ダーク・ファンタジー小説
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- 僕と君の物語?いいや、これは僕だけの物語
- 日時: 2022/08/08 22:41
- 名前: Ouna (ID: ADRuIPKx)
突然だが、人間は素晴らしい生き物なのだろうか。今の世界では人間が一番の力を得ている。が、この宇宙は広い。もし、私たちの全く知らない星から生き物が攻めてきて、地球を占領されたら?私たちが生きることさえ許されなかったら?そんなことを世界各国が恐れた。だから僕を生み出した。・・・否、生み出してしまったんだ。そんな彼らは禁忌を犯した。その結末がこれだ。
これは、愚かな人間と、世界を守るために造られた少年の物語
- Re: 僕と君の物語?いいや、これは僕だけの物語 ( No.4 )
- 日時: 2022/09/13 20:19
- 名前: Ouna (ID: qsIQOkd3)
「あ、お兄ちゃん!!」
「・・・これから任務だから、またな」
「え・・っ、なんでよぅ・・・」
・・・なんでこうなった・・・
__________
その日は僕でもなかなか無いほど依頼が多くて、それこそ休む暇など無かったほどだった。
正直言って、ものすごく疲れていた。そんなときに、たまたま成功例に会ってしまった。
以前会ってみてから、なぜかずいぶんと話しかけられていたが、まさかここまでとは。
・・・彼らが‘成功例’といったのは、本当だったのだろうか・・・
正直言って、今の彼女には以前会った時のような、無機質なオーラは感じられなかった。
彼らが成功例と称えていたのは、感情がないからだと思っていた。僕が持っている物を失って造られた‘成功例’だったはずだが・・・
『№01、至急大会議室へ直行せよ』
「えぇ~行っちゃうの~?」
「あぁ。呼ばれたからね。僕は行くよ。君も、任務頑張ってね」
「・・・お兄ちゃんがそう言うなら」
不機嫌そうな顔で去って行く№02。何故か『お兄ちゃん』と呼ばれて親しまれているが・・・
本当に、何なのだろうか
コンコン
「入れ」
「失礼します」
「単刀直入に聞こう・・・№02に、何をした」
僕も見たことの無いような、深刻な顔でそう言ってきた。
「・・・何か、とは?」
分かってはいるが、一応聞いておくことに越したことは無い
「惚けるつもりか?№02は、お前と違って感情を無くして生まれて来ていた・・・お前と会うまでは!!」
「五月蠅いですね。それに、僕と彼女には何も無いですよ。」
だってそうだろう。人間で言うなら、ただの部下と上司だ
「元々、お前と彼奴を会わせようとしなかったのには、これが理由だからだ!!感情を持って生まれてしまったお前は、彼奴に変化を起こすと思っていた。予想通り、お前は彼奴に変化をもたらした・・しかも、最悪の形でな!!」
・・いやいや・・・
「それを見据えることができなかったのは、そちらの責任では?」
「っ、なんだと、貴様!!」
猿のように顔を赤くしながら叫ぶソレ。
「そこまでだ」
「っつ、Boss・・・」
聞こえてきた第三者の声。声の正体は、“Boss ”
この人が来たってことは・・・
「Boss、お疲れ様です」
「あぁ、お疲れ様。君はもう下がっていいよ。任務があっただろう」
あぁ、確かに
「あります。では、失礼します」
「待ってください、Boss!!そいつは・・」
・・・あ~あ。逆らっちゃった。
「黙れ。お前ごとき、本来ならNo.01と面会することすら許されない存在なのだぞ。そのことを理解しろ」
「・・・はい、すみませんでした」
「大体お前は・・・」
まだBossは彼奴に説教をするつもりらしい。まぁ、僕は早く任務に行かないと監督に怒られるからな。
さて、今回はどんな任務かな?
- Re: 僕と君の物語?いいや、これは僕だけの物語 ( No.5 )
- 日時: 2022/09/15 20:36
- 名前: Ouna (ID: qsIQOkd3)
「お兄ちゃん、私エネミーを倒してきたよ」
「おぉすごいな、澪。よくやった」
久しぶりのBossとの対面から1ヶ月ほど。僕たちの役割は相変わらずだった。でも、変わったこともある。それは、僕たちに名前がついたこと。
No.02は澪(みお)、僕は凪(なぎ)
「でもやっぱりこの名前、私とても好き。響きもあるけど、凪がつけてくれたから!!」
「そうか、僕も気に入ってるよ。澪がつけてくれたからね。」
そう言うと、澪はテンパりながら
「え、へへ・・・そ、れはよかった。・・・で、あのさ、お兄ちゃん」
ちょっと話があるんだけど、と続けて言った。
「?どうした、なにか『No.01、会議室へ来なさい』・・・すまない、澪」
行ってくる、と付け加えて、走って行った。
あぁ、完全にやらかした・・今日は、月例会議の日だった。澪はまだ新人なので出席しなくていいのだが、僕はそうはいかない。月例会議に遅れたら神罰が下る。
あぁ、完全にやらかした・・・と、再三にわたって心の中でつぶやいた。
_____________________________________________
コンコン
「入りなさい」
心なしか、声色が堅い気がした。
「申し訳ございません、遅れました」
「今回は構わない。だが、次から気をつけろ」
「分かりました。」
セーフだった。ラッキー
「ではこれから、月例会議を始める。早速だが、No.01。お前にはアサインメントがある。」
「アサインメント・・ですか」
アサインメント・・・僕だけがこなさなければならない役割や課題のこと。過去のことを思い出しても、アサインメントが来るときは碌なことが無い。
「今回の任務地は、サンセリフだ。明日からいけるか?まぁ、拒否権など存在しないがな」
・・・そんなコト、わざわざ聞くまでも無いな。
「構いませんよ。というか、そっちも聞かずとも分かってたことじゃないですか?」
「では今回はこれで解散だ。また次回。次は遅刻するなよ。」
無視かよ。まぁ、次の任務行くか。
アサインメントがあるときは、任務に行ってるときの分までかたづけないといけないからいやなんだよなぁ・・・
「んじゃまぁ、そろそろ次の任務に行かせてもら『ビービー、緊急、緊急事態発生。とある地点で、absolute Regionが発生。absolute Regionが発生。場所は、‘サンセリフ’。繰り返す。場所は、サンセリフ。関係者は、至急サンセリフに直行せよ。』・・・Boss」
これは確定だな・・・
「あぁ、任せるぞ。何、アサインメントが予定より早まっただけだ。いつも通り、インカムで状況を連絡してくれ。」
「あぁ。じゃぁ、お先に失礼させてもらうよ。」
最後にそう言ってからは早かった。全速力でサンセリフへと走って行った。
いつもは、アサインメントがこんなに早くなったことは無いのに・・・どうしたんだ?
この疑問は、帰ったら説明してもらうぞ、Boss。
そう心の中で毒づきながら、全速力で走って行った。
- Re: 僕と君の物語?いいや、これは僕だけの物語 ( No.6 )
- 日時: 2022/09/15 22:14
- 名前: Ouna (ID: qsIQOkd3)
―サンセリフー
「ここっ、か・・・?」
全速で走ってきたため、さすがに息が切れていていた。いつもなら、まずは案内人に話を聞くところなんだが・・・
「これは、どういうことだ?」
いつも必ず居るはずだった案内人が今回は居なかった。これは明らかにおかしい。
『Boss、聞こえるか?』
インカムを通して、意見を聞くしか無い。
『サンセリフに着いたようだな。・・・ん、案内人がいないのか?』
『その通りだ。分かってるなら、説明してくれ。これじゃ、何をしたらいいかも分からない』
『少し待て・・・繋がったぞ。DMで来ている、そっちに送るから、それで確認してくれ』
・・・なんてむちゃくちゃな・・・
「ん、コレか・・・なになに?」
・・・うん、・・・あぁ、・・・は?・・・・はぁ!?・・・・はぁ・・・あぁ、成る程・・・
要約すると、こうだった。
『いつもは少ない数だったのが、今回に限って目視だけでも100以上は居たため、怖くなって実家に帰りました。すみませんが、よろしくお願いします。大きな鐘があるところのあたりに居るはずです。
p.s.
いつものセンチネルでは無く、人型でした。では、神の加護があらんことを』
・・・・ふざけんな★
おっと、キャラが崩れてしまった。というか、この100以上って何?しかも人型。・・・Bossからの嫌がらせかな?うん。やっぱり、会議に遅れたこと怒ってたのかな?うん、そう思いたい。
「・・・で?問題の大きな鐘のある場所って・・・あ、すぐ近く・・・200Mぐらいか?」
ふぅ・・・
情報を整理しろ、No.01。敵の数は100以上。ソレも人型。人型の特性は、本当に人間だと言うこと。その人たちにはちゃんとした命があるし、それぞれの知性や、将来がある。・・・だが、ソレがどうした?何であろうと、アレらは僕の敵であることに変わりは無い。
僕の武器は刀。刀を持った瞬間、僕の意識は覚醒する・・・
行ける。僕は武士。ただ人を殺すための道具。
キイぃぃぃぃぃぃぃン
・・・刀を抜くことが聞こえてくる・・・
あぁ・・・いける、いける、・・・・いけ!!!
『相変わらず、規格外なやつだ。刀を抜くだけで、まるで別人のように変わってやがる』
インカムを通して、Bossの声が聞こえてくる。ただ、今の僕にそんなことは関係ない。相手が誰であろうと関係ない。
・・・今は、今だけは、自分の愉悦のためだけに戦っているのだから。
- Re: 僕と君の物語?いいや、これは僕だけの物語 ( No.7 )
- 日時: 2022/09/22 14:28
- 名前: Ouna (ID: noCtoyMf)
実際のところ、いつからこうなってしまったのかは分からない。
一体いつから、僕はこんなに堕ちてしまったのだろうか。
答えが出ることは無い、と思う。自分でも。
でも、それでも、分かると思っていた。思いたかった。
だって君は、僕の唯一のーーーだから。
_____________________
『Boss,討伐は完了しました。今回のアサインメントはこれで完了でいいですか』
『こちらでも確認した。戻りなさい。あぁそれと、その近くに新しい任務が入った。ついでに片付けてきなさい』
『了解』
「ふぅ・・・今回は返り血を浴びなくて済んだな、良かった」
キイぃぃぃぃぃぃぃン
刀を鞘に仕舞う音が聞こえた。
当たり前のことだ。でも、不思議に思ってしまう自分がいた。
「成長できた、のかな。今回のアサインメントで」
そう。制作者が僕にアサインメントを課すのは、僕自身が成長するためだ。
剣の技術だけで無く、僕の心も成長するために。
・・でも実際は、心が成長できたことは無かった。
結局、何をさせられても僕は僕という訳で・・・
「、、、帰るか。途中の任務地は、確かノマエニだったはず。」
ノマエニの任務では、刀を使用することは無いだろう。
僕が刀を使うのは、僕自身が瀕死になってしまうような時か、僕の心が動かされたときに限る。
普段はナイフで十分だ。
だって普通の任務だけじゃ、僕の本当の心は動かされないんだから。
- Re: 僕と君の物語?いいや、これは僕だけの物語 ( No.8 )
- 日時: 2022/11/26 17:22
- 名前: Ouna (ID: z6zuk1Ot)
ピ、ピ、ピ……
「………」
朝になった。
いつもどうり起きる。
まだ電池の残量があることを確認して、支度を始める。
黒い和服のような、袖が大きく開いている物に手を通す。袖口には血を催すような、紅い模様がついている。
そこの内側にピックを装備し、胸元にはナイフを仕込む。
腰に刀をぶら下げたあと、頭に軍人を連想させるような帽子をかぶる。
いつもどうりの朝、いつもどうりの準備。
輝くようなあの白髪を持っていた人は、どんな瞳だったっけ。
僕の名前は、No.01
この国、この世界を守るために作られた守護者
どうやら僕は、大切なナニカを、忘れてしまったらしい
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