』と言う。
狂ったように泣きながら、同じ事を繰り返す。
「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」「笑って」…


彼女は受け入れたくなかった。
自分の周りで、大事な人が死んでしまうのが、6度目だということを…。
そう、自分が『赤頭巾』→『不幸を呼び込む者』だという事を…。



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