ダーク・ファンタジー小説

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狙われた若人たち
日時: 2017/03/30 15:02
名前: ハチクマともふみ (ID: zXSVwxXi)

これは大学時代の夏、俺と友人3人が出くわした話

俺は友人に唆されて地元でも幽霊が出る場所として有名なトンネルへいくことになった、
大学の方も勉強が忙しくそれに加えてアルバイトの掛け持ち、俺は毎日へとへとだった、唯一残された自由な時間をくだらない噂話のために利用するのは少し抵抗があり、正直あまり乗り気ではなかった

しかもよりによって心霊スポット、
友人は、昼間なら大丈夫、どうせ何もないだろうしそのあと近くで飯食って帰ろうぜ、なんてお目当ての心霊スポットは二の次だと考えているようだった

当日、友人宅へ車で向かいその他2人、全員を車に乗せる
勿論運転は俺、助手席と後部座席に友人が乗り込むと圧迫間のある狭い軽自動車がより一層狭く感じた、俺は走らせてすぐ窓を全開にした

走って1時間、都市部からとばして来たが既に外は木々に覆われている、昼間の日差しがチラチラと木の間から差し込んできているのがわかった、友人たちは用意した音楽をガンガン流して盛り上がっている、俺も親しい友と過ごすくだらないその時間になんだか癒されていた

しかしそんな時間も忘れさせるかのようにひっそりとそいつは姿を現した
自然とは全く不釣り合いなコンクリートで固められた巨大なトンネル、俺は思わず息を飲みおよそ数十メートル付近で車を停車させる


止めるなよ、早くいこうぜ


友人は言ったしかしどこか他のトンネルとは違う禍々しいその姿にハンドルを握る俺の手は汗でぐっしょりと濡れる、だが他の友人からも促され再び車を走らせた

トンネル入り口に置かれた大量の花束、いよいよそれっぽくなってきたと助手席の友人がはしゃいでいる、幽霊にとりつかれることはなかったとしても彼にはそれ相応の罰が下されるのではないかと俺はその時思った、トンネルへ侵入

中は昼間なのに一切の光を遮断させるような作りになっているため非常に暗い、ライトをつけなくてはならないくらいの暗さだった、バックミラーにうつりこむ後部座席にいる二人の顔
少し不気味で滑稽だったが俺はすぐ目をそらし車を飛ばす

それにしても寒い、全開にした窓から入る空気が何だか寒い、太陽の光を一切受けない状況下だ、気温も下がるのも仕方ない、俺は窓を閉めた

長いトンネルを走り続けること1分、奥に光が、トンネルもそろそろ出口に近づいてきた、そして出口を抜けると再びそこは青い空と覆い繁る一面の緑

その光景を見た瞬間何だか妙な達成感が生まれた、結局何も起こらなかったそんな拍子抜けの結末に俺の顔から笑みがこぼれる、友人も少し残念そうだったが何も起こらないだけマシだと俺は宥めて再びトンネル内へ侵入自宅に向かって走り出した

トンネル内で俺は音楽を大音量で流す友人と談笑しながらどうでもいい話で盛り上がっていた、すると後部座席の友人一人が盛り上がっている話の流れでぼそりと言った

実はさっきトンネルに入ってすぐ後ろの方で妙な音がしたんだよな
でも暗くてよく見えなかったから特に気にしてなかったんだ

え、

俺がその言葉に驚き思わず声を漏らすと、その瞬間音楽が切れた
充電切れでも無く突然切れたのだ、変なこと言うなよと、助手席の友人が後部座席の友人に注意する、


寒い閉めて

後部座席に冷たい風が吹いてきていたのか寒いと言う奴も出てくる始末
だが窓は最初にトンネルへ入った時に閉めた風なんて吹くはずがない、もう窓は閉まっている、暖房でもつけようかと俺は後ろの友人をバックミラーが越しに見る、


顔が3つあった


後部座席にいるのは2人だけのはず、俺はその瞬間背筋を冷たいつららのようなものでスゥーっとなぞられた感覚に陥りパニック状態になった、一気にアクセルを踏み込みもうスピードでトンネルを出ていく、反動で友人たちは背もたれに打ち付けられ驚いているのも見ずにとにかく一心不乱に走り続ける

おい!!!!!

助手席の友人が叫ぶ、俺は我にかえり、あっと一瞬力が抜けると、友人に足を蹴りあげられる、友人は俺の座席とのわずかなスペースから足を出しブレーキペダルを踏み込んだ
気づくとトンネルを出てすぐのガードレールが目の前にあった、俺の手はガッチリとハンドルを握りしめておりそのハンドルは右側に捻られていた

何やってんだよ、お前

あまりの突然のことだったので周りの友人は真剣な顔で俺を叱りつける
だが俺はフロントガラスの向こう側にある生首に目がいっていて全く聞く耳をたてていなかった、生首はさきほどバックミラー越しでみたものだった

白くそして焼けただれたような肌、黒一色の眼は俺を確実に睨み付けている
口をパクパクと動かしていて最初は何をいっているかわからなかったが、


ちがう、ちがう、ちがう、


口はそう言っているように見えた、数秒それが続くと生首は木々の生い茂る山の中へ消えていった、俺はそのあと友人と運転をかわってもらい近くのファミレスで休むことにした、一部始終を話して友人たちとは和解した、ちなみにあの時窓を閉めてといった人間は誰もいなかったと言う


それ以来あの場所には行ってない、それのせいか特に変わったこともない、ただもしあの時友人がブレーキを踏んでいなかったら、そしてあの生首、ちがうという言葉、なにが違うのか、結末かそれとも狙っていた相手が俺じゃなかったという意味でのちがうなのか、、、

謎が深まるばかりだが俺はその後友人からとんでもないことを聞いた

とんでもないこと、それは
あのトンネルが心霊スポットなのは確かな情報だった、何でも深夜2時頃にトンネルを訪れた車のボンネットに黒い影が落ちてくるのだ、それに驚いた運転手が誤ってハンドルを切り事故を起こすと言う事件が多発しているということ

恐らく俺が見たあの生首はトンネルに潜むものでは無いのだろう、山の中へ消えていったということは今もどこかでさ迷っている、それ以来俺は車を運転することはなくなった



車を常用する方はくれぐれも気を付けてください、次はあなたの元に姿を表すかもしれない

ちがう

いぬづかさん ( No.1 )
日時: 2017/03/30 18:43
名前: ハチクマともふみ (ID: zXSVwxXi)

昨日久しぶりにいぬづかさんを見た

いぬづかさんというのは犬のような姿をしているが二足歩行で青い警備員の服を着用している生き物だ、犬と言うよりも人間に近いのかもしれない、ちなみに体長は2mほどの巨体、昔テレビで見たいぬのおまわりさんの実写版といったところか、

普段から何をしているのかよくわからない、ただ存在感がすごい、そして何より万人が目撃できない存在で通っている高校でも僕と上級生の野球部の先輩が一人、あと何故か校長先生も目撃している、そのため校長とは少しだけ顔見知りである

今日は駅前の洋服店の行列に並んでいた、周りの人はどうして気づかないのだろう、それにして最近見ないうちに少し太ったんじゃないか、いぬづかさんはズボンのベルトを少し気にしているようだった、

それにしても不思議だ、何故かいぬづかさんの立つ場所のところだけ奥様方はスペースを開けている、本当は見えてるんじゃないか、そう思っているといぬづかさんは僕の方を見る

一瞬ドキッとした、見た目はとてもチープないぬの着ぐるみだが少なくとも見える人間が限られている時点で普通ではない、僕はそこから離れようとすると、いぬづかさんがおもむろに前に立っているおばさんの頭を叩いた


痛いっ


いぬづかさんの前に立っていたおばさんは頭を押さえて後ろを振り向く
後ろには口の両サイドに指を入れて伸ばし、そのまま学級文庫というと「学級うんこ」になってしまう状態のまま、ほぼ白目の状態になるくらいまで黒目を上へ上げた全力の変顔をしているいぬづかさんが立っていた

いぬづかさんがおばさんの正面から離れると後ろに立っていたおばさんに目掛け、叩かれたおばさんがグーで殴る、殴られたおばさんはそのまま倒れ込むと、今度は倒れ込んだおばさんのうしろのおばさんが怒りだす、そしてどんどん騒ぎは大きくなりおばさん数十名の血で血を洗う大乱闘になった

あまりの凄惨な光景に思わず僕も息を飲む
ついには本物の警備員までやって来る始末だった

いぬづかさんはというと、綺麗なお姉さんを見つけたのか、おしりをずっと触りながらその光景をにやにやして見ていた

いぬづかさんはどうやらオスのようだ
僕は少しだけ羨ましく思った


その夜、予備校帰りにスーパーでお弁当を買って帰る僕は夜道をとぼとぼ歩き時間を潰していた、するとどこからか男の人の悲鳴と綿が詰まった厚い布団を何か固いもので叩くような音が聞こえた、気になりその音のする方へ歩いていく、喧嘩か、少し好奇心が沸きこっそり見てやろうと思った

駅から少し離れた路地に入ったところだった
暗くてよく見えないがサラリーマン風の男の人が何か大きなものに覆い被さられマウントポジションをとられた状態でぼこぼこに殴られている

最初は抵抗していた男性も徐々に力を失い、抵抗しようと伸ばしていた手が地面へと下がっていく、これはまずいと僕は、殺しだっ!と叫んでしまう

そうすると覆い被さっていたものが動きを止めて、ゆっくりとこちらを睨み付けるような動きを見せたのがわかった、車が近くを通りライトが一瞬こちらを照らした瞬間その姿は見えた


顔面に返り血を浴びてこちらを獣のような眼で睨み付けるいぬづかさんだった


肉を食らう獣のようなその眼に僕は殺されると確信して、その場から身動きがとれなくなったしまった、しかしいぬづかさんはそのまま僕を無視して僕のいた反対方向へ走っていき姿を消した

腰から落ちる僕は少しだけ放心状態になったあとすぐに持っていた携帯電話から警察に通報


翌日結局僕の発見が遅かったせいもありサラリーマンの男性は死んでしまった
顔に何ヵ所も巨大な金槌で殴ったような痕があったようで骨は床に落とした時の卵の殻くらい、ぐしゃぐしゃになっていたらしい

男性の手元には血で汚れたデジカメが置いてあったという


常用していたカメラだったのか、どちらにせよ、手元にあったのなら何かを撮ろうとしていたのか、景色か、もしくはいぬづかさんか、本人が亡くなってしまっている以上真相は闇の中だ

僕と同じいぬづかさんの見える人だったのかもしれない
だとすれば僕も危ないんじゃないか、そう思っていつもの通学路を歩き、駅のホームへ立つと
反対側のホームにいぬづかさんがいた

僕と目があっている
僕はあっ、と思いその姿をまじまじと見つめてしまう
するとおもむろにいぬづかさんはいつもの警備服の胸ポケットから何かを取り出す


それは血で汚れたデジカメだった
デジカメを右手にとり、ピピッという音と共に僕をフラッシュを炊いて撮影し始める
僕の方の電車が来た、僕は電車に乗ってもその姿に釘付けだった

デジカメで撮影するいぬづかさんの表情は満面の笑みだった


次に狙われるのは僕なのかもしれない
そんな不安を残したまま電車は走り出す

親知らず ( No.2 )
日時: 2017/03/30 21:13
名前: ハチクマともふみ (ID: zXSVwxXi)

痛い、

歯がとてつもなく痛い、ちょうど一週間ほど前だ、突如歯が痛み出して、その内治るのだろうと思い放っておいたのだが、ご飯を食べても痛い、朝起きたとき口が乾いているのか常に痛み、飲み物を飲むのも辛い始末、さらには夜も痛みだし眠れない

これは普段の生活に支障が出る、耐えられないと思い、俺は母親に相談
あぁ〜親知らずだね、

母は言った、俺は今までなったことのない親知らずに驚きが隠せないでいたが、誰でも突然なるものだと随分他人事だった、名の通り親知らず、薄情な歯のせいで俺はメンタル崩壊寸前である、俺はとりあえず明日の学校は休み歯医者に行き治療に専念することにした。


翌日俺はやはり寝不足でふらふらの状態の中近くの歯医者に向かう
何年ぶりの歯医者だろう、それもよりによって親知らずとは、ついでに虫歯がないか見てもらおうと外を歩いていると、初春の冷たい風が顔をなぞる


少し寒さを感じた、花粉も少しあるのか鼻がむずむずする、俺はおもむろに鼻をさする


ズキッ!!


するとどうだろう、鼻は何か固い鋭いもので突き刺したような痛みが走った
あまりの痛みに涙が出る始末、俺は慌てて近くのデパートに駆け込みトイレの鏡を見る

鼻が大きく腫れ上がっている
詳細に言えば鏡に向かって右側が赤くなっているのだ、今までなったことのない大きなニキビだ、とにかくひどい大きさだ、触ってみるとやっぱり痛い

親知らずなんて無茶苦茶なものをずっと格納していたせいで身体全体が不調を訴えているに違いない、早く親知らずを治してもらおうと俺は歯医者に急いだ



なんということだ
素晴らしい歯医者だった、俺の知っている歯医者の知識と言えばまずチェック、その後あーだこーだ言って次回に続くといったものですぐに治してもらえるものではないと思っていたのだが、

たまたま訪れた場所の医者が名医だったのか、その場で確認して1時間もしない内に親知らずを除去してもらった、ついでに虫歯も見つけたのでそこもドリルで削ってもらった
つまり行く前よりも歯が健康になったということである、痛み止の薬をもらい俺は歯医者をあとにした、こんないいことがあっていいのか、俺は感動に浸りながら帰宅

その後久しぶりに熟睡した


次の日、学校は休み


気持ちい朝だった、ここ一週間の苦しみが一気に消し飛ぶくらいの清々しい朝だった
俺は心地よい朝の日差しを浴びておもむろに洗面台の鏡に向かった

するとそこにはまるで自分とは思えないほど見たこともないくらいに腫れ上がった鼻をした俺がいた


これは一体どういうことなんだ、、、
なんなんだこれは、俺は動揺し軽くパニック状態だった、大きさは大体握りこぶしくらい、こんな顔で学校になんていけない、というか親になんて説明すればいいんだ、色々考えている最中激しい頭痛に襲われる、割れるような痛みに俺は頭を押さえて必死にもがく、吐きたいけどなにもでない、そんな状態で俺は倒れる寸前、ふと鏡に目をやると

大きな鼻のニキビからにゅるっと何か白いものが出てきていた


膿?
最初はそう思ったのだが、それは出ていくにつれ大きくなっていくそして白い物体をよーくみるとそれは足のようにも見えた

まさか、そんなはずは・・・
しかし明らかに足の形をしている、俺は激痛に耐えながら必死にその姿を見続ける
足はさらに大きく伸び、胴体らしきものが出てきて最終的には腕と顔までも出てくる

その白い物体の顔が完全に鼻から出てくる寸前で俺は激痛に耐えられずそのまま気絶した


目が覚めると目の前に俺の頬を叩いて起こす母親がいた
俺は慌てて鏡を見るがそこにはいつもと変わらない俺の顔があった
ホッとした反面、信じられない状況を目の当たりした恐怖がまだ胸の奥で渦巻いている

両親に説明しても信じてもらえず、結局あのニキビについては何だったのか今もわからない
ただ俺はあれもまた一種の親知らずなのかなと思ってしまった


みんなの身体のどこかにも、もしかしたら潜んでいるかもしれない
突如として姿を表す厄介者、それが親知らずだ、、、

私を掴む者 ( No.3 )
日時: 2017/03/30 23:33
名前: ハチクマともふみ (ID: zXSVwxXi)

最近憂鬱だわ

今年で25歳、仕事での悩みだって当然ある、彼氏ともうまくいってないし、何だかとても憂鬱なの、友人も私と同じで忙しいみたいだし、ストレスの発散場所と言えばこうやって一人でお酒を飲んでふけるので精一杯

そして何よりここ一ヶ月でおよそ10回以上あることが起きているの


それは寝ている間に誰かに足首をぐっと掴まれること、指でしっかりと押している感覚、痛みそして握られたさいに感じる欠陥の圧迫間、明るい場所で見ると足首からふくらはぎの根本くらいまでがびっしりアザで埋まっている

もう気のせい何て言ってられない
でも誰に相談すれば、


友人?
いやいやバカにされるだけ

彼氏?
無理、相手にされ養い

会社の同僚?
もっと無い


母さん、、、
絶対無い



父さんが亡くなってから母さんとはいつも喧嘩ばかりしてて、大学3年の頃、母さんが激怒した挙げ句私の部屋の大事な化粧道具捨てたもんだから、もうここにはいられないって出ていった、結局大学も辞めて、就職活動に望んだけど、行けた場所と言えば名の知れない中小企業の子会社、セクハラパワハラでもう頭おかしくなりそう、、、

それも全部母さんの大事な貯金もくすねたせいなんだけどね
でもあんなに怒らなくたっていいじゃない、自分の子の過ちくらい許してあげてもいいってのに、とにかくそれ以来母親とは全くコミュニケーションをとっていない


今日も疲れた、さて寝ようか

暗闇の中うっすらと外の灯りを感じる
ぼやける視界、ふわぁっと夢の世界に入ろうとした、その時

ぐぐっ・・・

また足を掴むあの感覚に陥る
痛い今度のはかなり痛い、まずい、これは尋常じゃない痛みだ
私はもう一方の足で必死にその掴む手を蹴飛ばして外そうとするが、外そうと蹴り続けるとまるで自分の足も持っていかれるのではないかと思うぐらいにがっしりと掴まれている

足がもげると思ったその時、ふとシーツと身体の間から掴む手が見えて、その奥にいる掴む者の顔が見えた、とんでもなくボロボロになった顔は白目を剥き出してこっちを見ている

目があった瞬間私は視界が真っ暗になった、、、


次の日、足の痛みがとれないまま、私は少し恥ずかしかったが友人に相談した
すると友人の知り合いにどうやらそういう霊的なことに携わる人間だと言うことがわかった、私は連絡先を教えてもらい電車を何度も乗り換えて約3時間かけてとある民家についた


そこにはいかにも霊媒師のような着物を羽織り、頭に蝋燭、そして首には眼球ほどある大きな玉の数珠を着けた無精髭の男がいた

霊媒師のその人は私の顔を見るたびに黙って手を引っ張り、そこの座布団に座れと言ってきた


霊を祓う人間が顔を見るなり行動するパターンは一大事だろうとテレビで見た知識だけで思った、そしてそれからその男はブツブツと何か言いながらひたすら私の周りを徘徊し始める、黙って目をつむっていると霊媒師の人は突然奇声をあげてその場に倒れ混んでしまった

中々本格的なパフォーマンスだが、お金は払いたくないと思い、その姿を見ていると
突然男は顔面蒼白になり私の顔を見るなり腕を掴んできた、足の次は腕かと私は思ったが、その掴む力はありえない力だった


ぐああああああああ!!!!!


先程までブツブツと何かを言っていた時の声とは違うの太い獣のような唸り声
ふざけ半分で見ていた私もあまりの形相に恐怖を感じる程だ
誰もいない人里離れた小さな民家、あわよくば、そんな最悪の結末を悟った私はパニックになりその人の手をはらいのけようと暴れるが、びくともしない、指の爪と肉の間に自分の爪を押し込んで剥がそうともするが男の形相は何一つ変わらない

殺される、そう思った


ふみこ・・・・


男はゆっくりそう言った
私はその瞬間パニック状態から正気に戻り、力が抜けた
掴んでいた男の手も徐々に力が抜けていき、男はそのまま失神し動かなくなった

このまま死んでしまっては困るそう思い、私はとりあえず救急車を呼び、担架で運ばれる男を見守ると床にお祓い金として五千円だけポストに入れてその場をあとにした


ふみこ
それは母親の名前だった
私は急いで今の霊媒師の男の家から電車で10分近くいったところにある母親が住む実家へ急ぐ、するとそこには見覚えのある親戚のおばさんが立っていた

あ、よっちゃん、さっきね、ふみちゃんが台所で倒れてたのを誰かが見つけてついさっき救急車で病院に運ばれたの、すぐに行ってあげて

母親の危篤、私は急いで病院へ向かった
病室に入ると奥のベッドに母親が眠っていた

私が母親の横に椅子を置いて座るとそれと同じタイミングで目を覚まし私を見た
久しぶりの母親との再会しばらく会ってないうちに少しフケてしまっていたのが少しショックだったのとちょっと安心したので勝手に涙が出てきた

母親もそんな自分を見て泣いていた
家族の久しぶりの再会が涙何てなんだか悲しいような、切ないようなそんな気持ちになった
それからは数年、母親とはよく連絡を取るようになり最近では一緒に温泉旅行にいくぐらいの仲になった、今の仕事にも慣れてきて彼氏とも上手くいっている、あの掴む者も現れなくなった


あと本当どうでもいい話だが霊媒師の人からお中元が届くようになった

いぬづかさん その2 ( No.4 )
日時: 2017/03/31 09:19
名前: ハチクマともふみ (ID: zXSVwxXi)

今日もいぬづかさんを見た

いぬづかさんとは実写版いぬのおまわりさんのような格好をした見た目は犬だけど二足歩行の巨体である、この間夜の路地でサラリーマンを虐殺していたいぬづかさんを見て以来、僕が今まで見てきたいぬづかさんの印象が180度変わってしまった

あれからいぬづかさんを見ると少し恐怖を感じるようになったが、今日もいぬづかさんはバスに乗っている、どうせ何かするわけでもないのにどうしてバスに、、、そもそも特定の人にしか見えない存在なんだからこういう支払いの面倒な交通機関は利用しない方がいいのではないかと思うのだが、いぬづかさんも歩くだけだとしんどいのか

しかもよりによってなぜ僕の隣の座席に、、、


いぬづかさんは体長2mほどあるので存在感は半端なくある、腕があたって、若干狭いのだが、できれば早く降りてほしい。

そう思っていると次の停車場所でおばあさんが乗り込んできた
おばあさんはゆっくりと前に進むと僕の隣の座席、いぬづかさんの前に立った

あ、おばあさんだ、でもいぬづかさんどうせ譲らないだろうしこのおばあさんもいぬづかさんのこと見えてないだろうから、このまま立たせたままになっちゃうのかな、、、でもここは僕が譲るべきなのか、出来れば次の次が学校だからもう少し座っていたいのだが、いやしかし

そう思っているといぬづかさんはおばあさんをそのぶっとい腕で持ち上げて、自分の膝の上に乗せた


え、そういうのありなの?


僕は思わずあんぐりしてしまったが、おばあさんは何食わぬ顔でひっそりといぬづかさんの膝の上でこっくりこっくりしてる
というよりも何だか、顔が青ざめてる?
何だろうおばあさんが最初に見たときよりもやつれているように見える

とおばあさんの顔色をうかがっていると、いぬづかさんは僕の方を見て
一瞬だけ鬼の形相になった


な、何だよ、僕が何かしたのかよ
よくわからないがこれ以上詮索するのは止めよう、それにしてもおばあさんの顔色が良くない、もしかしていぬづかさんが生気を吸いとっているのか

そう思いつつ僕は学校前に到着したバスを降車した、するといぬづかさんがそのうしろを着いてくるように近づいてくる

嘘だ、僕と同じ場所で降りるのか
だってここは学生か学校関係者以外は利用しない停留所だぞ
僕はそう思いそそくさと小銭を料金入れに流し込んでバスから降りる

いぬづかさんまだ近づいてくる、すると


お客さん!料金払っていってくださいよ!


え?
運転手のおじさんがそういった、目線とタイミングもいぬづかさんへ言っているようだった
僕は驚いた顔をして、いぬづかさんの顔を見ると、いぬづかさんも驚いているようだった

運転手はそのままバスのドアを閉めいぬづかさんを乗せて去っていった


僕以外にも見える人また見つけちゃった、、、

鍵 ( No.5 )
日時: 2017/03/31 10:00
名前: ハチクマともふみ (ID: zXSVwxXi)

鍵がない

昨日出掛ける前に迷わないようちゃんとテーブルの上においておいたはずの鍵がどこかにやってしまった、畜生もう探している時間なんてないのに、今日はミキちゃんとの久しぶりのデート、今日こそプロポーズしようと一ヶ月前から計画をたててきたんだ、レストランだって予約したし昨日誕生日だったらしいからそのお祝いケーキも手配して、イルミネーションだってリハーサル何回もした

全ては完璧、絶対に上手くいく、そう自負できる状態だって言うのに、何でこんな時に限って、大事な家の鍵をなくしちゃんだよ

そうだ大家さん!
ダメだ今週はスペイン旅行でいないんだ、最近のおばさんはどうしてこうも海外旅行が好きなのかね、しかもスペインなんて、情熱の国で何を燃やすつもりなんだろうか、パーマでも当てる気なのか

そうだ剛にお願いして・・・



剛)俺これからは真面目に働こうと思ってるんだ

俺)ほう、頑張れよ、まぁどうせすぐ諦めるだろうけど

剛)そんなこと言うなよ、俺だって男だ、二言はない、次こそ真面目に働く、どんな荒波にだって乗っかって見せるさ、もう楽して生きるのはやめたんだ

俺)いつになく真剣だな

剛)僕はいつだって真剣だよ、その内また連絡するから、その頃には立派な社会人になってそうだ、お前に今度寿司でもおごってやるよ

俺)あぁ、楽しみにしてる

ガタンッ



頼みづらい、あの意気込みを聞かされてからのこんな些細なお願いなんてできない
アイツにお願いするのは止めておこう

でもどうしようこうなれば施錠せずに家を出ることになるが
まぁ半日だけ、たった半日だけだ、デートが終わったらすぐに帰ってくればいいさ
デートが終わって・・・

でももしそのあと以外と盛り上がっちゃって、恋の嵐になってしまったら、そうなればやることは一つだ!

あ、朝帰りコースも考えられる、もしかしたらそのまま同棲して、両親に挨拶まで済ませちゃうかも、そうなればしばらく家に帰ることが出来なくなるぞ


う〜〜〜〜〜ん


心臓の鼓動が段々と高鳴っていく
どうする、本当にどうする、遅刻なんてできないし
でも女性って大概遅れてくるもんだよな、
ミキちゃん今までのデートで一度だって遅れたことないじゃんか
くそ〜、もうこんな時間か、電車はこの次のやつじゃないと快速で次来るのは20分も先だからな、

すると


プルルルルルルル

プルルルルルルル


彼女から電話だ
ミキちゃんだ、出なくちゃ
心臓の鼓動がますます高鳴る

ドクン


もしもしミキちゃん、うん、そうそうあのね

ドクン

今まだ家なんだけどさ、実はちょっと大家さんに捕まっちゃって
長話付き合ってたんだよ、だから少しだけ

ドクン

遅れるからさ、そのもう少し

ドクン


チャリン

え?
自分の鼓動が聞こえる、でもその間に何か聞き覚えのある音が


ドクン
チャリン

ドクン
チャリン

まさか


俺はミキちゃんからの連絡も耳に入らず、そのまま携帯電話を落として、急ぎ洗面台へ
おもむろに上着を脱いで確認すると
そこには心臓部分に大きく縫い目が施された自分の上半身があった

マジかよ




次のニュースで昨日未明○×マンションで男性一人がナイフで自分の胸元を突き刺し亡くなっているのが近くの住民により発見されました、発見当初玄関ドアから漏れ出した血液に隣の住人が気づき通報、その後救急車で搬送しましたが既に死亡していることがわかりました。


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