ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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戦いの都
日時: 2011/11/07 23:31
名前: レッドラム (ID: 1qauGher)

みなさん、はじめまして。
以前、「エキストリーム・エキセキューション」という小説をこのサイトで投稿していましたレッドラム(林 大介)です。

今回、また新しい小説出来ましたので投稿します。

これからお世話になりますので、よろしくお願いします。

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Re: 戦いの都 ( No.1 )
日時: 2011/11/07 23:45
名前: レッドラム (ID: 1qauGher)

第1章 戦いの始まり

「私が死ねばよかった...」

妻の一言で、俺は夢から覚めた。

眠気眼で目の周りを見渡すと、いろいろな種類のお酒の空瓶。
その辺に散らかった過去の書類。
空気も淀んで、埃が舞っている。

それにしても頭がズキズキする。
そうか...昨日もまた飲んで、ここでそのまま眠ったのか...
いつものことだが...今日の頭痛はひどい。

カーテンの隙間からさわやかな光が差し込んでいた。
朝を感じると、どうも憂鬱だ。
なぜなら、毎日同じ最悪の夢を見て、覚めたら最悪の光景。
一時期の栄光はどこへやら...
まさにここは豚小屋同然だった。

ちなみに紹介しよう。
ここは法律事務所である。

Re: 戦いの都 ( No.2 )
日時: 2011/11/08 17:56
名前: レッドラム (ID: 1qauGher)

俺の名前は武呂 俊介(ムロ シュンスケ)。
元国際弁護士で日本とアメリカの弁護士ライセンスを取得している。
現在は色々あって、新宿の片隅で小さな法律事務所を経営している。
主に財務や借金相談及び仲介などをしているが、ご覧の有様。
客はゼロ。冷やかしさえも来ない散々な経営状態だ。

まぁ、しかしその原因は俺自身にある。
それは分かっている。ようするにやる気がないのだ。
毎日が空虚で、だらだらした日々を送っている。
それに嫌気が差すから、酒を浴びて忘れる事にする。
そして寝る。
その繰り返しだ。

今じゃー、ブログやツイッターなんか使って客を呼び込むことだって出来る。友人のコネを利用して、大物著名人に安く宣伝してもらうことも出来る。メディア界にも知人がいるから、何なら自ら番組に出演して会社のアピールなんてのも一つの手だ。

しかし、俺はやらない。
現在の状況を打破する解決策が分かっていても、一歩を踏み出さない。
それは過去を打破する解決策が分からないから。

どうしようもない闇に飲まれ、自分で自分を傷つけ、そして開き直る愚かな所業。頭では理解しながらも、行動で表せない矛盾。
過去...過去...過去...この言葉が俺を苦しめる。

過去...過去...過去...
チーーーーーン!!

「私が死ねば良かった...」





「うぉー!!!」
夢から覚めた。また妻の声で起こされた。
額と背中からは大量の汗が流れ出ていた。
気を落ち着かせるために、目の前の飲みかけのバーボンに手を出す。

その瞬間、ギギィーと事務所のドアが開く。





Re: 戦いの都 ( No.3 )
日時: 2011/11/09 23:48
名前: レッドラム (ID: 1qauGher)

ゆっくりと事務所のドアが開いた。
そこに現れたのは長身の黒スーツを着た男たち。
5人以上はいる。
一斉に中に入り、俺が座っていた椅子を囲む。

「武呂俊介さんですね?」
その男たちは俺に話しかける。

さっきまで強烈な夢を見ていた俺にとって、この状況がよくわからなかった。しかし、数十秒で現状を把握した。
おそらく、こいつらは客でも冷やかしでもない。

「なっ、なんなんですか?あっあなたたちは?」
俺は恐る恐る尋ねた。
すると、数人の黒服男の一人が突然俺の胸倉を思いっきり掴んで言った。

「ややこしい。質問を質問で返すな。まずは、我々の質問に答えてもらおう。武呂俊介はあなたですか?」

俺はその冷たい視線を凝視したまま、震える口調で

「そっそうだ。」
と、一言答えた。

男は胸倉から手を離し、一息置いて話を始めた。
「我々はある人の命を受けてここを尋ねた。今からそのある人が待っている所へ行く。武呂さん、ご同行をお願いします。」

「はぁ?」
俺はまるで理解できず困惑するが、再びその男に思いっきり胸倉を掴まれ

「同行してもらう。」
その一言によって、俺は強制的に連れ出され事務所前に止めてあった黒光のクラウンの後部座席に乗せられた。

まるで拉致。俺は今何者か分からない者達によって拉致されている。
数分前までは夢の中にいたが、今置かれている自分の状況がまさに夢のように感じる。
別に所謂闇の人間たちに世話になったことはない。借金もしてない。恨みをかわれるようなことは...あるような、ないような、とにかく車内で過去の自分の行いをおさらいする。

しかし、見つからない。こんな得体の知れない男たちに拉致される理由が見つからない。
唯一、過去を振り返るとしたら...妻のこと...

そうこう考えていると、突然急ブレーキをかける。
思いっきり前のめりなり助手席に頭がぶつける。

「いってー」
自分の頭をさする。

「すみません。猫が飛び出して。」
男は再び運転を始める。


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