ダーク・ファンタジー小説

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異世界戦争~魔法と技術~ 第二章  
日時: 2025/01/17 23:08
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)

こんにちは
作者の味海みかいです。
この話はもともとコメディーライトのほうで投稿していたのですが、あまりにも明るい感じではないので、こちらで連載?することにしました。
初心者みたいな文章力なのでお気を付けください。



作者用事で投稿できずすいません…
小説☆カキコ大会2023・冬 銅賞 ありがとうございます。
小説☆カキコ大会2024・夏 金賞 ありがとうございます。
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閲覧数が1000に達したので、なんかやります。


感想等を頂けると作者がもっと頑張れます
書いてくださる方は是非(いるかわかりませんが…)


目次
プロローグの一気見 >>1-4
第一話の一気見 >>5-9
第二話の一気見 >>10-12
第三話の一気見 >>13-15
第四話の一気見 >>16
第五話の一気見 >>17-18
第六話の一気見 >>19-21
第七話の一気見 >>22-24

全部一気見 >>1-

一章のみ見る>>1-16
二章のみ見る>>17-

プロローグ1 >>1
プロローグ2 >>2
プロローグ3 >>3
プロローグ4 >>4
第一話 (1) >>5
第一話 (2) >>6
第一話 (3) >>7
第一話 (4) >>8
第一話 (5) >>9
第二話 (1) >>10
第二話 (2) >>11
第二話 (3) >>12
第三話 (1) >>13
第三話 (2) >>14
第三話 (3) >>15
第四話 >>16
第五話 (1)>>17
第五話 (2)>>18
第六話 (1)>>19
第六話 (2)>>20
第六話 (3)>>21
第七話 (1)>>22
第七話 (2)>>23
第七話 (3)>>24
第八話 (1)>>25

第二話(その2) ( No.11 )
日時: 2023/04/26 21:40
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)






僕「……能力、バリアlevel2、球体」
何故か僕はその言葉を叫んでいた。
頭の中にあった言葉でも、知っている言葉でもない。
その言葉と共に僕とビットの周りをバリアで包み込む。
ビット「おお!やったじゃん!」
ビットは嬉々として言う。
ルピフォ「ハッハッ!引っ掛かったな!全部読めてんだよ!お前らはもうそこから出れないぞ!」
僕「さぁ?それはどうかな?」
そういって僕は嫌味ったらしく言ってやった。
そして瞬間的にバリアを解除した瞬間、ルピフォが叫ぶ。
ルピフォ「そこから出ようとすることも全部知ってんだよぉ!!」
ルピフォ「兵よ!その周りを囲めぇ!!」
しかし、ルピフォの命令は少し遅いため、その一瞬を使い、ビットが僕を抱き連れて行った。
その際、兵は何とかして僕たちを捕らえようとしたがそれをすべて軽々と回避すると隠し持っていた人参をポケットから取り出し、
ルピフォへと投げつけた。
間一髪でそれを避けるルピフォと大混乱に陥りかける大量の兵。
それを後目にビットは巨大なドアを開け一言。
ビット「じゃあね、皆!」
ルピフォ「リトロォォォォ!!!」
ルピフォの怒りの声を最後に僕はビットに抱えられながら街へと向かった。
そして案の定僕は最初にきた場所で降ろされる。
そしてビットは僕に向き直って、僕をほめた。
ビット「君はすごいよ!あのルピフォと互角に戦うなんて!」
しかし僕は喜べなかった、そりゃそうだ。
僕はおじさんを……マルクドを殺したんだから。
しかもたちが悪いのは僕が全く記憶にないという点。
気が付いたら、殺していたなんてそんなの……
僕「うっ!……」
ビット「!?」
ノブレス人やこの世界と同じじゃないか。
そう思うと吐き気がまた押し寄せてきた。
僕は一体どういう奇術を持っているのだろうか?
バリアだけじゃないのか?
ビット「大丈夫?」
そういって心配そうに僕を見るビットを眺めているうちに吐き気は収まり、その代わりに疑問が浮かび上がってきた。
僕「あの……ルソアさんはどこに行ったんですか?」
何で僕は今までルソアの事を忘れていたのだろう?
しかしビットは目を泳がしながら首を横に振るばかりだった。
僕「?なんですか?どういうことですか?」
そう言ってもビットの動きは変わらなかった。
この動きに何かがあるのだろうか?
死んでいるのなら死んだと伝えればいいだけの事それを言わない時点で何かある。
僕「…死んではないんですか?」
ビット「…うん」
ビットはゆっくりと頷く。
その顔はどこか、悲しそうな雰囲気がした。
僕「では、どこにいるんですか?」
ビットはまた首を横に振るが、聞いてはいけないと目で伝えてきた。
ルソアさんは一体どこに行ったのだろうか?そしてなぜビットはそのことについて教えてはくれないのだろうか?
ビット「…おっと、もう情報が届いたようだね」
ビットはボロボロの家の住人を眺めならそう言う。
住人は槍のようなものを持ち、盾を構え、臨戦態勢を取っていた。
明らかに、敵として僕たちを認識しているようだ。
ビット「昨日の今日でまた逃げるのか…」
そう言ったと同時に、一人の住民が何かを呟く。
住民「あkljlだjぃ」
その瞬間、ビットは目を見開き、血を吐きながら吹っ飛ばされる。
住民「ハハ…!やったぞ!あとは雑魚のあいつだけだぁ!!」
一人一人が希望に満ちた笑顔だった、しかしそれはなんでだろうか。
何故僕たちを殺すことで希望が芽生えるのだろうか。
この世界はやはり腐ってる
何もしてない人までもが死ぬんだもの。
僕には怒りと似て非なる別の感情が宿り始めていた。
そしてまた住民は何かを呟く。
住民「ぁkじゃjsだjぃj」
そう言い終えた時だった。
??「ようぅぅケ?」
僕の前に何かが現れ、周りの動きがゆっくりになっていく。
??「お前が宿主かぁぁケ?」
黒く渦巻いた巨大なナニかが僕を囲うように回る。
黒いナニかは僕の目の前で動きを止めると、手のような何かを作り、差し出す。
そして僕に言う。
??「力を上げるよぉぅぅケ?触ってぇぇケ?」
触れば僕は力が手に入るのだろうか。
住民の奇術はもう使用されている。
つまり今死にたくないのであれば、この手を取るしか僕には助かる方法がない。
しかし、こんな怪しい奴の手を取っていいのだろうか。
黒いナニかは手をさらに差し伸べて言う。
??「はやくぅぅケ?」
ビットはやられ、サリーも死に、ルソアに至ってはどこにいるかも知らない。
僕はこの人たちの役に立てたのだろうか?
いや、一回も立ってない、そう思った僕は黒いナニかに手を伸ばす。
そこで僕の記憶は…途切れなかった。
黒いナニかの手に触れた直後、黒いナニかは僕の手に吸い込まれていく。
そして僕の体に何かがみなぎる。
気が付くと僕は手をまえに出していた。
そして一言
僕「limit解除 奇術 想像」
僕の前にバリアができ、何かが弾ける。
パァン!!
住民「!?…何が起きた!?空気玉が弾けたぞ!?」
そこからは酷く単純だったよ。
何せ、殺すだけだもん。








第二話(その2) 黒いナニか





第二話(その3) ( No.12 )
日時: 2023/04/29 12:43
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)






「これは、何だ?」
思わずそう言ってしまう。
夕焼けに飲み込まれそうな感覚を背中で感じつつ、もう一度目を擦り僕の目に映っているものを確認する。
しかしそれは変わらなかった、目の前に広がる死屍累々を意味もなく見つめなおした。
すべての死体の家族を僕は知ってる、此処に住んでたから。
いったいこれは誰がやったのだろうか。
絶望の狭間で思ったことはソレだった。
辺りを見回してみると一つの死体の山の上に誰かが立っているのを見つける。
そいつはあの子だった、いやあの子ではないあの子だった。
「あ、ビットさん起きたんですね皆殺しておきましたよ?」
ソイツは狂気じみた笑顔と血だらけの手で口元を擦りながらそう言う。
口元に血が付き、ソイツはその血を舌で舐め綺麗にすると相変わらずの笑顔でこちらを見る。
「…君は何があったんだい」
「いや?何もないですが?」
「そんなわけないだろ!」
僕は大きな声でソイツに言う。
あんなにやさしい雰囲気の子が何故。
何故。
僕の体中に苦しみの葛藤が駆け巡り、沸々と怒りがこみ上げる。
「お前は何者なんだ、殺すぞ?」
「はぁ…じゃあいいです、殺りましょう?」
そう言ったかと思うと僕の立っていた地面から物凄い勢いで何かが飛び出す。
何とか僕はそれを避けるが、後ろからまたもや何かが飛んでくる。
「!?」
それは、透明な長方形…つまりルピフォの前で見せたバリアだった。
コイツは僕が眠っている間にそれを何個も出せるように、そして詠唱も、特定の動きなども何もなしで出せるようになっていたのだ。
「ほら!ほら!殺すんだろぉ!!!攻撃してみろよぉぉぉ!!!」
ソイツは僕の周りに大量のバリアを出現させ、目にも止まらぬ速さでそれをぶつけてくる。
一撃でも当たれば死ぬということがひしひしと伝わってくるそのバリアはもはや、ただの凶器でしかなかった。
雨のように降り続けるバリアを搔い潜り、僕は男の子に向かって拳を振り落とす。
しかし落とす瞬間にバリアを張られ、当たらない。
手は痺れ、体に衝撃が集まり体中で跳ね返る。
「っ…!」
「もう、終わりなの?」
男の子はそう言い、指を鳴らすとバリアを大量に出現させる。
これは避けられない、とでも言いたそうな顔をする男の子を僕は見上げ、口角を上げた。
「!?」
驚きのあまり転げ落ちそうになっている男の子を僕はしっかりと目で捉えると、手を銃の形にして狙いを定めた。






何だ。
あの短い時間に何があった。
僕があいつを中心におびただしい数のバリアを配置し、ぶつけようとしたところまでは理解できる。
しかしあいつが目の前から消えた瞬間バリアの上にいたことは全く理解できない。
意味が分からない。

あいつは俺を見ると手を銃の形にして向けるそして
「バァン!」
俺の体へ向けて、銃を撃つふりをする。
「…っふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そう言って俺は体中からバリアを放出し、あいつへ向けて放つ。
が、そこからはあいつにとってはお遊戯に過ぎなかった。
すべてをギリギリで躱し、光の速度で俺に接近してくる。
何故だ、何故だ……何故だ
「何故だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
あいつは俺の攻撃を全て笑顔で掻い潜り、顔に今度は拳を与えた。
バリアが、出ない……………?
薄れていく自我の最中、最後の力を振り絞っても俺ができたことは
何もなかった。






「んっふぅ……へ?」
僕が見た景色は見るに堪えない死屍累々だった。
流石にもう吐くことは出来なかった、慣れてきてはいないはず。
だってこんなにも、動悸が止まらないんだから。
「はぁ……はぁ……」
「やぁ、起きたところかい?」
後ろからどうやらくたびれてはいるが、どこか明るいような聞いたことがある声が聞こえ、後ろを振り返る。
そこには、服はボロボロで手がぐしゃぐしゃになったビットが笑顔で立っていた。
「!?、何があったんですか!?それに、この状況は!?」
ビットは一呼吸を置いて歯を見せると、言う。











「何もなかったよ!!!」






いや、
「そんなわけないでしょうがぁぁぁ!?!?!?!?」





第二話(その3) 日常と異常

第三話(その1) ( No.13 )
日時: 2023/05/12 17:25
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)











その後はこれまた大変だった。
何せ、もはや地平線にまで広がるであろうかという死体の山を踏みつけながらも逃げなくてはいけないのだから。
そしてなんとか、オシャッシーから脱出することは出来たが、ここからは一国とルピフォ軍から逃げるのだ、どこへ行っても逃げ場などないだろう。
一体どうなることやら……
そんなことを考えながら僕はひたすら夕日に沈む道を進んでいくビットの後ろをついていく。
一方ビットは何ともないような顔で傷だらけの体を動かし、僕を先導する。
やっぱりこの人は化け物なんだと僕に改めて感じさせる。
僕も今までうまくやってきたよ、異世界へ転移させられてからずっと死体を目にしてるし、この世界の常識を学んでいるし……人も多分殺しているし。
だから――――――――――
「おっと!」
ふとビットのほうを見るとビットの前に何者かが倒れているのを発見した。
慌てて駆け寄ろうとして、思い切り転び、うめき声をあげるビットを後ろに僕はその何かに声をかける。
その何かは、エルフ族の少女であった。
……体中傷だらけの、だが。
かろうじて息をしているようだが、ひどい熱もあり今すぐにも看病をしてあげたほうがいい状態であることは素人目に見ても確かである。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
呼吸が浅くなっていき、今にも気を失いそうな少女を僕は抱き上げるとビットのほうへ振り返り、言う。
「ビットさん、ここら辺に宿屋ってありませんか?」
「……ここら辺には一つもないね、あるのは……」
ビットは少し間を置くと、にやりと笑い言った。
「僕の仮拠点だね」
「ではすぐそこへ行きましょう!!」
仮拠点は道のそばにあった林を抜けてすぐの開けた場所にあった。
まるで、小さい木のような形をした仮拠点は久しく使われていないのか、ドアの前にはツタが絡まり一筋縄ではいかないような雰囲気を醸し出している。
しかしそのつたを手刀で一瞬にしてビットは断ち切ると、ドアを開け一言。
「螺旋階段を登ってすぐに見えた戸を開いて、目の前にある棚の三段目を開けてね、僕は……後から行く」
少し、眉間にしわが寄ったような気がしたが僕はビットの言葉を信じて目の前にある階段を駆け上がる。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
少女の体からは布越しでも熱が伝わり、呼吸が浅くまるでおぼれているかのような呼吸をし始める。
あと少し、あと少しだけ持ってくれ。
そして一番最初のバラの棘のようなものが絡みついた戸へとたどり着くとそのまま蹴破って中へ入る。
階段で付けた速度をそのままに戸へと飛び蹴りをしたため、通常の力では壊れない戸でも簡単に壊すことができたのだ。
そして目の前にある古びた棚へと一足でたどり着くと三番目の引き出しを思い切り開ける。
そこには一本の枯れた葉が置いてあった。
「は?」
思わず声が出てしまう。
何か救急箱か何かがあるのかと思ったら、たった一本のしかも枯れ葉なのだから。
とりあえず、僕はその草を手に取りあたふたする。
すると、枯れ葉から眩しいほどの光が溢れ始めた。
一体何が起きるのか分からず、暗闇の中またもやあたふたする僕。
しかしその光はすぐに消えてなくなっていった。
なんとその草が僕の手から消え、少女の熱が下がっていくのだ。
「おう!使えたか!」
声のしたほうを振り向くとビットがボロボロの体を壁で支えながら、したり顔で僕を見る。
「それは、『世界樹』と呼ばれる木の葉っぱだ、どんな万病にも効く最高の薬さ」
「まぁ、その分希少すぎてめったに手に入らないんだけどね」
舌をちょろっと出して、ウインクするビット。
それに対し、何の感情もわかない僕は
「とりあえずこの子はどうしましょうか」
と言う。
僕はこの時、少女の事で一杯だった、そんなことに気を取られている場合ではないとすぐさま判断したのだ。
しかしビットにはそれが伝わらないのかしょぼんとした顔で指をさす。
「……あそこに毛布があるからそれを使って」
ビットはそういうと部屋の明かりを静かに付けた。



ううん。
「―――だ―じ――かな」
「――も―――んさ―」
一体誰だろうか。
私は、確か今日のご飯を買いに家を出たらオシャッシ―の兵隊さんに飲まれて……
そこからの記憶は曖昧で、気が付いたら道に倒れていた。
そしてまたそこで意識が途切れて……
ここはどこなのだろうか。
そう思い静かに私は目を開ける。
「あ!起きましたよ!」
私より少し身長が小さい男の子がピョンピョンと跳ねて喜ぶ。
「そうだねぇ」
そう言いながら兎顔の英雄が顎を擦る。
「あの、ここは?そしてあなたは?」
とにかく今は情報収集だ。
もしかしたら、殺されるのかも……
まぁ、リトロさんがいるからそれはないと思うのだけれど、一応ね。
「僕の名前はビットそしてこっちが―――――」
その時だった。
突如として、何かの爆発音が聞こえたのだ。
その瞬間、私は即座に理解した。
この人たちに助けられたのだと。
オシャッシー……通称、奴隷の奴隷の国、ではなく、
最強の奴隷の国。
そんな国を潰せれば、この戦争はトレイトの負けだ、なんて噂が私の耳にも入っている。
一体そんな噂が何故流れたのかは分からないが、そんなの街の皆が昔から思っていたことだ。
いつこの場所がばれるのか、いつ殺されるのか。
そんな状態が常に続いていたのだ。
つまり、今日がオシャッシーの、
トレイトの

敗北の日だったのだ。

そんな絶望に飲まれている中、またもやリトロさんが変わらない声色で話しかけてくる。
「すごい揺れだったね、まぁここは多分大丈夫だからそんな話は置いといて、君の名前は?」
あぁ、この人たちも死んでしまうのかな。
私も。
家族も。
オシャッシーの皆も。
そんなことを考えていると、リトロさんは察したのか今度は、心配そうに聞いてくる。
「あの、名前は……?」
せめてこの人たちの役に立ちたい。
……そうか、私がこの人たちを生かすんだ。
命の恩人を助けるんだ。
そう思った私は二人の顔を見ると、決意を籠めて答えた。




「私の名前はアルトモ・キヤ、オシャッシ―の住人です」











第三話(その1) アルトモ・キヤ

第三話(その2)   ( No.14 )
日時: 2023/05/16 20:49
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)




この子は何かを勘違いしている。
何故か僕はその子を見てそう思った。
何か不思議なことをしていたわけでも、何かを勘違いしているかのような発言をしたわけでもない。
それでも何かが引っ掛かる。
この子の顔が、この子の――キヤの目が、何かを訴えてくる。
「……キヤは何かを勘違いしてない?」
「……え?勘違い?ですか?」
「うん、まさかオシャッシ―が滅亡したとか、そこから助けられたとか、そんな根拠のないことではないと思うけどさ、何か勘違いしているよね?」
「……え?」
まさか……
「……それかい?」
「は、はいぃ……」
図星のようだ。
根拠がないのに何でそう思ったのか……
この子はちょっと妄想癖があるようだね。
「あ、え、と、わ、た、何で、ここに!?」
「いや、道で事件現場のように倒れていたからだよ!?」
「噓でしょ!?!?」
あぁこの子、子供みたい……
とりあえず、此処からどうしようか、家に帰すにしてももう暗いしいつなんの生物に襲われてもおかしくない、が僕たちの近くにいてもノブレスとオシャッシ―に狙われる。
あれ?この子、今結構危ない状況なんじゃない?
どうしよう……
「あの、私あなた方についていってもいいですか?」
嘘だろ、この子はいばらの道を進むつもりなのか?
まぁ時期にここもバレるかもしれないし、なるべく早くどこかへ行かないといけないことは確かだけど……
だからといってその際についてくる必要は断じてない。
「お願いします!あなた方の役に立ちたいんです!」
そう言って頭を床にぶつけそうな勢いで首を振る、その姿を見るとそれは出来ないの言葉が出てこなかった。
「……一つ聞いていい?何でわざわざ僕たちについてくるの?」
「それは――」
ドン!!
その時はいつも静かにやってくる。
それを忘れていた。
嵐の前の静けさ、それはいつだってこういう時だった。



「ビットさん!早くその子を抱えて逃げてください!」
僕は気が付いたら叫んでいた。
恐らく、扉をたたいた者の異様な空気を察したからだろう。
ビットはボロボロの体を無理やり動かし瞬時に、キヤを抱え込み臨戦態勢をとる。
その時だった。
扉の外がまばゆいほど光始めたのだ。
そして―――
爆発した。
「能力 バリア level2」
その瞬間に何とかバリアを球状に作り、それのおかげで何とか防ぐことができた。
足場事守っていたため、崩れることこそなかったがそれが逆に僕らを追い詰めることになる。
しばらくして、目が暗闇に慣れ始めたころ、また僕らは絶望した。
見渡す限り、一面に機関銃を持った兵隊、空にヘリ、顔は明らかにノブレス人の人たちだった。
そして、ヘリのドアが開くと、リュクにプロペラが付いたようなものを装着した、屈強な黒人男性が額にある傷を擦りながらゆっくり降りてきた。
「さぁ、観念するんだな、殺された仲間の仇を取りに来た俺たちは強いぞ?」
絶体絶命、まさしくその言葉が正しいだろう。
「今から復讐という名の拷問を初めるぜぇ!!!」
ビットはケガで動けず、僕もバリアが連続して出せないこの状況は案の定僕たちの大敗で終わる。
そして僕は、殺されず、ビットたちも殺されず、生け捕りになった、もちろん最低限のけがを負わせ、動けないようにしてね。







その日から数日後の夜、シルディアの兵二人は酒場のカウンターで、疲れた体を癒しながら、最近来たトレイトの民の話をしていた。
「なぁ、最近のトレイトの野郎の話、聞いたか?」
一人の男がもう一人の男へと話を回す。
「あぁ聞いた聞いた、あれだろ?あの忌まわしきサリーと同じ境遇にいる子供の話だろ?」
「そうそうそれそれ、それなんだけどさー今そいつに対して何やってると思う?」
少し陽気な声が、低い声へと変わり男二人の間に不気味な空気が流れ始める。
「さぁ?」
もう一人の男は肩をすくめると、首を少し傾げた。
「ずっと体をデコボコの石で擦られてるんだってさ」
「はぁ?何だよその生ぬるい拷問は!?サリーの時と同じように、あの毒ガスで殺せばいいだろ?」
男の話に怒りを覚えた、男は勢いのあまり大声で立ち上がりそうになる。
しかしそれをもう一人の男が手で制止させると、またもや低い声で話し始めた。
「いや、話によると、気絶したり何か刺激を与えると暴走するらしいよ?だから本部もそうそう激しい拷問ができないんだって」
「術がそんなに強いのか?」
「いや、ビットやあるといわれているオシャッシ―の王よりかは強くないらしいんだ」
「はぁ?ますます意味が分からない、だったら暴走しても問題ないだろ?」
「うーん……そうなんだよ、だから俺も不思議に思っているんだけどさ」
「なぜだろうな」
「まぁ俺らが気にすることではないね、言った俺が言うのも何だけど」
「それもそうか……あぁそういえばビットと一緒に捕らえられたあの女はどうなった?」
「なんか体を色々といじられているらしいよ(笑)」
酒場からは陽気なようで、どこか狂気じみた笑い声が空へと木霊こだましているのであった。









第三話(その2) 拷問の恐ろしさ。

第三話(その3) ( No.15 )
日時: 2023/05/27 20:57
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)



一体いつから、この拷問が始まったのだろうか。
かれこれ三時間ほど前の事だろうか。それとももっと前なのだろうか。
痛い、その感情すらも僕にはなくなりつつある。
水車のようなものに貼り付けられ、巨大なでこぼこした岩へ体を擦りつけるように回す、もちろん裸でね。
これが僕の拷問内容だ。
体中から血が噴きでるがそれもお構いなしでずっと擦りつけられる。
これは聞くだけなら割と軽く聞こえるかもしれない、でも現実はもっと悲惨なのだ。
いわば傷口に石を思い切り、何回も、擦り続けるようなものなのだから。
しかも、痛みで寝ることもできない、死ぬこともできない、精神が壊れそうになるがその際は止められる。
「アハ、アハ、アハハハハハ」
思わず笑いがこみ上げる。
これが一生続くのか、本当に面白いよ。
満面の笑みで引き続けられる僕。
それに伴い、勢いを増していく水車。
その時だった。
ドーン!
何かの爆発音がこの施設を襲う。
途端に元の意識が戻る僕。
そして勢いよく開くドア。
色々なことが同時に起きる。色々ありすぎてもう分からない。
「やぁ!」
煙をかき分けながら、何者かが部屋へと入ってくる。
ドアの前に立っていたのは、ビットだった。
「待たせてごめんね、【少し】遅れた」




――――――――とある街、フラデリ――――――――――――
こんな夜には何かある。
そう僕の第六感が言っていた。
虫の知らせ、とでもいった方が分かりやすいだろうか。
こんなのどかな街の静かな夜に一体何が起こるのだろうか、一つ言えることと言ったら僕の人生全てをひっくり返す気がする。
布団の中で窓のそとを眺めながら自分語りを始めていた僕は、今日もお決まりの妄想をしていた。
しかしそんな遊びも長くは続かなかった、僕の第六感は機能していなかったのだ。
ドーン
突然の爆発音とともに、ガラスが割れすごい勢いで吹っ飛ばされる僕。
「カハァ………!?」
一体何が、そう思った時にはもう遅かった、僕の目に映るのは延々と立ち上る黒い雲、そして空から降り続ける爆弾、崩壊し続ける隣家。
まさにこの世の終わりだった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
何もできない虚しさ、くやしさ、怒り、すべてがつまった咆哮は爆発音でかき消されていく。
ああ僕はなんて、
「無力なんだ」
そう思い上を見上げたその時、真っ赤に燃えた屋根が落ちてくる。
僕が見たのはそこまで、そこからは何も覚えちゃいない、が生き残ってしまったことだけは確かだね。
そうして僕は何もない暗い空へとしていた話を終える。
今の僕に残っているのは仲間と、復讐心だけだ。
「おーい!何やってるんすか?」
そんな僕の奇行に気づいたのか一人の出っ歯の男が話しかけてくる。
「何でもない、自分の進む道を再確認していただけだ」
「え~……また道に迷ったんですかぁ?」
「そう言うことではないが……まぁそれでいい」
今の僕にはこいつらがいる、少なくとも今は一人じゃないんだ。
今は、一人じゃない。
出っ歯の横を歩く僕に今度は白い仮面をした者が近づいてくる。
「――様、あの作戦は順調でしょうか?」
「あぁ、全く問題ない、今はとにかく待つだけしかお前らには出来ることはないと伝えておけ」
「……わかりました」
そう言うと、そいつは一度礼をすると煙となって消えていった。
「何すか?アイツは?」
「お前にはまだ早い、とにかくお前は仕事に戻れ」
出っ歯は少し眉間にしわを寄せると、口をとがらせ文句を言いながらこの場所を離れていった。
僕はそのまま少し歩き、街へと入る。
黒いコートをなびかせながら。





第三話(その3) 覆面


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