ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ゴミと生きてやるさ、勿論。
- 日時: 2011/12/13 15:28
- 名前: 塵 (ID: yAL.k7HO)
物心がついた頃から
このゴミだめの町にいた
毎日毎日誰かが死んで行く
イカれた町だ
俺達ゴミ同然の人間は、毎日毎日
ゴミの中から珍しい物を探し出し、売って
そのはした金で生計を立てる
当然そのはした金を奪い合う事なんて日常茶飯事だ
何年も生きていりゃ
ここの臭いなんてもう何も感じなくなる
貴族とか?金持ちとか?俺には知ったこっちゃねぇ
ただ必死に生きてるだけだ
一日一日をビクビクしながら
この町を出ようと何回も考えた
だが出てどうなる?
ハッ、知らない世界に飛び込むぐらいなら
ゴミと生きてやるさ、勿論。
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- Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.4 )
- 日時: 2011/12/26 15:30
- 名前: 塵 (ID: arqVGlhJ)
「…え?」
情けない声でそう言ったのは少年でもない俺でもないピエロ野郎だった
ブッチャ—ナイフは粉々に砕けもう売り物にならねぇ
「え…?え…?なんで?」
首をこれでもかという程傾けて俺に問う
ハッ、だろうなぁ
完全に俺を殺せると思ったからなぁ
だがここまで頑張って生き延びた命をそう簡単に消させてたまるかって話じゃねぇか?
そりゃ死ねるなら死にたいが
頑張って生き延びるのも悪くない人生だろう?
なぁそう思わねぇか?
「は?え?なんで…なんで……君そんな所にいるの?
さっきまでナイフのすぐそこに…
なんで生きてるの?」
「さぁ、なんででしょう」
ピエロ野郎は確かに泣いていた
さっきまで
嘘泣きなんかじゃない
本気で泣いていた
だから危険人物ではないと思ってた
右手に隠し持ってるスイッチを見るまでは
何のスイッチだ?
そこでピエロ野郎がチラッとブッチャ—ナイフを気にしたのを確認して
何か仕掛けてると考えた
悪魔で俺の考えだから間違ってる可能性も充分ありえる
で、ためしに近づいて取るフリをしてみると案の定だ
ブッチャ—ナイフに付けられていた爆弾を爆発させやがった
ピエロ野郎のプランでは今頃俺も粉々になっていたんだろうな
だが残念、俺だって何も知らないまま育ったわけじゃない
相手のやり口、狙い目色々と学んできた
そのおかげで俺は今元いた場所に立っている
さっきのピエロ野郎の顔は見物だったなぁ
目を大きく見開いて口を魚みてぇにパクパクさしてやがった
「…」
少年もまったく同じ顔で粉々になったブッチャ—ナイフと俺を交互に見る
「…ハッ、まぐれだまぐれっ
死ねっ!!」
しつこいピエロ野郎だ
軽やかなフットワークでこっちに向かってくるのを確認して
ポケットに手を入れる
何かねぇかな、武器…
あ、昨日全部売っちまったわ
肉の誘惑に負け…ってそれどころじゃねぇ
どうっすっか
「おい、お前」
「は…はいっ!?」
突然俺に話しかけられてビクッと反応する少年
「何か持ってね?」
「え?な…何かって?」
「使えるモン」
「は…え…っと…これしかないんですが」
そう言って俺に差し出したのは…なんぞこれ
ピストルに良く似た色で
スイッチみたいなのをカチッと押すと
バチバチと電気みたいなのが走っている
「なんだこれ」
「スタンガンですが…知らないんですか?」
「スタンタン?」
「スタンガンです」
名前はいいとして何に使うんだこんなもん
役に立たな…
「死ねぇぇぇぇぇっ!!」
油断した。これは死ぬな
「…っ!!」
てっきりぐさっとやられると思ったがなんの痛みもない
そっと目を開けてみると
少年が俺の手のスタンガンを奪い取って
ピエロ野郎に突き刺していた
ピエロ野郎は、ガクンと力なくその場に倒れ気絶
「便利などう…ぐばぁっ!?」
と何故か俺もスタンガンの餌食となった
- Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.5 )
- 日時: 2011/12/27 17:55
- 名前: 塵 (ID: arqVGlhJ)
「…う…っ?」
目を覚ました頃には少年なんざとっくに逃げていた
なんで俺が…
「…クソッ…」
首は見つからねぇわ、変なピエロに殺されかけるわ
挙句の果てには俺もスタンガンでやられるとか…情けねぇなぁ
「やぁ」
「…あ?」
突然背後から声がしたかと思うと頬を何かが横切った
バタフライナイ…
「うぼぉわぁ!?」
バババババタフライナイフ!?
あっぶねぇぇぇ—っ!!
急いで振り返ってみるとピエロ野郎がニヤニヤしながら俺を見ていた
「てめぇ何すんだ」
「…」
「おい、聞いてんのか」
「…」
コイツ日本語も通じねぇのか?
とりあえず深くかかわるのはよそう
って事で首探しに…
「どこに行くんだい?」
…おいおいおい
こっちの話は散々シカトした挙句
俺が立ち去ろうとしたら引きとめやがった
何がしたいんだよ
もう無視だ無視
「…あ」
そんな目で見んな
俺が悪いみたいじゃねぇ—か
「……言いたい事があればさっさ言えよ」
「…君ってソウの友達?」
「ソウって誰ぞ」
「スタンガン押しつけた子」
「初対面ですけど」
一瞬ピエロ野郎は表情を緩ませた
「そうですか…では…」
少し合間をとってから二ヤァと笑ってピエロ野郎は口を開けた
「殺させていただきます」
「………▽♯●☆♪?」
あまりの予想外すぎる発言に思わず変な言葉が出た…
殺す?意味分からんのだが
初対面だから殺されちゃうの俺?
「悪いが冗談に付き合ってる暇はな………は?」
…え…なんで俺の手から血が流れ出てんだ?
つっまんねぇ理由で血を流した事なんざ数え切れねぇ程あるが
こんなに出血したなんて初めてだ
手が異常に熱くなってきやがった
頭もクラクラする
「?しぶといね君
いつもなら即死なのに」
…いつも?まるで何回も人を殺した事があるみてぇな言い方だな
「じゃあとどめをさしてもらうよ」
ってゆうか俺ってなんで殺されかけてんだ?
何をしたんだ?
死ぬのか?
こいつに殺されるのか?
こんなイカれた恰好してるやつに?
そんなに情けねぇ一生の終わり方するのか?
「…ざ…るな」
「何か言った?」
「…ふざけるなっつってんだよっっっ!!」
思わずキョトンとするピエロ野郎
ハッその顔今すぐ潰してやりてェなァ
「俺を殺す?
なんで?
俺だって生きる権利ぐれぇはあるはずだ
それを?お前が?俺を?
笑わせんじゃねーよ」
それを聞いて何を思ったのか
まるで虫けらのような目で見始めやがった
なんだ?そんなに俺が憎いか?
それで殺していいのか?
必死こいて今日まで生きてきた命をそう簡単に消したいのか?
…そりゃそうさ他人事だもんなぁ
でも今は俺自身の話をしてるんだ
お前が俺を殺そうと殺すまいと俺には関係ない
だが俺が殺されるか殺されねぇか、そこが問題じゃねーか?
俺にはやらなければいけない事がたくさんあるんだ
それを?壊すつもりか?
ハッ
上等じゃねぇか
- Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.6 )
- 日時: 2012/01/18 16:22
- 名前: 塵 (ID: yAL.k7HO)
「…僕には君の戯言に付き合ってる時間なんかない」
ピエロ野郎がキッと俺を睨み構えてくる
戯言か…
「俺だってお前のイカれたショーに付き合う気なんかねぇよ
どうだ?今なら許してやるよ
だからさ、そんな殺し合いなんてやめようぜ?」
「何言ってるんだい?頭大丈夫?」
「…それがお前の答えか?」
俺は首にかけていた笛を吹き
両手を大きく広げピエロ野郎に言ってやったさ。
「言ったろ?俺には時間がない
時間がないんだ、わかるか?
お前なんかと遊んでる暇があったら
永遠とゴミ拾いをしてた方が100倍マシだ
って事で大好きなゴミ拾いに行ってくるわ
バイバイビー☆」
「…は?…はぁ?」
ピエロ野郎は俺が去ろうとしたのを見て
何かを投げた
どんだけ武器持ってんだ
ミルズ型手榴弾か?
だがその爆弾が俺に届くまでに爆発してしまった
アホか、その距離で4秒のミルズ型手榴弾て…
武器の種類がいくら豊富でも
使い方がわからないなんて素人にも程がある
「しぶと……うがぇっ!?」
ピエロ野郎が何か言おうとしたようだが間に合わなかったようだ
みぞおちを思いっきり蹴り入られピクピクしてやがる
「マスターお呼びでしょうか」
「あのなぁ…俺ただ来いっつったけど
みぞおちをやれとは言ってませんよ」
俺をマスターとか言ってる金髪女性は相棒のフィリア
15歳ぐれぇの頃突然目の前に現れて
私はあなたのために作られたロボットとか言って
それからは何を言っても俺についてくる変な奴だ
ってゆうかロボットって…
いくら能無しの俺だってそんなの信じられるわけない
しばらくはずっと俺の背後をひよこみたいについて来てたがこの前笛を渡され鳴らすとどこに居ても多分5秒以内でやってくると言われた
気まぐれな奴だからついていくのに飽きたんだろう
そこそこ俺だって喧嘩も強いが
フィリアはもう化け物だ
そこら辺がロボットっぽいな
だが喧嘩以外は何もできないやつで
普段はぼーっと歩いてたりする
「マスターコイツ殺しましょうか」
「what!?いやいや駄目駄目言ってないから!!
とりあえず治っても絶対俺を殺しに来そうだから
俺ん家で縛っておこう」
「イエス、マスター」
そう言ってヒョイとピエロ野郎を持ち上げる
俺より力弱そうなのに相変わらずすげぇな
家っつっても廃車だがな
前まで外に寝てたが1週間前にこの廃車を見つけた
雨しのぎにも丁度よさそうだし
売れば高くつくと思うがずっと寒い外で寝るっつ—のも嫌だしな
当然変な輩が俺の車を奪おうとするなんて日常茶飯事だ
少なくとも売れば3日間ぐらいは持つ食料が得られるだろう
まぁそんな輩は全てフィリアがやっちまうから
俺は心配せずにゴミ拾いができるってわけさ
「う…ん?」
家に着く前にピエロ野郎が起きやがった
目も虚ろでフィリアにされるがままになっている
「…あってめぇっ!!…ぐばぁぁっ!?」
俺に殴りかかろうとした所をすかさずフィリアが
もう一回みぞおちに蹴りいれた
相変わらず俺の命令通りに動いてくれないロボット(仮)だ
それでも家族と言える存在はフィリアぐらいしかいないから
貴重な存在だし正直不満もない
- Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.7 )
- 日時: 2012/01/16 16:43
- 名前: 塵 (ID: AyMnBqmb)
家(廃車)に着きとりあえずそこら辺に落ちていたゴムみたいな物で
ピエロ野郎を縛る
幸せな顔して寝てやがるな…
「…マスター、何をしてらっしゃるのですか」
「はっ!?えっ?別に落書きしてやろうなんて
思ってないが?何言ってんだよ?」
フィリアはカクッと首を傾けてまた意味不明な事を言い出す
「マスターが、顔に落書きをしようとした確率101%
マスターが言い訳下手な確率101%」
「おいおい、いつも思うがなんだその101%って微妙すぎる…」
いつも通りの会話を交わしていると
突然大きな音と共に家(廃車)が傾く
「うゎ…っとと…なんだ地震かぁ?」
「…マスターの現在地が危険な可能性98%」
「あ?」
次の瞬間どこからやってきたのか謎の鎖が俺の首を捕らえた
「は…っ!?ぐぇっ!!」
ギリギリと首を強く絞められ息ができそうにない
そんな俺を見向きもしないでフィリアは鎖の後を追う
追ってくれるのは…ありがたいが
先にこの鎖をどうにかし…て…
ガツンと何かが弾けた音がして
鎖が切れた
俺は二度三度呼吸をして改めて生きててよかったと…
思う前にまた新たな鎖が俺に向かって飛んでくる
それをなんとか避けたはいいが
俺の愛家(という名の愛車)が鎖によって若干破壊される
元々廃車でかなりのボロボロだからそんな事は気にしない
問題は誰が俺を狙ったかだ
俺喧嘩売るような事はしてないぞ…多分
バンッと勢いよく家(廃車)から飛び出しあたりを見回す
何滴かの血が散らばっている
まずフィリアではなさそうだ
ってゆうか俺はフィリアの血を見た事がない
もしかして緑色かもとか夢見ている
…そんな事はどうでもいいとして目の前にいるやばそうな奴が
俺を殺そうとした張本人か?
犬みたいな首輪で繋がれていてその下からだらしない鎖が左右に揺れている
目は片方髪の毛で隠されて頬に三本の長細い傷がある
「なんだてめぇ」
警戒しながら歩み寄ると
どうやらそいつは結構重症らしい
顔も青白いし息苦しそうだ
「ヒヒッ、何君の連れ…
化け物?」
化け物というのはフィリアの事か…
「俺も化け物だと思う」
「マスターが邪魔な可能性101%」
聞きなれた声が上から聞こえ頭をクイッと上げた瞬間
フィリアの下着が見え…
…間一髪で避けたはいいが
フィリアが見たこともないような顔で俺を見ている
「あー…俺…何も見てない…よ?」
「…マスターが背後を気にしたほうがいい確率101%」
「へ?」
言い訳にあせっていると冷静な顔で話し出すフィリア
数秒後ガゴッと何かが割れた音が背後から聞こえる
後ろを振り返るとフィリアがいつの間にか俺の後ろで
変態犬に蹴りを入れていた
ガクンと力なく倒れる変態犬君
なんだったんだ…
- Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.8 )
- 日時: 2012/01/26 16:47
- 名前: 塵 (ID: yAL.k7HO)
「あー…フィリアさん?
怒ってる?」
むっと明らかにふくれっ面なフィリア
「怒ってませんよ」
「怒ってますよね!?」
黙々と変態犬を縛る
「いいじゃねーか下着のひと…」
そこで俺は言葉を止める
あっぶねぇーっ!!
下着の一つや二つぐらい見たって減りゃしねぇしって言いそうだった!!
確実に殺されてた!!
ナイス!!危ない危ない
「…下着の人?」
…あ、誤解したみたいだ
でも本当の事言ったら殺されるのでここは嘘をつこう、そうしよう
「そうそう、下着で生活してる人だっていんだし
それに比べりゃ…あ…あの…ちょ…やめてっ
構えないで!!」
ジリジリと戦闘体制でこっちに歩み来るフィリア
どっちにしろ殺されるぅうぅうぅうっ!!
ばっと回れ右をして駆け出す俺
とりあえず逃げよう
後ろからすごい殺気がする。
殺される。
「マスター」
ガッと首をつかまれた
くっ…悔いありまくりの人生だった…
「マスター、2名が目を覚ました事を確認」
「へ?」
涙目の俺を呆れた顔で見た後パッと手を離すフィリア
…助かったみたいだ…
あれ2人が目を覚ましてなかったら死んでた確率101%
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