ダーク・ファンタジー小説
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- Abyss Apocalypse 名もなき炎
- 日時: 2017/04/09 21:59
- 名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: bmJ5BkM0)
- 参照: http://www.z-z.jp/bbs.cgi?id=kings&p3=google&th=&style=1&wr=1
主な登場人物
八雲高校
川口 亮(かわぐち りょう)
二年生。臆病な性格だが、反面、自分が危険な状態にあっても、仲間だけは放っておけないという一面もある。
西原 雄介(にしはら ゆうすけ)
二年生。亮とは正反対な冒険家で、将来の夢は新聞記者。あまり騒いだりはしない方だが、観察力は人一倍で、誰よりも先を見据えている。
時雨 美希(しぐれ みき)
二年生。幼少期に両親を亡くしており、祖父と祖母が面倒を見てくれている。将来は自分のような子供達を助ける仕事をしたいと思っている。
だが、ちょっと間が抜けているところもある。
森澤 杏子(もりさわ きょうこ)
二年生。しっかり者の委員長タイプで、何事にも動じない。
舞台 三代孤児院
1945年に設立された、戦争孤児救済のための孤児院。
ある事件で惨殺された孤児達の思念によって、孤児院に引きずり込まれた沢山の人々が惨い死に方をしている。
- Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.4 )
- 日時: 2017/04/11 07:54
- 名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: v8Cr5l.H)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=476.jpg
霊が消えてから、一同は二手に別れて別行動を始めた。
亮と雄介。美希と杏子。
亮サイドは、二階を探索するため、階段を探していた。
「おい亮」
「な、何だよ」
「てめぇ引っ付きすぎ。離れろ気持ちわりぃ」
「な、...こんな、何があるか分からない状況でそれはないだろ!」
「うっせぇとにかく離れろよ...何もねぇって」
「......」
「あ......階段あったぞ、亮」
「おお、じゃあ上にあが...」
「あが...何だよ」
亮が言葉と足を止める。だが、雄介は進もうとする。
「おい雄介...上はちょっとヤバい...」
「あぁ?ここまで来て何が『上はちょっとやばいよー(ハート)だよてめぇ」
「おい今語尾に(ハート)って付けただろ。俺、そんなキャラじゃないからな」
「アホが。んなこた、どうでもいいんだよ。さっさと上がるぞ!」
「ま、待ってくれ!」
薄気味悪い階段を恐る恐る上がっていく。
手摺は樹液か何かのような液体でべとついていた。
「うわ、気持ち悪。糞が。何でこんなきたねぇんだだよ」
雄介がブツブツ文句を言う。
壁の所々には血が付いている。
「...俺達以外にも、ここに連れて来られた奴がいるってことか。この血、随分最近のもんだぞ」
「...雄介、お前怖くないのか?」
「こんなもん怖くねえよ。つかむしろ、そんなこと思ってっから、本当に怖くなんだろが」
「...強いな、お前」
「...おし、二階だ」
亮と雄介は、二階を見渡す。
そこには、ボロボロになった遊具や人形が散乱していた。
- Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.5 )
- 日時: 2017/04/11 07:59
- 名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: v8Cr5l.H)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=477.jpg
「うわ...何だこれ...えげつねぇ...」
雄介も思わず身震いをした。
笑顔の人形が迎えてくれている、というふうに考えればメルヘンチックだが、
この暗い廃墟の中で笑顔の人形が、それも無数に転がっていればそれはメルヘンなんかではない。
「...霊とかいるんだろ?だったら、コイツらが動き出したりしてもおかしくは...」
亮の心配を
「アホ。んなわけねぇよ」
雄介が軽く一蹴する。
しかし
「うわっ...!」
「あ?足でも滑らし...うわあああっ!!亮!亮!大丈夫か、亮!」
「た、助けてくれッ!」
突然亮が、何者かに足を掴まれた。
『アアアア...イイイイイイ...』
「...!?に、人形だ!」
亮が、自分の足を掴む者の正体に唖然とする。
「く、くそ!くそが!離しやがれバカ人形がぁ!」
そう言って、人形を蹴る。
顔が取れる。
しかし
『アヒヒヒヒヒャヒャヒャヒャヒャアアアアアアアアアアアアッ!』
なんと、再び顔が生えてきた。
「う、うわあああああああ」
「い、痛ッ!」
亮は足を噛まれた。
「亮!くそくそくそくそくそ!」
「...お、俺を...俺を置いて行け!」
「るっせぇ、邪魔すんならお前も一緒にぶん殴るぞ!」
諦めかけていた亮にそう言って、雄介が取り出してきたのは、消火器だった。
消火器で撲殺(?)するのだろう。
「うおおおおおっ!死ね、糞人形ぉぉッ!」
バゴッ
鈍い音。
亮が目を開けると、
目の前には、
狂気に満ちた笑顔で此方を見つめる人形。
血を流していた。動かない。
「......たす...かった、のか?」
「...ったく、人形ごときに取り乱しちまったよ...情けねぇ。...てか、俺達いつまでここにいるんだよ?
さっさと脱出のカギになるもん探すぞ!」
「お、おう!」
再び、二人の捜索が始まった。
- Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.6 )
- 日時: 2017/04/11 08:12
- 名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: v8Cr5l.H)
「こんなところを女子だけで捜索させるとか、男子サイテー!」と杏子。
「もしかして男子と組みたかった?」と空かさず美希。
「そ、そそそんなわけ、ないじゃん!」
「...へぇーー...」
美希が意地悪そうにほくそ笑む。
こんなところに連れて来られてまでふざけていられる美希に杏子は、呆れつつも尊敬の念を抱いていた。
「ねぇ美希」
「んー?」
「私達、死なないよね」
「うーん、どうだろ。死ぬにしても、『アーオーーッ!』みたいな顔では死にたくないなぁ...」
「どんな顔よ...」
やはり、美希といると恐怖心が半減する。
「...ふふ、ありがと、美希」
思わず、杏子はその謝意を言葉にしていた。
「...へ?何」
と美希が聞き返してきたので、慌てて
「う、ううん、なーんでもなーい」
と、あえて素っ気なく答えた。
- Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.7 )
- 日時: 2017/04/11 22:04
- 名前: 狂yuki (ID: bmJ5BkM0)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=479.jpg
雄介と亮は、二手に別れて行動していた。
雄介は、比較的死体の数が多い北半分の捜索をし、亮は死体が少ない南側を探索していた。
そうして雄介が、暗い中を走っていると
ドンッ
誰かにぶつかった。
「うっ...いってぇ...」
すると、
「ぁぁ...大丈夫だったか?」
と言ってきた。
身長が高く、体格もがっしりしていて、虹彩が燃えるように赤い青年。
白地に、赤いラインが入った制服を着ていた。
「あ...あぁ。お前こそ大丈夫だったのかよ...って、その制服...?」
「ああ......俺は百刻縁山学園の黒瀬 亘(くろせ わたる)だ」
「俺は八雲高校の西原 雄介。お前も、ここに連れて来られたんだな...」
「ああ...『仲間』も一緒に、な」
「その仲間は...死んだのか」
「分からない。彼奴らと一緒に、ここに飛ばされて、それからは誰とも会っちゃいない...が...」
「......が、何だ?」
「...見ての通り、この孤児院には死体が沢山ある。この中にいるのかもしれない」
「.....」
すると、亘が少しほくそ笑み、訊いた。
「.....どうした?ここが怖くなったか?」
「.....?」
「はは、無理もないな。ここは人が死ぬのが当然な世界だ。俺達の世界の常識なんて通用しない」
「.....(コイツ、どことなく危険な感じがするな)......ちょっと、仲間を探してみるわ。じゃあまたいつか、な」
しかし、その雄介の背中を見て再び笑いを浮かべて言う。
「..........オイ。またいつか会おうぜ、もっと楽しい方法でなぁ!はっはははははははは!!」
- Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.8 )
- 日時: 2017/04/12 01:23
- 名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: bmJ5BkM0)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode
「...ははは...」
亘は力のない笑みを浮かべた。
どうせ誰も生き残れない。
ならば、
ならば...
ならば
何だ?
考えても無駄だった。
それが今の彼には答えなど出せぬ代物だったから。
だが、どのみち生き残れないのは確実だ。
数日前、生きる望みを捨てるなと、謎の霊から忠告されたが、無駄だ。
どうせ死ぬ。