ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- トワイライト・カーニバル
- 日時: 2012/06/30 21:29
- 名前: 織也 (ID: 4RLKS53x)
初めまして!!織也と申します(*^ω^*)
文才なんて一欠けらも持ち合わせていませんが
亀更新で精一杯頑張らせていただきます!!
コメント・アドバイスなど頂けると
とてもとても嬉しいです(*^_^*)
誹謗・中傷等はお止めください(泣)
・・・プロローグ・・・
「約束、してくれる?」
「・・・いいよ」
_それは、7年前の幼き日の思い出。
「僕と、君との約束だよ」
「わかってる。俺と、お前との約束だ」
_子供であったほんの僅かな時間での、約束。
「何があっても、絶対に」
「どんな壁が立ち塞がろうとも、絶対に」
_あまりにも、純粋で美しく・・・・・・
「僕を くれ」
殺して
「お前を やる」
_残酷な物語。
そして、再び歪んだ歯車が廻りだす。
_目次
Episode01 >>01 Episode11 >>12
Episode02 >>02 Episode12 >>13
Episode03 >>03 Episode13 >>14
Episode04 >>04 Episode14 >>15
Episode05 >>05 Episode15 >>16
Episode06 >>06 Episode16 >>
Episode07 >>07
Episode08 >>08
Episode09 >>09
Episode10 >>10
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.7 )
- 日時: 2012/04/21 18:50
- 名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)
Episode07;Hate
「暁!!お昼ご飯は私と食べるでしょ?!」
「・・・・暁君、お昼ご飯・・・・・」
「〜〜〜〜〜っ・・・・・・」
俺は今、最大の危機に陥っているかもしれない。
ゆづきと藤崎さん、二人に両腕を引っ張られているのだ。
「あ、あの、藤崎さん、俺はゆづきと・・・・」
「・・・暁君、私とご飯食べたくない・・・?」
「っ、そ、そういうわけじゃ・・・」
でも、ゆづきと行かないと、定時報告ができない・・・っ。
俺たちの周りにギャラリーが増えていく。
ざわざわ、ざわざわ・・・・・
「えー?芹沢君と初恋さんって、付き合ってたんじゃないの?」
「藤崎と芹沢が恋人同士になったらしいぞ」
「ゆづきちゃんと藤崎さん、恋敵みたいよ?!」
「藤崎さん大人しいと思ってたのに・・・案外やるのね・・・」
「芹沢、転校早々モテるなぁ」
周囲の人間が、勝手なことを口走っていく。
勝手に、虚像の俺たちで面白がる。
やめろ。何も知らないのに勝手なことを言うな・・・。
・・・昔にも、こんなことが・・・・・・・?
「・・・・・・・・・・・・・暁君」
「っ、あ・・・・・・」
藤崎さんの言葉に、意識が覚醒する。
また、思考の海に沈んでいた・・・・・。
「・・・と、とにかく、俺はゆづきと「おーいゆづー、暁ー」」
暁の言葉を遮るように、弘一の声が教室に響いた。
教室中の視線が、一気に彼に向けられる。
「お。何?修羅場?いきなり青春してるじゃん暁〜」
「そんなのじゃありません!!」
「弘一!!丁度いいところに来た!!この子何とかしてよ!!!」
「ん?・・・・おー、君が詠律ちゃんか。俺弘一、よろしくね」
笑顔で手を差し出す弘一。
その手が触れるか触れないかの位置で、詠律は一歩後ろにさがった。
詠律の瞳と、弘一の瞳が、交錯する。
「・・・・え、なに、俺嫌われてる?あはは・・・」
「・・・・・・・・・」
微妙な距離で、戸惑うように笑う弘一。
それをいつもの無表情で見つめる詠律。
「・・・・・貴方、夕顔 弘一ね・・・」
「あれ、俺のこと知ってる?俺って実は有名人??」
ちゃらけた風に言うと、周りの女子から黄色い歓声が飛ぶ。
夕顔先輩の顔は世間でいう美男子、つまりはイケメン、というやつだ。
同級生は勿論、下級生にもその名は知れ渡っているらしい(ゆづき情報)
詠律さんもその取り巻きの類なのだろうか・・・。
「・・・知ってる、だって私、貴方のこと・・・・・・」
「・・・・・・・・大嫌いだもの・・・・・・・・・・」
そこにいた全員が呆然とした。
弘一だけは大きく笑っていたが。
「ははっ、面白いな詠律ちゃん!あははははっ!!!」
「・・・・・・・・・・貴方、苦手・・・・・」
詠律はそう言って暁の横を通って教室を出て行った。
「な、なんなのあの子・・・・やっぱり変だわ!!」
「おい、ゆづき!・・・・ゆ、夕顔先輩、あまり気にしない方が・・・」
「え?ああ、全然気にしてないよ?優しいなぁ暁は!」
「「「「「「夕顔先輩!!!!!!!」」」」」」
キャーキャーと弘一の周りに女子の群れができた。一瞬で。
あんな奴のどこがいいのよ。とゆづき。
「・・・・苦手、ね・・・」
弘一の呟きは、黄色い声にかき消された。
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.8 )
- 日時: 2012/04/21 19:30
- 名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)
Episode08;Another
「あらあら、迷子の坊やはどこかしら?」
「迷子の坊や、お日様ポカポカいい気持ち」
「優しい夢で、坊やは迷子」
「いいのよいいのよ、おやすみなさい、迷子の坊や」
「いいのよいいのよ、そのままで・・・・」
「・・・・・いいわけねぇだろ・・・・?」
起きないの?ねえ、いつまで夢の中?
・・・・・早く、起きてよ、私の・・・・・・・
「・・・・私の・・・?何・・・・」
目覚めた第一声は、謎めいた言葉だった。
「何それ。変な夢ね」
「疲れてるんじゃないか?暁、真面目だから〜」
「俺は疲れてないし、普通のことをやっているまでです」
朝の登校時間、三人で通学路を歩く。
楽しい時間、優しい時間。
無邪気さを取り戻せる、唯一の時間。
「あ。詠律ちゃんだ」
弘一の目線の先には、確かに詠律が居た。
周りの誰ともつるむことなく、一人静かに歩いていた。
「おーい、おはよう!詠律ちゃーん!!!」
弘一の大きな声に周りを歩いていた人間までもが振り向く。
詠律もその声を聴いて後ろを振り向いた。が。
眉間にものすごいしわを寄せて、走り去ってしまった。
「・・・あんたすごい嫌われようね」
「いや〜ここまでの嫌われようは逆にすがすがしいね!」
「・・・・・・・」
それから教室に到着し、普段通りに授業を受けた。
いつもと違うところと言えば、隣に藤崎さんが居ないことだけ。
教師の話によると、体調不良で保健室で休んでいるらしい。
授業中、ちらちらと隣に視線を送ったが、空席のそこは寂しげに存在するだけだった。
気付けば、授業も終わり、日も暮れかけていた・・・。
「じゃあ芹沢、日誌を書いて棚に提出しておくように」
「はい」
担任から日誌を預かり、今日一日の出来事を記していく。
ペンを紙に走らせ、欠課者の欄で手を止めた。
「・・・藤崎さん、大丈夫かな・・・・・」
ぽつり。呟くと同時に大きな音を立てて扉が開いた。
それに驚きながらも視線を向けると、そこには詠律が立っていた。
俯いて、じっとしている。
「あ、藤崎さん・・・・具合はどう?」
「・・・・・・・・・・」
何か、変だ。
いつもと違うというか、おかしいというか・・・・。
そう思っていると、詠律は顔を上げ、暁の方を見つめて。
にこりと、笑った。
「っ・・・・・・・・・・!!」
途端、背筋に悪寒が走る。
本能が叫ぶ。直感が告げる。
逃げろ。危険だ。彼女は・・・・・!!!
踵を返そうとする。が。
「どこに行くの?暁君」
すぐそばまで、詠律が来ていた。
気付かなかった?俺が?
一瞬で足払いをされ、床に押し倒される。
その上に跨るように、詠律はのしかかった。
夕日のオレンジ色の光が、教室と、二人を照らす。
「・・・君は、藤崎さんじゃ・・・ないな・・・・・」
「・・・どうしてそう思うの?」
「・・・・・・わからない、が・・・・・」
「・・・わからない・・・・・」
詠律の肩が震える。
くつくつ。くつくつと口からは、言葉にならない声が聞こえて・・・。
「あはははははははは!!!!大正解だよ、暁っ!!!!」
不気味な笑い声と化した。
「うん、そう!私は詠律じゃないよ?あれは私の<表の顔>!
案外簡単にみんな信じてくれたからちょろかったわ!!」
うふふ。と楽しそうに笑いながら、暁の頬を撫でる。
「なあ、暁・・・お前もそろそろ起きろよ・・・」
「?起きるって、何を言って・・・・」
「起きるっていうのは<目覚める>ってことだよ。それぐらいわかるでしょう?」
心臓がバクバク鳴っている。
脂汗が湧き出てくる、衝動が、止まらない・・・・・!
「ねえ、あなた<誰>なの?」
その声と共に、俺は絶叫した。
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.9 )
- 日時: 2012/04/22 14:16
- 名前: 織也 (ID: PRhXGwDk)
Episode09;Mirror
「あああああああああああああああああああああっ!!!!!」
廊下に暁の絶叫が響く。
それは、そこに居たゆづきと弘一の鼓膜を揺らした。
「い、今の、暁の・・・・・?」
「行くぞゆづき!」
「う、うん!!」
教室の中、詠律は楽しそうに暁の頬を撫で続ける。
撫でられている暁は、カタカタと震え、言葉の羅列を吐き出すばかり。
「ふふ。早く起きろよ、待ちくたびれたぞ・・・?」
「ぅ、ぉれ、は、あ、あぁ、あ・・・・・」
「暁から離れなさい!!藤崎 詠律!!」
突然、教室のドアが開き、ゆづきと弘一が現れた。
ゆづきの瞳には憤怒の炎が宿っている。
「あら、千里眼。怒っているの?<大事な人>に手を出されたから?」
嘲笑うかのように、詠律は口角を上げて、暁の頬に唇を押し付ける。
その光景に、ゆづきは目を見開き、歯をギリッと食いしばった。
「暁からっ、離れろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!藤崎 詠律あああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!」
「あはははっ!!!!!遊んでほしいの?!いいよぉ?遊んでやるよっ!!」
「ゆづき、おいゆづき!!」
弘一の静止を振り切り、ゆづきは叫ぶ。
「私の能力知ってるんでしょ?なら分かるわよね、あんたの行動は予想範囲内なのよ!!」
「お前こそ、私の能力をしってるんだろうな?千里眼」
「ふん、虚勢を張っても無駄よ。あんたに能力は無い!!それは千里眼で確かめたわ!!」
「あ、そう?それならいいんだけどぉ・・・・」
詠律は微笑を湛え、ゆづきの方を向きなおす。
ゆっくりと左手を翳し、さらに笑う。
「じゃあ当ててごらん、千里眼。私はこのあと何をするのか」
「挑発しても無駄よ、それくらい簡単に・・・」
それだけ言って、ゆづきの動きが止まった。
詠律は笑う。
「ゆづき?どうしたんだ?」
「嘘、だって、こんなことって、あるわけ・・・・」
「何も、見えない・・・・・・・・・・」
「早計はどうかと思うよ、千里眼?」
「っ、やっ」
いつの間にかゆづきの目の前には、詠律が立っていた。
反射的に攻撃しようと右手を振り上げたゆづきだったが、詠律はそれを簡単に受け止め、押し倒す。
「な、何で・・・・・」
「はっ、そんなことも説明しないとわかんないの?」
「説明は要らないよ、詠律ちゃん。いや、<藤崎 詠律>を名乗る君」
傍観していた弘一が、ゆっくりと近寄ってくる。
「ふふ、物分かりが良くて助かるよ。<オブザーバー>」
「そんなことまでわかるのかい、すごいね、君の能力は」
「君の能力は、全てをそのままに映す<ミラー>だね」
詠律の口元が、弧を描いた。
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.10 )
- 日時: 2012/04/27 21:52
- 名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)
Episode10;Fours
「み、ミラー・・・・・?」
「あはっ。その通り。流石はオブザーバー、観測はお得意のようだな」
ゆづきは苦しげに言う。
それはそうだろう。ゆづきの上にはどっかりと詠律が跨っているのだから。
詠律は弘一の問いにけらけらと笑って答える。
「私の能力はすべてを映す。映された能力は私のもの、思いのままに行使することができるの。
・・・千里眼が私の能力を見抜けなかったのはその所為。私の瞳に映った<自身の能力>を見たから。
自分自身の能力が見えたところで、私の能力がわかるわけじゃねえもんな」
「・・・・・君には脱帽せざるを得ないな。だが」
弘一は一歩前に進む。
「俺の大事な仲間に、手を出すのはやめてくれないかな」
「・・・・・・・・・」
弘一の真紅の瞳には真摯の意思が映る。
詠律は静かにそれを見つめる。
「・・・今日はそうしておこうか。お前を相手にするのは厄介そうだ」
詠律はゆづきから退く。
かかっていた圧力から解放されたゆづきは、途端入ってきた空気に思わず咳き込んだ。
「けほっ、こ、こうち・・・暁・・・」
「ああ、気を失っているだけだ、心配するな」
「そっか・・・・・・よかったぁ・・・・・・・」
ゆづきは顔の筋肉を緩め、その場にしゃがみ込んだ。
詠律はそれをただ見つめる。
「・・・・・暁に何したの、藤崎 詠律」
「別に何も。ただ聞いただけ」
「・・・・・・・何を聞いたのよ」
「答えてやる義理はない」
愉悦を含んだ顔をする詠律に、ゆづきは苦渋の表情を見せる。
「・・・とりあえず、君の名前を聞いてもいいかな」
「・・え、なに、こいつ詠律って名前じゃないの?!」
弘一の言葉を聞いて驚いたのか、オロオロと詠律と弘一の顔を交互に見る。
暫く黙っていた詠律は、ふう。とため息をつき観念したように手をひらひらさせながら言った。
「<みなも>。私の本当の名前は<草柳 みなも(くさなぎ みなも)>。よろしくね、SMSの皆さん」
「なっ、私たちがSMSだって知ってたの?!」
「当たり前だろ。ミラーを使えばすぐわかることだ。言っとくけど私はアブノーマラーじゃねぇからな。ちゃんと登録してるぞ。確認しとけ」
「っ!!!!!あんたに言われなくても確認するわよ!!!!」
ぷりぷりと怒りを露わにしながら携帯をひっつかみ、電話を掛けながら教室を出て行ってしまった。
残されたのは意識のない暁と、弘一とみなもだけだ。
「あんたは行かなくていいのかよ。オブザーバー。暁を医療機関に連れて行くんだろう?」
「・・・・・みなも、ちゃんでいいのかな」
「かまわない」
「みなもちゃんは・・・・・・」
「どうやら、嘘つきみたいだからね。信用できないんだ」
「・・・・やっぱりお前苦手だわ。すべてを映すミラーを読むだなんて、いけ好かない人ね」
「褒められてるのか、貶されてるのか・・・今は些細なことだね。だけど覚えておいてほしい」
「俺は君を信用しない。みなもちゃん、君をね」
「・・・・・・・・・なら、<藤崎 詠律>を演じる私なら信用してくれるのかしら」
「・・・表向きの君の方が、まだ信用できるかな」
「そうか。ならそれでいい。お前の信じるものだけを信じればいいわ」
踵を返し、みなもは教室を後にする。
ただひとつの呟きを残して。
「所詮、誰も信用するに値しないのだから・・・あいつを除いて」
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.11 )
- 日時: 2012/04/27 22:25
- 名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?800258
描いてみました(#^.^#)
詠律ちゃん!(^^)!
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