ダーク・ファンタジー小説
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- 静寂な夜
- 日時: 2017/01/20 22:59
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
【序章 嘘の人格】
私は醜い。私だけではない。けれど醜い。
最初から醜かったわけではない。そうだと思いたい。
昔の自分なんて覚えてない。記憶がない。いや、違う。
恐らく消してしまったのだろう。自分で、自分の記憶を。
惨めであろう。他人が私をみてきっと呟くだろう。
『なんて惨めな子なのだろう。』
白い目で見られ言葉の矢が刺さる。それでも血は出ない。
そもそも血なんて、通っているのだろうか。
どんだけ辛くて自分を傷つけても痛くもない。
生きてる意味が分からない。
そんな風に私は思った。
そう言えば私の名前はなんだったっけ、
お母さん、お父さん、私の名前は?
あぁ、胸が痛い。私はいつからこんな子供になったのだろう。…思い出すこともできないなんて…。
私は刃物が好きだ。
尖っている先端をみると落ち着く。
これで自由になれたら、幸せになれたらどんだけ素晴らしいか。考えただけでも満足だ。
いつかこれで殺されたい。
嘘。痛いの怖いくせに。血をみると泣きたくなる弱虫なくせに。強がっちゃってるんだ。馬鹿みたいに。
うるさい…。話しかけないでよ。
この世界がなくなったら、何にも未練なんてない。
なのに死ぬことを恐れている。
なにが未練なんてないだ。なにが殺されたいだ。
嘘ばっかり。そうやって今までもこれからも嘘をつき続けるんだ…。
- Re: 静寂な夜 ( No.1 )
- 日時: 2017/01/20 15:22
- 名前: 舞神 華菜依 (ID: cFeUaxqL)
【第一章 始まりの朝】
ベットのシーツが寄れていく。シルクのような肌触りの布団が私の体をするすると…落ちていく。まるで私の心を表現しているかのように。まだ生暖かい感じを残して。
眩しさに負け、目を覚ましてしまった私はまだ眠かった。
ここはどこだろう…そんな感覚に陥る。
ここは自分の部屋なのに。でも始めてきたみたいだ。
起きてキッチンにむかう。
冷蔵庫から水を取り出す息が出来なくなるくらい飲む。
そしてふと…目に入る…。
昨日の夜…自分が戦っていたものに負けた証。
赤い。と言うか黒っぽい赤。開いた傷口。固くなっていた。
どこかで聞いたことがある。
自虐的な行為は自分をコントロールできない人間がやることだと。精神的におかしい人がやるものだと。
私はそうは思わない。私がおかしいだけかも知れない。
でも人は誰しも戦ってると思う。その証が自虐的な行為だと思う。…ただ、それをやることによって皆からの視線を集めたいとか…そういう人はおかしいと思う。
私もよく言われたものだ。母に…父に…。
『自虐行為?そんなもんやって何になる?』
こんな質問をぶつけられた私はただただ泣いていた記憶しかない。理解など出来やしないのだから。