ダーク・ファンタジー小説
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- 妖伝説
- 日時: 2017/12/05 20:22
- 名前: 白虎丸 (ID: AZnIL7RT)
序章
丑三つ時、静かな夜に一人の男の叫び声が響き渡る。
「うわああ!化け物だああ!誰か、誰か助けてくれーっ!!」
その男は化け物から逃げていた。
しかし、すぐに化け物は男に追いつき、そして・・・
ズシャァ!
その男を切り裂いた。
「愚かなものよ。貴様ら人間ごときが、この俺から逃れられるわけがないのにな。つくずく人間の
愚かさには、飽きれを通り越して笑えてくるな。」
すると、ビュウ!と急に強い風が吹いてき、先ほどまで誰もいなかった場所にもう一人、化け物が
現れた。
「相変わらず容赦ないね、君は。」
その一言が合図かのように、次々と化け物たちが現れる。
「ほんと、狐は怖いよねぇ。人間に見られただけで、そいつ殺しちゃうんだもん。」
「まあ、狐の気持ちは分かるよ。」
「どちらにせよ、私たちの事が周りに知られれば、厄介ですし、結果として殺してしまうのが一番
でしょうね。」
「怖いこと言うんだな。あんたも。」
「どうせ俺らは人間に忌み嫌われている。何をしても変わらないさ。」
そして、化け物たちは笑う。
〜これは、人間から忌み嫌われた妖達と、とある一人の少女の伝説の話である〜
- Re: 妖伝説 ( No.1 )
- 日時: 2017/12/01 00:28
- 名前: 白虎丸 (ID: AZnIL7RT)
一章
「おーい、凛、天ぷら4つ。」
「はーい、分かりました!」
今日もお客さん結構来てるな、と思いながら急いで天ぷらを持っていく。
「凛ちゃん、うどん3つ!」
「おーい、茶をくれ!」
「はい、ただいま!」
色々、運んだり片づけたりしていると、仲居さんに声をかけられた。
「凛、八百屋行って、野菜買ってきて。すぐにだよ。」
「分かりました。すぐ行きます。」
私は、すぐに銭を持って八百屋へ行った。
私が働いている店は、ここいらでも繁盛している店だ。
朝と昼と晩は特に客が大勢来る。
早く帰って手伝わなければ。
そう思い、急いでいるとドン!と男にぶつかってしまった。
「も、申し訳ありません。」
「どこを見て歩いている。気を付けろ、馬鹿者が。」
そう言い、男は歩いて行った。
あの人、なんだか怖いと思っていたが、すぐに八百屋に行かなくてはならないのを思い出し、
急いで向かった。
「はい、これで全部ね。毎度あり!」
八百屋で買い物を済ませると、すぐに戻って店の手伝いをした。
そして、あっという間に夜になり、店じまいをする事にした。
「ふー。今日もこれで終わりだね。皆お疲れ様。凛、さっさと戸締りしな。それから・・・
昼間、なんでもっと早く帰らなかったんだい?買い物ぐらいすぐに終えな。使えないね。」
「すみませんでした。」
「いいかい、あんたは私達のもとで働かさせてあげているうえ、世話もしてやってんだ。
私達があんたを拾わなきゃ、今頃道端でのたれ死んでたさ。拾ってもらったことにありがたく思って
んのかい?こっちはね、あんたなんか、いつでもお払箱にできるんだ。
道端で物乞いする生活に戻りたくなけりゃ、ちゃんと働くんだよ。私が、あんたは使えないって
判断したら、即追い出すからね。さぁ、戸締りしたら夕飯食って寝な。私等の皿も洗っておくんだ、
いいね!」
はぁ、店主の奥さんの説教は、長いな。やはり、少しばかり不満があるがそんな事は口が裂けても言
えまい。あの人の言う通り、身寄りがなく道端でのたれ死にそうになっていたところを助けてもらっ
たのだから、これぐらいは仕方のない事だ。
しかし、毎日の夕飯が残飯とは、さすがにきつい。
でも、それしかないので、仕方なく食べ、片付ける。
そして、風呂に入り、布団を敷き、床につきながら、昔の事を思い出す。
まだ私が、両親と共に暮らしていた時のことを・・・