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人喰い鬼の食事
日時: 2011/11/27 22:13
名前: 相川 バンビ (ID: 7XxjGZ78)





鬼の恋愛の話です。




*

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Re: 人喰い鬼の食事 ( No.1 )
日時: 2011/11/30 22:31
名前: 相川 バンビ (ID: 7XxjGZ78)

人喰い鬼の食事
序章




——我らは人間を喰らう。


ずっと頭の中にある、お父様の言葉。


——我らは我らの間だけで……


愛し合えば良い。
ああ、でも、でも、でも!!

人間を愛しちゃったら?




愛したら。
*

Re: 人喰い鬼の食事 ( No.2 )
日時: 2011/12/03 13:06
名前: 相川 バンビ (ID: 7XxjGZ78)

第一章 鬼とご馳走




「……ぷはぁ〜」


あごに滴った血を手で拭いたら、思わず声が出た。
だって人間ってとても美味しいんですもの。
そこらへんの小動物とは比べ物にならないわ!


綺麗な月が浮かんでる綺麗な夜。
そばには木と、そして冷たくなった人間の体。
後ろの藪にはなにかの気配。……危なくはない。


「なあ、成。お前のその趣味なんとかしろよ」
「あなただって可愛らしい娘や綺麗な娘ばっかり」
「おっさんよりいいだろ……」


辰の言葉は無視して、と。


「あ、なんでここに来たの?」
「……ああ! 忘れてた。近くに寄ったらお前の匂いと、アイツの匂いがしたんだよ」


"アイツ"の所で辰が顔をゆがめる。
なるほど。
だからわざわざここに来たのね。


「で、それは私たちの方に今向かってるの?」
「ああ。でも遠いからまだ平気だろ。一応な」
「それならさっさと行きましょう。狩られないうちにね」
「……そうだな」


最近、私たちを狩る人間がたくさん出てくるようになった。
ほとんどが"にわか"なんだけど、祖父の時代から出てきた奴らは危ない。
にわかか、危険かは匂いでわかる。
すうっと思い切り息を吸う。
——微かに、香りがした。
私はこれくらいしか分からないのだけれど、辰は鼻がいいから分かる。


「! おい、今すぐ隠れろ」
「えっ!? どうして?」
「アイツ、俺たちに気付いて走ってきやがった!」
「遠いんじゃなかったの!?」
「アイツの鼻は俺らよりすこーし弱いだけなんだよ! 俺らの匂いも覚えてる厄介者だ」


あわてて藪の中に入る。
辰の言う"アイツ"は、ありえないくらい足が速い。
そして耳もいいから、今逃げても逆に見つかる。


「息をとめろ」


言われたとおり、息をとめる。
耳をすますと、軽やかな足音が聞こえた。
自分の心臓の音も聞こえた。
ねえ辰、これはどうしよう?
あの微かな甘い香りを嗅いだときから、うるさいくらいになっている私の心臓は。


*


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