ダーク・ファンタジー小説
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- グランドアヴァターラ
- 日時: 2020/02/15 18:18
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
プロローグ
アルトリアという異世界人少女にこの世界で必要になる知識や技を教えた男。
同時に彼女が迷い込んだ国アヴァロンに存在した王ペンドラゴンが存在していた。
アルトリアの言葉から彼女がペンドラゴン直々に選ばれた人物として彼女を新たな王とする
ことになった。彼女はペンドラゴンが目指していたカナン帝国との同盟そして帝国に存在する
眷属軍の開放である。
調和の旗の超リメイク版。
第一章「その手で掴め」>>01-06
- Re: グランドアヴァターラ ( No.4 )
- 日時: 2020/02/06 18:12
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第4話
無事ヘリオドールたちとは打ち解け合い協力すると約束した。カナン帝国へかなり
近寄れる事態が起こる。
「早すぎるな…宣戦布告直後に軍を送るとは」
シウは顎をさする。扉が開きヤイトは白髪の男を連れて戻ってきた。ペンドラゴンの友、
義勇軍ラクリマの団長ミカエラだ。
「すぐに出るのか?こっちは準備満タンだぜ」
「待ってください。もう少し…否、もう終わったみたいです」
階段を下ってきた中世的な女性は淡い青色のマントを翻す。
「お前がアルトリアか?俺が…おっと、記憶はあるんだったな。すまない」
「気にしないで。さぁ、みんな準備は出来てるね?さっさと勝って、さっさと終わらせちゃおう!」
戦場になるであろう荒野、前線に配置されたのは眷属軍だった。アルトリアなる者の実力は
把握できていないため、盾にするつもりだ。
「随分と不安そうな顔をしているなフブキ」
長い黒髪の青年に女は話しかけた。灼熱のサーチスという。一方青年の方は犠牲のフブキと
呼ばれる。どちらも眷属軍の主戦力だ。
「あたしとアンタでアルトリアって奴を抑えるんだろ」
「そうだ。だけど…妙な胸騒ぎがする。その人は侮れない。それにこれが終わればきっと…」
声がして我に返る。眷属軍よりかは少ないがそれでも主戦力が揃っている。軍の先頭に
立つのは中世的な凛々しい女性だった。カナン帝国の人間はアルトリアは男だと語り
勇者であると言っていた。後者はあっていたとして前者は間違っているようだ。
「…まさか、君のような人が戦うのか?」
「不満?フブキ。それは女だからかな」
声も中性的だ。姿はふとある男と重なった。
「聞きたいことがある。君は…君はペンドラゴンと血縁関係があるのか?」
少し間を開けて彼女は首を振る。
「兄弟でもない。ある日、異世界に来たらこの姿になっていてペンドラゴンという男から
彼の記憶等を受け継いだ異世界人アルトリアさ!私の目的はただ一つ!カナン帝国との同盟そして
眷属軍の開放だ!!」
- Re: グランドアヴァターラ ( No.5 )
- 日時: 2020/02/06 19:08
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第5話
「可能な限り人数を減らすよ!!」
剣を地面に刺しアルトリアは閉じた目を開く。
—ロードオブキャメロット!
全員が動揺しだす。遠方で指示を出していた帝国軍も驚く。帝国軍を操る人物は笑みを浮かべた。
「ほぅ…かなり広範囲の転送魔法だな。懐かしいねぇ」
戦闘力が低い者はどんどん戦場から追い払われていく。
「仕方ない…細身だろうが容赦はしないよ!!」
サーチスは大きな剣を振り回す。彼女よりも小柄なアルトリアは前傾姿勢で駆け抜ける。
あわよくばフブキの相手をせずに他の主戦力を片付けたいと思ったがそれは敵わなかった。
「行かせはしないよ」
フブキの剣をアルトリアの剣が受け止める。
「確かにその太刀筋は彼と同じだ…だけど君は帰れ。君が来るような場所ではない」
「今は王様だよ?みんなが戦ってるのに逃げられるわけがない。それに絶対に貴方たちを
助ける!」
一方そのころ、黒幕は徐々に力をためていた。黒い球体は様々な人間を飲み込み肥大化する。
ミカエラは違和感を感じた。彼のみならず他の戦士たちも。
「人数が減ってねえか?アルトリア、気を付けろよ。ここで力を使い過ぎるな」
ミカエラの言葉にアルトリアは頷いた。
「へぇ珍しいね。サイクロプスの混血だなんて…細いけど」
「眷属軍は随分とこき使われているようですね。大人しくしてください、アルトリア様は
必ず貴方たちを救う」
「今更無駄さ…あの子には荷が重いと思うがね。あたしが教えてやろうか?この戦場にいる
カナン帝国の戦士は全員、生贄みたいなもんさ」
サーチスは剣を振り下ろす。サリバンは持っている三叉槍で剣を受け止める。
「あの子がフブキに勝ったらね」
「何を言っているのか。勝敗はつきますよ」
二人の間に剣が落ちてくる。
- Re: グランドアヴァターラ ( No.6 )
- 日時: 2020/02/06 19:20
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第6話
フブキは気圧されていた。剣は手から抜けていた。
「よぉ、勝敗はついたか…フブキ」
「お前…ペンドラゴン!?」
その名を聞き全員が戦いをやめた。銀髪を揺らし彼はアルトリアの隣に立った。
「よしてくれよ、今はただの守護霊さ。全てをとめてやったまでだ」
そして彼はアルトリアを見た。
「短い戦いだろ?あっけないぐらいが丁度いいのさ。さぁ弔ってやろうぜカナン帝国前皇帝を」
アルトリアは剣を捨て弓を構える。手に握られた白銀の美しい弓矢に全員の魔力が集まる。
腕が痛い。顔をゆがめるも隣でペンドラゴンも付き添い弓を引いていた。
「狩猟の女神アルテミスを一目惚れさせたオリオンの弓だ!味わって死んで来い!」
—アルテミスパフューム!
銀色の弓矢は夜空を駆け上がっていく。
大きな断末魔が反響する。
数日後の話だ。眷属軍は解放された。
アルトリアとペンドラゴンによって。アルトリアは正式な王となって新たな生活を始める。
<第1部・完>
雑過ぎですよね。申し訳ないです。第1部に出てきたキャラは出番が少なくなるかもしれません。
続けて二部へ!
- Re: グランドアヴァターラ ( No.7 )
- 日時: 2020/02/15 21:05
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第7話
アルトリアは何故ペンドラゴンに選ばれたのか。ペンドラゴンは何故彼女を選んだのか。
カナン帝国には新たな皇帝が立てられ眷属軍もちゃんとした軍として認められ事実、
自由の身になった。
アヴァロンには武人のような男の率いる組織がやってきた。名をゼラニウム。
ゼラニウムを率いるのはギルベルト。彼はアルトリアの前に立つと頭を下げた。
「貴方がアルトリア様ですか。我等は戦闘機関ゼラニウム。何せ戦闘が好きな奴も多い故、
迷惑をかけるだろうが多めに見てやって欲しい」
「大丈夫です。気にしないでください」
ゼラニウムもペンドラゴンに惹かれてやってきた人物たちが中心となって完成した。
所属している者の中には彼に負けて再戦するために所属する者もいるらしい。スッと奥から
伸びた両腕はアルトリアの胸の下で組まれた。フワフワしたマントを身に着けた男は横目で
アルトリアを見た。
「やぁやぁ王様。俺はガゼル、よろしくね。いやぁ凄い俺の好みだよ」
「言ってくれるのは嬉しいけど考えさせてね」
下に屈んで抜けると軽装の青年が剣を手に取り立っていた。
「俺はグレイヴ、ちょっと手合わせしてくれよ。アンタの力が知りたい」
「えぇ…ちょっと困る」
「もう!手合わせを理由に付けないでください!!」
そういったのは猫の獣人の少女モニカだ。小柄な彼女の声は周りの声で掻き消されてしまった。
「オーイやめとけよ。先にやるのは副隊長の俺だ」
褐色肌の男アストラルはそれに便乗する。苦笑に付け加えて冷や汗が流れ出す。
コホンッと咳払いし場を収めたのはシウだった。
「せめて順番でお願いします。それとあまりアルトリア様を困らせぬように」
あ、戦うことに関しては禁止しないんだ。
- Re: グランドアヴァターラ ( No.8 )
- 日時: 2020/02/15 21:27
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
第8話
「シウ殿、少し良いか?」
ギルベルトはシウに声を掛けた。
「なんだ?城の事か?」
「いや、お前も見たんだろう。ペンドラゴンを」
シウの表情が固まった。
数日前の夜。
「よぉ、また会えたなシウ」
半透明の男は変わらない笑顔で声を掛けてきた。
「俺が何故アルトリアに禁忌術アルコバレーノを掛けたか、知りたいんだろ?」
シウは目を見開いた。この男には隠し事が通用しなかった。
「独りぼっちだったからだよ」
「独り?アルトリア様が…」
「お前ら、アイツを独りぼっちにさせんじゃねえぞ?これは命令だからな」
「独りぼっちだったのは…別の世界にいた頃の事だろうな」
屋上に来ると二人は空を見つめていた。
「それにしてもアルトリア様も苦労するねぇ。アンタの隊員に手合わせという名の
戦闘を申し込まれて大変そうだったぜ?」
「あれが俺の隊だ。変えることなど出来ない」
ギルベルトは腕を組む。シウは仕方がないという風な表情をした。
「そうだ。また面倒くさい事が起きそうだな。戦い好きの奴にとっては嬉しい事だろうが」
「そうだな。お互い生き残らなければペンドラゴン殿に合わせる顔が無い。それに一目で
分かった。もう彼女は我らが死んでも守らなければならない偉大な王だ」
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