ダーク・ファンタジー小説

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No_signal
日時: 2023/03/07 20:31
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

こんにちはこんばんは叶汰です!
今回は初めてのシリアス多めギャグ多めのお話です!


序章「与えられし何とかの」>>1
人物>>2

アンティキティラの展望台編
第1話「キラー」>>3
第2話「賢者の刺客」>>4
第3話「完璧主義者」>>5
第4話「願い」>>6
第5話「黎明」>>7
第6話「花束の代わりに」>>8
第7話「凱旋」>>9
第8話「ただいま」>>10
第9話「復活祭」>>11
第10話「捨て駒」>>12
第11話「むかしむかし」>>13
第12話「」>>
第13話「」>>

Re: No_signal ( No.1 )
日時: 2023/02/25 20:15
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

序章「与えられし何とかの」


むかしむかしあるところに、ふたりのてんしがいました。
ひとりは"ガブリエル"、もうひとりは"ゼルエル"といいました。
かのじょらは、ちからによってしはいするにんげんかいをただそうとしました。
しかしにんげんはかのじょらをいみきらい、しはいするにんげんはかのじょらをしょけいすることをとろうとしました。

かのじょらはしんでしまうまえに、おなじてんしのちからをもったにんげんのみためをしたものを9にんちじょうに生みました。
9にんはちからによってしはいするにんげんたちをしゅくせいし、きゅうせいしゅとなりました。
けれど、9にんのうち4にんはいちぶのけんりょくをもったひとびとによってざんさつされ、のこる5にんはてんしのちからをつぎのせだいにけいしょうすることができず、ちすじはとだえてしまいました。

Re: No_signal ( No.2 )
日時: 2023/02/26 17:57
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

人物


ハルト・ヴァースタイン 男 15歳
不完全だが限られた人間しかできない「術式操作」が可能。
紫色の頭髪に、白の瞳が特徴。
冷静で、あまり大きなことでなければ興味を示さない。

クリス・ガルフェナンド 男 15歳
限られた人間しかできない「術式操作」が可能。
茶色の頭髪に、整った顔が特徴。
誰に対しても優しく、おおらかな性格。

コルニア・アストレーリア 女 15歳
限られた人間しかできない「術式操作」が可能。
銀色の長い頭髪に、モデル体型が特徴。
天然だが、頭脳明晰で頼れる存在。

アイナ・フィオス・カーテナル 女 16歳
限られた人間しかできない「術式操作」が可能。
金色の頭髪に、真っ白な肌が特徴。
カーテナル家の次期当主。

ルカ・ユクレシラ 女 22歳
限られた人間しかできない「術式操作」が可能。
茶色の頭髪に、高い身長が特徴。
ハルトたちの担任。

Re: No_signal ( No.3 )
日時: 2023/02/25 20:11
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

第1話「キラー」


「ハルトー、一緒に帰ろー」
「ん、これ終わったら行く」
「相変わらず、図書室に授業にも出席しないで引きこもるなんて、ハルトさんらしいですね」
窓から差し込む夕日は、それぞれの帰宅の時を示していた。
図書室にこもっていたのは、ハルト・ヴァースタイン。成績優秀でおまけに家庭的。だが授業に出席しないため、どんどん先生からの信頼などは落ちている。
「げっ、ルカ先生...」
「げっ、とはなんですか。大体午後の授業に出席しないことに学園長も怒ってましたよ?」
「でも問題は解決したんでしょ?」
「なぜそうと言い切れるんです?」
「先生、何かしら問題が解決したすぐあとは腕組むクセがあるから」
ハルトから指摘され、ルカは動揺を隠しながら腕を直した。
「あのー...僕忘れてない?」
「なんだクリス、居るなら居るって言えよ」
「僕ずっとここに居たよ!?じゃあ帰ろうって言ったの誰だよ!?」
「俺のイマジナリーフレンド」
「悩みがあるなら聞こうか?」
ハルトははぁ、とため息をつきイスから立ち上がり、本を棚に戻して図書室を出ようとした。
この男、全く興味を示さない。
「それじゃあ先生、これで俺らは帰ります。んじゃ」
「さようなら」
「さ、さようなら。気を付けて帰ってくださいね。...あのくそガキ」

ハルトたちの寮は学校から歩いて10分ほどだ。
一グループ一部屋といった感じだ。
「ただいまー」
「あ、ハルトくんにクリスくんおかえりー」
早速出迎えてくれたのは、同級生のコルニア・アストレーリアだ。
コルニアは御三家アストレーリア家の人間で、いわゆる貴族だ。
クリスも御三家ガルフェナンド家の人間で、クリスに関しては次期当主になろうという男である。
「あれ、先輩は?」
「あー...なんか親御さんに呼び出し食らったみたい...また喧嘩じゃない?」
「はぁ...喧嘩喧嘩って、あの先輩も変な人だ」
「だーれーがー変だってー...?」
ハルトは背後に殺気を感じ、咄嗟に声のする方から離れた。
声の主は喧嘩した張本人の、アイナ・フィオス・カーテナルだ。
アイナは御三家カーテナル家の次期当主なのだが、当主になることを拒み親と喧嘩していたのだ。
「せ、先輩...」
「ハルトぉ...歯ぁ食いしばれよぉ...?」
ニコニコの笑顔なのに、指をパキパキと鳴らしながら歩み寄る姿は悪魔も同然だった。
「ま...待ってよ先輩、話し合えば分かることだって」
「お前だけは許さんぞ...!」
「あー待って待って!俺が悪かったっtアァァァァァァ!!!!????」

「痛い...容赦なさすぎでしょ...」
「まあなんというか、どんまい...」
見事アイナの本気の腹パンを食らい、ダウンしてしまった。
当のアイナはとてもすっきりとした表情だった。
「はーあ、すっきりしたー♪」
「僕から言えることは何もないよ、うん」
「なんだクリス、まだ居たのか」
「ねえどんだけ忘れられてんの!?流石にこれ泣いていいかな!!」
クリスは忘れられ、ハルトはだんだん回復していってコルニアの膝枕から起きた。
『非常警報発令、寮内に居る生徒は速やかに避難しなさい。繰り返します___』
突如鳴り響いた警告音と機械音声に、思わず心臓が飛び出しそうになる。
一体何があったのかと、スマホと財布を持って外に出てみると、暗くてよく見えないが巨大な"何か"が寮の南棟を破壊していた。
「なんだ、あれ...」
「分からない、けど逃げよう!」
ハルトはクリスに腕を掴まれ、必死に南棟とは逆方向に逃げた。
かなり遠くに逃げると、他の生徒たちがざわめいていた。
「大丈夫ですか?」
「ルカ先生!あれは一体...」
するとルカは少し表情を歪めてから、答えた。
「...文献の情報が正しければ、あれは587年前に起こった黒歴史で人類の半数を殺した張本人...禁忌だと思われます」
「く、黒歴史って...」
「何か知ってるの?」
「はい。ガルフェナンド家にはかつての当主、クラナス・ガルフェナンド筆頭で終わらせた世界最悪の終焉レベルの出来事だと伝えられています」
黒歴史。587年前、何者かが禁忌となるモノの封印を解き放ち、人類の半数を無差別的に大量虐殺した。
クラナス・ガルフェナンド筆頭に、その他当時の御三家当主であるレーテル・ヴァン・アストレーリア、ウォルターナ・カーテナルたちが黒歴史を終わらせたという文献が残っている。
「でも、なんで今...」
「分かりません...。ですが、封印が再び解かれてしまったとして、また黒歴史のような被害を出すことはないでしょう」
「?なんで...」
「文献によれば、一世紀ごとに力は衰退していってるためです」
しかし、人が殺されないという確証もないため、現在はここに居る方が安全策だと言える。
「...っ!」
急にハルトの頭に頭痛が走り、その場で膝から崩れ落ちた。
「...!?どうしたハルト!」
「ハルトくん!」
「ハルっ...!?血が...!」
ハルトの頭には傷はないはずなのに、鮮やかな赤色の液体が芝生を赤く染めていた。

Re: No_signal ( No.4 )
日時: 2023/02/25 22:42
名前: 叶汰 (ID: 5R9KQYNH)

第2話「賢者の刺客」


「被害報告を」
「はい。セントラル学園学生寮南棟半壊、学園校舎技能棟全壊です」
昨晩の一件で、建物に甚大な被害があった。奇跡的とも呼べる死傷者0に関しては、政府も安堵している。
しかし、ハルトが突如倒れて未だに目を覚ます兆候も見られなかった。
「...」
「ハルトくん...」
「...きっと大丈夫ですって!あいつなら戻ってくる!」
クリスだって本当はとても不安だ。
もしも親友が居なくなったら。大切な仲間が死んでしまったら。
クリスのこの台詞だって、自分を落ち着かせるための自己暗示に過ぎない。
「...ん」
「っ!ハルトくん!」
絞り出したような声と、コルニアの手を握り返す白く透き通った手の冷たい感触。
ハルトはゆっくりと目を開ける。
「よかった...!」
クリスとアイナは安堵の表情を浮かべ、一段落ついた。
「ここ、は...」
「病院だよ。ハルトくん、昨日の夜避難したあと急に血を流して倒れたの」
「...何も思い出せない」
ハルトは昨晩の記憶が一切思い出せなかった。断片的な記憶すらも思い出せず、少し悲しそうな表情を浮かべた。
「お医者さんが言うには昨日のグーパン以外は何の問題もないから、退院して帰っていいってよ」
「グーパンに関しては先輩のせいでしょ。いやー、痛かったなー」
「あんた、ほんっと性格悪いわね。私のくそ親父と同レベルよ...」
ハルトにとってアイナの父親の性格の悪さがどのくらいなのかよく分からないが、実の父親を嫌うアイナのことだ。きっとそのぐらいだろう。

「改修工事?」
「そうです。あなたたちには悪いけど、別の場所でしばらく暮らしてもらうから」
「それはいいんですけど、どこに住むんです?」
コルニアの質問に何も言わずに、指を指した。
指す方向には、コテージのような建物があった。
「...もしかして、あれ?」
「そうです」
「マジか...」
「文句があるのなら、ハルトさんは野宿でもいいですよ?」
「遠慮しときます...」
ハルトも野宿するほどバカではないので、コテージ風の建物に住むことにした。
中に入ると、木の香りが鼻腔を突き抜け心地のいい空気が肺に循環する。
「結構広いねー」
「学園側に申請したらここに住めるようになるのかしら」
「先輩はすぐ備品とか壊すから無理でしょ」
「...また病院送りにされたいのかしら?」
「すんません」
アイナに余計なことを言うのはよそうと、ハルトは心に誓った。
住み心地が良さそうなのは事実。ここに住めるのなら鉄筋コンクリート造の寮よりも断然こっちの方がいい。というかぜひ住まわせてほしい。卒業してからも住まわせてほしい。

夜は昨日の出来事があったためか、とても静かに感じた。
水の流れる音しかせず逆に寝れなくなってしまったハルトは、スマホのディスプレイを見る。
少し眩しくて目を細めた。
「...走ってくるか」
消灯時間を過ぎているため、本来は寮から出てはいけないのだが、バレなければ校則違反ではないという訳の分からない理屈で外へと出た。
外は少しひんやりしていて、上着越しからでも伝わる冷気が心地よかった。
「...?誰か居る?」
誰かが木の下に立っていたが、同業者だと思い、素通りしようとした。
「...ハルト・ヴァースタイン」
「!?なぜ俺の名前を」
「お前を、排除する」
しゃがれた低い声で、トレンチコートを着た人物は短刀を取り出し襲いかかってきた。
ハルトはすぐに反応し、物質操作術式"コントロール・タイプロック"を使用し、地層を地上に出させ防御した。
「流石の反応速度、ヴァースタイン家の一族だ」
「そりゃ一応武家の一族なんでな。でも、俺は正直戦いたくない。なぜならこの現場、見つかってしまったら消灯時間とっくに過ぎてるのに寮から出たこと、そして術式の使用。バレたら一瞬で俺の進級の可能性が落ちる」
トレンチコートの男は驚いたような素振りを見せ、短刀をしまった。
「...呆れた。ヴァースタイン家の一族は、そんなことを気にしているのか」
「分かったなら、とっとと行け」
男はその場から立ち去り、霧の中に姿を消した。
「...かはっ」
胸を押さえ、膝から崩れその場にうずくまった。
「無理しすぎたな...げほっ!」
ハルトは不完全な術式操作なので、2級術式を使ったらそれこそ身体への負担は大きい。
赤く粘性を帯びた鉄錆び味の液体を口から吐き出す。口の中が最高に気持ち悪い。
治癒術式を使用し、なんとか回復したが、未だ口の中の生臭さと気持ち悪さは脳が覚えてしまっている。

「ヴァースタイン家の壊滅計画、着々と進んでいるようだが」
「ええ、現在ハルト・ヴァースタインの血縁関係を持っている生存者は妹のサラ・ヴァースタインと兄のニトラス・ヴァースタインのみです」
白髪の男はコーヒーを一口飲む。
「王家ヴァースタイン家はなんとしてでも潰す。でなければ、600年前の君主が復活し最悪の国家の結末を辿ることになってしまう」
ルーマン・オルタナティブ、消えたはずの伝説上の天使のと力を使用できる血筋の一つ。その当主。


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