ダーク・ファンタジー小説
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- survive -5日間のデスゲーム-
- 日時: 2018/12/12 20:28
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
目が覚めると、そこは廃校だった。
南高校の三年二組の23名は、この悪意と殺意に満ちた学校で、5日間生き残ることができるのか?
その先に待つものは、果たして、
希望か。
絶望か。
〜〜〜
四年ほど前に書いていた作品のリメイクです。
若干グロ表現を含みます。ご注意下さい。
人物名簿
>>1
一日目
【7:30】>>2
【7:50】>>3 >>4
【7:55】>>5
【8:00】>>10
【11:20】>>11
【12:00】>>16
【12:50】>>17 >>18
【13:00】>>19
【13:30】>>21
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.2 )
- 日時: 2018/07/12 23:20
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【1日目〜7:30〜】
とうに使われていないであろう蜘蛛の巣だらけになった体育館の中に、まひるを始めとした南高校三年二組の面々がそろっていた。
皆古びたパイプ椅子に座らされており、各々周りを見回したり、呆然としたり、友人を起こしているものもいた。
「何ここ…」
「気付いたか、七瀬」
まひるがポツリと呟くように言うと、左隣に座らされていた、同じく混乱した様子の涼介が話しかけてきた。
「戸沢君…。ここ、どこなの?」
「…俺にも分からない。多分、みんなもそうだろう」
それを聞いて、冷静になろうと、まひるは今までの状況を脳内で整理する。
「確か私達は校外学習に行ったんだよね。高校最後の思い出づくりっていう名目で」
「ああ。んでバスん中で眠っちまって気付いたらこうなった」
「…」
やっぱり、訳が分からない。
「まひるちゃん!大丈夫だった!?」
まひるの右隣の席に座っていた少女、天満がひょいっと顔をこっちに覗かせた。
明るい茶色のお下げ髪がひょこっと揺れる。
「う、うん…」
「ならよかった…」
そういって天満が微笑む。いつも通りの笑みに、まひるが安心した時だった。
ピーンポーンパーンポーン
「「「「「!?」」」」」
『はいはい、みなさんセイシュクに』
天井のスピーカーから無機質な音声が響く。
声は男のようにも女のようにも、子供のようにも大人のようにも聞こえた。
「誰だお前は!!」
町でも不良と名高い正治が叫んだ。
『ワタクシのことはヒミツです。仮に『ゲームマスター』とでも呼べばいいでしょう』
「ゲームマスター、ってことは、私達、何かするの…?」
麻衣がおっとりと、不安げに尋ねる。
『そうです。これからあなたたちには5日間、生き残りをかけた『サバイバルゲーム』をしてもらいます』
驚く暇も与えず、声は告げる。
『ルールはカンタン。5日間生き残ればいいんです。勝手に建物の外へ出てはいけませんよ』
「…もし出たら、どうなるんだよ?」
美々が口を開く。
『皆さん、両手に腕輪があるのはご存じですね』
言われて、まひるが腕を見ると、ゾッとするほど赤い腕輪が両方の手首にはまっていた。
「なに、これ…?」
「くそっ!取れねえぞ!!」
正治が声を上げる。
『建物の外へ出た場合、その腕輪から刃物が出て、違反者の手首を切り取ります。ここには十分な治療器具なんてないので、カクジツに大量出血で死にますね』
「死…っ!?」
周りにざわめきが起きる。
『みなさんお静かに。このゲームをすぐに終わらせる方法があります。
それはみなさんの中にワタクシに協力するもの、『ウラギリモノ』が紛れていますので、そいつを殺せばいいのです』
「ころ…す……?」
瞬間、まひるの脳内に今までの日々が甦った。
クラスメイト達と過ごした、楽しかった日々が。
…みんなの中に、こんなことに協力する人が…?
『拒否はできませんよ?こっちには人質がいますので』
その声に、まひるの意識は戻される。
「人質…って…」
「先生たちの事か?」
天満の呟きに被せるように、涼介が言う。
『そのとーり。あ、ちなみに食料は自由に食べていいですよ。どの教室にも水や電気、ガスは通っているので安心してください。ですのでみなさん、がんばってくださいねー』
ピンポンパンポン
「ふざけやがって!!」
正治が拳を強く握る。
「私達、どうすれば、いいの…」
麻衣がいつもと同じくゆっくりと呟く。
「とにかく作戦を組もう。みんな、中心に集まって」
混乱する中、クラス委員である信一の言葉で作戦会議が始まった。
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.3 )
- 日時: 2018/07/12 23:38
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【1日目〜7:50〜】
「とにかく、先生達以外はみんないるね?」
「ああ」
信一の問いに野球部エースの真幸が答える。
「んで、どうすんの?このまま『ウラギリモノ』探しかい?」
美々が笑いながら誰に問うでもなく言う。
場を和ませようと思った冗談だったのだろうが、正治ににらまれ、美々は肩をすくませた。
「…とりあえず、この学校の内装を知ることが先決だ。みんな、男女一組で校内を探索して、そうだな…、8時30分になったらここにまた戻ってこよう」
信一が言う。
「それでいいね?」
「うん」
「ああ」
至る所から返事が聞こえた。
「ねえ、待ってよ」
と、そこで小さな声が聞こえた。
見ると、クラス一小柄な少女、江戸川小町がこれまた小さく手をあげていた。
「ホントにここで5日間暮らすの?」
「確かに。…もしかしたら親とか学校があたし達が変な事態に巻き込まれたのに気付いて助けてくれるかも!」
そう言ったのは、おしゃべりで有名な小野由美子。
「…そうかもしれないけど、校外学習は二泊三日の予定だったから、救助が来るのも多分それくらいか、それ以降になりそうだよな」
最上亮の言った一言で、辺りは静まり返る。
「…とりあえず、探索を最優先にしよう。…じゃあ、まず組み分け。なるべく力が均等になるようにね」
信一のその声で、渋々とだが、話し合いが始まった。
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.4 )
- 日時: 2018/07/22 02:16
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【班分け】
一班:一馬・由美子
二班:清真・蘭
三班:海斗・小町
四班:真幸・静流
五班:正治・麻衣
六班:宗佑・天満
七班:翼・未来
八班:涼介・まひる
九班:正・月
十班:恵悟・美紀
十一班:信一・美々・亮
信一は頭は回るが力は女子と同じくらい弱い。
十一班だけ人数の都合で3人となってしまったが、そのほうが心強いだろう。
「じゃあ、ひとまず解散。各自好きなところを当たって。何か変な音とかしたらすぐに駆けつけるんだよ。単独行動は禁止。分かったね?」
「うん!」
「了解」
「分かった」
クラスメイト達が次々と頷き、信一の号令で、各自解散した。
約40分の別行動。
数字にすれば、授業一時間ほどの分数だった。
けれど、
南高校三年二組が全員揃ったのは、これが最後だった。
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.5 )
- 日時: 2018/07/22 02:36
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【1日目〜7:55〜】
「…」
「…」
五班、麻衣と正治は現在二階の廊下を歩いていた。
力関係で決められたとはいえ、普段、何か用事があるとき以外は喋らないので、特に話題も思い付かない。
そのうち、沈黙に耐えかねて正治が口を開いた。
「…なあ、小川」
「……なあに?」
相変わらず朗らかに、麻衣は歩きながら聞き返す。
「お前はさ、本気で俺達がサバイバルゲームを強いられていると思うか?」
正治がそういうと、麻衣は立ち止り顎の下に手を当てて、自分より数十センチ高い正治の顔を見上げた。
「私は…、本気にはしてない、かな?誰か、先生が仕組んだ肝試し、みたいな?」
彼女はそういってニッコリと微笑む。
「じゃあ誰が仕組んだっていうんだ?」
「葉山先生なら、ありえるかも」
その言葉に、正治の脳内に養護教諭の葉山の顔が浮かぶ。
いつも着ているのに汚れひとつない白衣、白髪混じりの髪、仮病の生徒を睨み付ける厳しい目付き。
「…そーいや、旦那さんがミステリー作家とか言ってたな」
「うん。だから、そうかなーって」
「……にしては安直すぎるだろ。そもそもサバイバルとミステリーは別もんだろ」
「そっかー。…ねえ、笠原くん、ちょっと、気になったんだけどね」
急に真面目な顔になった麻衣に戸惑いつつ、正治は聞く。
「なんだ?」
「…デスゲーム、って言うのかな、こういうの。それにしては、条件が、緩すぎない?」
「……まあ、確かにな」
普通デスゲームというのは参加者の大半が死ぬようにできているはずだ。
だが、この場合は死ぬのは『ウラギリモノ』一人だけだし、5日間校舎からでようと思わなければ『ウラギリモノ』を殺す必要もない。
「なんか、妙にふわっとしてるよな」
「うんうん。…もしかしたら、その食料とかって言うのが、校舎の外にしか、なかったりして…」
「…それは結構きびしーな」
麻衣の言葉に、正治はふっと微笑む。
今まで話したことはなかったが、案外面白いやつじゃねーか。
そう思った時、二人の後ろの方からカチャリ、と物音がした。
「…な、に…?」
「誰かいんのか!?」
麻衣を庇うような形で立ち塞ぐ。
そうして、最初の犠牲者は出た。
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.6 )
- 日時: 2018/07/22 08:43
- 名前: 猫宮白猫 (ID: 9Pp6znif)
うわー!
すごい続きが気になります!
かめのてさん、頑張ってくださいね!