ダーク・ファンタジー小説
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- ザ・プロミス
- 日時: 2017/01/28 17:56
- 名前: 茶色のブロック (ID: qRt8qnz/)
前にイルとか書いていましたが、ちょいと大幅な修正を加えておりますゆえ、別作品を投稿致します。
この作品の主としているのは、『殺意』です。主は『殺意』というだけで、他にも要素はあります。
投稿されるたび、楽しむ、もしくは珍しく思ってくだされば。
たらたたらったー!
- Re: ザ・プロミス二 ( No.2 )
- 日時: 2017/01/30 05:17
- 名前: 茶色のブロック (ID: MSa8mdRp)
店の中では木の匂いと香ばしい匂いが漂う焼き鳥屋。匂いからして、古くから建っている店であることは明白だ。
大男はさすがに店に入るのを躊躇い、舌打ちをしたあと去っていった。
僕はシパルの手を離すと、元の席に戻りながら経緯を尋ねる。
「どうしたんだよ。なにがあったんだい」
「ご、ごめんなさい」
「いやいや、謝らなくていいよ」
こういう恩を作ってしまうと、シパルは少し面倒くさくなる。とにかく相手の機嫌が気になるというのか、小さい頃からの過酷な環境での自然な対応が身に付いて抜けないのだろう。
たかが大きな音でびっくりするような怖がりなのである。
「……ねえ、シパル」
「え…う……、何でしょう?」
相変わらずな対応に少し変化を付けるため、僕は自分の額に手を置いて下を向いた。形から入るとでもいうか、今から言うことは恥ずかしくて、こうしないとゴニョゴニョと喋ってしまう。。
「シパルと約束したよ、僕は絶対に君を守り通すって」
このとき、僕とシパルの間には店の話し声は聞こえなかった。僕とシパルの世界が、そこに展開していた。
「だから、これは当たり前なんだよ。気負うことなんか微塵もない」
血池の床、頬に伝う雫、絶望の瞳。当たり前になってしまったその光景を眺め、僕は現実から逃げた。たった一人の親を葬って救いだしたこのか弱い少女だけは、だからこそ僕が守らなければいけない。
使命とか責任なんて言葉では収まらない。これは、僕の逃走劇の幕が閉じるまで逃げ切る、僕にしかない役目だ。
「……」
シパルは困った表情で俯き、なにも発さなかった。
静かな沈黙。僕は再びシパルの右手を掴み、優しく握った。
「……トート様。私の……せいでしょう?」
「シパルの優しさのせいだ」
シパルの自虐的な発言に僕のおどけた返事を返すと、徐々に周りの声が耳に入り始める。
- Re: ザ・プロミス三 ( No.3 )
- 日時: 2017/01/30 05:19
- 名前: 茶色のブロック (ID: MSa8mdRp)
この店はいわゆる居酒屋である。酒を飲みに来たわけでなく、僕は純粋に焼き鳥が食べたくて入ったが。
シパルも僕の正面の席に座った。表情は変わらず不安そうな顔をしている。
「あ、シパル。お花を摘みに行ってたけれど、どんなの摘んだの?」
すると、シパルは怒っているものの遠慮と困惑の混ざった曖昧な顔になる。
「もう、トート様〜!?」
「ははは、ごめんごめん」
そりゃあそうだろうね。
お詫びとばかりにテーブルの上の焼き鳥のモモ肉の串を彼女の唇に当てると、小さく一口抜き取った。
……僕は、トートと呼ばれているけれども日本人ではない訳ではない。立花(たちばな)トートという日本人だ。母がトートと名付けたらしく、「トート」のカタカナを全て合わせると『正』の漢字になるのが正解だ。
……ま、立花の苗字は捨てたが。
「トート様、これからなのですが……」
「……ん、ひたすら東の日本国を目指すのみだよ。西の日本国は腐ってるから」
僕達の日本は水上上昇と突如現れた謎の巨大鯨で日本の真ん中部分が真っ二つになり、ああやこうやで国が外側からも内側からも分かれてしまった。どうして分かれたのかを説明すれば、とてもじゃないが長くなるのでしない。
一つ言えるとしたら、魔物がこの世界に現れ、あらゆる場所を『森林化』しているのが大きな元凶である。
今は、二一五〇年だ。
- Re: ザ・プロミス ( No.4 )
- 日時: 2017/01/30 07:41
- 名前: 茶色のブロック (ID: Slxlk2Pz)
僕が産まれた頃には北極の氷はほとんど溶けていた。そこから海の水が増え、国の端を沈めてしまった。人口密度は増える一方で、人は貧しくなるばかりだ。
その頃か、魔物が急に現れたのは。
魔物は異空間からこちらの世界にやって来て、邪魔になる人間を喰うか殺すかのどちらでしかない凶暴な生き物だ。もちろんそれとは違う種類はあれど、積極的に殺しに来るのがいることにかわりはない。
そんな魔物が蔓延ると次に森林が急激に増え、都会であろうとも森にしてしまう。
このままでは折角手に入れた人類の技術が消え去り、住める場所が減ってしまう。
そこで考えたのだ。自分たちも魔物の力を手に入れ、対抗しなくてはならない。
- Re: ザ・プロミス ( No.5 )
- 日時: 2017/02/10 23:02
- 名前: 茶色のブロック (ID: XGjQjN8n)
書きたいのに−、時間がない件−。
すみませーんー!
- Re: ザ・プロミス ( No.6 )
- 日時: 2017/03/04 16:04
- 名前: 茶色のブロック (ID: jFPmKbnp)
その為に造られたのが、魔物の力を吸い取る悪魔の装置——。
「トート様、またよからぬことでもお考えなのですか」
と、いつのまにか呆けていた僕にシパルの声が耳のなかに入った。
シパルといえば表情になんの感情も張り付けていないような、無表情に近い顔をして焼き鳥を食べていた。改めて焼き鳥屋に来たことが場違いなのではないのかとシュールな気持ちになると同時、僕はシパルの言葉にはっとする。
「ねえ、シパル。『能力吸引機』の中身が何か知ってる?」
シパルは焼き鳥から目線を外し、顔を上げた。
「知りませんが、何か気になることでもあるのですか?」
あるに決まっている。人が魔法や圧倒的な力を手に入れたのは、能力吸引機による魔物の力を吸い取る行為によるものなのだから。
今や何処にでもある能力吸引機のお陰で魔物による死者数は激減しているのだ。今でも数分歩けば能力吸引機の場所へ行くことが出来るし、大体中身が気になって当然なのである。
「シパル。僕達二人は放浪者、お金なんかすぐに尽きてのたれ死ぬのが定めだと思わない? たとえ盗賊の身になっても、力不足ですぐに狩られてしまう。なら力を手に入れるしか無いだろう?」
僕はある直感があった。生き残る為のスペシャリスト、能力吸引機さんさえあれば僕達はうんと楽ができるはずなんだ。
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