ダーク・ファンタジー小説
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- DIARY
- 日時: 2017/10/22 20:42
- 名前: 己鳥 (ID: nHgoSIOj)
己鳥です 頑張ります!
父ウィリスが隠していた日記を見つけたマイク•レッドボーン。 「Veronica's Diary(ヴェロニカの日記)」を読んでしまったため、殺人鬼であり吸血鬼の「ヴェロニカ」に追われる羽目に……
- Re: DIARY ( No.1 )
- 日時: 2017/10/22 22:23
- 名前: 己鳥 (ID: nHgoSIOj)
[プロローグ]
「いってくるよ」
ウィリスは熟睡している息子マイクに
一言声をかけて仕事に向かった。
父が仕事に行くと、マイクは素早く
ベッドから出て着替えた。といっても、
マイクはかなり前から起きていたのだ。
「休日だ、ってのに。まさか緊張で
4時に起きるとはなー」
あくびをしながらひとり言を言う。
正直、家の中には自分一人しかいない
ので恥ずかしくない。
友達に借りた「ピッキングツール」を
持って父の部屋に向かった。
ただただ、悪い好奇心しかなかった。
- Re: DIARY ( No.2 )
- 日時: 2017/10/23 16:50
- 名前: 己鳥 (ID: nHgoSIOj)
父の部屋の前に着くと、お腹が
鳴った。マイクは気にせずに部屋
に入る。
一見、何の変哲もないこの部屋。
だけど、ここに父の「秘密」が
隠されていることをマイクは知っていた。
12年前。
昨日、俺は18歳になったから…
6歳の時。
今でも覚えている。
忘れるはずがない。
その時俺は、父さんの部屋に
入って、引き出しを開けたんだ。
鍵は、かかっていなかった。
そしたら父さんは、慌てて部屋に
入ってきてまだ6歳だった俺の顔を
叩いた。「2度と部屋に入るな」ってな。
子供だったから大泣きしたよ。
父さんは我に返ったように謝ってきた。
よく考えると、あの時の父さんは
動揺しすぎだったな。
何年もたった今でも、何も話して
くれない…。
机に置かれている、亡き母の写真を
見てマイクは一瞬「やめようか」
と思ったが、決心したかのように
父の引き出しの前に座った。
そしてピッキングを始める。
練習に練習を重ねてきたおかげか、
思っていたよりすんなりと鍵が開き、
マイクはほっとした。
そっと、引き出しを開けると
中には本のような物が入っていた。
だが、すぐに本ではない、と気づく。
「Veronica's Diary ?」
ヴェロニカの日記。ヴェロニカ…
女の人か。
「父さんの彼女だったりして」
文字は金色で書かれ、いたる
ところにバラのマークがある。
高級感あふれる日記だが、なぜ父が
この日記を隠していたいのか、
マイクにはさっぱりわからなかった。
それに………
「鍵が多い」
日記には、6つの鍵がしてあった。
面倒だな、と思いながら机の上に
置いた「ピッキングツール」に
手を伸ばす。まぁ、時間はたっぷり
あるから、焦らずにやろう。
そんなことを思っていると、
「ガチリ」と日記から音がした。
部屋の空気が変わった気がした。
外で強い風が吹いているのか、木の
ざわめきが聞こえる。
やがて、木のざわめきが人の声に
なり、マイクに話しかける。
まるで、歌を歌うかのように。
読んで 読んで
読むのよマイク
読んで 読んで
ページをひらいて
読んで 読んで
日記を読むのよ
さぁ さぁ
歌につられて、マイクはページを
開いた。
ヴェロニカの日記を。
ヴェロニカの読んではいけない日記を。
なぜ、鍵が開いているのかなんて
疑問はなかった。
- Re: DIARY ( No.3 )
- 日時: 2017/10/24 18:55
- 名前: 己鳥 (ID: nHgoSIOj)
[ 1 ]
「お腹がすいたわ」
真夜中。月の光が彼女を照らす。
少しウェーブがかかった黒髪、
プルンとした唇と目は燃えるように
赤い。
彼女の名はヴェロニカ。
ヴェロニカは吸血鬼であり、
殺人鬼だ。時に血肉を喰らい、
時に殺人をして楽しむ。
血と肉が必要な殺人鬼。
行きつけのBARへ食材を探しに
行こうとした時、1人の男の子が
ヴェロニカにぶつかってきた。
振り向くと、男の子の横には
女の子が1人。親がいないのか、
2人は私を見て怯えている。
怯える前に謝って欲しいが、口
には出さない。
ヴェロニカは優しく、笑顔で話し
かけた。
「大丈夫? 怪我はない?」
2人は静かに頷く。
「2人で仲良く食べなさい」
優しい口調で、キャンディーを
数個あげるヴェロニカ。
子供たちは、嬉しそうにキャン
ディーをほおばる。
ヴェロニカは、その様子を見て
可笑しくなりそうだった。
こんなに簡単に、毒を食べてくれ
るなんて。
教育がなってないわ。
さぁ、クソガキども。明日には
死ぬから、ゆっくり食べなさいよ。
「さようなら」
笑顔で手を振る。笑顔で。
そしてその場を立ち去った。
毒入りのキャンデイーを子ども
たちにあげたヴェロニカは、上機嫌
でBARに着いた。
良い男はいないかしら。
さりげなく辺りを見渡すが、
良い食材とは巡り合えなかった。
カウンターにス座ったヴェロニカに
マスターが話しかける。
「良い食材はありましたか?」
「なぁに、それ。嫌みかしら?」
出されお酒を飲みながら言う。
いつも頼む、カクテルだと思って
飲んだが……味がちがう。
頭がフラフラする。
「レイモンド…。これ、強いわ…」
ヴェロニカがカウンターに突っ伏すと
マスターのレイモンドは、笑顔の
まま言った。
「あなた好みの客が来ましたよ」
ヴェロニカがすぐに顔をあげたのは
言うまでもない。
- Re: DIARY ( No.4 )
- 日時: 2017/10/25 21:56
- 名前: 己鳥 (ID: nHgoSIOj)
気がつくと、知らないベッドの
中にいた。
「ん〜〜〜?」
目をこすりながら起きあがる。
隣には、骨と肉。
なんだ、食べたのか。
男の顔を思い出せない。思い出す
のは、血と肉の味。
体についた血が固まり、ネチネチ
していて気持ちが悪い。
ヴェロニカは、男の家と思われる
バスルームを借りて、体中についた
血を落とした。そして、白く美しい
肌をタオルでふいて、気づく。
「服がないわ」
男の服は大きすぎる。着れる物は
借りて、近くの服屋で何か買おう
かしら。
「いや、レイモンドに…」
「はい。服を持って来ましたよ」
いきなりのことでびっくりした
せいか、体に巻いていたバスタオル
が落ちそうになるが、ヴェロニカは
ギリギリのところで巻き直す。
レイモンドは少し困った顔をして、
紙袋をヴェロニカに見せる。
「な、何よ」
と、言いつつ袋を受け取る。
「服です。血やなんやらで汚れて
もう着れないでしょう?
あなたのために、わざわざ服を
買ってきたんです。とりあえず
着替えてください」
言われて、渋々着替える。その間、
レイモンドは寝室に死体を見に行った。
「食べ残しがすごいですね」なんて
嫌みが聞こえるがスルーする。
下着も揃っているものだから、
感心した。それに、動きやすい。
着替え終わると、寝室の方から
ガラスの割れる音がした。
「何?」
「レイモンド? どうしたの?」
呼びかけながら、寝室に向かう。
何だか嫌な予感がするわ。
「レイモンド?」
寝室の前につくと、男がいきなり
寝室から飛び出してきた。レイモンド
ではない。
男はヴェロニカを見ると、何か
を取り出した。
「もう!何なのよ!」
ヴェロニカはスカートをめくり、
右の太ももにセットしていた「アイス
ピック」を取り、構える。
男がヴェロニカの心臓にナイフを
刺そうとした時、「ドスン」と
鈍い音がした。
男は目を見開いたまま、床に
倒れる。ヴェロニカはソレをよけ
ながら、アイスピックをしまって
言う。
「レイモンド」
そこには、BARのマスター
「レイモンド」ではなく、若く
体格の良い男が立っていた。
「大丈夫かヴェロニカ」
「ええ、大丈夫よ。だけど…
顔と口調が元に戻っているわよ」
ヴェロニカが言うと、男は「しま
った」というような顔をして、すぐに
「レイモンド」になった。
「久しぶりに元の顔を見たわ」
「そんなこと言わないで下さい、
ヴェロニカさん。 それにしても、
あの男たち……」
「銀製のナイフを持っていたわ」
私を殺そうとしていた男が持って
いたナイフ。 あれは銀製だった。
わかるもの。だって、私たち吸血鬼
の苦手な物だから。
吸血鬼は銀に弱い。
「銀製のナイフ?私が相手をした
2人は銃とただのナイフでしたよ」
2人も相手をしていたことに
ヴェロニカは驚いた。しかも、
私の所に来た奴もバットで一撃とは。
「それじゃあ、銀製のナイフを
持っていた奴だけ、知識があった
ってこと?1人だけ、助かろう
とした訳ね」
他の2人が持っていなかったのは
なぜ? どうして私たちを?
「とにかく、私たちのいる場所が
知られていたということは、もう
この家には居られませんね。すぐ
にここから出ましょう」
ヴェロニカには、気がかりなこと
が数個あったがレイモンドの言う
通りに、家から出ることに決めた。
「わかったわ。ところでどこに
いくの?」