ダーク・ファンタジー小説

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灰娘 〜ループするシンデレラ〜
日時: 2017/06/24 12:54
名前: 楓松 (ID: 7zw0g7CO)

こんにちはorこんばんは。
菊野 楓松です。今回はリア友にも協力してもらい、今まで私がかいてきたダメ作品とは違う感じにしてみました。
相変わらず文才は猫に食べられたまま、更新スピードはカメとすりかえられたままですが、完結は絶対にします。約束します。ですので、気長にお待ちください。

1.非日常の日常を ( No.1 )
日時: 2017/06/24 13:23
名前: 楓松 (ID: 7zw0g7CO)

 朝 目が覚めた。ホコリが舞う屋根裏部屋に、窓から日光がさしこんで、さらにホコリが目立つ。
「ん〜っ!」
金髪の美しい少女が、つぎはぎだらけの毛布から体を起こす。ボロいワンピースを着ている。
「シンデレラ!早く掃除しなさい!」「了解しました、お母様」
下から聞こえる女性の怒鳴り声に、少女は丁寧に答え、ホコリをはらって下へおりた。
 広い家中の掃除が終わると、母親が少女の前に乱暴に皿を置く。母親と少女の姉達が食べた朝食の残りものだった。
「有難うございます。いただきます」
少女は床に座り、部屋のすみで小さくなって、もうほとんどソースと姉達が残した野菜しかない朝食を食べる。
そんな少女のことも気にせず、母親と姉達は綺麗なドレスをきて優雅に紅茶を飲んでいる。すると、姉の一人が言った。
「シンデレラ、目障りだから屋根裏に行って」
 
 そう、その少女はシンデレラ。
貴族のもとに生まれ、両親を亡くし、義理の母と姉にこき使われながら育った少女。今日もお城で舞踏会が開かれる。王子の嫁となるものを決めるパーティが。毎日毎日、繰り返す。
『シンデレラ』の物語を。

 今日も母と姉が、しょうもないパーティーのために一生懸命お洒落している。新作のリップにチーク、髪の毛をコテで巻いたりして。たいして可愛くもない顔を可愛くみせようとしているの。そんなものじゃ愛は手に入れられないわ、私は知っている。そんなことを思いながら、今日も部屋で泣き真似をして、魔女を呼ぶ。秘密の箱から南瓜とトカゲ、ネズミを取りだし、馬車や馬に変えてもらう。行きたくもないパーティーに行くために。私の服はドレスに変わり、裸足の足にガラスの靴を。
「12時までには戻ってきなさいよ」
南瓜の馬車の中で、舌打ちをして大あくび。そんな非日常の日常を、繰り返し、繰り返す。あぁ、もう生き飽きた。

2.狂え、狂え、狂え。 ( No.2 )
日時: 2017/06/24 13:56
名前: 楓松 (ID: 7zw0g7CO)

 城の大広間には、ワルツの音楽が流れている。綺麗な洋服に身を包み、人々は優雅に踊る。シャンデリアがきらめく中、一層輝く少女があらわれた。
「こんにちは」
「な、なんて美しい方だ。はじめまして、この国の王子です。お名前は?」
王子がシンデレラによってきて、お辞儀をする。
「シンデレラです。近い」
シンデレラはすました顔で王子に毒を吐いてみる。
「シンデレラだなんて、貴方にはもったいないお名前!」
シンデレラとは、『灰の娘』という意味。王子はほめたつもりになって、シンデレラの手をとり踊りだした。
シンデレラは何回も王子の足を踏みつけニヤっと笑った。狂え、ループよ狂え。そんなことをしている間に、12時の鐘が鳴った。
「あらまぁ、もうこんな時間っ!」
狂えっ!シンデレラは走り出した。わざとガラスの靴を落とし、森へ駆け抜ける。こんなループもう嫌だ、狂わせてやる、そう決めて、家に帰った。

 ガラスの靴を届けに来るのを待っていると、母と姉達が階段をあがってきた。これは今までのループした毎日にはなかったことだ。期待を胸にドアをあけ、シンデレラはかまえた。すると…

「よくもパーティーを台無しにしてくれたわねシンデレラ!」

部屋に入ってきたのは、拳銃やナイフ、マシンガンを手に持った母と姉達だった。シンデレラはおびえ、箱や毛布を盾にした。
母がマシンガンを連射し、一番目の姉が拳銃で武器になりそうなものを片っ端から壊していく。二番目の姉はナイフを投げたり振り回したりして攻撃してくる。シンデレラは、しゃがんで、跳んで、必死に避けた。しかし……


バーン! ギャァッ!



床がぬれていく。シンデレラは倒れ、ぐったりと動かない。
それをみて、母と姉達は満面の笑みを浮かべて、武器を置いて去っていった。

3.狂え、狂え、狂え。(2) ( No.3 )
日時: 2017/06/24 14:20
名前: 楓松 (ID: 7zw0g7CO)

 「……よいしょっと」
しばらく静かだった屋根裏に、少女の声が響いた。のっそりと起き上がり、ボロいワンピースをぴっぴとのばし、長い金髪を手でまとめる。
「うわぁ…床が南瓜でぬれてるー」
シンデレラはそう言って静かにモップを取り、床をふきはじめた。
荒れた部屋を見渡し、端から端まできれいにする。掃除を終えると、なにかを探すようにきょろきょろし始めた。
そして、ドアの前に来て、
「あ、あったあった♪フフッ…」
シンデレラはニヤっと笑い、なにかを手に取った。ナイフだ。
次に取ったのはなにやら大きく重い。マシンガンだ。
最後は拳銃。今すぐ射ちたくなる。
シンデレラはこの3つを壊れた秘密の箱の中に隠し、毛布に潜り込んだ。

コンコンコン

ノックの音がきこえ、母がでた。
「王子の命令で来ました。貴方と貴方の娘さんたちに、このガラスの靴をはいてもらいたいのです。」
そうして、母と姉二人はガラスの靴をはこうとした。しかし、いくら押し込んでも入らない。
「お宅にはもう娘さんはいらっしゃらないのですか?」
「えぇ、残念ですが居ませんの」
今だ。シンデレラは階段をおり、1階のドアをバーン!とあけた。
「居るわよ、私が」
「「「…シンデレラ?!」」」
驚く3人を無視し、ニヤリと笑って靴をはく。シンデレラの足にぴったりとはまった。
「この方だ!」
しかし、シンデレラは靴をぬぎ、
「それはどうかしらねぇ?」
と靴を返して屋根裏へ戻っていった。
もう何もかもが今までと違う。
繰り返し、繰り返した日々を狂わせたいの。たとえ結末がバッドエンドになろうと。

何も要らない、君がいれば ( No.4 )
日時: 2017/07/01 17:24
名前: 楓松 (ID: 7zw0g7CO)

 今日もいつも通り目覚めた。
豪華な王子らしい部屋にシャンデリアがキラキラ光る。シャンデリアって十回言って シャンデリア、シャンデリア…… 毒りんごを食べたのは? シンデレラ! ブブー、白雪姫でした〜
そういえばこんなクイズあったなぁ。目覚めてすぐシンデレラという名前が出てくる僕、かなりの重症?
君の声が何度も何度も、頭の中で響いているんだよ、繰り返し、繰り返し、繰り返した日々の数だけ繰り返し。
『シンデレラ。近い』
知ってるよ、君の名前は。でも、繰り返し聞くんだよ。ループを狂わせたくないんだ。毎日毎日、君の声をきくために。魔法で君と結ばれるハッピーエンドに物語を進めていくために__

 だけど、昨日はどうしたんだろう。
朝食の席に向かいながら考える。
いつもなら、待ってましたって顔をして、ガラスの靴で城に来るのに…
『それはどうかしらねぇ?』
どういう意味だろう?わからない。
僕の運命の人は君じゃないの?僕のことが嫌いなの?毎日結ばれ、別れて行く非・現実的な特別な関係なのに…
僕の目の前の豪華な朝食も、背もたれの大きな金の椅子も、君の輝きには負けるんだ。
こんなものは、要らない。王子の座も、君と居られるなら誰にでも譲るよ。
幸せは愛が全てだと、僕は思うから__


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