ダーク・ファンタジー小説

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帝都異文〜鋼鉄の棺、囚われし麗しの蝶達
日時: 2015/12/03 10:39
名前: 夏月 (ID: eVM80Zyt)  

大正三年
帝都初の近代的な十三階建ての商業ビルが建設される
しかし一方で奇妙な噂話が囁かれる
十三階に足を踏み入れた名家のご令嬢が次々に姿を消しているという・・・。

時を同じくして暗躍する
謎の神影(みかげ)様なる神を祀る新興宗教者達

更には人魂を売るという奇妙な物売りまで徘徊し始める。

近代化の一途を辿る帝都に影を落とす謎の現象とその背後に蠢くモノとは?





初めまして、夏月という者です。
この作品(駄文)は以前投稿させていただいていたものを大幅に変更した作品となります。

駄文であり更新も遅いですがヨロシクお願いします。

荒らし行為はご遠慮下さい。

Re: 帝都異文〜鋼鉄の棺、囚われし麗しの蝶達 ( No.2 )
日時: 2015/12/06 00:02
名前: 夏月 (ID: tdVIpBZU)  

〈弐〉

失踪事件が連続して発生した為に新聞各社は
《名家ご令嬢 連続失踪!藤原氏に恨みのある者の犯行か!はてはモノノケの仕業か?≫

等と面白おかしく書き立てている始末である。

それは学生にとっても例外ではなく、早朝から学内は件の浅草十三階での公家息女連続失踪事件の話題で持ちきりであった。

「聞いたか九條?また失踪者が出たそうだぞ。」

「朝から騒がしいな君はその件なら今朝新聞で読んで知っているよ!今度は近衛家らしいね、その内にうちの家からも失踪者が出るかもしれないなこれは・・・・・いゃうちは女子は居ないからそれはないか・・・・・。」

学友である穂波修一郎(ほなみしゅういちろう)の問いに適当に応えつつも悪態をついてみせる。

「お前なぁ、仮にも同じ血族が被害にあってるんだからその発言は如何なものかと思うのだが。」

「気にするな、同じ血族だろうと私は所詮、九條家や藤原氏の間では疎まれているから別に何を言おうと誰も気にはしないさ!気にするのは君ぐらいのものだよ。」

Re: 帝都異文〜鋼鉄の棺、囚われし麗しの蝶達 ( No.3 )
日時: 2015/12/06 12:02
名前: 夏月 (ID: SnkfRJLh)  

(参)

「相変わらずの根暗ぶりだな君は、まぁ君が疎まれているのには大体何か理由があるのだろう?心あたりは?」

「心あたりねぇ・・・・・ありすぎて検討もつかないよ。」
名家である九條家の次男坊、九條那月(くじょうなつき)は開いていた古めかしい書物を閉じその整った端正な顔に微笑を浮かべる。

「そろそろ講義の時間だろう、席についたらどうだ?」

そう言って那月は修一郎から顔を逸らし手元の本を開く
程なくして初老の講師が教室内に入ってきて講義の開始を告げたのであった。

Re: 帝都異文〜鋼鉄の棺、囚われし麗しの蝶達 ( No.4 )
日時: 2015/12/06 19:50
名前: 夏月 (ID: SnkfRJLh)  

(肆)

「なぁ、試しに行ってみないか?」
講義が終了するや否や修一郎は那月の下にやってきて提案する。

「試しに行くって?まさか浅草まで行くっていうのかい?」
「そう!そのまさかさ!面白そうなじゃないか!早速出掛けよう!どうせ次の講義は君も僕も抜け出したところで試験に苦しむような講義ではない訳だしね。」
「おいおい、相変わらず無茶苦茶だな君は!いくら受講しなくても試験が余裕だろうと流石に早退するわけにはいかないだろう。」
那月のその言葉に待ってましたとばかりに秀一郎は満面の笑みを浮かべ

「そう言えばこの情報はまだ出回ってないんだが、警察の方でも所謂霊的な何かの線でも捜査をするらしい。それで白羽の矢が立ったのが何を隠そう賀茂・・・・・・。」

Re: 帝都異文〜鋼鉄の棺、囚われし麗しの蝶達 ( No.5 )
日時: 2015/12/09 23:03
名前: 夏月 (ID: tdVIpBZU)  

(伍)

「何をしているんだ!修一郎!とっとと浅草に向かうぞ!早くしろ!つまらん講義など受講していられるか!」
席についていた那月は修一郎の話しを最後まで聞かない内にものの数秒で支度を済ませ先に教室を出て行こうといていた。
「変わり身の早い奴だな君は賀茂家のお嬢さんが関わると言っただけでやる気を発揮するのだから、ある意味で困ったもんだよ、まぁおかげで僕も楽しめるのだから占めたものだけど・・・・。
おい!九條!待ってくれよ」
慌てて修一郎も那月の後を追うのであった。


「何だ?失踪事件が連続している割には人が多いじゃないか・・・ははぁ〜んさては、殆どの人間は買い物客ではなく失踪事件の現場を見に来たただの野次馬だな、暇な奴が多いんだなこの帝都にも」
学生の身分でしかも講義を途中でサボっておいての
この発言に

「それはある意味俺達も一緒だろう。
それに君の場合は事件そのものではなく、賀茂家の・・・。」

「しーっ、静かに!」
そこまで言いかけた修一郎に
那月は口の前に人差し指を立てる仕草をしたかと思うと
件の十三階の商業ビルを指差す。

するとビル正面の一角の畳六畳分の広さには四方に竹が建てられ、注連縄が張られており中央には祭壇が設けられていた。

「あれはひょっとして?お嬢さんが何かされるのかな?」

修一郎がそう呟くも横に居る那月は話を聴いている様子もなく、ただ祭壇の方を見つめていた。

周囲の野次馬達も何やら口々に疑問を口にしながらもこれから何が始まるのか興味津々の様子である。

そこに笙(しょう)の音が響きわたり
続いて龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)と雅楽の音色が躍り、黒色の狩衣(かりぎぬ)・紫袴・烏帽子姿の二十代前半位だろうか、若く美しい女性が姿を現し
祭壇の前の円座に腰を下ろす。

女性が座に着くと奏楽はピタリと止まり女性による独特の作法が始まる。

「・・・八十禍津日神やそまがつひのかみ神直日神かんなおひのかみ大直日神おおなおひのかみ底津海童神そこつわたつみのかみ底筒男神そこつつをのかみ・・・。」

神々の名が朗々と奏上される

Re: 帝都異文〜鋼鉄の棺、囚われし麗しの蝶達 ( No.6 )
日時: 2017/01/07 22:12
名前: 夏月 (ID: 70vEHkeO)  

〈陸〉

「通常の祭儀の最初に奏上する祝詞(のりと)なら祓詞(はらいことば)だろうが、神々の神名が唱えられる祓詞なんて聞いた事がない、なぁこの祓詞は何の祓詞になるんだ?」
「知らないのも無理はないだろうな、今奏上されている祓詞は神祇官(じんぎかん)の長である白川家が用いていた禊祓詞(みそぎはらいことば)だろうな、ただ陰陽道で用いる祓詞ではないような気がするが……まぁ、何らかの意図があるんだろうけれど。」

修一郎の何気無い問いに那月は自らの持つ知識を披露するも自信満々といった様子ではなく疑問視しているようであった。


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