ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 生態の王座
- 日時: 2016/10/16 20:44
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: 7PvwHkUC)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520
◆序章◆
夢を見た。不快な夢だ。私は、見知らぬ朽ち果てた屋敷を彷徨っていて。
友の名を叫んでいる。大粒の涙を流しながら大声で泣いて絶望に打ちひしがれているんだ……
それを見ているととてもとても悲しくて夢なのに胸が痛む。
いつもの夢、いつも同じゆめなのに決まって同じ所で泣くのはなぜだろう。
あぁ、夢の終りが近付いている。夢の中の私が唯一奴等に抵抗しうる武器を手放してしまった。
——駄目! 放さないで! 幾ら強く叫んでも夢の中の私には届かない。何ともどかしいこと!?
生きることを放棄してしまったのだ。
血飛沫を上げ夢の中の私が倒れこむ。
その出血量は凄まじく、もう生きては居ないであろうことを本物の私の意志に伝える。
「今日も最悪な朝ね」
何時も通りの最悪の朝焼け……朝焼けは綺麗なのに本当に嫌な気分になる。
体中が弛緩して気持ち悪い。緩慢な動作でカーテンに手をやり開けるとまだ強くない優しい陽光が降り注ぐ。今日は雨降りの予定だからすぐ崩れるだろうけど。この優しい温もりに癒されるのは事実でいつまでも浴びて居たくなる。
あぁ、所詮は夢だ。夢なんだ!
あんなホラーでしかありえないような夢、起こるはずがないんだ。
そう言い聞かせて、私桐生春香は朝食の用意をするために台所へと向かう。
高校二年生にして寮で自炊生活かぁ。そうさ、きっと溜ってるんだよ疲れが。
だからあんな夢を見るんだ。
『現実逃避していられるのも今のうちだよ?』
心に言い聞かせると同時に嫌な声が胸中に響く……
◆終り◆
次回 第一章 第一話第一節「前触れ」
〜作者状況〜
執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。
お早うございます、こんにちは、こんばんは。
初めまして、お久し振り、いつも有難うございます。
毎度、お騒がせしています駄作者風猫です。
宜しくお願いします。
最後に、参照の小説は現在複雑・ファジーの方で執筆中の作品です!
プッシュ中の作品です。宜しくお願いしますvv
<お客様>
柚子様
陽様
あんず様
愛河 姫奈様
朱雀様
梨花様
茶渋様
七名様がコメントくださりました!
有難うございます^^
<目次>
第一章 第一話第一節「前触れ」 >>6に掲載
第一章 第一話第二節「前触れ 二」 >>9に掲載
第一章 第一話第三節「前触れ 三」 >>10に掲載
第一章 第一話第四節「前触れ 四」 >>11に掲載
第一章 第二話第一節「裂く「咲く」人 一」 >>20に掲載
第一章 第二話第二節「裂く「咲く」人 二」 >>30に掲載
<その他>
人物紹介 >>12 随時更新
頂き物や番外編や企画などの目次とさせて貰います。
注意事項
一、更新は二週間に一度程度の亀並み運行です。お許し下さい。
二、グロ及びエロが少なからず入ると思いますご了承のうえお読みください。
三、最低限のネチケットは護って下さい。宣伝及び暴言などはご法度です。
四、主は誤字脱字の魔術師です! 見つけ次第お教えください(これは注意じゃないですね(汗
五、最後に主は豆腐メンタルの持ち主です。ご指摘いただけるときはやんわりとお願いします。
六、コメントや励まし少しの雑談は嬉しいですが連続で雑談が続くと流石に嫌ですので止めて下さい。なお、これは最低限のネチケットに該当しますね。
- Re: 夢、快楽、死、鼓動昂ぶる 一ノ一ノ五 3/26 コメ求む ( No.22 )
- 日時: 2012/03/29 19:12
- 名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)
おぉ……クオリティ高!!
初めまして。茶渋と申します。タイトルが面白そうだったので入っちゃいました^^
- Re: 夢、快楽、死、鼓動昂ぶる 一ノ一ノ五 3/26 コメ求む ( No.24 )
- 日時: 2012/04/01 07:17
- 名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)
>>23おっと失礼。
茶渋(ちゃしぶ)、と申しますw
- Re: 夢、快楽、死、鼓動昂ぶる 一ノ一ノ五 3/26 コメ求む ( No.25 )
- 日時: 2012/04/02 13:15
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: r3A.OAyS)
茶渋様へ
呼び方教えてくださり有難うございます^^ クオリティ高いなどと嬉しい限り(涙
クオリティ損なわないように頑張ります!
タイトルらしいドロドロ具合をもっともっと……もっと! だしていきたいです!!
- Re: 夢、快楽、死、鼓動昂ぶる 一ノ二ノ一更新 コメ求む! ( No.29 )
- 日時: 2012/04/04 10:20
- 名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)
おぉ、すごいww
大人買いしすぎwww
- Re: 夢、快楽、死、鼓動昂ぶる 一ノ二ノ一更新 コメ求む! ( No.30 )
- 日時: 2012/04/18 06:49
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: ESDOwl5l)
夢、快楽、死、鼓動昂ぶる
〜第一章 第二話第二節「裂く「咲く」人 二」〜
二千十二年十一月十三日。桐生春香は怪しい雰囲気を持った青年、馬達彰介に会う。彼の勧誘を断り彼女は帰路につく。
沸々と湧き上がる不安感を強引に捻り伏せて彼女は歩き続ける。時々、あの青年が後ろを追ってきていたりするのではないかと思い立ち振り返っては、彼が居ないことに安堵して一息つく。それの繰り返し。気を張っていたせいか自宅に着くまでに普段の数倍の時間が掛かったように感じて、彼女は自室にある目覚ましに目をやる。
「家を出たのが七時半。あいつから開放されたのが八時半。今は、八時五十分」
思い出せる限りの時間を脳内に羅列して彼女は嘆息した。本当に時の流れというのは曖昧なものだ。正確には、体感する感覚だが。緊張していたり恐怖を感じたりしていると普段の何倍にも感じるのが良い例だろう。
彼女は布団も敷かず畳に転がり目を瞑る。
『何なんだアイツ? 私と彼が同類? ふざけるな! 私があんな人格破綻者と同じはずが!』
周囲の風景が遮断されると自然に浮んでくるのは、忘れたいはずの記憶。普段のいつもと変わらない、詰らない風景の中に現れた強烈な異彩を放つ人物。そう、馬達彰介だ。彼の放つ奇怪な言葉の数々が、彼女の心に鬱積し続ける。
否定したくても自分が普通じゃないことは確かで、彼が言っていたことには心当たりがありすぎるのだ。特にあの時始めて人の死を見たのにほとんど無感情で居られたことが、自分が普通というカテゴリーからは程遠いものだと実感させた。
常人とは掛け離れた身体構造や妙な痣より何より、その道徳心を廃した心の動きが恐ろしく感じたのだ。
『否定しろ。否定しろ否定しろ否定しろ否定しろ! 私は、一己の人間として人生を謳歌するんだ! 排斥されるのも異常者扱いされるのもゴメンだ! 否定しろ否定しろ否定しろっ』
何度も何度も反芻する。あの青年との出会いとそして交わした言葉の全てを否定して消去しようと全力を尽くす。
全身が強張り体中を嫌な汗が包む。だが、記憶が消えることは無い。そんなすぐに消えるはずも無いと一人ごち一息。
そして、彼女は起き上がる。
「バッカみたい」
一言毒づくと、春香は自室に鳴り響く不快なコーリング音に気付き受話器を取った。どうやら担当教師が心配して電話してきたようだ。彼女はうんざりしたような表情を浮かべながら冷静なしかし少し苦しそうな口調で「風邪をひいたので休みます」と嘘を付く。教師は、彼女が風邪をひいてもそれほど業とらしく苦しむふりをする人間ではないことを知っているためか、それ以上言及することは無く「無理はしないで養生するんだぞ」とだけ言って電話を切った。
「…………」
春香はしばらく沈黙したまま天上を見詰め続ける。思い出したように彼女は立ち上がり着替えだす。昨日バイトの給料が入って財布は温まっている。それを確認して彼女は微笑む。
「よっし! 今日は、ラノベ大人買いと漫画大人買いとゲーム大人買いで大パーティだ!」
そして、ガッツポーズしながら自分に言い聞かせるように呟いて最後にカチューシャで髪を止めてお出かけの準備を整える。今の時間なら先生は流石にいないし容姿からして子供っぽい方ではないのでばれることは無い。OBなども居るには居るだろうが気付かないだろう。
自分が好きなものを自分の稼いだお金で買いまくる。それが、彼女のストレス発散法だ。
唯一の懸念材料は不良生徒が学校にも行かずに制服で出歩いていることだが、それも極少数だろうし遠くへ買い物に行けば会う可能性はほとんどないだろう。彼女は、駅で池袋への切符を買った。ちなみになぜ池袋なのかはあるラノベの影響だ。
『池袋。そう言えば行ったことがない』
三大副都心と言われる巨大都市だが、東京に住んでいるというのに行こうと思ったことも今まで無かった。
渋谷や新宿は時々行くのだがなぜだろう、と思案してみるが全く思い当たる節は無い。
沈思黙考しているうちにいつの間にか池袋へと付く。「速いな」と、ボソリと呟き彼女は電車から降りる。酷い虐めにあっているとはいえ学校をサボることは少ないので平日の通勤ラッシュ後はどの程度の混雑具合なのか分らない彼女は呆然と呟いた。
「平日のこの時間でもこんなに利用しているんだ」
当然ながら都内は車は不利なので電車を使う営業マンも山ほどいるのだろうが、それにしてもこれは多いと春香は思う。どんな時間でも暇な人間というのは案外炙れているのだなと、世知辛いご時勢に思いを馳せながら彼女は歩く。
「さて、と。どこに何が有るとか分らないし駅前で買い物はすませちゃうか」
誰かに道を聞くのも面倒だし地図を見るのも得意ではないので適当に駅前通りを散策する。本の専門店やゲームの専門店などは少し歩けばどこにでもあり彼女の用事はすぐに済んだ。この日はラノベ十冊と漫画十冊、ゲームカセット四つを購入。出費としては三万程度だ。
「モンハン3G欲しかったのよね。ん? 今、何か変な視線を……」
随分前から欲しかった物をようやく手に入れて春香は、子供のように目を輝かせて口ずさむ。時間にして一時半。遅めの食事を取ってそろそろ帰ろうかと思索していたときだった。突然、ジメジメとした湿気が肌を濡らすような妙な感覚が襲ったのは。
『気のせい? まさか、無いわよね? あの馬達とか言う男がストーキングしてるとか』
眉間に皺を寄せ緊張した面持ちで彼女は辺りを見回す。特に怪しい人影は無いしあの奇妙な男の姿も無い。ホッと一息つき大して時間も経っていないから恐怖感が拭えていないのだと適当に視線の理由付けをする。
その時だった。
“現実逃避していられるのも今のうちだよ”
夢の中で何度も反芻された言葉が不意にせり上がってきたのは。それは妙な感覚だった。
自分は何もそれに対することを考えているわけでもないのに、まるで他者がテレパシーを送ってきたような或いは今、白昼夢の如くその言葉を聞くように過去から仕組まれていたような奇妙な感覚。ドッと滝のような冷や汗が体中の穴という穴から吹き出たような気がした。
「居るなら居るって言いなさいよストーカー! どこ、どこなのよ!?」
「うっざぁ、何あの子ぉ?」
その感覚に自らのキャパシティの限界を超えたのか春香は酷い剣幕で怒鳴りだす。しかし、周りの人々が一瞬何事かと首を傾けたり鬱陶しがるだけで恥ずかしい事この上なく彼女は俯きまわりの人々に謝った。そして、こんな精神状態じゃ駄目だと顔を伏せ歩き出す。
『…………』
自分が一番落ち着ける場所、すなわち自分の家である寮に帰ろうと速足で歩く。そんな中、彼女は一つの違和感に気付いた。人々の体の回りに妙な色付きのもやが見えるのだ。全員にそのもやは等しく立っている。
青い色のもやが大勢だが紅いもやの人間が時々混ざっていてそれを目にすると落雷に打たれたかのような激しい衝動が体を襲う。春香は一瞬同族かと訝しがるが被りを振いその考えを捨て去る。
同族なのならなぜ殺気立つのか理解しがたいし彼女は自分が普通でないことを認めたくないのだ。
『一体アレは何なの?』
電車に乗っても考えることはそればかり。電車を降りてもそうだ。彼女は近道するために一通りの少ない裏通りを進みながら自分の寮へと突き進んでいく。そんな中、彼女の胸中にはある感情が湧き上がっていた。
自分が普通ではないのに普通の人間として振舞おうとするのは自分の小さな下らない人生を否定したくないだけだ、と言う本音。そんな中に自分はこの友人もいない自分を物で慰めるだけの生活を脱却したいとも思っている事実。
そのためには自分の殻の中にある普通という壁を壊さなければいけ無いということ。そもそも、普通の定義など皆夫々違い万人に認められ溶け込むなど不可能なのだと言うこと。業とらしく路面に強く足を打ちつけながら混濁する感情の並を打ち払おうと彼女はする。
「何なのよ? 何でこんなこと考えないといけないのよ!?」
長らく考えると言う行為を放棄していた春香は、自らを責め苦するような負の感情の連鎖に苛立ち舌を打つ。
「おやぁ、お姉ちゃん美人だねぇ? もしかして僕の慰み者になってくれる?」
そんな時だった。裏通りを歩いていたとき青のもやではなく赤のもやを放つ男に会ったのだ。当然のように衝動が湧き上がる。脳内は大量のアドレナリンが分泌されたような状態になり体中がうずく。そうだ。殺しても怪しまれることはない。人目も無いのだから。
「あんたがなってくれるのよね? 私の慰み者に」
男の軟派な言葉に対して春香は口角を挙げ凄絶な笑みを浮かべる。それと同時に陽炎のように波打ちながら巨大な蠍の影が浮ぶ。一瞬、空間が張詰めたような冷たい空気が流れると男は動きを止めた。
「どういうこと?」
怪訝に眉を潜める春香は、他の人間も動きを止めているのだろうかと気になり大通りの方へと歩き出す。すると動きを止めている所か誰一人居ないではないか。店の中に入っても誰もいない。五分以上散策しても結局誰も発見する事はできなかった。
「成程。そう言うことか」
何か大事件が起きて非難したなどというわけでは当然無いだろう。赤のもやを発する男とある本の数分前までは普通に人がいたし、緊急避難情報も流れてはいない。詰りは、能力を発動すると結界のようなものが発生して一般人に目撃されないようになるのだ。
何と便利な能力かと春香はほくそ笑む。それならなぜ今日の朝二人もの異能者が能力を発動させていたのにあの第三者の男は姿を消していなかったのかという疑問が浮ぶが、それを今考えるのも面倒なので取敢えずは動けない彼に一方的なストレスを向けることにした。
「ゴメンなさいねお兄さん」
言葉面は謝っているが彼女の表情は喜々としている。何度も何度も発達した肉食獣のような爪で男の肉体を抉った。グチャグチャと臓物を引き千切り目をくり貫き切り刻み原型が無いほどに男を砕いていくうちに彼女は有る事に気付く。
「あれ? 血の色が緑色ですよお兄さん? あはっ」
「…………」
男は既に物言わぬ骸だ。当然、男は答えない。
しかし、頭に血が上って正常な判断の出来ない彼女はただただ愉快そうに笑い続けた——
血塗れのブラウスに身を包み汚い内臓を鷲掴みにして白とは違う妙な色の骨がむき出しの紅くはない緑色の血が吹き出る死体を前にして歓喜に身を任せてただ笑い狂う。そして、気紛れに内臓を噛み千切ってみる。口内に何とも言えぬ味が広がりまたも彼女は微笑んだ。
「アハッ、アハはハハハヒッ、ヒャアァッはははははははははははははははは!」
——————————
第一章 第二話第二節「裂く「咲く」人 二」終り
第一章 第二話第三節「裂く「咲く」人 三」へ続く
この掲示板は過去ログ化されています。