ダーク・ファンタジー小説
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- 人の天使たち
- 日時: 2018/08/13 21:43
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
人間に混じり吸血鬼と呼ばれる種族が日本に現れた。
吸血鬼…人の欲を見ることができ血を吸われた人間は
その欲を抑えきれず犯罪に手を伸ばすようになってしまう。
その事件に対応すべく国が作った組織『日本吸血対策課』
別名『天使』と呼ばれる組織だ。
人間と吸血鬼の戦いが今、幕を開ける。
- 第五師団、団長 ( No.3 )
- 日時: 2018/08/14 08:39
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「君らも第五師団に入っているのか?」
理羽たちに話しかけたのは彼女らと同い年ぐらいの
少年だった。茶色の短髪で緑の瞳をしている。
「俺は千影頼世よろしく」
「椿理羽です。彼は黒上司、で頼世さん、どうしたんですか?」
理羽がそう聞くと司は用件を話す。
「いや、場所まで一緒に行こうと思ってな。どうだ?」
「…じゃあ案内お願いします。俺たちまだイマイチ場所が
分かってないので」
司がそう答えると「オッケー、じゃあ行こう」と頼世は速足で
進んでいく。後ろを二人は歩く速度を速めてついていった。
歩くこと数分、そこには団長と思しき青年と他の団員が
集まっていた。
「遅いぞ頼世、どうしたんだ?」
「あはは、すみません。新人をここまで案内してきたんですよ」
団長の青年は後ろ髪が長い黒髪で黄色の瞳をしていた。
誰が見ても美形だと思うだろう。
「自己紹介が遅れたな。俺はここの団長、山吹咲月
よろしく。二人の事は分かってるから自己紹介は大丈夫だ」
「じゃあこれからよろしくお願いします山吹さん」
二人も挨拶をした。
「因みに団長である山吹さんは対策課の強者で力天使の異名で
有名なのよ」
そう口を挟んだのは最初に二人に審判物を渡した女、常盤美世だった。
「美世さん」
「私もこの団に所属しているの」
「…じゃあそろそろ行くぞ」
山吹咲月を先頭に事件の起きた場所へ急行した。
- 吸血鬼ネル ( No.4 )
- 日時: 2018/08/14 12:55
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
その場所に辿り着く。高いビルの中から炎が燃え上がっている。
「火事…?」
「いや、多分最上階で待ち構えてる」
山吹はそう答えた。でもどうやって最上階へ向かうかが
問題になって来そうだ。
「司、その刀を振ってみろ」
「え?わ、分かりました」
山吹に言われるがままに司は刀を振るった。刀から水の斬撃が
現れビルの炎が弱まっていった。
「す、スゲェ…」
「審判物にはそれぞれ能力がある。そのことも
覚えておくと良い。さてと…最上階へ行くぞ」
山吹は少し低い声で言った。
一方、最上階では。
火の中に佇む人間とそれを見つめて笑みを浮かべている
少女がいた。尖った耳に鋭い牙、吸血鬼だ。
「もうそろそろかしらね?」
そう呟いたすぐあと、数人の足音が遠くから聞こえた。
「お前が吸血鬼か」
「あら!?ヤダ!!こんなカッコイイ人に会えるなんて!!」
彼女は山吹に急接近し目を輝かせる。
「私ネルっていうの。貴方は?」
「…咲月、山吹咲月だ」
面倒くさそうに山吹は名前を言った。
「私、好きなのよねぇ。貴方みたいな美形な人の血」
山吹の肩に牙を突き立てようとしたその時——
真横から黄色の弾丸が放たれた。銃弾に気付きネルはバク転で
躱した。
「このまま引いてもらえると有難い。そしてもう——ッ!!」
山吹は両腕をクロスしネルの蹴りを防御する。
腕の痛みを堪え黄色の刃の薙刀を構えた。
「それが貴方の武器?確か薙刀っていうのかしら?」
「あぁ、薙刀・光年が俺の武器、そしてお前ら吸血鬼に審判を
下す武器だ」
ネルは笑みを浮かべる。
「フフッ♪少し楽しみ」
「ならこっちも全力で楽しませてやるよ!!」
二振りした音と共に水の斬撃がネルを襲った。
後ろからは理羽の放った何十もの弾丸が空を切っていた。
上に飛びネルは安心するがそれも束の間、着地点に先回りしていた
山吹の薙刀がネルを狙っていた。
「(速いわね、彼。相当な手慣れってところかしら?)」
「(躱したか。まぁ吸血鬼相手にこの手が通用しないのは
想定内だがな)」
山吹とネルの間に火花が散っていた。
「…今日はやめにしておきましょう。でも次に会えるのを楽しみに
してるわね?や・ま・ぶ・き・くん♪」
「癪に障る…」
ネルは高笑いしながら消えていった
- 降臨、権天使 ( No.5 )
- 日時: 2018/08/14 15:26
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
「そういえば対策課の強者でよりずば抜けた強さを持つ8人には
別名、異名があるんですよね?」
理羽は山吹にそう聞いた。
「あぁ、俺のほかに後7人。天使の階級の名がついている」
「なるほどな天使って別名が対策課にはついているからって感じか」
司も呟いた。
「お、咲月!!」
そう叫んだのは山吹と同い年ぐらいの青年でこちらもまた端正な
顔立ちをしている。緑色の瞳をしている。
「奏斗」
「あ、何かの週刊に載ってたよ。木戸奏斗、だっけ?」
奏斗は少し驚く。
「知ってる奴も少なからずいるんだな!俺は木戸奏斗、
よろしくな新人」
「椿理羽です。よろしくお願いします」
「黒上司、よろしくお願いします」
二人も挨拶する。山吹に続いて奏斗も中々の美形だ。
「奏斗は権天使の異名を持つ。武器はライフル・彗星」
「オイオイ武器ぐらい俺が説明したかったんだがな…」
山吹は少し笑った。いつもとは違う無邪気な笑みだと感じた。
別の場所。
白いマントを身に纏った吸血鬼たちが集まっていた。その中には
桃色のドレスを着たネルもいた。
「人間にあんなイケメンがいたなんてぇ!!流石にときめいちゃった」
「…楽しそうだな」
右側が黒、左側が紫の髪をした青年が呟いた。
「ヒルト、そう見えるかしら?でももっと良い人間見つけちゃった。
新人らしき女の子と男の子」
- 8人の天使 ( No.6 )
- 日時: 2018/08/14 18:43
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
そこには八人の人間が集められた。山吹や奏斗以外にも
後6人。その8人のリーダーであり大天使の異名を持つ男、
高倉蓮夜、そして熾天使の異名を持つ
四月一日優羽、智天使の異名を持つ
久我蒼次郎、座天使の異名を持つ
美月青葉、主天使の異名を持つ凍月サヤト(とおづき−)
能天使の異名を持つ黒雨舞斗、そして
力天使の異名を持つ山吹咲月と権天使の異名を持つ木戸奏斗の
8人だ。
「よし集まったな」
蓮夜は自分以外の七人を見てそう言い放った。
「そういえば咲月の団には結構新人とか来てたよな。どうなんだ?」
蒼次郎は咲月のほうを見る。蒼次郎以外の6人も同じように。
「まぁ良い方だ。特に良いと思った奴もいたからな」
「咲月がここまで言うなんてな。槍でも降るのか?」
舞斗は冗談交じりに話した。今の今まで咲月がそこまで
誰かを褒めることはあまりなかった。だから珍しいのだ。
「で、本題に戻るが…東京都新宿の防衛ラインを守りに行くぞ」
蓮夜はそう宣言した。
- 東京新宿へ ( No.7 )
- 日時: 2018/08/14 22:33
- 名前: にゃあこ (ID: s00TEuml)
車の中で理羽、司、頼世、咲月の四人は揺られていた。
「車があってよかった。ここから新宿まで少し距離があるから」
理羽は胸を撫でおろしていた。
「美世のおかげだな。アイツがこれを見つけてなかったら俺たちは
徒歩でダラダラと歩いていた」
「お?少し美世さんに惚れたのか?咲月さん」
「惚れるか。殴るぞ頼世」
殴る代わりに頼世の額に咲月はデコピンを喰らわせた。
車に揺られること数十分、前方に人影が見えた。
「あ、あれって…まさか」
「咲月さん、どうするんですか?」
咲月の顔からさっきまでの明るい笑みは消えていた。
「全員、戦闘準備。それと少しドアを開けておけ。突っ込むぞ」
咲月はアクセルを強く踏む。車が一気に加速し少し開けた
ドアの隙間から風が吹きつける。前に立っていた男は
白いマントを着ている。彼は片手を前に出す。車と男が
接触した瞬間。大きな爆発が車から飛び降りた一同の真後ろで
起こった。
「理羽、無事か?」
「うん大丈夫だよ、これぐらい」
司は胸を撫でおろした。
「吸血鬼、上級貴族ってところか…」
咲月は薙刀の柄をギュッと握る。
「…行くぞ」
「了解!」
四人の視線と男の視線が合う。
「天使って君たちだったんだ。まさか車で突っ込んできた挙句…」
咲月の薙刀・光年の柄を片手で掴み受け止める。
咲月も他の三人もその出来事に目を丸くした。だがすぐに
回り込む。
「突然斬りかかってくるなんて見た感じ君が隊長、かな?」
「…一応」
男の腕に足を絡ませる。その行動に男も驚いていた。
理羽の銃撃、頼世の槍による突き、その二つが同時に男を
襲った。だが…。
「まぁ俺には届かないけど」
「咲月さん!!こっちに!!」
理羽の拳銃が鎖に変わり彼の体を拘束する。
「なるべく私に掴まってください!じゃないと振り落とされるんで!!」
「お、オイちょっと待てアンタら!!」
「じゃあやれ、理羽ゥゥゥゥゥゥ!!!」
その叫びと同時に四人が理羽の拳銃から放たれたレーザーの力に
よって上へ飛んで行った。
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