ダーク・ファンタジー小説
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- 命懸けの人狼ゲーム
- 日時: 2023/07/24 18:53
- 名前: Riaゆく (ID: /pQOy6L1)
とある村に、20人の人間が集められた。
彼らは皆、目的を持っている。
その目的とは一体何なのか、そして最後に生き残るのは一体…?
《用語説明》
CO…カミングアウトの略称。自分の役職を宣言するときに使う
グレラン…グレーランダムの略称。白位置でも黒位置でもない人の中から各個人が怪しいと思う人に投票すること
囲い…占い師を騙っている人狼や狂人、狂信者などが、人狼に白出しをすること
《役職説明》
村人4人
何の能力も持たないただの村人
人狼3人
夜になると能力が活性化し、毎晩一人を襲撃することができる
占い師1人
毎晩一人の役職が人狼かそうでないかを占うことができる
霊能者2人
処刑された人物の役職が人狼かそうでないかをその夜に知ることができる
狩人1人
毎晩一人を人狼の襲撃から守ることができる
狂人1人
村人陣営の裏切り者で、人狼陣営が勝利すれば自分も勝利となる
狂信者1人
最初から人狼が誰か分かっている狂人
パン屋1人
毎朝美味しいパンが焼きあがったことを全員に知らせる
猫又1人
体内に毒を含んでおり、人狼に襲撃された場合人狼を道連れにし、処刑された場合ランダムで一人を道連れにする
ハンター1人
自分が死亡した時、誰か一人を銃で撃ち抜き道連れにする
赤ずきん1人
自分を殺した人狼が死亡したとき、生き返ることができる
妖狐1人
ゲームが終了した時に生存していれば村を乗っ取り勝利することができるが、占い師に占われると呪い殺されてしまう
背徳者1人
妖の力によって妖狐の味方となった村人。妖狐が死亡した時自分も後を追って自殺する
ヴァンパイア1人
任意で毎晩一人を襲撃することができる。人狼が全滅し、村人が自分と同数以下になれば勝利する
《参加者一覧》
後藤 誠 22歳 この物語の主人公
天堂 新一 21歳
黒川 透真 14歳
佐倉 あかり 21歳
近藤 勇斗 30歳
水無瀬 蓮 25歳
岡田 美奈 19歳
竹田 流衣 23歳
相馬 翔太郎 28歳
山根 一 33歳
松尾 晴樹 20歳
上原 奏多 16歳
中田 孝介 28歳
藤原 楓 19歳
鹿野 裕貴 22歳
二宮 虎太郎 25歳
藤堂 雅一 35歳
篠崎 美空 17歳
桐生 友輝 24歳
大沢 遥 19歳
第1話 公開済み >>1
第2話 公開済み >>2
第3話 公開済み >>4
第4話 公開済み(2日遅れ) >>5
第5話 公開済み >>6
第6話前編 公開済み(3日遅れ) >>7
第6話後編 公開済み(1日遅れ) >>8
第7話 公開済み(2ヶ月ぐらい遅れた気がする) >>9
第8話 未定
※この物語はフィクションです
- Re: 命懸けの人狼ゲーム 第4話 ( No.5 )
- 日時: 2023/03/29 20:43
- 名前: Riaゆく (ID: MRwb6zkQ)
〈二日目の夜になりました。能力の使用を開始してください〉
もうすでに耳に馴染みつつあるその音声と共に、身体の制限が解け始める。
俺の耳はまるで獣のようなものへと変貌し、腕力は普段の3倍にも及ぶ程までに強化された。
これが人狼の能力である。
夜になればまさしく最強と言えるほどの力を手にする代わりに、昼間にはその力が使用できない。
その気になれば人を食らうこともできるらしいが、気が引けるので俺はそれをするつもりはない。
そんなことはさておき、俺の仲間達と会話し始める。
あなた
誰を襲撃する?
俺はそう尋ねたが、その問いに対する答えはしばらく返って来なかった。
あなた
二人ともどうした?
何も意見を出さないなら俺が勝手に決めるぞ
俺は何か二人の逆鱗に触れるようなことでもしてしまったのだろうか。
そんなことしたつもりはないんだがな。
俺がそのようなことを考えていると、佐倉からひとつの返信が返ってきた。
佐倉あかり
どうしてあなたはそう平然としていられるんですか
なぜ平然としていられるのか。
そんなもの、簡単なことだ。
あなた
桐生は村人陣営の皆に自分の運命を託した。それだったら、桐生のためにも真っ向から村人たちと勝負をしなければあいつの為にもならないだろ?
俺は特別桐生と接点があったわけではないが、それでも礼儀を欠かすわけにはいかない。
それが勝負の世界だ。
佐倉あかり
そう…ですか
近藤勇斗
それもそうだな!悪かったな、後藤
あなた
別にいいさ。それにお前たちが心に深い傷を負ったのも、襲撃をしたくないと思っているのもわかってるよ
近藤勇斗
全てお見通しってわけか
あなた
襲撃は俺が行く。襲撃対象も、特に意見がないなら俺が決める。
近藤勇斗
僕はそれで構わない
あなた
佐倉は?
佐倉あかり
私も大丈夫です
あなた
了解
そこで会話は終了した。
はっきり言うと、俺も怖い。
いくらゲームとはいえ、人をこの手で殺めるのは初めてだ。
でも、だからこそこれになれなければならない。
俺はこのゲームで負けるわけにはいかない。
襲撃ごときでためらっていては勝てるものを勝てなくなってしまう。
だから俺は、躊躇を全て捨てる。
その話はさておき、誰を襲撃するか…。
昨日会議を仕切っていた二宮辺りを狙ってみるか。
そうして俺はタブレット端末に情報を入力していく。
《襲撃対象は二宮虎太郎でよろしいですか?》
もちろん。
《了承しました》
気づけば俺の右手にはナイフが握られていた。
おそらくこれで戦えということなのだろう。
そうして俺は、家を出る。
勝利をつかむために、その第一歩を今踏み出す。
足音が、聞こえる。
心臓の鼓動がだんだんと早くなっていくのがわかる。
窓から外を覗くと、外にはまさしく化け物がいた。
その化け物は、俺の家のドアを音も立てずに開けた。
俺は二宮虎太郎、役職はハンターだ。
銃を構える。
しかし、化け物は一向に姿を現さない。
どこへ行った?
その、瞬間だった。
背後から強い衝撃を食らう。
おそらく、何かしらの刃物で斬られたのだろう。
背中に激痛が走る、痛みでろくに声も出せない。
かろうじて奴の顔を捉えることができたが、その顔が誰のものかまではわからなかった。
その容姿は完全に化け物と化しており、人間としての面影は一切なかった。
少しして、化け物は去っていった。
俺はもう助からないだろう。
だったらこの銃で誰かを道連れにするべきだ…。
そう考えた俺は家から飛び出す。
騙りの人数的にも、潜伏している人狼がいるのは明らかだ。
だったら、昨日の会議で目立ってなかった人を打ち抜くというのも悪くないのではなかろうか。
俺は、藤堂雅一の家の前に立っていた。
確か彼は多額の富をもつ資産家の息子だったか。
これで彼が村人陣営であったら申し訳ないが、今の俺にそんなことを考えている余裕はない。
俺は彼の家へ潜入する。
やがて俺は、藤堂の真横まで来ていた。
彼は寝ている、今がチャンスだ。
俺の意識も朦朧としているので、本当にチャンスは今しかない。
狙いを定める、奴の頭へ。
緊張で右手はすっかり震えていた。
それを左手で押さえつけ、俺は引き金を引いた。
そして…
夜空に銃声が響き渡った。
- Re: 命懸けの人狼ゲーム 第5話 ( No.6 )
- 日時: 2023/03/29 20:45
- 名前: Riaゆく (ID: MRwb6zkQ)
〈朝になりました。二宮虎太郎と藤堂雅一は死体として発見されました。議論を開始してください〉
【美味しいパンが焼けました】
昨晩、銃声が聞こえた。
俺が襲撃したのは二宮。
つまり、二宮がハンターで藤堂を道連れにしたのだろう。
ハンターが落ちるのは予想外だったが、人狼が道連れされなかったのは不幸中の幸いだ。
俺がそんなことを考えていると、一人の男が話し出した。
「なあ…この死体、どうするんだよ」
男の名前は鹿野裕貴。
責任感が強く運動や勉強もほどほどにできるが、調子が乱れるとポンコツになってしまう。
そのため、重要なことを行う時は必ず母親の手を借りていたらしい。
つまるところマザコn…これ以上は言わないでおこう。
「ほっとけ。そのうちこのゲームの運営が回収しに来る」
そう冷たく返すと、鹿野は俺の胸ぐらを掴み、
「人が死んでるんだぞ!少しは心配をしたらどうだ!」
…と、怒鳴りつけてきた。
「どうやら、ポンコツだっていうのは本当だったようだな」
「なんだと?」
挑発まじりに俺がつぶやき、続ける。
「こいつらはまだ死んじゃいない。俺たちがこのゲームに勝てばいいだけの話だろ」
そうだ。このゲームは最悪自分が死んだって味方が勝てば生き返ることはできるのだ。
まあ、村人陣営に勝たせるとは一言も言っていないわけだが。
「それに、こんなことを話している暇があったら占いや霊能の結果を聞いた方がいい」
鹿野は俺のことを少し睨んだが、やがてそっぽを向きながら、
「それもそうだな、悪かった」
と、言い放った。
その後、霊能は全員白を出し、占い結果に移った。
先に話し始めたのは相馬。
「占いの結果は、上原さんが白でした」
上原は今まで一度も話に上がっていなかったな。
彼はゲームが趣味らしく、ガンガン攻めるプレイから、潜伏して堅実に守るプレイまでお手の物。
ゲーム大会でも何度も優勝した経験があるとのこと。
「岡田さんはどうでしたか?」
相馬がそう問う。
「黒川さんは白です」
黒川透真。
天才少年と言われるほどの頭脳を持ち、数々の難事件をいとも簡単に解き明かしてきた男。
こいつが村人陣営だった場合、相当厄介なことになるだろうから早めに始末しておきたいところだが…。
そこから先は例によって役職持ちを除いたグレランとなった。
〈議論時間終了です、投票時間に入ります〉
俺は投票先を既に決めていた。
鹿野裕貴。
彼とは今のうちにうっすらと対立軸を作っておいた方が後に楽になる。
他にも理由はあるが、それは今話さなくてもいいだろう。
〈投票時間終了です〉
後藤→鹿野 天堂→大沢
黒川→後藤 佐倉→鹿野
近藤→山根 水無瀬→大沢
岡田→上原 竹田→黒川
相馬→松尾 山根→大沢
松尾→大沢 上原→天堂
中田→水無瀬 藤原→大沢
鹿野→後藤 篠崎→上原
大沢→山根
〈投票の結果、5票で大沢遥さんが処刑されます〉
〈大沢さん、遺言をどうぞ〉
「いやだ、死にたくない!やめろ!やめてくれ…」
そんな大沢の叫びも虚しく、彼の首は弾け飛んだ。
すでに広場に残っている人数は片手で数えられるほどまでに減っていた。
俺はそんな奴らを尻目に自分の家へと戻っていく。
そして、情報の整理を始めるのであった。
- Re: 命懸けの人狼ゲーム 第6話前編 ( No.7 )
- 日時: 2023/04/05 01:50
- 名前: Riaゆく (ID: MRwb6zkQ)
〈三日目の夜になりました。能力の使用を開始してください〉
「さて…」
思わず、そんな言葉を零す。
俺は今夜の襲撃先を考えていたのだが、どうも考えがまとまらない。
そんな時、タブレットに一件の通知が来た。
近藤勇斗
今夜の襲撃は俺にやらせてくれ
議論の中で狩人らしき人物でも見つけたのだろうか。
どちらにせよこのまま悩んでいるくらいなら、近藤に任せた方がいいだろう。
あなた
分かった。気をつけてな
近藤勇斗
当たり前だ!
どうも胸騒ぎがする。
なんだ、何かがおかしいのか?
いや違う。
何もおかしいところはない。
それなのに何故か引っかかっている。
…まあ、そんなこと考えていたって仕方がないだろう。
俺がそう結論付け、気分転換するために窓を開けるとそこには…
美しい満月が輝いていた。
「そろそろ行こうか」
俺はそうつぶやき、人狼の能力を覚醒させる。
初めてここまで能力を使用したから不安はあったが、やってみれば案外あっさりしたものだった。
そうして俺は家を出て、その男の家の前まで来ていた。
中田孝介。
俺がこいつを狙ったのには理由がある。
俺には2歳下の妹がいる。
妹は中田と同じ職場で働いており、仲も悪くはなかった。
しかしある日、事件は起きた。
妹が交通事故にあった。
その時俺は妹より少し早く歩いていたため事故を免れたが、悲しくて悔しくてたまらなかった。
俺は妹を轢いた車のドライバーの顔を捉えた。
俺は絶句した。
何せそのドライバーは、中田だったのだから。
誰にでも失敗はある。
中田だって悪気はなかったはずだ。
俺はそう信じていた。
しかし中田は、あろうことか妹を轢いた後に逃げ去って行ったのである。
俺はすぐさま救急車と警察を呼んだ。
妹は無事病院へと搬送されたが、中田が警察にとらえられることはなかった。
妹は今も入院している。
しかし本業のボディビルダーだけでは手術費が足りなかった。
だからこそ俺はこのゲームに参加した。
妹の手術費を手に入れるために。
だがまさか中田もこのゲームに参加しているとは思わなかった。
俺は人狼になった瞬間喜びを覚えた。
この手で中田に復讐ができるのだから。
「誰だ」
家の中から声がする。
間違いない、中田だ。
「人狼か」
「俺は何があってもお前を殺す。覚悟しろ」
刹那、俺は中田との距離を一瞬にして詰める。
「その声は、近藤か」
今更正体がバレたところで関係はない。
俺はこの右手を伸ばし、奴の左腕を引きちぎった。
「待て、少しだけでいい。少しだけでいいから俺の話を聞いてくれないか」
話とは何だ。
命乞いか?謝罪か?
どちらにせよ中田を殺すことに変わりはないが、話くらいなら聞いてやろう。
「1分で済ませろ」
「わかった、簡潔に言う。俺がこのゲームに参加した理由は、お前の妹を怪我をさせる前に戻すためなんだ」
俺はわずかに動揺する。
しかしそれを表に出すことはない。
「俺はお前の妹に深刻な怪我を負わせてしまった。だからこそ、俺はその罪を償うべきだと思ったんだ」
だからなんだ。
そんなの嘘に決まってる。
「本当にすまなかった」
謝って済むのなら警察はいらない。
そして俺はその謝罪を許すつもりはない。
「どうか俺のことを、許してくれないか?」
「ふざけるのも大概にしろ!」
怒りを爆発させる。
「お前のことの言葉がたとえ本心であろうが何であろうが、お前を許すつもりは毛頭ない!」
俺は久々に怒鳴ったからか、だいぶ息を切らしていた。
あたりを沈黙が包み始めたとき、中田が話し出した。
「そうか、それなら仕方ない」
「最初から許してもらえると思っていなかったが、まさかここまでとは」
その辺りから中田の雰囲気が異質なものに変わり始めていた。
「そろそろかな」
こいつは何の話をしている?
俺がそう考えた、瞬間だった。
突如激しいめまいに俺は襲われた。
「早く俺を殺さないと、無駄死にしちゃうよ?」
嘲笑うかのように中田は続ける。
「俺の役職は猫又だから。しかし、兄妹揃って俺に騙されるとかどんだけお人好しなんだよ」
「まさか、さっきの話は…」
「もちろん嘘だよ?俺の本当の目的はお前の妹を怪我させた罪を消すことだからね」
その発言を聞いた瞬間、俺は考えるより先に中田の心臓を貫いていた。
しかし俺の体はどんどん毒に蝕まれていく。
「佐倉、後藤…後は任せたぞ」
その発言を最後に、俺の意識は途絶えた。
- Re: 命懸けの人狼ゲーム 第6話後編 ( No.8 )
- 日時: 2023/04/07 21:41
- 名前: Riaゆく (ID: MRwb6zkQ)
あれから2時間程経過したが、近藤からの連絡は完全に途絶えてしまっていた。
「無事だといいが…」
俺は夜空を眺めながらそう呟いた。
その瞬間だった。
「君に他人の心配をしている暇はないよ?」
背後から突然、そのような言葉が聞こえてきた。
俺が咄嗟に振り向くとそこには…
人の姿をした、化け物がいた。
背中には漆黒に染まった羽が生え、その手にはこれが使用していたものと同じナイフが握られていた。
その姿はまさしく…
「ヴァンパイア…!」
「ご名答。そう、僕の役職はヴァンパイアだ」
「お前は何者だ!」
俺は叫び、問う。
「君に教える義理はないが、冥土の土産に教えてあげよう。俺は天堂新一。君の幼馴染だ」
「は?」
その言葉に、俺は思わず素頓狂な声を出してしまった。
この男は何を言っているんだ?
俺の知り合いに天堂新一なんて名前のやつはいない。
俺がそんなこと考えていると、天堂はナイフを構え、
「無駄話をしている暇はない。君にはここで死んでもらう!」
と、言い放った。
それと同時に、天堂は俺との距離を一瞬にして詰め、攻撃を繰り出した。
俺は間一髪でその攻撃を避けたが、今の俺の力ではじきに殺されてしまうだろう。
そして天堂は再び攻撃を仕掛けてきた。
万事休すか…。
俺が諦めかけたその時、一筋の光が天堂のナイフを貫いた。
足元を見るとそこには、砕け散ったナイフの破片の中に、1本の矢が刺さっていた。
「狩人か!」
まさか狩人が俺を守るとは思わなかった。
俺がふと天堂の方に目をやると、その姿は元の人間の姿に戻っていた。
なるほど、狩人の護衛先を襲撃すると覚醒状態が強制的に解除されてしまうわけか。
「誠、君は昔から運がいいね。俺はひとまず撤退させてもらうよ…」
そう言い残し、天堂は去っていった。
まさしく危機一髪だったな…。
狩人が誰かはわからないままだが、ここでヴァンパイアか誰か分かったのは大きいだろう。
夜も遅いしそろそろ横になるとしようか。
そうして俺は、眠りにつくのであった。
- Re: 命懸けの人狼ゲーム 第7話 ( No.9 )
- 日時: 2023/05/29 00:01
- 名前: Riaゆく (ID: u983PnDc)
〈朝になりました。近藤勇斗と中田孝介、上原奏多は死体として発見されました。議論を開始してください〉
【美味しいパンが焼けました】
近藤が、死んでいる。
今晩ヴァンパイアは俺を狙っていたしハンターはすでに死亡しているからその可能性もない。
つまり…
(猫又!)
俺がふと佐倉の方へ目をやると、どうやら同じことに気づいたらしく、彼女もまた俺の方を見ていた。
「三死体出ているけど、どうする?」
俺はあくまでも冷静を装い尋ねた。
すると、一人の女が口を開いた。
「一応囲っている可能性もあるかと思ったので、私は上原さんを占いました。ですがその結果は白でした…」
岡田美奈。
彼女は9割方本物の占い師なので、この発言は信用していい。
占い先がすでに死亡しているあたり、おそらく妖狐を呪殺したのだろう。
だが、この情報を開示すれば役職が透けかねないので伏せておこう。
と、俺がそんなことを考えている間に松尾は言った。
「時間がないから、早くもう一人の占いと霊能者の結果を出して欲しいんだけど」
「そうですね、僕の占い結果は黒川さんが白です。占った理由は岡田さんと同じく囲いの可能性があるから、以上です」
相馬がそう述べた後、霊能結果がそれぞれ開示されていった。
無論、全て白だったわけだが。
それから少し、これからの流れについての話し合いがなされた。
要約すると、いつまでもグレランをしているわけにはいかないため、占いが黒っぽい人をどんどん占って白位置と黒位置をはっきりさせようとのこと。
そして、今日もこの時がやってきた。
〈議論時間終了です、投票時間に入ります〉
投票すべきは役職coしていないもしくは占い師に白を出されていない、人狼陣営でない人物が最適。
その候補は水無瀬、山根、鹿野、篠崎、そして…天堂。
この5人であればおそらく誰に入れても怪しまれないだろうから、とりあえず天堂にでも入れておくとしよう。
〈投票時間終了です〉
後藤→天堂 天堂→後藤
黒川→山根 佐倉→篠崎
水無瀬→黒川 岡田→佐倉
竹田→鹿野 相馬→篠崎
山根→篠崎 松尾→山根
藤原→天堂 鹿野→後藤
篠崎→藤原
〈投票の結果、3票で篠崎美空さんが処刑されます〉
〈篠崎さん、遺言をどうぞ〉
「特にありません。それが民意であるのなら、私にはそれに従う義務があります」
そう言い残した彼女は、無惨な死体へと成り代わっていった。
少ししてから俺が辺りを見渡すと、そこにはもう誰も残っていなかった。
もしかしたらみんなはもうこの現状に染まりつつあるのかもしれない。
そんなことを考えながら家に戻っている俺もまた、この現状に染まっているのだろうが。
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