ダーク・ファンタジー小説
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- 能力ダウンロード
- 日時: 2018/04/30 19:30
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
この世界には異能力が存在する。もちろん持っていない人もいるが持っていない人と
持っている人との差別はない。
そしてこの世界には四つの主な組織がある。
【アナスタシア】簡単に言えば警察だ。ほとんどが異能力者で構成されている。
【ヴァルヴァラ】構成員は世界各地に散っている犯罪組織だ。
【コレット】国によって裏で進められてきた人口異能力開発の成果。貴重な存在だ。
【ヴェルナデッタ】中立立場。個人主義者が多く時に味方になったり敵になったりする。
アナスタシアにもヴァルヴァラにも危険視されている。
そんな世界で私、佐桜 音はアナスタシアで活動していた。
序章 ようこそ、全く別の2018年へ! >>01-06
- 第二の任務、ハチャメチャグループ ( No.7 )
- 日時: 2018/05/03 09:37
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
はたまた蘇芳に呼び出され広間に理来と佐桜は立っていた。
「成程、じゃあ後三人来るんですね」
「あぁ…噂をすれば、だ」
三人の足音が聞こえた。
「おー間に合ったみたいだぜ!」
「いやアウトなんだけど…」
槍を背負った青年に理来は呆れながらそう言った。
「もうサヤト!間に合ってるわけないじゃん」
槍を持った青年、サヤトはがっくりと項垂れた。
どうやら茶色の髪の少女に痛いところを付かれたらしい。
「あ、あの理来さん。遅れて申し訳ございません」
駆けてきた黒いメッシュの白髪の青年が理来に頭を下げた。
「いや、任務中じゃないだけマシだ。先に俺たちが自己紹介しないとな。
このグループの隊長となった理来だ。まぁ名前で呼んでくれればいい」
「私は佐桜 音です。つい最近ここに来たばかりですがよろしく」
「じゃあ俺から。俺は津田 サヤト、能力は雷装だぜ。よろしくな!」
「私は多野 ユズリ、能力は言霊。よろしく」
「最後は僕だね。月木 ユウサ、能力は武器生成。よろしく」
全員のことがある程度分かったところで理来は本題に入った。
「今回の任務は潜入捜査だ」
- 潜入、噂の地下駐車場 ( No.8 )
- 日時: 2018/05/03 21:17
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「マジか…(笑」
佐桜は苦笑した。
やってきたのはすぐ近くの封鎖された駐車場。
それも地下なので少し薄暗い蛍光灯だけが頼りだ。
「私、不安なんだけど…」
ユズリは俯いてしまった。
「大丈夫だよ。頼れる人がいますしお寿司」
佐桜は前を歩く理来たちを見ながら言った。
ユズリも分かったらしく頷いた。
「そういえばここの駐車場はアナスタシアが良く使っているって『オーかかったみたいだな』」
ユウサの言葉を放送が遮った。
「お前らか?ここを封鎖してんのは…ヴァルヴァラ」
『そういうことだ!』
「で、お前は誰なんだよ?ヴァルヴァラってのは分かってるけど」
サヤトはそう叫んだ。
『お前こそ誰だ?俺は質問を質問で返す男だからな』
「めんどくさそうな人だね((コソコソ」
「それは同感((コソコソ」
佐桜とユズリはコソコソと会話した。
「…アナスタシア、理来だ。流石に相手が名乗ったのにお前は名乗らないっていうのは
非常識だよな」
『俺はグリスだぜ、ついでに行っとくと俺はここの機械を全て乗っ取っている』
理来はニヤリと笑った。
「それは良いことを聞いたな」
理来は地面を踏みつける。
◆
自身の能力ロボットジャックを使い機械を乗っ取りどう理来たちを殺してやろうかと
考えていたが一気に彼の顔は青ざめる。
「な、何だよ…コレ…壊れたのか?」
『壊れたと思うだろう?』
理来の声がした。
「ど、どういう意味だよ!?何したんだ?」
『何したと思う?』
質問を質問で返してくる理来に怒りが湧いてきた。
が、すぐに怒りは消えた。
同時に扉が蹴破られた。
「ジャックするなら管理室が一番だろう?」
「この人数、無闇に突っ込まないほうが良いと思うぜ」
「…無闇に、突っ込むな?よーしじゃあ行くぞ!」
近くにあった鉄パイプを手に取りユウサの頭目掛けて振り下ろす。
- 解放、地下駐車場 ( No.9 )
- 日時: 2018/05/03 21:44
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「能力は解除したぞ」
理来はそう全員に伝えた。
「あ、そういえばそんなことを仲間も言ってたなー影を操る人がいるって
聞いてなかったなぁ」
「馬鹿だろコイツ」
「まぁでも」
ユウサは作り出した鉄パイプでグリスの脇腹を殴り飛ばした。
「アガッ!?ケホッ、ケフッ…フゥーイタタ」
壁を背にしてグリスはゆっくり立ち上がった。
「結構タフだな、アイツ」
「あ、当たり前だろ?そうでもしないと生きていけないんだぞ?」
「そうでもないと思うけどね私は」
「もう…良いんだ、命令が出てるから」
そう言ってグリスは頭に懐から取り出した銃の銃口を付けた。
「見つかった場合は自殺すれば良いんだって!」
引き金が引かれるその時。
「“銃の銃弾が全て消えていて自殺はできなかった”」
ユズリの声がした。同時にグリスも異変に気付いた。
「え?嘘だろ?だって銃弾はついさっきストックしたはずだろ?」
「能力、だな。ユズリ」
理来は自身の影から相手の後ろに回り込み影を踏んだ。
「確保だ。ヴァルヴァラ、グリス」
◆
別の場所。
「グリスがアナスタシアに…クソッ!」
近くの壁を拳で叩いた。
「グリス…仇は俺が取る」
金髪の青年はアナスタシアへ怒りの矛先を向けた。
「アダッチー!」
彼の名、木戸 アダト。彼をアダッチなどというふざけたあだ名で呼ぶのは彼が知っている限り
一人しかいなかった。
「…シロ、その呼び方やめてくれないか?」
アダトはクッキーの入った小さな袋を彼女に手渡す。
「いいの!?」
「味見はした。味の保証はできる」
「うわぁありがとう!あ、そうだ理来っていう人には気を付けてね?影を操って
移動したり拘束したりするの」
「理来…そうか、感謝する」
- 炎使い木戸アダト ( No.10 )
- 日時: 2018/05/05 09:11
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「任務は終わった引き上げる——」
瞬間、彼の体がまんまと大きく吹き飛び壁にめり込む。
「がぁっ!?」
理来の脇腹を蹴り上げた人物、その姿はさっき倒したグリスそっくりだった。
だが体の色が違う、黒い。
「ハードが先に手を出してたのか、手間が省けたな」
「アダッチ、もう一度言っておくけど私は「戦わないだろ?」うん」
ユズリたちは理来の元に駆け寄った。
「り、理来さん、どこか痛いところはありますよね!?立てますか!?」
「落ち着け、お前ら…俺なら大丈夫だから。ッ!!」
理来はユズリの影を掴み、左にスライドさせた。ユズリも左に転がる。
彼の前に黒い影の壁が現れ炎から身を守った。
「なるほどな。それがお前の能力か、シロから聞いた通り強そうな能力だな」
「そう思うでしょ?アダッチ」
「だからアダッチって呼ぶのはやめろ!俺にはちゃんと木戸アダトって名前があるんだぞ!」
「いいじゃん別に、あのお兄さんの能力は影がないとできないから」
アダトは笑みを浮かべた。
「なるほどな…」
突然、天井一面に赤い炎が燃え上がった。
「(しまった、影が…!)」
「死ねぇ!」
炎と理来の間に佐桜が割って入り叫ぶ。
「本降り!」
辺りに雲もないのに雨が降り出し炎が消えた。
「サヤト、ハードという奴に電気を流せ」
理来は立ち上がりハードの影を踏む。
「コレハ…」
「じゃあやるぜ!」
サヤトの右手に電気が集中し、掌を彼に当てる。
「ここで…引き下がれるか。グリスの仇を打てないまま…引き下がるわ——」
アギトの頭部をユウサが鉄パイプで殴り、アギトは前のめりに倒れた。
- 密室駐車場 ( No.11 )
- 日時: 2018/05/12 15:01
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
金属の扉は何度叩いてもビクともしない。銃弾も効くことはなかった。
「どういうこと!?扉のロックは常時解除してあるはず」
ユズリはそう声を荒げた。
少し前、二人を牢屋に送った後に彼らは帰ろうと扉に手をかけたが
扉を開くことができず出られなくなってしまった。
「ダメだな…ここは地下、電波がよくないから連絡を取ろうにも取れない。
それにその扉…」
理来は体を起こし影で作り出した何本もの刀を束にし扉にぶつけた。
だがビクともしなかった。
「やはりな。能力者が潜伏しているらしい、アイツらの他に…たぶん奴らを
利用してたんだろうが」
「な、なんか…寒くねえか?」
サヤトは体を摩りながらそう言った。
地下だがここまでの寒さは初めてだった。
「冷気、もしくは温度変化の能力ですかね?」
「たぶんそうだと思う。とりあえず元凶を探そう」
佐桜がそう提案すると全員が頷いた。
「俺はここに残る、念のためな」
「お願いします理来さん、あまり無茶しないでくださいね」
そう言い残し全員が散り散りになっていった。