二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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銀魂 魔鏡に映すは揶揄
日時: 2010/01/08 17:59
名前: 桂 沙弥 (ID: Lr4vvNmv)
参照: http://syousetu-kakiko.9680

それはある暗い暗い漆黒の夜だった。
蛾は必死に羽ばたき、蛍光灯まで長い旅をする。
空はもう見えない。あるのにそれが黒く分厚い雲に覆われているため、曇天が砕け、さらに黒状してしまったのだ。
「しっかしひでぇこった」
ある店の旦那がつぶやいた。持っている提灯からこぼれる光は、暗黒に染まった夜に清く響いた。
「なにがだい」
もう一人の男———客か誰かであろう。その男は知らないような口調で旦那に聞く。
「それはおめー、アレだよ」
「最近巷でこういう屋台とか居酒屋とかの店主が消えるとか噂になってたやつか?」
「あー、そうそうそれだよ。この前は俺ん家のとなりの店のよォ、店主が消えやがってんだィ。怖くて仕方がありゃしねー」
そんな事を話しながら、二人は足場が見えない黒き道を歩いていた。手に持った提灯は、揺れ、怪しげな光を放っているばかりだ。
「それも夜だって。あーおっかねぇ。今にも何か出てきそうだ。」
「やめてくれぃ、俺まで怖くなっちまったじゃねぇか。ちょいと厠に行ってくるわい」
客である男が平手を挙げ、近くにある公園の厠に向かう。勿論店主の男は待てをかけたが、男は行ってしまった。
「ったく・・・人の話を聞けぇ」
店主は提灯を地面に置く。そして、しばらく空を見ていた。空には物騒な雲が漂っているだけだ。
「あの裏には星が瞬いてんだろうなぁ・・・」
店主がそんな事を呟いた時だった。
ふと、提灯に灯した炎が揺れ消えた。店主は思わず驚き、反射的に立ちあがってしまった。
「その星を・・・見せてやろうか・・・・・・?」
「な・・・なんだ!誰だ!?」
炎が消えたとたん、どこかから人の声がした。先ほど厠に行った男の声ではない。店主は辺りを見回す。
突然場から手が伸びてきた。店主は驚きを重ね跪く。手が伸びた場所の隙間から、その人の不気味な笑みが少し見えた。店主は悲鳴をあげ、怯みかえってしまった。
その後、店主はその手に掴まれ、異次元へと連れ去られて行ってしまった。
厠から戻ってきた男は、火の灯さぬ提灯を眺め、巷に戻って行った・・・・・・・・。

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Re: 銀魂 魔鏡に映すは揶揄 ( No.11 )
日時: 2010/01/18 19:33
名前: 桂 沙弥(ナツ (ID: Lr4vvNmv)

「銀さん・・・!」
立て続けに止めを抑えられた新八は、軽く憂欝感を覚えたが、しょうがなく呆れ、自分も妙のいる道場に替える事にした。

「ったく・・・何もわかりゃしねェや」
その頃———銀時が戸を閉めた同じぐらいだ。
土方は静まりかえった屯所で、一人調べごとをしていた。調べごとと言っても、かぶき町に設置された監視カメラで何か人消えの手がかりを探っているだけだが。
「この前どっかの店主がいなくなった——消えた場所も何にもねぇ。一体どういうことだ?」
監視を始めて一時間と弱が経過した。しかし未だ手がかりはゼロ。
呆れた土方は、腹ごしらえ、と、台所へ向かった。
部屋は寒い。暖房なしじゃ、とてもじゃないけどいられない。が、台所はもっと寒かった。最も、これは関係ないのだが。
台所への途中、洗面所がある。土方は、疲れ果てた自分の顔を鏡に覗き込む。
「少し休もうか・・・・・・」
土方は、軽く眉間をもみ、深呼吸した。
鏡に映る自分は、だいぶ疲れ、それと共に仕事へのストレスも見える。そんな自分を、土方はしばらく見ていた。
突然だ。目まいがまわった。目まいなのかは分からない。視界が歪んだのだ。しかしそれは自分ではなく、鏡の中に思えたのだ。でも土方は、疲れだと思い、固まっていた自分を動かした。
土方が去って行ったあとだ。鏡が何か嘲笑ったように思えた・・・。

Re: 銀魂 魔鏡に映すは揶揄 ( No.12 )
日時: 2010/01/18 19:57
名前: 桂 沙弥(ナツ (ID: Lr4vvNmv)

道場———————

「————姉上、何か知りませんか?」
「なぁに?新ちゃんまでその話をして、私、ついていけなくて困ってるんだけど」
新八は、先ほどの人消えの話を妙に聞かせた。しかし妙は何も知らない様子だ。でもそのニコニコとした表情はどこか恐ろしい。
「あの沖田さんが固い表情を浮かべて言ったんです。だから嘘かもわからない。———姉上、外に出るときは気を付けて下さいね。」
「大丈夫よ私なら」
妙は出してあったロールケーキに口を付け、そう答えた。新八は、全く気をそそらない妙に少し戸惑ったが、この人なら大丈夫そうだと思い、自分もロールケーキにフォークを刺す。
「それより新ちゃん、お仕事は?」
「それがですね、神楽ちゃんが帰って来なくて。僕もこれから探しに行こうと思っているんですが・・・」
「そう・・・銀さんは?」
「銀さんは散歩ですって。まぁあの人の事だから散歩とかいってきっと神楽ちゃんを探してるんですよ」
妙も「そうね」と、同意し、外に出るなら気を付けてと新八にタッパーを渡した。
「これ、さっき作った卵焼きよ。食べて?」
そのタッパーの中には何か黒い物体が煙を立てて、そびえたっていた。

Re: 銀魂 魔鏡に映すは揶揄 ( No.13 )
日時: 2010/01/19 20:31
名前: 桂 沙弥(ナツ (ID: Lr4vvNmv)

新八は思わず苦笑いした。いや、そうするしかない。
絶対食べたくないが、断る事も出来ない。とりあえず笑っとけという感じだ。
「結構自信作なのよ〜!!新ちゃんに食べてほしかったの〜!それに、生ゴミだからあると気持ち悪いじゃない?」
「言ったよ、本音言ったよこの人、ゴミとか言ったよ」
全く、自分の周りにいる人はなぜこんなに吹っ飛んでるのだろうと新八は思うのだった。
タッパーを受け取り(というか、押しつけられ)、神楽を探しに出た。

「ちっ・・・神楽のヤロー何処行きやった」
独り言のように呟いたのは銀時だ。新八の予想は当たっていた。銀時は神楽を探している様。
「神楽ー!オイいたら返事しろ〜」
叫んでみる。だが、聞こえるのは空を飛ぶ鳥の鳴き声だけだ。

Re: 銀魂 魔鏡に映すは揶揄 ( No.14 )
日時: 2010/01/22 16:55
名前: 桂 沙弥(ナツ (ID: ZFblzpHM)

発見!!!^p^

Re: 銀魂 魔鏡に映すは揶揄 ( No.15 )
日時: 2010/01/22 17:21
名前: 桂 沙弥(ナツ (ID: ZFblzpHM)

「ったく・・・最近のガキは・・・・・・。神楽見つけねーとあのハゲに言われるしな・・・。」
呟きながらも、頭の中に海坊主の顔を浮かべる。しかし、その顔(頭)を見ると、思わず吹いてしまった。
「・・・てか何やってんだ俺、怖くないからね、全然、消えるのとか怖くないからね俺」
だが、その顔には冷や汗が浮き、密かに震えていた。
しかし、神楽なら大丈夫だと思った。というか、信じたい。———でも今はそんなキレイ事言ってる暇じゃないのかもしれない。
そんな事が頭をまわる。足は厠へと動く。

「おーい!神楽ー!!いるかー・・・便秘か〜?」
銀時はダメ元で叫ぶ。いつもなら神楽は、キックを入れてくるのだが。しーんと静まり返った空間は重い空気を耐えている。こぼすのはため息だけだった。
ふと、銀時はサビのはいった鏡に気がつく。
「何だこれ・・・」
確かに自分が映った場所が歪んでいる。それを不思議に思った銀時は、歪んだ自分の逆さ姿を見る。
「!!!!」
刹那だ。銀時は木刀に手をかけ、煙を立て引いた。
その鏡に映った自分が、口角をあげたのだ。


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