ダーク・ファンタジー小説

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異世界戦争~魔法と技術~ 第二章  
日時: 2025/01/17 23:08
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)

こんにちは
作者の味海みかいです。
この話はもともとコメディーライトのほうで投稿していたのですが、あまりにも明るい感じではないので、こちらで連載?することにしました。
初心者みたいな文章力なのでお気を付けください。



作者用事で投稿できずすいません…
小説☆カキコ大会2023・冬 銅賞 ありがとうございます。
小説☆カキコ大会2024・夏 金賞 ありがとうございます。
閲覧数100越えありがとうございます。(日時不明)
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閲覧数1900越えありがとうございます。(2024確認時9/6)

閲覧数が1000に達したので、なんかやります。


感想等を頂けると作者がもっと頑張れます
書いてくださる方は是非(いるかわかりませんが…)


目次
プロローグの一気見 >>1-4
第一話の一気見 >>5-9
第二話の一気見 >>10-12
第三話の一気見 >>13-15
第四話の一気見 >>16
第五話の一気見 >>17-18
第六話の一気見 >>19-21
第七話の一気見 >>22-24

全部一気見 >>1-

一章のみ見る>>1-16
二章のみ見る>>17-

プロローグ1 >>1
プロローグ2 >>2
プロローグ3 >>3
プロローグ4 >>4
第一話 (1) >>5
第一話 (2) >>6
第一話 (3) >>7
第一話 (4) >>8
第一話 (5) >>9
第二話 (1) >>10
第二話 (2) >>11
第二話 (3) >>12
第三話 (1) >>13
第三話 (2) >>14
第三話 (3) >>15
第四話 >>16
第五話 (1)>>17
第五話 (2)>>18
第六話 (1)>>19
第六話 (2)>>20
第六話 (3)>>21
第七話 (1)>>22
第七話 (2)>>23
第七話 (3)>>24
第八話 (1)>>25

第四話 ( No.16 )
日時: 2023/06/29 00:33
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)




時は遡り、三年前



今日は一体何人分の涙の雨が流れたのだろうか。
昨日、あんな事があってから俺はずっと自分の家の残骸に包まれながら雨に打たれていた。
もう何もする気が起きない、まさしくそれが今の僕には正しいだろう。
昨日までここには町があったんだ。
それが何故、何故。
「……一体なぜなんだよ……」
そう絞り出した声を出したその時だった。
「それはすべてシルディアの所為でございます」
どこか陽気なおじさんの声が響いたのだ。
「ところで、一体何をしているんですか?そんなところで」
そのおじさんらしきものは近づいてくると、僕を除きこむ。
傘を持ち、出っ歯でちょび髭のいわゆるお金持ちのような服装をした小柄の男だった。
「……うるせぇよ……」
「何がでしょうか?私はあなたは今何をしているのか聞いただけですが?」
男は何ともないような言い方で言い、僕を見る。
何かやり返したかったが僕には睨み返すほどの気力も残っていなかった。
「……死ぬんだよ」
「ほほう、それは何故?」
「……何故って見て分からないのかよ……!」
「はい、全く」
男はキョトンとした顔をして僕を見る、その目には何かの意思のようなものを感じた。
「……家族がみんな死んだんだよ……」
「へぇ~それは悲しかったですね、で?」
「は?」
「それだけですか?」
男はそう言い放った、途端にこみあげてくる怒り、くやしさに、憎悪。
「……お前に何が分かるんだよ……!」
「家族を失ったことのないお前に僕の何が、何が……」
どうしようもないほどの絶望に飲み込まれる。
僕は何もできなかった、あの爆弾が落ちた時ですら僕は何もできなかったんだ。
やるせなさ、不甲斐なさ、そのどれもが僕の中でうずまき、涙となってあふれ出す。
涙を拭おうとしても手は動かない、そりゃそうだ、もう意識が遠のいてきているのだから。
もう、僕に残っているのは……待っているのは……

それだけだ。

「取引をしませんか?」
意識が遠のく中、男の声が木霊する。
「爆弾を落とした奴らを皆殺しにしたいと思いませんか?」
それができるんだったら僕はもうしてるよ、でも僕は……無力なんだ。
「その代わりにあなたには一つ我慢をしてもらう必要があります」
「とある少女の面倒を見てほしいのです、その少女が死ぬまで」
男は続けて言う、僕は頷いてもいないのに。
「その少女の名は、」
サリー・ノエド
「この街がなくなった原因を作ったハーフの人種です」
「そして、貴方の父親が殺したトレイトのエルフの子供でございます」
それを聞いた瞬間僕の体は息を吹き返したかのような感覚に見舞われる。
そして僕は一言言ってやった。
「いいよ、その取引乗った」
僕が目指すのは、この街を壊した奴の復讐、ただそれだけだ。


少年は、いや、そのオークはボロボロの体を意識がもうろうとしながらも奮い立たせ、歩き始めた。
一つの
決意を胸に。




第四話 失うものは大切なもの 



一章完結



二章へ続く……


第五話 ( No.17 )
日時: 2023/07/08 17:38
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)







今日も雨が降っている。
あのときと同じ、
いつもと変わらない地獄の涙だ。






俺は出っ歯と別れてからしばらく歩き続けていた。
予定の時刻まであと3時間、それまでどうしていようかを考えながら。
とりあえず、そこら辺の酒場へと入り、カウンターへと座る。
「……マスター、カクテルを一つ」
「わかりました」
マスターは吹いていたコップを置くと、後ろの棚から液体の入った瓶を取り出し、吟味し始めた。
あと3時間、あと3時間あれば、
世界が変わる。
この世界に、この腐った世界に鉄槌を与えられる。

「――――どうぞ、フードのお兄さん」
そんなことを考えている間にどうやらできていたようだ。
俺はお礼を言いつつ、受け取ると一気に飲み干した。
飲み干すときの勢いのままフードは無慈悲にも首元へといってしまった。
「!?」
しまった、そう思った時にはもう遅い。
「お前、トレイトじゃねぇか!!」
近くにいた金髪の男が大声を上げ、それと同時に店の奥へマスターは走り始める。
「うぉぉぉぉ!」
金髪は拳を振り上げると、俺に向かってそれを落とす。
が、ソイツの拳は無残にも空を切ることになる。
「な!?」
そのまま思い切り前に転ぶと俺はそいつを蹴り上げる、無様に中を舞ったそいつはそのまま頭から床にたたきつけられると、意識を失った。
それと同時に猟銃を持ってきたマスターは躊躇なく俺に対して発砲する。
鈍い音が聞こえ、俺の腹から赤い液体が噴き出し、それが床に海を作り上げる。
そんなことはお構いなしに俺はマスターへと近づいていく。
「ヒッ!ヒッ!ヒィィィィ!!!!」
マスターは猟銃に入っている銃弾を全て使い切るとへなへなと床に座った。
「……一つ聞きたいことがある」
俺はそいつをにらむと、歯ぎしりをしながら、幼少期から思っていたことを尋ねてみた。
「何故、お前らはトレイトを意味もなく殺す?」
体からは滝のように液体が溢れる。
「こ、怖いじゃないですかぁ!?」
それにビビったのかそいつはその一言を最後にそのまま意識を失った。
「……怖い、だと……?」
誰にも届きのしない、怒りが体をめぐる。
「その程度で人を殺すんだな」
俺にはそれしか出てこなかった、もしかしたら何か理由がだなんて考えた俺が馬鹿だったよ。
あぁやっぱりこの世界は、
「腐ってやがる」












第2章の始まり始まり 




第五話(その1) 腐っているのはこの世界だ


第五話(その2) ( No.18 )
日時: 2023/07/11 18:06
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)

酒場での出来事から2時間後







「君に伝えないといけないことがある」
兎顔のそいつは汗だくになりながらもそう言う。
それを聞いた僕は本当の絶望を味わうこととなった。
「ルソアを止めてくれ」
兎顔……ビットは僕の目をじっと見て、必死にお願いをしてくる。
が、僕は相変わらず絶望のどん底にいるのだった。
そりゃそうだろう、さっきまで拷問されていてやっと助かったと思ったら今度はルソアを止めろって?
無理難題にもほどがあるだろう。
「ルソアを食い止められるのは君しかいないんだ」
そう言うビットの呼吸は次第に荒くなっていく、何かをこらえるかのように。
「……」
僕はどうしたらいいのだろうか、とにかk―――
「ルソアァァァ!!!!」
その声と共に、僕の体は宙に舞った。
誰かに顎を思い切り蹴られたのだ。
僕はとっさ何とか受け身を取ったことで軽症で済んだがそのまま硬い地面に激突する。
その瞬間僕の視界が真っ赤に染まり、体中から力が抜けていく。
「てめぇ、何でここに!」
ビットの声が聞こえる。
どうやらルソアと話をしているようだ。
「そんなことはどうでもいい、こいつはもらっていく」
そう言うと僕は誰かに運ばれ始める。
恐らくルソアが片腕で持っているのだろう。
そこで僕の意識は糸の千切れる音共に消えたのだった。





「行かさねぇよ、はぁ、ルソア!」
僕はとにかく叫んでみる。
ルソアはまだこっちにいるはずだ。
そう思っていたからだが、それはルソアの一言によって無残にも消え失せることとなる。
「俺はこの世界を変える、そのためにはこいつは必要だ、ずっと探していたんだこの機会を逃がしてなるものか」
そう言ったルソアは指を鳴らし、消えると同時にその場に白い仮面をつけた何かが僕の前に現れた。
「こんにちは、貴方を足止めするために来ました、白島しらじまと申します、冥途の土産にでも覚えていってください」
そう言う、ソイツの体からは煙が出ている。
爆弾……!?

そう思った時にはもう遅い。
何故なら
全てが
彼に託されているのだから。

「ごめん」

そう言った僕の目にはおそらく漆黒に染まった瞳が映し出されているであろう。
僕は昔から周りと何もかもが違っていた。
頭も、肉体も、奇術も、もちろん顔だって。
だからずっと思っていたんだ。
僕は
「最強なんだぁぁぁぁ!!!」
奇術level解放
「アマテラスオオミカミ!」






第五話(その2) 最高神、天照大神



第六話(その1) ( No.19 )
日時: 2023/07/21 19:14
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)








「久しぶりだね」
真っ暗の中、不意に後ろで声がした。
とっさに振り返ろううとするが体は動かない。
どこかで聞いた声、大切なあの人の声、世界を変えると誓うきっかけを作ったあの声、僕が殺した声。
くやしさ、悲しさ、怒り、すべての感情がぐちゃぐちゃになる。
「君はどんな時でも、笑顔だったよね」
彼女の声が近づいてくる。
足音一つすら立てずに。
「私は貴方の事が好きだった」
声が近づいてくる。
「ねぇ」
そして僕の前に小さい女の子が現れ、笑顔を作ると僕の方に触れる。
どうやら僕の体は小さくなっているようだ。
「貴方もそうだったの?」
声を出そうとしても出ない。
伝えたい、せめてあの命を無駄にしない為にも、最愛の人をあやめてしまった僕の決意が揺らがないよう、受け止めたい。
自分がしていることの重大さを受け止めないと意味がない。
だからここで、伝えたい。
僕もあなたが好きだったと。



「……はっ……はっ……」
僕は思わず飛び上がる、心臓はまるで目覚まし時計のようにドクドクと大きな音を鳴らす。
一体今のは何だ。
僕の事ではないのが分かるが一体誰の事なんだ。
それにあの女の子、どこかサリーに似ていたような気がする。
あぁ、僕はまだ引きづっているのか。
「おい、寝坊助!」
突如として男の怒号が部屋に響き渡る。
声のした方を振り返ると顔を真っ赤にし、涙を浮かべたビットが立っていた。
「早く起きろよ馬鹿野郎!」
そう言うとビットは僕のもとへと走りこみそのまま僕を抱きしめる。
「!?」
突然の事で全く反応できなかった僕は慌ててビットを離すと、
「一体今はどういう状況なんですか?」
「……悲しいお話とうれしいお話がある、どっちから聞きたい?」
「……では、うれしいお話からで」
僕がそう言うとビットは覚悟を決めたような顔をして、僕の方へと向き直り話し始めた。
【うれしい】お話を。

「うれしいお話っていうのは、爆弾の爆発を止められたって話だ、君がさらわれた後おそらくルソアの部下かなんかが僕を襲ってきたんだけどそいつを拘束してルソアの居場所を吐かせその場所に向かったところでルソアが爆弾の場所に君と一緒にいたんだここからが悲しい話だ、ルソアは君を地面に置くと爆弾事ワープしたんだそしてワープした直後に爆弾の時間がたち爆発したんだ、どこかでただ、おそらくルソアはもう――」
「……生きてない……ですか」
僕がそう言うとビットは頷く、それとともに僕はルソアとの日々を思い出していた。
僕を助けてくれたあの人はもうこの世に存在しない、僕に関わってくれた恩人がまた死んでしまったのだ。
途端に笑いが――――
その瞬間自分を思い切り殴る、びっくりするビットを横目に僕は宙を舞う。
笑うな、僕。
笑うことは受け止め切れていない証拠だ、僕もう二度と逃げない、逃げずに世界を
壊してやる。

壊してやる。

壊してやる。

壊してやる。

いや、

壊す。

――――――――――――――――――――
「ルソア!追い詰めたぞ!」
そう言った僕の目には目に涙を浮かべたルソアが立っていた。
「!?」
「あぁお前か、話がある」
ビックリする僕を他所よそに涙を拭うと、まるで僕の心までを透かしているかのような目で僕を見据え、
「賭けをしないか?」







第六話(その1) 世界を変える賭け




第六話(その2) ( No.20 )
日時: 2023/07/25 12:38
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)





「賭けをしないか?」
今にもあふれ出そうなほどの涙を拭いて彼はそういった。
一体何を考えているのだろうか、もうこいつにとって僕は敵のはずなのに一体何が目的なんだ。
「……賭けって何だ?」
「俺の代わりにこいつを助けてやってくれ」
彼はそう毅然きぜんとした態度で言うが、どこか悔しさ、覚悟が垣間かいま見える。
彼の中では何かが決まっている、僕は瞬時にそれを理解するが、同時にその覚悟がどういうものなのか知りたくなった。
「どういうことだ」
「俺は、殺人、裏切り、テロ、のような非人道的行為を数えられないほど行ってきた、でも俺は気づいてしまったんだ今までやってきたことは俺の家族の弔いにはならないって、俺は今までノブレスへの復讐心だけで生きていた、だからここで俺がお前を殺せばノブレスへの復讐は完遂する、でも俺はもうそんなことはしたくないんだ」
彼はまた泣いていた、大粒の涙が地面を湿らせるほどに。
「毎日苦痛だった、ノブレスの復讐という自分の我儘わがままのためにサリーもマルクドもそしてお前の母と父も、皆殺して生き続けていることが」
その瞬間彼のこめかみを何かが貫き、血が噴き出る。
しかし彼はそれを全く気にせず話し続けた。
「だから、彼を俺と同じような非人道的なことを犯させないようにしてくれ、それをしてくれるのなら俺はこれを海に落とす」
彼の顔を見ると僕はすぐに頷くことができなかった、顔は血で染まり、床もさっきまでの涙が上書きされるほど赤黒くなり、そんな状況の彼を助けるべきではないかと一瞬迷ってしまったのだ。
「……沈黙はそういうことだな、じゃあよろしく、体に気をつけてな」
彼は遺言のようなことを言うと爆弾の方へ向き直る、その瞬間またもやこめかみ辺りを何かが通り過ぎ血がさらに吹き出る。
「……アルハマス」
何かを呟いた彼は、それを最後に消えたのだった。
男の子を置いて。

彼が行ってすぐとてつもない喪失感が僕を襲い、無意識にうずくまってしまった。
「ルソア……」
行ってしまった彼の名だ。
喪失感に浸っている場合ではない、そう気づいたのは腕を鉛の玉が通過してからだった。
右腕に熱い液体が零れ落ちていくようだった、不思議と痛みはなくただただ熱い。
そう考えていると今度は耳を玉がかすめていった。
すぐさま男の子を左手でつかむと僕はその場を後にするのだった。




その場所から約一キロほど離れた崖の上に誰かがいるようだ。
「チッ!三等ごときが裏切りやがって」
男は舌打ちをしながらそう呟く。
右手にはスナイパーライフル、左手にはおそらくライフルの玉を握り締め怒りでわなわなと震える。
「まぁまぁ、落ち着きなさい、たかが三等ですよねぇ?いなくても変わらないですよぉ」
どこからか見覚えのある出っ歯が現れ、その男の肩に手を置く。
男は嫌そうに手を振り払うと、出っ歯にまくしたてる。
「そんなことはどうでもいい、最後に組織の名前を言ったことの方が問題だ、お前の実験としてあいつを入れていたのは理解できるが、その結果があれだろ?もしビットが攻めて来たらどう責任を取るんだ」
出っ歯は少しも悩む様子を見せることもなくこう答えた。
「別にあの兎程度だったら三等で十分ですよ?」
底なしの狂気、それを感じるのはこの男だけではない。
動物、人間、そして植物でさえ、その男の異常性を感じているのだ。
「はッ!やめだやめだ!かなわねぇよボス!」
思わず目を背ける男とそれを笑顔で見続ける出っ歯。
「ところで、新しい実験をしたいんですが―――――――――――――」
男は眉間にしわを寄せつつ話を聞き、無意識にライフルを構えた。
「あの男の子を捕まえて来てくれない?」
「……わかった、生け捕りだよな?」
「もちろん」




――――――――――――――――――――
「はぁっはぁっ……」
私は走っていた。
ビットさんのもとへ、彼のもとへ。
現在、私がいるのはとあるトレイトの村の病院だ。
どうやら彼とビットさんはケガしているらしい。
そして私は彼の病室の前に着くとドアを開けようとした。
その時、
「ありがとうございました、ビットさん」
「……何をする気だ!」
部屋からは話し声が聞こえてきた。
「何って、見てわからないんですか?」
「何で外に行こうとしている!安静にするんだ!」
「嫌です、僕はもうあなたたちに迷惑をかけたくありません、現に僕の前には何回もノブレスの人たちが現れています」
「これは僕の我儘わがままなんかじゃありません次殺されるのはビットさんかもしれない、キヤかもしれない、ほかの人に危害が加わるかもしれない、それなのに僕が弱いままで守られてばっかなのは嫌です、少なくとも山籠もりか何かをして修行をした方が僕にとっても皆にとってもいいはずです」
「意味が分からない、ダメだ!まだ君はケガをしている、体中に穴が開いていて今にも血があふれ出そうな状態なんだぞ!」
言い争っているようだ、そんな中病室に入っていくほどの度胸が私にはなかった。
悔しかった、彼は私やほかの人、強いてはビットさんの事を考え、苦しい思いをしているのに私には支えることができない、それが何よりも一番苦痛だった。
二人の役に立ちたい、そう言って私は二人に無理やりついてきたのに何もできない。
「それで言い訳ねぇだろ、クソが……」
思わず言葉を吐き、私の中を劣等感と悲しみが駆け回りそして、
一つの覚悟へと
昇華するのだった。







第六話(その2) みんなの覚悟





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