ダーク・ファンタジー小説

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踊り場の花子さん
日時: 2016/10/01 20:04
名前: 末 (ID: NOPTuYCt)

初めまして、末 スエ と申します。

えっと…こういうときなんて言ったらいいか分かんないのですが…


とにかく、楽しんでもらえたらいいなと思っています。



















さて。


皆さんの学校の花子さんはどこに出ますか?


どのような姿ですか?


何を映していますか?






____全て貴方の複製である事をお忘れなく。



























幽霊を見る人は、それを見るだけの理由を持つ。



目の前にあるのは、貴方を映す鏡である。



____これを裏切りと思うかどうかは、貴方次第だ。

踊り場の花子さん___Prologue ( No.1 )
日時: 2016/10/21 19:37
名前: 末 (ID: NOPTuYCt)

 みんなが下校した後の校舎は、昼間の騒々しさがまるで嘘のように静まり返っていた。床に目を落とすと、茶色く濡れたような上履きの後がいくつか付いている。
 その上にモップを掛ける途中で、ふと思い出した。この学校の「花子さん」は階段に出る。一年生の頃からみんながよく話している学校の七不思議だ。
 上から順番に拭いて下りてきた、三階から二階にかけての階段。その踊り場で振り返ると、西向きの窓から差し込む夕焼けの光が目にしみて、何だか泣きそうになる。
心の表面を、影のように暗い不安が襲う。モップを動かして足跡の汚れを消した。顔を上げ、両腕で自分を抱く。


____お前、「花子さん」と友だちになればいいじゃん。お化け同士で気が合いそうだし。


去年の夏休み、自由研究の宿題でみつきは『若草南小学校の花子さん』の研究をした。まだたくさん友だちがいた一年生の頃、放課後ずっと話していたあの話。
 勉強は苦手だし、みんながやってきた理科や社会の勉強とはちょっと違うから心配だったけど、先生が褒めてくれた。それが嬉しかったことをまだよく覚えている。
 本やテレビで目にする「学校の花子さん」は、よくトイレに出るけど、うちの学校では、昔から階段に出る。学校の怖い話には、よく「七不思議」というのがあるが、うちの花子さんにも七つの「不思議」がある。
 そういう怖い話のことを「都市伝説」と呼ぶのだということも、図書室でいろいろ本を読むうちに分かった。
 全国各地の学校に散らばる幽霊の「花子さん」。校舎何階の何番目のトイレに住んでいて、何をすると呼び出すことができて、何をしないと呪われる。修学旅行の最中に事故で死んでしまった子どもの霊だといわれている学校もあるし、トイレで首を吊った女の子だというところもある。
 そして、うちの学校の花子さんは、昔、音楽室の窓から飛び降り自殺をした女の子の霊だ。その時にできた傷が顔にある。六年生の子たちがまだ一年生だった頃から、ずっと伝わっている話。
 みんな知っていることだけど、改めて特徴を書いていくのは楽しかった。だけど、発表している最中、後ろの席の女子達がこそこそ話すのが聞こえた。

 あんなの、わざわざ調べなくてもいいのにね。みつきちゃんの発表ズルじゃない?

 ちらりと、あの子たちが自分を見た。それからクスクス笑う。

 だけど、お化けがお化けの研究って、超笑える。お似合い。

 学校の怖い話。
 俯いてしまう。
 あの子たちがみんな、自分のことを「お化け」と呼んでいることは知っている。一年生の頃あんなに仲が良かった子たちは、みんなみつきから離れていってしまった。たいていの悪口にはもう馴れた。話を聞いてくれる先生だっている。だけど。
 顔を思い出すと、腕がじくじくと疼く。階段の掃除。しっかりやらなきゃ、だって・・・・・・。腕に押し当てられたあの、熱い痛み。あの場所が、まだ痛い気がする。
 花子さんなんて、本当は何にも怖くない。学校で本当に怖いもの、それは____。
 踊り場に置いたバケツの水にモップを沈める。ジャブジャブと音を立て、毛先をゆすいで残りの階段掃除に戻ろうとした時だった。

____どうして掃除してるの。

 背後から、いきなり声がした。反射的に声の方向を振り返る。そして____、驚いた。
 いつ、やってきたのか。
 たくさんの掲示物が貼られた壁の前に寄りかかるようにして、女の子が一人きり、ぽつんと立っていた。
 あまり見かけない、見事なほどに切り揃えられたおかっぱ頭。真っ白うブラウスと、赤いスカート。どこかで見たような格好だ。すぐにテレビアニメのちびまる子ちゃんを思い出した。映画やドラマで「昔の子ども」という役柄を与えられた子が、その衣装と鬘のまま、ブラウン管から抜け出てきたみたいだ。
 目が、お祭りで売られているお面の狐みたいに細い。
「どうして、掃除してるの」
 その子がまた聞いた。瞬き一つせず、じっとみつきの顔を見上げている。
「・・・・・・だれ」
 ようやく声が出た。さっき、振り返ったときには確かにいなかった。下から登ってくる足音も聞いた覚えがない。
「何年生?」
 尋ねながら、顔を確認する。上目遣いに見上げる目が細く歪んで半月形に笑って見える。
 知らない顔だった。ここに通っている子たちの顔が全部分かるわけではないけれど、少なくとも今までに見たことはない。
「いつからいたの?全然、気付かなかった」
「ずっといる」
 掃除をするみつきの手元、彼女の目がモップの柄を見つめる。

Re: 「学校行ってきます。」 ( No.2 )
日時: 2016/09/14 22:17
名前: カイエ (ID: GlabL33E)

初めまして。
タイトルに惹かれて読ませて頂きました。

文章の運び方などが綺麗で凄く読みやすいですね。

私もこちらで小説を書かせていただいているので、人の負の部分をどう描いくのかなど、よろしければ参考にさせていただきたいと思います。



続きが楽しみです!

頑張って下さいね。応援しております。


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