ダーク・ファンタジー小説
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- 静寂な夜
- 日時: 2017/01/20 22:59
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
【序章 嘘の人格】
私は醜い。私だけではない。けれど醜い。
最初から醜かったわけではない。そうだと思いたい。
昔の自分なんて覚えてない。記憶がない。いや、違う。
恐らく消してしまったのだろう。自分で、自分の記憶を。
惨めであろう。他人が私をみてきっと呟くだろう。
『なんて惨めな子なのだろう。』
白い目で見られ言葉の矢が刺さる。それでも血は出ない。
そもそも血なんて、通っているのだろうか。
どんだけ辛くて自分を傷つけても痛くもない。
生きてる意味が分からない。
そんな風に私は思った。
そう言えば私の名前はなんだったっけ、
お母さん、お父さん、私の名前は?
あぁ、胸が痛い。私はいつからこんな子供になったのだろう。…思い出すこともできないなんて…。
私は刃物が好きだ。
尖っている先端をみると落ち着く。
これで自由になれたら、幸せになれたらどんだけ素晴らしいか。考えただけでも満足だ。
いつかこれで殺されたい。
嘘。痛いの怖いくせに。血をみると泣きたくなる弱虫なくせに。強がっちゃってるんだ。馬鹿みたいに。
うるさい…。話しかけないでよ。
この世界がなくなったら、何にも未練なんてない。
なのに死ぬことを恐れている。
なにが未練なんてないだ。なにが殺されたいだ。
嘘ばっかり。そうやって今までもこれからも嘘をつき続けるんだ…。
- Re: 静寂な夜 ( No.7 )
- 日時: 2017/01/20 23:11
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
《休憩》
いや〜いかがですか?
なんと功花と言う私の友達が出てきました!
彼女はこの物語を大きく変える重要な奴です笑笑
続きも是非お読みくださいませ!
ところで…
物語の中の『私』は幼い頃からいじめや虐待を受けています。そゆ設定です。
でも世の中にはそんな子供たちがたくさんいます。
この物語を書いていて本当に思います。
なぜ虐待、いじめを受けなければならないのだろう。
なぜ止める人はいないのか。
考えても意味がないことは分かっています。
今この文章を書いているこのときももしかしたら虐待を受けているかもしれない。影でいじめられているかもしれない。
そう考えると本当に可哀想で。
いつか子供たちが安全で安心で恐怖や怯えのない世界が作れたら…私はそれで少しだけ笑顔になれる。
これを見ている皆さん!いじめや虐待はしてはいけません!
また、それを見ても無視してるのもだめです!
心を強くもちましょ!頑張れ!戦ってるみんな!
と、いうことで物語をお楽しみください!
- Re: 静寂な夜 ( No.8 )
- 日時: 2017/01/20 23:27
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
【第三章 始まりの日】
あの頃はよく功花と話していた。それも共通点を言い合うだけだけど。それでも楽しかった。一緒にいて…。
『××ちゃんも大変だよね、家でもクラスでも…さ。』
私の名前が聞き取れない。正確には流れ落ちて聞き取れない。私の名前は…なんだろう。
==========数年後==========
私は駄目元であの願いを叶えたくなった。
『功花…。貴女なら…一緒に…。』
そうぶつぶつ言いながら私は彼女の携帯電話に着信をした。
「もしもし…」『あっ、久しぶり。私の事覚えているかな…。』「あ、分かるよ!××ちゃんだよね?よく一緒に放課後話した!」『そう…久しぶり。』このときでさえも自分の名前は聞き取れない。「どうしたの?急に…」『会わない?会って話したいことがあるの…。』彼女は快くOKを出してくれた。日時、場所を決め、あるバーで話すことになった。
「久しぶり!変わらないね〜」変わらないか…。そりゃ、そうだよね…。腕には戦った証とタバコの跡。
『あのさ、突然なんだけどさ…』「それよりさ、私の話聞いてくれない?あの後高校やら大学やら行って親の仕事を引き継いだ訳よ。それでまあ、あーだこーだでなんか結婚してて。それで幸せだったら良いんだけど旦那のDVなおんなくて…。もう人生終わったって感じでさ…。」結婚…。程遠い行事である、全くわからないし興味もない。「で、話って?」
言うべきか…馬鹿にされるのではないだろうか…。
本気にしてくれるだろうか…。いや、言おう、今更引き返せないだろうから。
『あのさ、残虐な人殺しにならない?』
- Re: 静寂な夜 ( No.9 )
- 日時: 2017/01/22 01:23
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
〜功花の嘆き①〜
私は美しいと思う。我ながらかなりそう思う。
理由は明確である。美しい家庭に育てられたからだ。
母も美しく育ったし父は美しく躾をされていた。
その二人の間にできた長女の私も当たり前のように美しいのだ。容姿は勿論、中身もである。
母はいつから私を嫌ったのだろう。
何かしただろうか。そう思いながら日々を過ごしていた。
覚えていないのも無理はない。
私がとても幼かったときの話なのだから。
暴力的な躾ならまだよかった。と言うか断然よかった。
けれどそううまくはいかないものだ。
父に何度身体を見られただろう。何度私の…。
嫌な思い出は思い出すものじゃないわね。
しまっておきましょう。
私は駄目な人間だから躾られていたんじゃない。
普通の人間よりさらに上にいくための試練を通ってきただけだ。そうなのだ、私は美しいのだから。
丁度その頃、あの子と出会った。
汚くて虐められてて私とは無縁な子。
……の、はずだった。
- Re: 静寂な夜 ( No.10 )
- 日時: 2017/01/22 00:34
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
知らなかった…あの子が虐めだけでなく『虐待』もされているなんて。私はその時悟ったわ…。今まで自分が辛い思いをして耐えてきたものは『虐待』なのではないか?ってね。
だから、私はあの子に話しかけてみた。でも誰に見られないように放課後、こっそりと。当然私の今までの訓練を言ったわ。そしたらあの子……『それは、虐待だよ。私と同じだね。つらいよね。』何て言ってきた。確かに母がナイフで目をえぐりだそうとしてきた時もあったけど、それは単なる躾。全てが完璧な人間になるための試練だと思った。私は抵抗したときもあったがたった1度だけ………あぁ、今思えばその1度だけの抵抗が引き金になってしまったのかもしれないわ…。
そしてあの子と話していくうちにこんな話になった。
『いつか残虐な人殺しになりたい。』と。
最初はノリだった。本気になんてしてない。
あの子は最初からちょっとおかしいと思ってたけどまさかこんなこと言うなんて…笑えてきたわ。いや、当時の私は隠れてばれないように笑ってたかもしれない。
けれど私は段々とあの子の虐めを軽減してあげた。
私はスクールカーストの中では上だったからクラスの皆は私の言うことを全て聞いてくれた。
『虐めをしないで』と言ったらもう皆しないし、『話しかけてきなよ』と言えばあの子に話しかけにいく。
それを放課後、あの子が笑顔に嬉しそうに話すとなんだか嬉しかった。必要とされてる…ってかんじで。
でも、やっぱり隠れて虐めをするやつもいた。
見ないふりをした。私は助けてあげたのだもの。
それでも私はあの言葉を真剣に受けとるようになっていた。
本当になれたら、どれだけたのしいだろうか。
- Re: 静寂な夜 ( No.11 )
- 日時: 2017/01/22 01:12
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
我ながらあの言葉を信じるのは恥ずかしかった。
でも、もし…あの子が本当に考えてたら…。
私は手助けをする…それだけじゃない。
もういっそ訓練の成果を全て出そうと思う。
こんなことを思っているうちに私はあの子と離れていった。
==========数年後==========
『お前が生活できるのは誰のお陰だと思ってんだ?』
パシッ。部屋中に叩かれた音が響く。子供がいないことを良いことにやりたい放題だ。私は美しいはずなのに、どこで道を踏み外したのか…。あれから何年か経った今。私は今のDV旦那と結婚をした。やっと長年の訓練から解き放たれたと思った。やっと自由に………。そう思っていたはずなのに。
「全てを投げ出したい。」
そう毎日思うようになっていた。私は美しく育ててられ美しく成長し、美しく枯れていくのだ。それがいい。
その時……懐かしい名前が…携帯の画面に写し出された。
あの子だ……。
この子が私の光なのかもしれない。
迷わず私は電話に出た。くよくよしてる自分を隠し、出来るだけ明るく………そんなことを考えながら話していくうちにあの子と何年ぶりかに会うことになった。