ダーク・ファンタジー小説
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- 禍神学園〜魔道番長編
- 日時: 2015/06/06 03:47
- 名前: 黒騎士 (ID: pcVc9ZHc)
妖怪や悪魔と言うと現代人はそんなものは只の伝説だと言うだろう。
しかし彼らは闇を支配し古来より人々から恐れられてきた。
そして人間でありながら天性の才や修行により人智を超えた力を身につけた妖術師や魔剣士。
現代においても彼らは我々、人間の社会にひっそりと溶け込みながら暮らしているのだ。
ある者は人間との共存を望み、ある者は人間を支配し糧とする道を選んだ。
私立禍神学園高校。
この高校にもまた闇の住人の末裔達が人間に姿を変え在籍していた。
その1人である2年3組の九鬼 武(くき・たける)
彼は人間の母と鬼の父の間に生まれた半妖である。
185cmの長身で赤い髪の凛々しい顔立ちの美青年だ。
武は授業の間の休み時間は大抵、持参した本を読んでいた。
「あの・・・九鬼君・・・3年生の先輩が君を呼んでるよ」
読書中の武に同じクラスの気の弱そうな男子生徒が声をかけた。
男子生徒の名前は戸田好夫。
武「何だってぇ?」
武が好夫を睨み付けた。
好夫「うわーっ!ごっ・・・ごめんさい。僕はただ伝言を頼まれただけですぅ!」
武「いや、お前に怒ったわけじゃねえよ。そんなビビるなって・・・どうせ不良どもが俺が生意気だから用があるってそんな所だろ?」
好夫「はい。そうです・・・」
教室の外では二人の凶悪そうな3年生の不良が待ち構えていた。
不良A「テメェ!調子乗ってんじゃねえぞ」
不良B「よくも俺達、天魔組にちょっかい出しやがったな」
不良達が武を取り囲んで凄んだ。
武「ちょっと待ってくれよ。あれはそっちが金をよこせとか言ってきたから俺は断ったんだ」
不良A「この学園の4分の1を支配する天魔組に下級生が金を寄付する。これはこの学校のルールなんだよ!!」
禍神学園では4つの不良グループがそれぞれ権力を分割しているのだ。
武「そんな馬鹿なルールに従う道理はねぇぜ!おいっ!お前らのリーダーと戦わせろ!!俺が勝ったらみんなから巻き上げた金も返してもらう!!」
不良B「バカか!こいつ!お前如きが我らの指導者、森麗之介(もりれいのすけ)様に敵うわけがなかろうが!!!」
森麗之介とは天魔組の番長で戦国の魔王・織田信長の側近の森蘭丸の末裔と言われている男である。
麗之介は妖しい美貌とカリスマ性、そして強力な妖術によって配下の者達を支配していた。
武はニヤリと口元に笑みを浮かべた。
その口元にはかすかに牙のような鋭い犬歯が見える。
武「やってみなきゃ分からないぜ。奴に伝えろ!!今日の放課後、俺とタイマン張れってな!場所は屋上だ!!」
不良A「命知らずのアホめが・・・せいぜい麗之介様にぶちのめされるがいい!!」
不良B「フフフ・・・今日は血の雨が降るぜ。でも久々に麗之介様の闘いが見れると思うと俺もワクワクしてきた」
不良たちは武を睨みつけながら麗之介の元へ伝言を伝えにいった。
教室に戻ると好夫がやって来た。
好夫「ちょっと・・・マズいですよ!!あいつらのボスの森麗之介がどんなに恐ろしい男だか知ってるんですか?」
武「うん?知らないなぁ・・・どんな奴なんだ?最近、腕がなまってたんだ強い奴ならいいな」
好夫「そんな呑気な事を言ってる場合じゃないですよ!奴は喧嘩が強いだけじゃなくて妖術まで使うんですよ!噂では手を使わずに相手を吹き飛ばしたとか・・・逆らった部下に呪いをかけて殺したとか・・・」
武「ハハハハハハハ!!まさかそんな事あるわけないって、とにかく俺は1度言ったからにはそいつと決着を付けるぜ。男に二言はないからな」
好夫「そうだ!いい方法があります!あの恐ろしい天魔組でも生徒会の人たちには逆らえないんです!だから生徒会に助けを求めましょう!!」
武「何だよそれ。俺は行くぜ」
そして放課後、武が屋上に行くと朝から晴天だったはずが空には暗雲が立ち込めて強い風が吹き荒れていた。
武「何だ、森とかいう奴まだ来てないのか・・・・」
屋上にはまだ誰もいなかったのだ。
だが武は背中に人の気配を感じた。
そして拳を固めて戦闘態勢をとりながら後ろを振り返る。
すると何と好夫がいた。
好夫「ウワーッ!殴らないでくださいよ!僕、九鬼君が心配で見に来たんです。クラスメートだし・・・君は他の不良達とは違うから・・・」
武「ストーカー?」
好夫「いえ・・・だけど男としてあなたに惚れました!」
その後、武と好夫は何も言わずにジーっと見合っている。
- Re: 禍神学園〜魔道番長編(2) ( No.1 )
- 日時: 2015/06/13 23:59
- 名前: 黒騎士 (ID: pcVc9ZHc)
すると突然、落ち着きがあり気品のある男の声がした。
謎の声「やあ、よく来たね。久鬼武くん・・・」
武が声のする方を見ると白い学生服を着た少年が立っていた。
他校の生徒だろうか?禍神学園の制服は青いブレザーのはずだ。
しかも腰には日本刀をさしている。何と奇妙ないでたちか!
スラリとした長身に茶色のウェーブのかかった髪、危険な色気の漂う濡れた瞳に形のよい高い鼻、透き通るように白い肌、少年はまるで天使のように美しかった。
それでいてまるで異界の住人のような妖しいオーラも纏っていた。
武「誰だ?」
武が尋ねると少年はさも可笑しいように笑った。
謎の少年「ハハハハハハ!決闘を申し込んでおいてその相手を知らないとは・・・僕が天魔組のリーダー、森麗之介だよ」
武「そうか・・・あの不良どものヘッドが王子様だったとはね。で俺と闘うのかい?」
武は拳を握り身構えた。
麗之介「ちょっと待って、君と二人きりで話し合いたい事がある・・・」
そう言うと麗之介は手のひらを好夫に向けた。
すると何という事か!!好夫が急に立ちくらみでも起こしたかのように倒れたのだ!!!
武はとっさに倒れる好夫を支えた。
武「お前!!コイツに何しやがった?」
麗之介「ちょっと僕の妖力をぶつけただけさ。大丈夫、ちょっと気絶しただけさ」
武「コイツは関係ねぇだろう!!!」
麗之介「いや二人きりで話すのには彼が邪魔だったんだよ。君だって友達に自分の正体が人間じゃないなんて知られたくないだろ?」
武「何だって?」
麗之介「いや隠す必要はないよ。僕が君が鬼の末裔だって事は知ってるから」
武「何が言いたい?」
麗之介「僕は君の力が欲しいんだ。あの方の野望を実現するためにね。君は織田信長を知っているかい?」
武「信長って言えばアレだろ?歴史の教科書に出てる・・・」
麗之介「そう。信長様は本能寺の変で亡くなられた後、冥府魔道をさまよいながら再び現世に復活して天下統一を果たす事も夢見ておられるのだ。僕の目的は先祖が仕えた信長様を復活させ、その野望実現の手伝いをする事なんだ。そのためには君の鬼の力が必要なんだ」
武「言ってる事がよくわからねぇな!」
麗之介「信長様が人間を超えた真の魔王として復活するためには膨大な邪念が必要なんだ。邪念とは人の憎しみや欲望や怒り。その念を増大させるために僕は自らこの学園の権力者の一人となった」
武「人間の悪意を利用するってか?俺はそんな事はしたかないぜ」
麗之介「君の鬼の力があれば学園を恐怖で支配する事もできる!!!そしてこの学園を信長様の復活に必要な憎悪や悪意に満たせる」
武「ふん!俺は誰にも支配されたくないし支配したくもないぜ!!」
麗之介は腰に下げた刀を抜いた。
麗之介「ならば仕方ない・・・ここで君を斬る!!僕にとって決闘とは生きるか死ぬかの命のやり取りのみだからね」
武「おい!マジかよ・・・真剣って・・・まともじゃねえ」
麗之介「この刀は妖刀・村正!!妖刀とは自ら血を求める刀・・・持つ者の闘争心と凶気を駆り立てるもの!徳川の一族を苦しめし村正もその1つさ」
妖刀・村正、それは名工・千子村正作の刀であり1本ではなく複数存在する。
そのうちの1本を麗之介は手に入れたのであろう。
武「おい、凶器なんて卑怯だろ!!」
麗之介「君は間違いなく鬼の一族なのに妖気を感じさせないんだ?」
武「俺は人間として生きると決めた時に鬼の妖気を封印した」
麗之介「覚醒しろ!君の鬼の力が解放された時に君が望むと望むまいと学園には波乱が起きる!そうなった時こそ邪気に満ちた第六天魔王復活のための場が用意されるのだ!!!ハハハハハハハ!!」
麗之介は村正を持って武に斬りかかる!!