ダーク・ファンタジー小説

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Abyss Apocalypse 名もなき炎
日時: 2017/04/09 21:59
名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: bmJ5BkM0)
参照: http://www.z-z.jp/bbs.cgi?id=kings&p3=google&th=&style=1&wr=1

主な登場人物
八雲高校
川口 亮(かわぐち りょう)
二年生。臆病な性格だが、反面、自分が危険な状態にあっても、仲間だけは放っておけないという一面もある。
西原 雄介(にしはら ゆうすけ)
二年生。亮とは正反対な冒険家で、将来の夢は新聞記者。あまり騒いだりはしない方だが、観察力は人一倍で、誰よりも先を見据えている。
時雨 美希(しぐれ みき)
二年生。幼少期に両親を亡くしており、祖父と祖母が面倒を見てくれている。将来は自分のような子供達を助ける仕事をしたいと思っている。
だが、ちょっと間が抜けているところもある。
森澤 杏子(もりさわ きょうこ)
二年生。しっかり者の委員長タイプで、何事にも動じない。

舞台 三代孤児院
1945年に設立された、戦争孤児救済のための孤児院。
ある事件で惨殺された孤児達の思念によって、孤児院に引きずり込まれた沢山の人々が惨い死に方をしている。

Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.1 )
日時: 2017/04/09 23:46
名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: bmJ5BkM0)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=475.jpg

「......い......ててて......」

声と共に、目を覚ます。
ここはどこだ?
真っ暗で、明かりが全くない。

床はまるで廃屋のように荒れている。
ところどころ、ささくれている。
どうやら、木のようだ。

「.....ぅ.....」

隣で、うめき声がする。
顔は見えない。
だが、この声は
「.....雄介...雄介かッ!?」

「...おぉう...そういうお前は...亮か...?」
どうやらそうらしい。

「雄介...ここがどこだか分かるか?」
「あー...分かったら世話ねぇよ...どうみたってこれ、一目見ただけで分かる場所じゃねぇ」
「...あぁ...まぁ、そうだな...」

雄介は目覚めていきなりこんな状況に置かれているというのに、至って冷静。

「...キャッ!誰よ!私のお尻に触ったのは...って、何、ここ!?」
どうやら、また一人目が覚めたようだ。
と思いきや
「うわわ、本当!」
もう一人もか。
「うおいててて...何だよいてぇな時雨!誰がてめぇなんかのケツ触るかよ!」
「はっ...その声は雄介!?」
「雄介...雄介?ってことは亮もそこにいるの?」

「おい騒ぐなよ美希、杏子。周りの状況を見ろ」
亮は少しだけ不安げに言う。
「おい亮、お前ちょっと怖いんだろ」
「.....今そんなことは関係ない...とにかく、ここがどこかを調べないことには...」

四人が話していると、

ガタン

「............」
扉の閉まるような音に、固まる四人。

「......な、何?今の...」
「人がいるの?」
「待て。おかしい。こんな暗闇に、ライトも付けずに入ってくる奴がいると思うか?」
「...ほ、ほら。肝試しとか」
美希の答えに雄介が突っ込む。
「アホかお前」
「ちょ...アホって何ー?」
だが、それを遮って亮が言う。
「静かに!気配がする!」
「ッ!............」

ギシッ ギシッ

足音。

軋む木の床を踏みしめながら、小さな足音が近づいてくる。子供の足音だろうか?だが、もしものことを考えて息を殺す。
暗闇だ。相手からも見えてはいまい。

「..................!」


足音が止まった。危険は過ぎ去ったかに思われた。


しかし。

「キャアアアアアアアッ!」

すぐ横。杏子の悲鳴だ。

そちらを向く。

すると、なんと赤い光に包まれた子供が、杏子の前にいた。
「いやあああぁぁぁぁ、来ないでえぇぇ!」

美希と亮は動揺して動けないでいた。あれをどうすればいいのかすら分からないからだ。だが、

「くっ...糞がッ!助けるぞ!」

真っ先に動いたのは、雄介だった。
こういう時雄介は、いつも無口なだけに余計頼りになるのだ。

「おい雄介!どうやるつもりだ!?」
「あの野郎を杏子からひっぺがす!」

そんな無茶な。

「てめえぇぇ!そいつから離れ...」

そこで雄介はピタリと止まった。

すると、そこから赤い子供は消えていた。
そして

「......あ?」

真っ暗だったのが、少し慣れてきて、見えるようになってきた。

............


どうやら自分達はやはり、どこかに幽閉されているらしかった。

すると、雄介が言う。
「......お、おい......。ここって、確か...」
「何?何なの雄介!」
「うるせえ引っ付くなアホ美希。...そうだ、やっぱ、そうだ。...ここは三代孤児院だ...」

三代孤児院、と言った。

...三代孤児院と言えば、戦後日本最大の孤児院として有名だったが、
孤児達が全員惨殺されたという噂の......。

Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.2 )
日時: 2017/04/10 00:11
名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: bmJ5BkM0)

「三代孤児院って...あの三代孤児院だろ...?」
「他にどの三代孤児院があんだよ」
亮の確認に、雄介はぶっきらぼうに答える。

「 何でそう分かるんだ?」
「ほら、アレを見ろ」

答えは簡単だった。
壁に、「三代孤児院イベントのお知らせ」の貼り紙が貼ってあったのだ。

「あ...」
「ったく。冷静になりゃすぐに分かるもんを...」
「けど雄介は少し冷静過ぎるんじゃない?私達、いきなりこんなところに幽閉されたのよ?」
「おい杏子。いつ俺達が『幽閉』されたよ?俺達はまだ、ここから出る方法を知らないだけじゃないのか?」
「でもこれ......明らかに誰かが...」
「だったら何だ。殺されるってか?ふざけんな。殺される前に脱出してやんよ」

こういう時、雄介は本当に頼もしい。頼もしいのだが、度が過ぎているというか、何というか。
少しだけ、周りとは違うタイプだった。
観察力も人一倍で、とにかく凄かった。
もし彼が新聞記者になれば、その新聞社は大儲けだろう。

「......私達、何で孤児院なんかに...」
と、美希が悩んでいると...

「それは君達の意思とは無関係に起きた不条理だ」

突然、聞いたことのない声が何処からともなく聞こえてきた。
美希は思わず叫んだ。

「ひいぃあぁぁぁぁぁッ!」

するとその声が言った。
「おっとすまない。突然話しかけたらビックリするのは仕方がないね...」
「いやややややや何で何処から誰の声が聞こえてきてるの!?」
「あの...ちょっと聞いているかな...?」
声は少し弱々しく聞いた。

気の毒に、と亮は思った。
ああなると美希は面倒だからだ。それでも、

「......?あなた、誰?」

美希は何とか心を落ち着かせ、聞いた。
すると声は答えた。

「...私は、四宮 和貴だ...」
「しのみや...か、ず、き...さん?」
「あぁ。君達の声が聞こえてね、急いで飛んできたんだよ。君達、ここから出たいんだろう?」
すると亮がはっきりと答えた。
「はい。出来るだけ早く、ここから帰りたいです」
「...うむ、素直でよろしい。では、共に行かせてもらおう」
「...へ?アンタも迷子かよ?」
雄介がまたぶっきらぼうに聞く。
「いや。私は、ここを彷徨う人々をもとの世界に送り返しているんだ」
「...ちょっと待て。『もとの世界』って...」
「ここは異世界に近い場所にあるんだよ...。だから、もとの世界に帰るにしても、そう簡単にはいかない」

その言葉に、一同が動揺した。

Re: Abyss Apocalypse 名もなき炎 ( No.3 )
日時: 2017/04/11 07:56
名前: 赤湖都 ◆Q8ehryREQw (ID: v8Cr5l.H)

「おい何だ、それ」
和貴は答えた。
「君達は、この孤児院で亡くなった子供達によってこの空間に連れて来られたということだよ。
生憎、人間の力だけで此方から彼方の世界へ戻ることは出来ない」

「何でだ」
雄介は冷静に訊いた。
「此方の世界からならば、いくらでも向こうに干渉出来る。
だが、向こうの世界からは此方には何の干渉も出来ない。
それは人間も同じ。向こうの世界からやってきた人間は、自力で向こうへは帰れない」
「じ..じゃあ、どうやって送り返すんだよ...」
「ああ...そのことでひとつ謝っておかなければならないんだが...」
「う?」
「実は...私にも、君達をもとの世界に送り返す力はない...気休め程度に言ったんだ...すまない」
亮がその言葉に即座に反応した。
「は、はぁぁあぁ!?」
杏子がつづける。
「意味わかんなぁい、糠喜びさせないでよおじさぁん!」
美希がトドメを刺す。
「もぉーそれじゃあただの使えないおじさんじゃん!」
雄介が一人援護する。
「流石にそれは言い過ぎだろ」
「あぁ...いいんだ、私が悪かった...」

すると、霊体は申し訳なさそうに
「だが最後に伝えさせてくれ。絶対にここから脱出する手立てはある。諦めたらダメだ。
ではさらばだ、少年少女達」

そして霊体は消えた。


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