ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 絵空事と手首事
- 日時: 2018/01/20 23:15
- 名前: 西乃舞 (ID: fqNLaQl7)
絵空事。
大袈裟で現実には有り得ないこと、
誇張した表現。
『絵空事なのかもしれねぇな』
はじめまして、西乃舞です!
初めて小説投稿させていただきます。
誤字脱字ありましたら、コメント下さると嬉しいです。
感想・アドバイス募集中です!
ドンドン書き込んでください!
渡 運命 『運命られた無色 平等の天才』
神我 知 『探究し尽くす赤 勉学の天才』
鍛治屋目 嬉華 『渡のクラスメイト』
知天 見私 『選び出す青 選択の天才』
『0の章〜誰かが言った絵空事〜』
No.1
『1の章〜手首始まります〜』
No.2〜
- Re: 絵空事と手首事 ( No.4 )
- 日時: 2017/12/28 11:43
- 名前: 西乃舞 (ID: fqNLaQl7)
3、『遂に揃ったとは言い難い』
嬉華と俺と知は、しばらく歩いた。
しかし嬉華が『ちょっと』遅れたので、船の時間は大丈夫なのだろうか?
「あ、大丈夫だよ!予め50分早い時間に渡くん達呼んだから!」
「わぁ、嬉華ちゃんは準備がいいねー」
「でしょ!」
いやいや、遅刻する予定だったのかよお前は。
そして勉学の天才もその事実にツッコミをいれろよ。
「はぁ」
思わず溜息が出てくる。
知と嬉華だけでもこんなに疲れるのに、他のメンバーとも会わなくちゃいけないのか。
「な、嬉華。お前の姉ちゃんも誰かしら連れてくるのか?」
「うん!私がいいよ!って言ったからね!父様はちょっと渋い顔してたけど……私の島だもんね!」
「そうか」
お前、ビックリマーク多すぎて読みにきぃよ。
なんてことは言わない。
だって俺、天才だからね。
「お前の姉ちゃんは、3人いたか?」
「うん!上の姉様が姫華。下の妹が妃華。私、お姉ちゃんなんだよ!」
へぇ。
嬉華の姉妹ならとんでもない美人なんだろうな。
ニヤリ。
「さっくん、そんな事考えない方がいいよ」
知が『また』コソッと教えてくれた。
また俺の中を見やがった。
自分の心を読まれることは、あまり快くない。
「あ、着いたよ!船もある!」
俺が知を睨んでいると、どうやら船着場に着いたようだ。
船は海の上で揺れていた。
なんか、豪華客船のミニチュア版か?ってくらい豪華だった。
俺達はその船に乗り込んだ。
「じゃ、出発してー!」
「他の奴等は?」
嬉華は船の運転手?に声をかけた。
しかし俺達以外、船に乗っていなかった。
俺の家の間取りより広いくらいの船なのに。
あと30人くらい乗れそうなのに。
「あ、大丈夫だよー!皆の家の近くにこれと同じ船を迎えにいかせてるから!」
「、すげぇな」
知には遠く及ばねぇが、かなりの金持ちだな。
流石、鍛治屋目カンパニー社長の娘。
「そりゃ、鍛治屋目カンパニー社長の娘ですから!」
それもう、俺が言ったから。
俺は口には出さなかった。
だって俺、『天才』だから。
- Re: 絵空事と手首事 ( No.5 )
- 日時: 2018/01/06 21:11
- 名前: 西乃舞 (ID: fqNLaQl7)
4、『瓦解島に到着』
「もう少しで瓦解島だよー!ほらあれ!」
船に揺られ始めて10分程経過した頃だった。
薄らと島の輪郭線が見えてきたのである。
しかし霧が濃く、距離はあと20メートル位しかないのにぼんやりとしか見えない。
いつから霧が濃くなったのだろうか。
「なぁ、嬉華。瓦解島って霧が濃いのか?」
「うん!この季節は、ほぼ毎日霧がたちこめているね!島の中はそこまでなんだけど」
「因みにこの瓦解島は、夏だけに咲く瓦草という花があるんだ」
「わー、知ちゃんよく知ってるね!」
「ははは!」
瓦草。
聞いたことも無ぇ花だな。
瓦みたいな色でもしてるんだろうな。
ま、花や草には全く興味が無い。
嬉華と知は、そっち方面の話ですっかり盛り上がってしまっているので俺は外に景色に目をやる。
やれやれ。溜息が出るぜ。
しっかし、変わり者の嬉華の姉妹だ。
変わり者を連れてくるのではないかと、期待もしている。
例えば『天才』、少なくとも『天才』。
ま、出会うべき時に出会うか。
なんにせよ、俺を中心に地球は回っているんだからよ。
……。
太陽か。
「さ、降りてねー!忘れ物が無いように!」
俺が自論を展開している間に、島についたようだ。
俺は立ち上がって、荷物を持った。
立ったあと、自分の座っていた席を忘れ物がないか見渡す。
後々、忘れ物として俺の私物が晒されるなんて恥ずかしすぎるにも程がある。
『修学旅行で、パンツ忘れてましたよー。と言われ、自分のです!と言い出せない』やつと同じだ。
いや、絵空事か。
「ごめんね!この島広いからさ、家まで車で!」
船から降りたところには、車があった。
俺達が降りると、嬉華は船の運転手に何やら囁いた。
すると船はみるみるうちに小さくなった。
小さくなったのだ。
ただ細かく言うと、離れていった。
そう。
船は離れていった。
「え?」
「あ、船?船はね、本土に戻ってもらうよー!」
「え?」
「その方がなんかドキドキで、楽しいでしょ!」
「電話で呼べるんだろ?」
「いやー、電波この島届かないし。ま、四日後には来るよ!」
わーお。
確かにドッキドキだなー。
湯けむり殺人事件でも起きるんじゃねぇのか?
「温泉なんてないよ。大浴場ならあるけどね!」
ちっ、分かってるよ。
絵空事を言ってみただけだ。
- Re: 絵空事と手首事 ( No.6 )
- 日時: 2018/01/20 14:08
- 名前: 西乃舞 (ID: fqNLaQl7)
5、神様の悪遊戯
「着くよー!」
俺の瞼が閉じかけた瞬間(マジであともう少しで寝られたのに)に、嬉華は声を張り上げた。
しかし知は、ガッツリ寝ていたため俺が叩き起した(決して八つ当たりではない)。
「ふわぁー。眠っ、チッ誰が起こしてんだよぉー」
「おいおい。キャラ変えるなって。嬉華ドン引きだから」
俺がそう言うと、知はもう一度舌打ちしてから目を閉じた。
「ねぇ、ほんとに知ちゃん?」
その大きな瞳を見開いて嬉華はきいてきた。
「あぁ、そうだよ。あいつ寝起きはキャラ変わるんだよ」
日頃から頭を使う知は、常人よりも糖分と睡眠を欲する。
なので人から起こされたらイラつきのあまりキャラ変するのだ。
10秒後、ぱっちり目を開けた知。
「ごめんね、嬉華ちゃん!」
「んーん!全然!」
嬉華は若干引きつった笑顔で答えた。
「いらっしゃい!」
俺達が着いたところは、城だった。
城と表現しても、捕まらない。
そんなレベル。
「今からさっくん達の部屋に連れてくね!」
そう言われ、嬉華のあとについて行った筈なのだが何とも表現出来なかった。
ただ『凄い』としか言いようがない。
恐らく部屋に着くまでの俺は『爪楊枝』だったと思う。
しかし横で知は一切動じず、我が物顔で歩いていたような気がする。
嬉華は、ある部屋の前で立ち止まる。
「着いたよ!ごめんね、用意ができるまで暫くここで!」
じゃねー。
その言葉を最後に、だだっ広い部屋に嬉華は俺達を置いていった。
「え、ちょ!おい!」
そんな俺はどうしたらいいか迷った。
迷って、迷って、迷った挙句。
部屋の端にあったベッドに飛び込んだ。
「もー、さっくんは遠慮がないよー」
うるさい。
扉が閉じたと思えば、ベッドに飛び込んだお前にいわれたくねーよ。
「それに、お客様がいるよ」
知は、枕(どーせなんたら羽毛入なんだろ?)をモフモフしながら俺に言った。
「客?」
「うん。開けたげてよ」
俺は恐る恐る扉を開けた。
何で孤島に俺への客が?
知は、大体のことを大まかに予想できる。
その良すぎる頭のせいで。
扉を開けると、俺より少し歳上であろう美青年が笑みを浮かべて立っていた。
「こんにちは、はじめまして。知天 見私 (しりあまみわたし)です」
「な!」
知天が目を開いた。
その『青』の瞳を目に入れた瞬間。
俺は目を抑え、倒れた。
「わー、予測通りです」
「さっくん!?」
『赤』の瞳をした知が、目を抑え呻く俺に駆け寄る。
「大丈夫?」
「何とか、な」
「お邪魔しますよー」
知天は呻く俺を尻目に部屋に入る。
俺は何とかドアを閉め、化粧台の鏡を見る。
カラーコンタクトを外す。
鏡に写った俺の瞳は『紫』だった。
「お前は、誰だ」
俺は知天に向かい合う。
知と俺と知天で三角形を作るように、立つ。
「僕はね姫華に招待された客人だよ」
知天は、やれやれというように手を上げる。
「違ぇよ!お前の『名前』はなんだ!」
知天は、まずは自分から。と俺と知を指さす。
チッ。
まさかこんな所で会うとはな。
俺は知と目を合わせたあと、息を吸った。
「『運命られた無色、平等の天才 渡 運命』」
「『探究し尽くす赤、勉学の天才 神我 知』」
知は天才だ。
僕も天才だ。
- Re: 絵空事と手首事 ( No.7 )
- 日時: 2018/01/20 23:13
- 名前: 西乃舞 (ID: fqNLaQl7)
6、天才とは最早分からない
天才とは1%のひらめきと99%の努力である。
かの有名なエジソンの言葉である。
しかし、そんなの嘘だ。
少なくとも俺は努力をしていない。
苦労ならしたのかも知れないが。
俺は生まれつき、天才であった。
しかし、無色の天才だった。
「勉学の天才と、平等の天才ですか。予測通りです」
知天は、手を顎に当てて考えているかのようなポーズだ。
「お前は誰だ」
俺はまた聞いた。
知天は、覚えてました?かとでも言うように名乗った。
「『選び出す青、選択の天才知天 見私』」
「選択?知、分かるか?」
「ただいま計算中だよ」
知は、知天の能力を計算中らしい。
こんな計算に時間をかける知は、久しぶりだ。
この世界には天才が存在する。
しかし天才とは最早概念の様なものだ。
本物の天才とは、努力などいらない。
俺がいい例だ。
努力して手に入れた才能など、それは才能ではない。
俺は生まれた時から平等だった。
知は生まれた時から学者だった。
「さっくん、分かった」
知は、3秒程かかって計算を終えた。
計算といっても暗算なのだが。
「選択。ある程度の未来予測が出来て、未来の選択を出来る。わーお漫画みたい」
知天はソファに座っていた。
知の言葉を聞くと、わざとらしく驚いた顔をした。
「当たりですよ。神我知さん」
「えへへ」
知は照れたらしく、笑った。
俺は笑ってられなかった。
世界で天才は数える程もいない。
いや。
会ったことないだけかもしれない。
しかし、今日この日に違う名前で呼ばれているかもしれない。
天才、ではなく。
超能力、と。
「しかし、私だけ能力がバレているのは快く感じませんね。このままだと、貴方達が『違う』ことを嬉華さん達に言ってしまいそうです」
知天は嫌な笑みを浮かべていた。
「俺達を脅そうってか?」
「いえいえ、ただ。貴方達の能力が知りたいだけですよ」
チッ。
所詮、絵空事だ。
俺は知をちらりと見た。
「別にいいんじゃないのかな?バレても損しないよ」
「はぁ。知が言うなら」
ったく。
俺は知に本当に甘い。
甘すぎる。
「僕はね、名前のまんま。全ての学問を吸収出来る。ま、物凄い記憶力がと物凄い応用力の持ち主って訳」
知天の顔は知ってましたよ。と言っていた。
そして俺の方を向く。
はぁ。
言いたくねぇ。
お、いい事思いついた。
「俺はお前。つまり1人分の情報しか知らねぇ。つまりこっちも1人分。知だけってことで」
知は、えぇ。って感じて呆れていたけど知ったこっちゃねぇ。
「まぁそれもそうですね。それではまた後で」
知天は意外とあっさり部屋を出ていった。
時計を見てみたが、3分程しか経っていない。
俺は3回死んだくらいに感じたけどな。
- Re: 絵空事と手首事 ( No.8 )
- 日時: 2018/01/31 19:21
- 名前: 西乃舞 (ID: fqNLaQl7)
7、コンタクトってゴロゴロするんだよね?
「ああー、久々に誰かの前でコンタクト外したかな」
「えぇ?私の家じゃ常に外しているくせに」
「お前はいいんだよ」
知天が部屋から去った後、俺はベッドに倒れ込んだ。
知は「ふわぁ」と欠伸をかましている。
はぁ、呑気だな。
俺はまだ目の痛みが響いてるってのに。
「僕はさっくんが目の痛みでのたうち回るのを見るのは、2回目だよ」
「うっせぇ!めちゃくちゃ痛てぇんだぞ?」
「そりゃあね。体の作りが変わるんだからね、当たり前だよ」
はぁ、人事だねぇ。
そして絵空事だねぇ。
俺は変わった景色から目をそらすように、目を閉じた。
ノックの音で、目が覚めた。
「失礼致します。メイドの叶 叶子(かなえ かなこ)です」
「どうぞー!」
なんだか舌を噛みそうなメイドだな。
しかし次の瞬間、言葉を訂正した。
下を噛んだ。
ドアを開けて、入ってきたのは何とも麗しい女性。
ではなく、男性だった。
「わー、可愛いね!」
「ありがとうございます」
叶子は優しく微笑んだ。
それはそれは、胸もときめくドっきゅんスマイルだ。
「ん、どうしましたか?」
ボブショートの黒髪が揺れる。
だけど俺の目には不自然に見える。
俺は恐らくその不自然さの原因を事について聞いてみた。
本当に失礼極まりない事だとは分かってるいるつもりだ。
「もしかして、お前男か?」
俺は首を傾げている叶子に言った。
何故、不自然にみえるのは分からないが直感だ。
「そうですよ」
叶子は言った。
Page:1 2