ダーク・ファンタジー小説
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- とある全裸の男
- 日時: 2023/11/05 14:57
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: /XK1VBbn)
どうも。おくればせながら、ご挨拶を
一旦完結させました
大会出場を辞退します。よろしくお願いいたします。
▼△▼△▼閲覧数100越えました▼△▼△▼
いつも拙作をお読みくださる皆様のおかげです
ありがとうございます
いっき読み>>1-
目次
1日目>>1
1日目 道>>2
1日目 村>>3
2日目 覚醒>>5
2日目 吟味>>6
2日目 行先>>7
2日目 洞窟探検>>8
2日目 洞窟の主>>9
2日目 全裸からの卒業?>>10
更新履歴
2023.10.28 「2日目 全裸からの卒業?」up 閲覧数108
2023.10.27 一部番外削除,「2日目 洞窟探検」「2日目 洞窟の主」up 閲覧数102
2023.10.23 「極光の天使」up 閲覧数88
2023.10.22 「2日目 行先」up 閲覧数79
2023.10.20 「2日目 吟味」up 閲覧数64
2023.10.20 「2日目 覚醒」up 閲覧数56
2023.10.19 「1日目 村」「見習魔術師の手習い」up 閲覧数48
2023.10.18 「1日目 道」up 閲覧数17
2023.10.17 「1日目」up
- 2日目 吟味 ( No.6 )
- 日時: 2023/10/22 22:22
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
「きゃ」
と言って
それぞれの手で乳首を隠す。
などといったことは。しない
そんなことをした日には
フルボッコ確実だろう。
「******」
というか、蹴られた。
岩の隙間なので
力の入らない蹴りではあるが
硬い靴が、シャレにならない。
言葉はわからないが
嗜虐的な表情を浮かべている
血まみれの
初見の人間を蹴りつけるとか
意味が分からん。
確実に、常軌を逸している
足がかゆいの?
男のお仲間が岩陰に集まってくる
「******」
一人が私を指さしながら
隣の男に話しかけている
絶対ロクな内容じゃないな
「**」
気の早いのが短剣を手にした
いったい、それでナニすンの?
ほっといても死にそうなヤツに
というか、何故短剣なのか
「******」
「*******,*********」
後ろで、誰かが制止したようだ。
岩の影になっていて見えん
リーダー格だろうか
というか、密集すると臭い。
「****,*****。*****,*****」
説得中?
まな板のコイである。
「「*****」」
どうやら、話がまとまったようだ
岩陰から手荒に引きずり出される
先行きは悪いらしい。
引きずり出されて気づいた
コイツら、背がそんなに高くない
男たちの中の一人が
何やら荷物を漁り始めた
結構時間をかけてようやく
ロープを取り出す。
要領が悪いのだろうか
荷物の整理をしていないのか
周りも気にした様子もない
おおらかな様子に
不思議な感覚を覚える。
男たちの人数はかなり多い、
岩陰で見えないのも合わせると
20人以上はいるだろうか。
この大人数によくたった3匹で
向かっていったものだ
ところで
数人女性もいるようだ
こんな、物騒なカンジなのに
荒事を扱う集団に武装した女性が
混じっていることに強い違和感を感じる
いったいこの集団はナンなのか。
観察する間もなく手早く縛り上げられてしまう
荷物は整理できないのに
縛るのは上手いのは如何に?
「*****,**」
リーダーが、女性とその隣の男に
声をかける。
リーダーはエスニックな感じで
基本強面だが
目元は優しげだったりする。
人望系リーダー?
金属板から鎖帷子が覗く
鎧を着こんでいる
飾りなどが彫りこんである
凝ったものだ
身分の高い人間だろうか。
集団の中では重装備の部類に入る
最も中には
1名だけ甲冑を着こんでいる
メンバーもいる
超重量を着こんでいるだけあって
歩みが遅く
集団の足を引っ張っている印象が
あるが 今のところ誰からも
批判めいた態度は感じられない。
女性の容姿であるが
化粧をしていないので
まぁ。根菜類が食べたくなる顔だ
黒髪で、目は黒ではないが
彩度は低い。色相は判別できない
装備は軽装で
背嚢の容積も大きくはない
1m位の短めの槍を背に固定
刃渡20cm位の短剣を腰に差し
小型の弓を背負っている。
矢は背嚢の側面にあるのだろうか
隣の男は茶髪で
目の色は遠くてわからない。
顔は中の上といったところか
装備は革主体
短剣に、2mはありそうな槍
幅広な刀を腰に佩き
おそらく短剣を腰の後ろに固定。
背嚢は大きい
二人とも、槍と剣を使うようで
他もそのスタイルが多い印象だ。
流行なのだろうか?
「****」「**,******,****…
男は、かなり口数が多いようだ
「****」
「***」
男と女が、こちらへやってくる
女性は側にしゃがみ込むと
頭へ無造作に棒をを当てた
ちょんまげでござるか
「******」
頭の痛みが引いてゆく
…、
治癒魔法?
なるほど…。
女性たちは救護要員だった訳だ
納得するには若干抵抗感はあるが
目の前で見せられては
受け入れざるを得ないか…。
「*****」
リーダーの号令で
村とは反対方向に
移動を開始する一行
それぞれが、足場の悪い岩場の上を慣れた様子で
見るからに重そうな荷物を背負って軽快にわたってゆく
縛られていては
当然ついてゆくのは出来ない訳で
何度も岩の隙間に落ちては
蹴られるのを繰り返すうち
川に到着した。
- 2日目 行方 ( No.7 )
- 日時: 2023/10/22 22:40
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
震えが止まらない
非常に寒い
うららかな日差しがあり
過ごしやすい気温
ではあるはずだが
寒さを感じる。
周りの人間は…
涼しげな恰好の者もいれば
布を重ねたような恰好の
厚着の者もいる。
暑くないのだろうか…
まぁ、それはそれとして。
低血糖かもしれない。
朦朧とする
急に青くなって震え始めた私に
嗜虐心をそそられたのか
縄を持っている男から蹴りが
飛んでくる
私は
この男を"蹄"と呼ぶことにした
なぜなら、鼻が目立つ顔で
後ろ足が痒い様子であるからだ
野生に帰って
存分に泥でも浴びたらいい
そんなことより。
回復魔法では
疲労?
までは癒せないのは残念だ。
魔法で癒してくれた女性を
敬意を込めて
"殿"と呼ぶことにした
決して
棒を頭に載せたことには
起因しない
なぜか"殿"が隣の男を殴っている
よく見ると親しげだ
ぞんざいにしつつも
邪険にしていない
てっきり
リーダーの情婦かと思っていた。
ますます
この集団が分からなくなった。
「*****」
内容は聞き取れないが
必ず相手の名前を呼ぶはずだ
少し、会話に
集中してもいいかもしれないが
意識を保つだけでもつらいところ
名前の抽出は
正直キツイ。
ふと、疑問が芽生えた
縄で縛られた裸の男と
並んで歩いて不快感は無いのか?
16人もいて
余分に着られるものの一枚でも
所持していないものか
それは、都合良すぎるか。
そんなこんなで
もくもくと
北西を目指して進んでゆく。
やがて、川に到着した。
やたらこじんまりした丘が多く
十分近づくまで
川の存在に気づかなかった。
いきなり川が出現したかのような印象を覚える。
ここまで、村の周りのような
穴だらけの地形は見なかった。
村の人間が掘った
ということなのか?
そういえば、
何処に向かっているのだろうか。
しばらく、休憩して
川に沿って下流に向かうようだ。
両側は石灰質の白い崖で
村周辺の様子と一変して見える
丸い河原の石の
白くてつるりとした質感に
エロスを感じるのは
間違っているだろうか。
変態だろうか。
まぁ、変態であろう
白昼堂々、縄で縛られて
全裸キャニオニングする人間は
変態でない訳がない
純然たる、完全ムケツの変態だ。
私の、変態センサーが
洞窟でもありそうな予感がする
と言っている。
30分程下ると
やはり洞窟が見えてきた。
川は右側に偏って
洞窟へ流れ込んでいる。
高さはざっと50m位か
手前100m位から急激に落ち込み
レキ場となっている
洞窟の天井が漸次崩落した結果か
凹凸が激しいため
一概には言えないが
45度以上に
傾いて見える急な坂となっている
洞窟入り口を見下ろす形だ
地上の流れは地下河川となって
地中深くへ
染み込んでゆくのだろう…。
洞窟のほうから冷たい空気が
吐き出される
昼夜の寒暖差で洞窟が呼吸しているかのように思える
ターコイズブルーとか言いたくないのでそろそろ
情景描写を打ち切る
ところで、そろそろ
足の裏が限界なのだが
どうしたものか。
連中が集まっている。
ここが目的地なのだろうか
こちらから目を離しているので
逃げられないかと
辺りを窺うと
視界にハエが一匹飛び込んでくる
ふと
一角にハエがたかっているのに
気づいた。
岩の窪みに
枝葉や流木が溜まっている場所が
あるのだが
生き物の死骸が挟まっていたのだ
どうやら。人間の死体らしく
服をまとっている
私は、窪みに降りて
足を使い
死体から靴の取得を試みたが
上手くいかず足をつってしまった
やはり、回復魔法ではミネラル分
は補填できないらしい。
私は、残骸の位置関係を
確かめるべく
窪みを注意深く観察した
すると、窪みの奥の岩の隙間の
甌穴に輝く鉱物を発見した
ちょうど、谷に差し込む日差しで
光を反射する位置であったのだ。
岩陰に見切れて
うんちょこP せしめている
水晶だろうか。
とても、足が届きそうにないが
そもそも、届いたとしても
取れるかどうかわからないが
また、足をつりそうだ。
あきらめて
残骸撤去にとりかかろうとした
矢先、"蹄"にドナドナされて
いってしまったのであった。
一行は、松明を準備しいよいよ
洞窟へ向かうようであるが
そこで
衝撃的なものを目撃してしまった
公衆の面前で、
大便を垂れているのだ
しかも複数で
私はその英雄的行為に対して深い畏敬の念を抱くとともに天を衝くがごとく積みあがった堂々たる偉大な業績の数々に感動のあまり立ち尽くし滂沱のご
- 二日目 洞窟探検 ( No.8 )
- 日時: 2023/10/27 22:18
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
全裸の男は白目をむいて
立ったまま気絶している
「なにこれ」
「Zがどうした?」
全裸の男は、一行の中で勝手にZと名づけられていた
「中に連れてくわけにいかんから
あそこの木にでも
ぶら下げとくか」
一行の中でリーダーと呼ばれる男が指示する
話を始めたほうはZが"殿"と呼んでいた女だ。
最近治癒魔法を実戦レベルまで修めたことで若干天狗になり始めている
赤髪の男がロープの端にそこら辺に落ちている白い石を結んで
崖から張り出した斜めになった
無花果の木に向かって
投擲しロープをかける
"蹄"と呼んでいた男だ
「じゃぁ、そろそろ行くか」
困ったもので
コトの直前に脱糞する、という
行為が流行ってしまっている
「クソするほど余裕なんで。」
オレカッコイイという主張?
強いストレスで便意を催す+クソするほど余裕が奇跡のシナジーを引き起こした
まさに悪夢
「槍はしまっとけよ」
一行は槍を武器とするものが多い
槍は安いので駆け出しに好まれ
そのまま使用し続けることも多い
武器の値段は使われる金属の量が大きな要素。
町周辺の脅威は例外を除いて
ゴブリンとコボルドとゾンビと
スケルトンとエレメンタル
スライム類、魚人、人間、熊
いのしし、…まぁ、沢山いる。
ゾンビとスケルトンと
エレメンタル、スライム類は刺突武器に強い
出没する条件が決まっているので避ければリスクを管理できる
スライムは足が遅いので逃げればOK
当たれば、動きが鈍るのであとは流れでどうにかなる
槍はリーチが長く先制できるため
当てさえすればどうにかなることが多いのだ
それ以外と遭遇した場合自信が無いなら戦わないことだ
ここいらで真に気を付けるべきは
虎、熊、バイソン、ワニ
稀にライオンなどだ
彼らからしたらゴブリンと
コボルドなどただのエサであろう
ゴブリンやコボルド程の密度で
分布していないのが救いであろう
最も一部の素材は高値で取引されることがあるので遭遇すれば
幸運と考える者はわりと多い
入って10分程だろうか
石が転がって足場の悪くまったく光のささない暗闇の中を松明の煙に目を細めながら一行は進む
いつの間にか地下河川の水音は遠ざかり一行の反響音が支配する
1〜2人の歪な通路を激しく蛇行しながら下ったり登ったりしながら進む。途中分かれ道もあるが
たいがいは細く進めない
ゴブリンの痕跡を発見する
胸の下の位置の岩棚にコボルドの頭蓋骨がある
彼らは敵対関係である場合がある
来るたびゴブリンが
何かしら飾るのだという
オキニの棚という訳だ。
頭蓋骨を踏み砕いて進む
次回来たときの判断材料とするためだ。
暫く進むと分岐する。
右側に屈まないと進めないような細い通路が現れる。
しかし今までの分岐とは壁の質感が異なる。
放棄された巨大アリの巣と合流したのだ。
ここにも、ゴブリンが潜んでいる可能性があるので 6人向かうこととなった。
それは、狭い通路を20m程も前進した時のこと。前方の暗がりから石斧を持ったゴブリンが
襲撃をかけてきた
最前列を行く重装の男が石斧を
左手で受け止めピックで
頭蓋にトンネルを開通させる。
しかし、後から次々湧いて出る
左手で牽制しつつ掘削を続ける
足元に死体が積み重なる
「下がるぞ!」
予期せぬ事故を恐れて
後退しながら、作業を続ける
後続のメンバーは壁に隙間に松明を押し込みながら後退してゆく
光源を確保するためだ
ついには20m程後ろの割合広い
通路まで押し戻されてしまう
ゴブリンが重装の男の横を
通り抜けてこようとするのを
後ろに控えていた槍を構えた男が突き刺すが錆びた短槍の反撃を受ける。
軽装であったため腹に突き刺さってしまう
「下がれ!」
リーダーの号令で後ろから引戻し
入れ替わりに40cmの円形盾でゴブリンの露出した頭を角で殴りつけ
刃渡り20cm位の大型のナイフを胸に突き刺す
密集状態では取り回しのいいナイフが役立つ
ゴブリンを蹴り飛ばし重装に合わせて後退しながら幅広剣に持ち替える
そのとき石斧が投擲された
だがしかし冷静に盾で弾き飛ばし無手で遮二無二突っ込んできた
相手の胸を切り裂き地面に転がす
重装の最後の掘削工事が終わるとゴブリンわんこそば地獄は終わりを告げた。
早速腹の傷の治療が行われた。
刺さった汚物に汚れた穂先は浅く大事には至らなかったようだ。
応急処置ながら水で入念に
洗い流し清潔な布で拭い去り
包帯で処置した
魔法は必要ないと判断したのだ
全員でバケツリレー方式で
ゴブリンを幅広の通路まで運び
討伐証明部位を切り取る
増殖スピードが異常なので
定期的に間引かなくてはならないので報奨金を出し討伐を奨励しているためだ
全部で43匹にも達した。
右へ緩やかに下りながら曲がる
手彫りの痕跡が残る天井の高い
通路を進む
左が急に開けた三叉路に達した
巨大な空間があった。
遥か天井にぽっかりと1m〜2m位の穴が開いている。
洞窟の地上部を探せば穴が見つかるのだろうが
あそこから降りることは考えたくない。
中央の小高くなった小山の上には石筍をくりぬいた玉座の様にも見える歪な造形物があった。
その背もたれの上に節くれだった手足で身の丈より大きい杖を抱えたローブのゴブリンがしゃがみ込んでいた。
杖の上には幾つもの石塊が浮遊しながら緩やかに回転している
その両側には弓を構えたが2匹とひときわ大柄なゴブリンが控えていた。
そして、周囲の影の淀みには無数のゴブリンの気配を感じた
- 二日目 洞窟の主 ( No.9 )
- 日時: 2023/10/27 22:26
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
小山の周辺は大きいもので2m近い岩もあれば小さいものまである
かつての天井であったであろう
レキ場となっている
入り口近くは土の地面となっており緩やかとは言えない角度で下っている
「あれは何をしているんだ?」
リーダーが疑問を呈する
杖のゴブリン(以降ゴブリンシャーマンと呼ぶ)がぶつぶつと壊れたレコーダーのように同じフレーズを繰り返すたびに空中に魔法陣が現れては消えを繰り返していた
「≪幻影≫?」
「魔法陣を描写してるのか?
何の意味があるんだ?」
「さぁ…?」
駆け出しで最近弓を使い始めた
少年がリーダーに尋ねる
「あの、杖の上で回ってるの
何スかね?」
「ああ、アレは≪石弾≫だ。
事前に詠唱してスタックしておくんだ。サイズで威力がわかるぞ」
「スタック?」
「いつでも発射できるように
止めとくんだよ」
「え、そんなことができるんですか」
「あのサイズなら、虎の前足並みの威力はあるんじゃない? 前にアレを腹に食らったヤツを治そうとしたけど手遅れだったわ。」
「マジスカー。帰りてー」
「帰ったらテメェの取り分なしだかンな。」
「冗談ですよー!!
もうカネ無いンスから!!」
「うっせーよ。はしゃぐな。
アホ共が。」
「うス」
「ああ。で、どうすんだよ。リーダーさんよ。作戦はあんのか?」
「…」
「あ、魔法陣が消えたっス」
「…?」
「何も起こらない?」
ゴブリンシャーマンは
背もたれの上でじっとして動かず頭上では相変わらず
5つの岩塊が回転している。
緊張感が薄れつつあるのか後ろから小声でやり取りが聞こえる
「なんで、仕掛けてこないんだ」「待ってんだよ」
「待ってどうすんだ?」
「…そりゃ、いつかかかってくるって思ってんだろ」
「そんなん、わかんねェじゃん。いつまでもにらみ合ってることだってできるぜ」
「…そしたら。どうなんだ?」
「そりゃ、腹が減って。そのままいったら、お互い飢え死にだな。」「バカじゃねぇか」
「…そりゃ、互いに飢え死にになったら。馬鹿だろうが、そうならねぇだろ」
「なんで」「どっちかがしびれ切らして動くからだよ」「ふ〜ん」
松明を部屋へ投げ入れる
「なんで?」
「挑発に乗って来てくれれば、通路を後退しながら向かい打てる。でないなら、光源になる」
「なるほどス」
「よし、弓使える奴は。アチャコと…。ヨイチ。
ミシュランの後ろについて射程に入ったら当てられそうなヤツを
狙って撃て。」
「あいよ」「ここで弓使うとか、初めてだな」
列の後ろから、部屋の入り口までやってくる。
「ミシュランはラージシールドを使ってくれ。疲労は大丈夫か?」
「れるぞ。ン題ない」
「じゃぁたのむ「ああ」」
ラージシールドを構えながら3人はゆっくり部屋の中に入ると
射撃可能な位置で止まった。
矢をつがえようと動いたとき
岩塊は発射された
2人は動作を中断しミシュランの後ろに身を低くして隠れる。
ミシュランはラージシールドを地面に押さえつけて角度を与えて衝撃に備えた。
その様子を後ろから見守る一行
鍾乳石の玉座まで水平距離で20m 高さは8m相当
速度は 80km/h 位だろう 22.2m/sに相当する
弾道はミシュランたちの上方を
大きく飛び越し
やや弧を描きながら通過した
通過する直前に次弾が発射された
着弾位置はリーダーたちが潜む
通路の入口だったのだ
当然それも予想していたため
慌てることなく一行は身を隠す
入口までの距離は27m
「はずした」
か、に思えた。
岩塊は部屋の入り口の手前1m強の地面に着弾した
そのまま何も起こらない
はずであった
起こるとすれば地面で跳弾した石塊が入口の正面の通路の壁にめり込むであろうくらいだろうか
しかし、そうはならなかった
地面に接触した瞬間
はじけた
閃光を放ち、轟音とともに
細かく砕けた鋭い岩の破片が衝撃でまき散らされる
ほぼ同時に3発目が発射
直接目撃はしなかったが
通路に撒き散らされた鋭い石片と音と光が状況を理解させた
一行は青ざめた
先行した3人は思わず振り返った
2発目は天井の鍾乳石に衝突して破裂し破片をまき散らした
天井から地面の石筍とつながりかけている長い鍾乳石の先に当たったのだ
迫りくる破片を避けるため
一斉に身を低くする
3発目が3人に迫る中
4発目が発射された
1発目の残骸が上方から
降り注ぐ中
ミシュランの右後ろ1m
ヨイチからは60cmもない地面に
次弾は接触した
3人は盾の側面からモロに直撃を受けたのだ
ヨイチは右側面を中心にやや背部も含めて右腕で影になった右太もも以外にまんべんなく破片が突き刺さった
左足を立てていたので左ひざ側面の一部も被弾した
特に致命的なのは右こめかみへのダメージであろう。それにより、意識を手放した。
一方、ミシュランは鎧によって
まったくの無傷であった。
アチャコはヨイチの影になってはいたが、面積にして1/3程度の被弾率であった
2発目の破片も続いて絶え間なく降り注いでくる
耳鳴りと訳の分からない状況に
アチャコは半分パニック状態になりつつあった。
あと一押しあれば突発的な行動を起こしかねない危険な心理状態に追い込まれた
4発目はミシュランの手前に着弾
破片の影響をすべて防ぎ切った
しかし、これが引き金となって
アチャコは入口へ走り出す
完全にパニックに陥ったのだ
3人とそして部屋の外で身を隠す残りの一行は気づかなかったが、
ゴブリンシャーマンが杖を掲げると、影の中に控えていたゴブリンが一斉に動き始めた
このときリーダーたちは5発目を待って中に踏み込むつもりでいた
爆発音は聞こえず、ゴブリンたちの足音で状況を察した
「いくぞ!!」
リーダーは部屋に踏み込む
「まだ撃ち尽くしてないだろ」
「ブラフだって!!」
「ブラフってなんスか?」
「いいから行くんだよ!」
遅れてメンバーが続く
狙ったかのように入口に向かって最後の石弾が発射された
「いやぁっ!!もうダメ!!助けて!助けて!」
アチャコがリーダーに組み付いて助けを求め始めた
「おまっ!おちつけぇぇ!!オイ!」
そして石弾はアチャコの足元で
炸裂し凶悪で鋭利な破片を存分に解き放ち二人を巻き込んだ
破片の被害は深刻であった
まずアチャコの両足をまんべんなく引き裂いた。
これによりアチャコは気を失った
続いて
リーダーの足に著しく歩行を困難にさせる傷を負わせた
その場に尻もちをつき身動きが取れなくなった
残ったメンバ7人は扇状に広がりゴブリンを迎え撃つ構えを見せた
後方の隙間に不安な陣形である
少年が抜き打ちで矢をでたらめに放つと幸運にも先頭の1匹を射貫いた
「はっ!!」隣の男が賞賛の意味を込めて短く笑い声を上げる
にやっと笑い弓を足元に捨てて槍を構えた
リーダーは気絶した2人を
引きずりながら入口へ這ってゆくが鈍亀のごとき歩みで遅々として進まない
7人の壁を突破しようとする
小人を巧みにさばいてゆくが
じりじりと後退せざるを得ない
回り込もうとするのを後退を含む動作で制すためだ
数の圧力に抗いかねる一行
少しずつ負傷が累積してゆくが
ついに一角が崩れることとなった
少年が木の槍を鎧の継ぎ目から腹に突き刺されたのだ。
「ダメみたいっス…」
リーダーはしばし考え…
「俺たちを置いて後退しろ!!」
「えっ!?」
「ぁかった!!」
「なっ…!!」
6人は後退速度を早めた。
少年も慌てて続く。
ミシュラン達は短いやり取りで
リーダーたち3人を見捨てる選択を取ったのだ
リーダーは孤軍奮闘を見せる
円形盾とブロードソードで2匹を切り裂くが見る間に血濡れに変ってゆきがむしゃらに剣を振り回すのみとなり果てた
ゴブリンらの攻撃により
やがて、動かなくなった。
ゴブリン達は気絶中の2人は無視して先にこちらを片付ける腹積もりであるようだ
後退により、17匹のゴブリンを行動不能に陥らせることに成功するがまだ50匹以上が健在だ
陣形を折りたたむように狭い通路へ後退してゆくが、後ろが見える訳ではないので意識を散らしながら戦闘を行うため、一人は腹に槍を。もう一人は喉を槍で衝かれて
ミシュランがフォローしながら退避させたが、ミイラ取りがミイラになり、さらに二人が四肢に深手を受けながら後退した。
その後、
迎え撃つ構えで入口から通路へ後退したが、ミシュランのスタミナ切れが顕著に現れ。明らかにゴブリンへの打撃が鈍り始めた。
前の通路での疲労が取れていなかったのだろう。
そこで狭い通路であることを利用しミシュランは防御に徹し後ろから仲間が槍で応戦する。
ゴブリンを戦闘不能に追い込む
ペースは低下し二人並べる広さの通路まで後退させられてしまう
ここまでで、倒せたのは5匹のみ
10分以上かかってしまっている
ひどい泥仕合の様相を呈してきた
ミシュランは固定で前衛を入れ替えながら後退しつつ応戦する
ミシュラン以外は大した疲労も無いためDPS(DamagePerSeconds)は
劇的に改善した
一部で前衛の使っていたブロードソードが折れるなどのハプニングはあったものの
ゴブリンをあらかた片付けると満を持して大柄のゴブリンがミシュランの前に立ちはだかった
が、勝負は一方的であった。
後退中にほぼ動く甲冑に徹してスタミナ回復に務めたミシュランの
堅実な攻めに大柄ゴブリンは一方的にいいようにされて沈められた
ゴブリンは所詮ゴブリンであった
一行の内3人が速やかに広間へ戻る
気絶したメンバーがいるからだ。
それに、ミシュランは疲労困憊。
ほかのメンバーも応急処置を必要としていた
4人を残して急行する
ゴブリンシャーマンは再び幻影を空中に投影して壊れたレコーダーのような行為を始めた
とどめを刺すべく近づいてゆくと
「ひひ、来たぞ」
ゴブリンがつぶやいた
中空から何の前触れもなく
何者かが現れた。
それは…、
インプであった。
「あるぇ??」
「悪魔召喚に失敗した?」
「あの反復は≪悪魔召喚≫の
魔法だったのか?」
「いや、だってインプって
悪魔じゃん」
「うん…。なんだか、
あっけない幕切れだね。」
その後淡々と、ゴブリンシャーマンを殺した
インプは天井の隙間から逃げて行った。
そのとき、インプの手にはホカホカの胸当が握られていたことに誰も気づかなかった
傷の治療など諸々を始めた。
ミシュランが入口を警戒する。
「お願い。ころしてぇ…」
アチャコは意識を取り戻し自分は二度と歩けない事実を認識すると死を懇願した
「ぁかった」
ミシュランはこめかみにピックを突き刺すと、その体はだらりと力を失った。
ふと足元を見ると弓に足が挟まっていた
いままで気づかずにアチャコが手放した短弓をひっかけたまま動き回っていたのだ
取り外すとアチャコの物であった背嚢に押し込んだ
彼女は動物系統の魔法の使い手だった。
動物は魔法抵抗が弱くレジストされにくい。
手ごわい相手や、旨味の少ない猛獣などを相手取るときには非常に重宝した。
動物系統魔術の習得条件は動物との共感性が求められる。
彼女は動物が好きだった。しかし動物は必ずしもそうではなかったようだ。
それでも。楽しげだったとミシュランは記憶している。
皆でしばし哀悼をささげた。
ついでにリーダーにも。
(リーダー「ひでぇ!」)
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本文中に明かされなかったナゾを
一部解説させていただきます。
・レキ場
崩落でできた大小の岩が転がる場所のこと。最後のシーンの広間の天井の穴は天井の崩落で空いた穴で岩はその残骸。
・ピック
バランスの悪い武器 つるはし
・なぜ、部屋の中に3人は入っていったのか
入口からでも矢は命中するでしょうが、命中率は落ちます
ヨイチの予定では15,6mまで接近するつもりでした。
部屋は暗く、彼らの弓の腕はそれほどでもありません。
アチャコの弓の腕はもっと近づかなければ自信の持てない距離でした。
あのままにらみ合っていてもらちが明かないと判断して、ああいった手段をとなりました。
部屋を通り過ぎた先の通路は未確認でしたし、途中で分かれた6人のその後も未確定です。気が逸ったという理由もあり解決を急いだのです。
・なぜ、ミシュラン?アチャコ?ヨイチ?
適当です。アチャコはArcherから、ヨイチは那須与一です。ミシュランは…、想像にお任せします。
・どういった集まりだったのか?
とある手引きで集められた人間です。とはいっても、大体同じメンツです。
リーダーはなんとなくリーダーなのです。さすがりーだー。
今回はゴブリンの巣に打撃を与えることで集められました。
そのあとは現地解散となる予定でした。討伐証明部位さえあれば十分というわけです。
・ミシュランは何故一人だけ重装備なの?
なぜか彼らのコミニュティでは重装歩兵の装備であるフルプレートアーマーは金さえ払えば一般人でも買えてしまえます
彼らは以前に発掘品で一山当てましたその金で「買ってみた」訳です。アホですね
しかし、使ってみれば。ゴブリン討伐をほぼ無傷でこなせるその防御性能の高さに気づきました
味を占めた彼らは戦術の核心として扱うようになりましたが、そうそううまい話はありません。
遠くない未来、鎧を修理に出した時そのコスパの悪さに気づくことでしょう。
・ゴブリンが大量発生する理由
世界の管理システムがPOPさせている
・POP
一部のゲームではエリアを切り替えると倒したはずのモンスターが再配置されています。
アレをPOPと呼ぶわけですが。この世界では、ある条件下でシステムが作成したモンスターをPOPしたいランダムな位置まで転送。
POPする種類はその地形の種類ごとのモンスターテーブルを参照して決定しています。
モンスターテーブルの要素には条件が含まれそれに基づき判定されます。
出力されるモンスターにはある程度の幅が設けられます。人間に個体差があるように、モンスターにも個体差が設定されるのです
・スラムの由来
北東2日の距離にあった都市国家が壊滅したのでそこの難民が作ったもの
・裸の男をとらえた理由
奴隷として売るつもりだった
・ゴブリンシャーマンの詠唱
≪悪魔召喚≫などではありません。魔法を失敗すると稀に、悪魔などが召喚されます。「悪魔の法」というわけです。
ゴブリンシャーマンはそれを知っていて。ゲーム風に表現するならMP回復>MP である魔法を連発していたわけです。
・ゴブリンシャーマンが使った爆裂弾を何故一行は知らなかったか
爆裂系の魔法は火系統の専売特許で。≪爆裂弾≫は未知の魔法でした。この世界では誰かが新しい魔法を開発して行使すると。その情報がPOPの魔術テーブルに加えられることがあります。
≪爆裂弾≫も誰かが開発して魔術テーブルに加えられたものが、POPしたゴブリンシャーマンに配置されたというわけです。
爆裂系の魔法は非常に認知度の高い魔法です。であれば、爆裂系の他系統の魔法もあってもいいのでは?と考えるのは自然なことです。
この世界ではこういった事故は日常茶飯事です。
・何故、地球と共通の幻想生物がいるの?
あれらは、記号です。名前や、姿を多少変えても矛盾なく成立するはずです
例えば、本文のゴブリンという単語をコボルトと一括置換しても違和感なく受け入れられると思います
- 2日目 全裸からの卒業? ( No.10 )
- 日時: 2023/10/28 21:03
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
「はっ、ゆめ!?」
Z戦士になった夢を見た気がするのだが。
まったく、記憶が無い。
きっと、気のせいであろう。
辺りに人は無く私は崖に張り出した木に全裸で吊るされていた。
今頃一行は洞窟の中だろう。
周りは薄暗く空は曇りがかっていた。
気温が低下し、湿度を感じた。
「カツッ、カツ」
足元に気配を感じて視線を送ると犬?と目が合った。
全体的に灰色で背が黒い。
大きさは頭から尻まで70cm位か。
家かという落ち着きはらった感じで足下をうろついている。
確信歩きというやつか、生で初めて見た。
そのときいきなり突風が打ち付けロープを揺らした
木の根元に近い部分に括り付けられているせいかたまに体をこすられて痛い。
たまがこすられて痛いわけではない。
突然の風によってか小規模ながけ崩れが発生した
崖から最大20cm位の大小の石が崩れ落ちる
犬は転がった落石をかわす
岩面が湿って滑るのだろう
バタバタ滑ってコロっとぴったり仰向けに岩の間に挟まった。
「キャインキャイン」と仰せです
なおも、突風は断続的に続いた
激しくロープが揺さぶられる
いったいこの現象はなんなのか
ビル風のような現象だろうか
ビル風とは高層建築により起こる乱流のことだ
めまぐるしく回転する視界の中ふと違和感を感じた
対岸の枝が揺れていないのだ。
つまり、ここだけ突風が吹き荒れているということだ
やがて突風は勢いを増したように感じた
まるでブランコを漕ぐように揺れが大きくなったのだ
縄が枝から外れ崖の棚となった部分に腰を打ち付けた
これは痛みが長引きそうだ
腰を気にしてバランスを崩して落ちかける
が、枝をつかみ180度回転してバランスを崩し落ちかけるが岩棚の位置関係を記憶していたことが幸いした
一か八か張り出した岩に足をかけて耐えた。
私の崖の上の全裸開脚(ぽ○にょ)をみよ!!
しかし立ったまま岩の隙間に挟まって岩棚に固定されてしまった。
まだ、ロープの一部が上の枝に引っかかっていた
上を確認していると緑色の光が目に入った
緑色の光球
といったほうがしっくりくる
それがふわふわと漂っている
私の肌色の球も負けじとふわふわと漂っている。
ふと周りを注意深く見渡すと緑の光球はいたるところに浮遊していた
なんだかよくわからないが早く逃げたほうがよさそうだ
飛び降りるには風が怖すぎる
挟まっているおかげで風でもって、下手な方向へ飛ばされずに済んでいるが。
如何せん動けない。
洞窟から逃げてきたのかいつの間にか足元の崖下でゴブリンが風で転がされて岩の間にカップインしてる。
ナニこの混沌な状況。
何処からともなくゴブリンが次々湧いて出ては風で転がされ行動不能になってゆく
もしかして、岩の隙間で見えないが洞窟とつながった通路が張り巡らされているのか?
それで、洞窟の中のゴブリンが逃げて出てきている?
洞窟はゴブリンの巣窟で一行の目的は、ゴブリン退治だったということか
日が傾くとともに緑の光球は唐突に消え去るとともに風もすっかり凪いでしまった
そして、ゴブリン共も解き放たれた。
ゴブリンが殺到、
しなかった。
なんというか、動きが老人のように緩慢なのだ。
そう、さんざん転がされ続けて疲労困憊となっているのだ。
まぁ、こちらも似たようなものだが…。
今まさに、悪夢の泥仕合のゴングが鳴らされたというわけだ。
そして、気づいた。
消え去ったあと、ゴブリンの出現がなくなったということは連中の目的が達成されたという可能性がある
であるなら、間もなく戻ってくるはず。
可能性といったのは、彼らの突入に記憶がないことと突入があったとして、それとゴブリン出現の因果関係にいまいち確信が持てないためである
なぜなら、洞窟正面から出てくるゴブリンがいないからだ。
岩陰に縦横無尽に脇道が走っているなら正面通路とも合流していてしかるべきだし。
ゴブリン自体が脇道を自力で掘ったとも考えにくい
2023/2/7銚子市で行われた穴掘り大会は参加人数最大6人で
協力して畑を20分で2m50cmの穴を掘って優勝したという
掘削は非常に労力を必要とするのだ。
しかし、この場から離れるべきと私の勘が告げる。
嫌な予感しかしない。
私は、全裸でゴブリンたちの視線を独り占めしながら渓谷をカサカサと四つん這いで駆け上がるのであった。
と、その時私の目の前にブラジャー(確信)が舞い落ちた
私はおもむろにそれを身に着けるとマジックアワーの向こう側へ走り出したのであった。
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・緑の光球
風の精霊,谷間に風が吹き荒れていたのは彼らが風を起こしていたずらしていたせい
・何故ブラ?
むりやり完結させるためにこじつけました。「このすば」のスティールみたいな能力があったと思ってください。
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