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そして僕は、恋をする。 〜哀しい恋の物語〜【完】
日時: 2011/11/13 23:57
名前: 刹那 (ID: 7cAswSvJ)

禁断の恋とは、どんな物だろうか。

親との恋。

兄妹との恋。

..................先生との恋。




届かないとわかっている。

でも、好きで、好きで、好きで...........................



中学3年生の春。

僕は先生に恋をする。



>>1 プロローグ

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Re: そして僕は、恋をする。 〜哀しい恋の物語〜 ( No.6 )
日時: 2011/11/13 15:52
名前: 刹那 (ID: 7cAswSvJ)

「先生」

今日も保健室に逃げ込む。

理由は、先生に会いたいからじゃなくて..................



「テスト、18点だった」


そう言うと、先生はいつも苦笑する。


「........バカだね」

「知ってる」



この会話が、好きだった。


なんでもない会話、

普通の会話。


愛なんていらない。

先生がいてくれればよかったのに。



「私、寿退社するの」



先生の場合、退社と言う言い方が合っているのか.............

そんな事は、今はどうでも良かった。




その言葉が、何を表しているか.........



「前も言ったけど、私結婚するんだ。結婚式には来てね.........................







友達として」




それが、とどめの言葉。


僕は、何も言えなかった。

Re: そして僕は、恋をする。 〜哀しい恋の物語〜 ( No.7 )
日時: 2011/11/13 22:54
名前: 刹那 (ID: 7cAswSvJ)

「..............オイオイ............嘘だろ」


「嘘じゃねーよ」


「........だってさ、だってさ...............」

「女みたいな声出すなよ、立岩」


立岩陸也............あだ名はりっくん。

コロコロとした体系の割に、甲高い声を出す。


...........ウザイけど憎めない奴。


「先生が辞めるなんてぇ.................」


「誰にも言うなよ」


わかった.....と言って、立岩がケータイを取り出す。



「だ・れ・に・も・い・う・な・よ」


「...........わかってるよ。それよりさぁ、お前は先生の事諦めたの?」




「............うん」



「..........まぁ、愛とか恋とか知らないけど...........」




ウインクをして、立岩が言う。



「自分に正直になれよ」




「....................」






たまには、コイツも良い事言うな。







「りょーかい」


Re: そして僕は、恋をする。 〜哀しい恋の物語〜 ( No.8 )
日時: 2011/11/13 23:11
名前: 刹那 (ID: 7cAswSvJ)

次の日—————————


予想通り、先生が辞めると言う話が広がっていた。


「..........言うなって言っただろ」

「事実だろ?」


..............コイツに話した、俺がバカだった。



「.......今日、朝会がある」


「..................」


「その時、先生が学校辞める事話す」


「..............」


「それをお前が止める」


「はぁ?」


.........何言ってんだ。


「ムリだよ!絶対ムリだって!!」



「皆の為だぞ。あと................お前の為」


「俺の為..........?」


「そ。じゃあ、皆のヒーローだぞ、お前は」


............


「後悔するのか?」



後悔なんか.................











「..........後悔なんかするもんか」




「...........応援してるぞ」



うん。


頑張ってみるよ。


自分の為に。

後悔しないために。

先生を止めて、告白してみる。


失敗するかもしれない。


いや...........失敗するだろうけど、



後悔しないように。




「やっぱり、お前は男だな。やる時はやる」







「知ってる」



Re: そして僕は、恋をする。 〜哀しい恋の物語〜 ( No.9 )
日時: 2011/11/13 23:29
名前: 刹那 (ID: 7cAswSvJ)

走る、走る。

ただ、ひたすら前を向き走る。

何に向かっているかわからない。

幸せか。

はたまた不幸か。


何が待っているかわからない。


でも、ただ走る。



青春の一ページに、

僕の心の一ページに、


思い出として


恋と言う名の物語を書き加える。



失敗を恐れずに

何も考えずに



「好き」


この一言を言うために、


ただ、それだけの事に


命を賭けられる自信がある。



それだけ、先生の事が大好きだから。






「ハァ......ハァ.......先生...........」


荷物を片付ける先生が、目に飛び込んだ。


「どうしたの?」




「..好きです」


「何て?」



「......行かないでください」


「どうして?」

苦笑しながら、バカにしたように言う先生。


「どうしてって...........」



..しまった。

考えていた台詞は、ここまでだ。

あっさり振られることを予想していたのに。


..まさかココまで、鈍感だったとは。



「先生の事好きだからですよ?」


「誰が?」


「.......皆が」


「ちがうでしょ









僕が......でしょ」



「....そうですね」



「他に言うことは?」



台詞はここまでだよ。

振るんですよね?

年の差とか、そんなのじゃなくて、

生徒と教師と言う立場自体が、駄目なんですよね。


「じゃー..........私行くね」



「.......はい」







そして、僕の恋は幕を閉じた。

Re: そして僕は、恋をする。 〜哀しい恋の物語〜 ( No.10 )
日時: 2011/11/13 23:56
名前: 刹那 (ID: 7cAswSvJ)

2012年8月3日————————



「今日でこの学校も、バイバイかぁ」


懐かしく思う。

それは、儚く短い3年間だった。

その3年間の間、ずっと片思いをしていた相手————


「こんにちわ」


懐かしい声がした。

振り返る僕。



「久しぶり」



大好きな人がいた。


何年も何年も思い続けた人。





「先生..................」





「待ってたよ」


「え?」



「結婚するなんて嘘。だって、好きな人いるんだもん」


「.........僕ですか?」


「あたり」




「偶然ですね。僕も、好きな人いるんですよ」




「誰?」





「『藤本結衣』さんって人」








いつか、本気で愛したいと思った。

愛されなくても良い。

先生が側にいるだけで良い。



先生と生徒と言う立場じゃなくて、


ごく普通の恋。




その夢が、今叶う。











「結衣さん。僕と結婚してください」



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