二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- バトテニ-If you can become happy-
- 日時: 2010/02/14 11:37
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
亮です。
こんにちは、または初めまして。
初めましての人は、是非トモダチになってくださいね。
もう1つ、−無駄な感情−っていうの書いているんですけど・・・
そっちのデータがほとんど消えちゃったので立て直し、と言うわけです(涙)
ちょっと怖くて、でも泣けちゃうような小説を目指しています!
応援ヨロシクです。
では、どうぞ。
何処にいても、キミのことを思っている。
何をしていても、キミのことだけは忘れない。
If you can become happy.
俺は精一杯、キミの幸せを祈ろう。
俺たちの太陽だったキミへ。
キミの仲間だった俺たちより。
今を、大切にしてください。
【注意事項】 >>1
【参加者名簿】 >>2
【序章】 >>3>>4>>5>>6>>7>>8>>9
【一章】 >>10>>11>>12>>13>>14>>15
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.8 )
- 日時: 2010/02/09 19:30
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
05 悪夢
香澄の願いとは裏腹に、誰もが口をきけずにいた。
誰もが・・・信じられずにいた。
それでも、竜崎先生は淡々と説明を続けた。
「BR法は本来は中学3年生を対象に行われるが、今回のBRには関係ない」(竜崎)
「・・・ここにいる全員が参加者だ」(竜崎)
「せ、先生・・・」(香澄)
香澄は竜崎先生に呼びかけた。
だが、竜崎は冷たい目で香澄を見た。
もうそれは、昨日までの竜崎ではなかった。
選手を温かい目で見守っていた、あの目ではなかった。
香澄の頬を、涙が伝った。
「香澄・・・」(桃)
「ワケ分かんねェ、何なんだよ! こんな首輪取ってやる」(日吉)
氷帝の日吉が、反発した。
跡部は、首輪をさわろうとする日吉を見て、イヤな予感がした。
・・・そう言えば聞いたことがある。
BR法では首輪を無理矢理外そうとすると・・・
「止めろ、日吉」(跡部)
跡部の忠告も聞かず、日吉は自分の首輪を無理矢理引っ張った。
「オイ、俺様が止めろっつてんだよ」(跡部)
日吉は無視して、首輪をいじった。
竜崎は止めようともしなかった。
古びた教室に、「ピピピピピピピッ」という音が響いた。
「な、なんだよ、この音・・・」(向日)
「ひ、日吉ッ」(宍戸)
宍戸が日吉を止めようとした、ちょうどその時だった。
今までに聞いたことがないくらいの大きな爆発音が鳴った。
日吉の姿は・・・もうなかった。
ボロボロで血まみれの氷帝ユニフォームが残っているだけだった。
それは・・・“死”を意味していた。
「ひ、日吉・・・」(長太郎)
長太郎の顔から、血の気が引いていく。
1年の頃から一緒に頑張ってきたチームメイトが・・・今、目の前で死んだ。
イヤ、知っていて止めなかった竜崎に殺されたんだ。
「日吉———————————!!」(跡部)
跡部が叫ぶ。
どんなに叫んでも、日吉からの返事は、もう二度とない。
「ババァ、テメェ知ってて・・・知ってて何も言わなかったのかよ!」(跡部)
跡部は竜崎を胸ぐらを掴んだ。
同時に氷帝メンバーも、竜崎に詰め寄る。
それでも、竜崎は動じなかった。
「アイツのように死にたくなかったら、おとなしくしていろ」(竜崎)
そう言った竜崎の顔は、もう人間の顔ではなかった。
そして、その竜崎に逆らう者も、この悪夢を受け入れられない者も、いなくなっていた。
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.9 )
- 日時: 2010/02/09 19:30
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
06 数々の疑問
「邪魔が入ったが、説明を続けるぞ」(竜崎)
日吉の死を“邪魔”と言った竜崎が、香澄は信じられなかった。
人が1人、死んだんだよ?
先生、状況が分かってるの?
どうして・・・何もなかったかのように、平然としていられるの?
日吉くんは・・・何も悪くなかったのに、殺された。
私は、怖くて出て行くことさえ出来なかった。
跡部さんや宍戸さん達のように、怒りをぶつけるコトなんて、出来なかった。
後悔しても、仕切れない・・・
自分の命が、惜しかった。
自分の命を優先させてしまった。
香澄は、自分がどうしようもなく愚かに思えた。
でもそれは・・・ここにいる全員が同じだった。
もう、後悔はしたくない。
跡部は「チッ」と舌打ちをし、その場に静かに座った。
俺は氷帝学園テニス部の部長だぞ?
部員200名を束ねる、帝王だぞ?
その帝王が・・・人1人助けられねェなんてな。
情けねェ・・・
何が帝王だよ。 名前ばっかりの・・・
大人は何をやっているんだ?
これが、子供にやらせるべきコトなのか?
これが・・・今の政府なのか?
自分への情けなさと同時に、政府への怒りがこみ上げる。
跡部は、唯一の女、香澄の方を見た。
涙を流していた。
でもその涙は、ウジウジ面倒くせェ女の涙とは、どこか違った。
決意に満ちた・・・そんな涙だった。
大切な人・・・か。
「ルールを言うぞ、聞きのがすんじゃないよ!
皆もよく知っているように、ここは無人島じゃ。
BRのための島だから、学校・病院・民家は政府が設置している。勝手に入って休んでもいい。
それから、1日4回、6時間ごとに放送をする。
禁止エリアと・・・死亡者の放送だ」(竜崎)
竜崎は淡々と話す。
何度も聞いたこの声と話し方。
なのに、違う人の話を聞いているようだった。
もう、青学レギュラーの知っている、“竜崎先生”ではない。
「これから配布するデイバックの中に地図が入ったいる。
地図にはA-1というようにアルファベットと数字が書いてあるから、
禁止エリアの参考にするといい。
禁止エリアになって5分をすぎてもその場を離れなかったり、
期間は5日間。 もし、最終日に複数の人が生き残っていたら・・・」(竜崎)
竜崎は、ボロボロの日吉のユニフォームを見た。
「ヤツの様に、ボロボロになるぞ」(竜崎)
その言葉を聞いた長太郎は、涙を流した。
顔を隠してはいたが、宍戸も、ジローも、泣いていた。
「それじゃァ、1人ずつ、名前を呼ばれたら出発だ。武器はランダムだから、文句は言うなよ」(竜崎)
武器・・・
自分が、そんな物を持つ日が来るなんて、思いもしなかったな・・・
お父さん、お母さん、ゴメンね?
絶対に人は殺さないよ?
だけど・・・もう、会えないかも。
「1番! 芥川慈郎!」(竜崎)
「え・・・あ・・・」(ジロー)
「・・・行け」(跡部)
「う、うん・・・」(ジロー)
「後で、必ず会おう」(跡部)
ジローはデイバックを受け取り、駆け足で教室から出て行った。
「2番ッ 跡部」(竜崎)
「はい」(跡部)
教室から出て行く跡部は、堂々としていて、まさに帝王だった。
大切な人を守る。
跡部はもう心に決めていた。
「・・・3番、香澄」(竜崎)
「・・・はい」(香澄)
「か、香澄ッ」(桃)
「香澄先輩・・・」(リョーマ)
2人は心配そうに、香澄を見る。
そんなに心配しないで。
私は大丈夫だから。
「どこかで必ず会おう。私、桃達のこと、信じてるから」(香澄)
「香澄・・・」(桃)
信じてるよ。
だから、桃も信じて。
もう、後悔はしたくない。
だから、私は・・・
信じられる皆のためなら、自分の命を省みない。
信じられる皆のためなら、死ねる・・・
だから、ゴメンね。
お父さん、お母さん。 私、きっと死んじゃうから。
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.10 )
- 日時: 2010/02/10 20:15
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
【一章】-運命-
明日も明後日もその次も、普通に続いていくと思っていた。
自分の命の期限を知る日が来ようとは、夢にも思わなかった。
ほら、こうしている間にも、最期の時が迫り来る。
Our assumed fate.
これから、逃れるなんてムリなんだ。
07 選択
俺が呼ばれたのは、青学の皆が出て行った後だった。
だから、誰がどこに居るか。
そんなことの予想が全く付かない。
どこに居るんだ? 越前、海堂。
何を思っていますか? タカさん、乾先輩、英二先輩、大石先輩、不二先輩、・・・手塚部長!
それと・・・無事で居てくれ。 香澄。
「信じて?」
そう言った悲しそうで、寂しそうな笑顔だった香澄。
でも、その笑顔からは“決意”の様なものも読み取れた。
信じるよ、香澄。
信じてるよ。
無地で居てくれるって、お前は誰も殺さないって、信じるからよ。
だから・・・どうかその“決意”が“死”ではありませんように。
“生きる”ための“決意”ですように。
教室を出てからずっと、誰にも会っていない。
桃は1人、香澄を探した。
「・・・どこに居るんだよ・・・」(桃)
香澄は森の中を1人でさまよっていた。
あの教室を出発してから、誰とも会っていない。
何処に居るの?
何をしているの?
何を・・・考えているの?
青学の皆、氷帝の皆、立海大の皆。
その中に、このふざけたゲームに乗っている人が居るの?
香澄は誰に問いかけていいか分からない問いを、胸の中で繰り返した。
誰かに会いたい。
出来れば、青学の誰か。
会って安心したい。安心させたい。
優しい人達だから、きっと心配しているだろう。
“信じられる皆のためなら、自分の命を省みない”
そう決意したはずなのに、怖がっている暇なんてないのに、
香澄は1人で居るのがどうしようもなく怖かった。
だからこそ、誰かに会って、身を寄せ合いたかった。
青学の人に会えば、信じられる皆に会えば、強くなれると信じていた。
“青学の人”=“信じられる”
これは香澄の中で、正しい方程式になっていたのだ。
ガサッ
森の中で、何かが動いた音がした。
・・・人が、居る。
誰だかは分からない。
だけど、人が居る。
1人で居るのが怖かった香澄は、誰かに会うことに恐怖なんてなかった。
・・・ただ、仲間を求めていた。
香澄は音のした方を見た。
“青学の人”=“信じられる”
この方程式が、壊れることになろうとも知らずに。
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.11 )
- 日時: 2010/02/09 19:57
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
08 夢ならば
誰が、誰を撃ったの?
「な、何で、止めてよ・・・ どう、して・・・」(香澄)
頭が混乱し、自分が見た物を信じられない。
乾が、海堂を撃つなんて。
信じたくない。
香澄は、いつの間にか飛び出していた。
「乾先輩! 止めて下さい、お願いです、止めて!」(香澄)
「香澄・・・」(乾)
少し驚いたように、乾は香澄の名前を口にした。
「やれやれ、2人になってしまったか・・・」(乾)
それでも、乾は冷静だ。
香澄は、少しも冷静で何かいられないのに。
「まァ、こうなる確率は75%だったんだけどね」(乾)
「止めて下さい、その銃を、捨てて下さい・・・」(香澄)
「そう言うわけにもいかないんだよ、香澄」(乾)
こんなの、乾先輩じゃない。
「俺は、生き残りたいんだ」(乾)
涙があふれ出した。
自分は、なんて愚かだったんだろう。
“青学の人=信じられる”
こんなの、間違いだったんだ。
もう、自分が知っている“青学の人”じゃないんだ。
竜崎先生だってそうだ。
もう、自分が知っている人なんて、この世界には1人もいないんだ。
皆、初めて会う知らない人のように、変わってしまっているんだ。
だから、この人も乾であって、乾でない。
「先輩・・・ッ」(香澄)
香澄は、血だらけで倒れている海堂を守るようにして立った。
乾は、容赦はしない。
今にも、銃の引き金を引いてしまいそうだ。
「・・・ッ」(香澄)
この人に、元に戻って貰いたいのに、言葉が出ない。
冷たい瞳。
もう、何を言ってもダメなような気がする。
あんなにも人に会いたくて、誰かに会えたらいつものように笑えるような気がしていたのに。
今は、恐怖しか感じない。
「さようなら、香澄」(乾)
「・・・!!」(香澄)
壊れていく、私の心が。
パァン・・・ッ
銃声が、森に響いた。
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.12 )
- 日時: 2010/02/09 20:19
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
09 救世主
銃声が響いた。
でもそれは、乾の銃ではなくて。
香澄は驚いて、銃弾が飛んできた方を見た。
誰なの?
誰でもいい、だた、怖い。
誰にも、会いたくない。
もう誰も、信じられない、信じたくない。
だって、きっと、何もかも変わって、知らない人になっているんでしょう?
森の茂みから出てきたのは、跡部景吾だった。
跡部が放った銃弾は、乾の胸を貫通させた。
そして、その場に倒れた。
・・・死んだんだ。
「女に手を出そうなんて、卑怯なマネしてんじゃねェよ」(跡部)
跡部は一言そう言うと、香澄のほうへ歩み寄る。
「大丈夫か? あーん?」(跡部)
手を伸ばせば、届く距離に、手がある。
なのに、手を伸ばせない。
とてつもなく怖い。
人を信じるのが。
「・・・ッ」(香澄)
香澄は俯いたまま、顔を上げようとしない。
手を伸ばそうともしない。
うなだれたまま、泣いているだけだ。
「どうした? どこかやられたのか?」(跡部)
かすかに肩が震えているのに気がつく。
裏切られた悲しみは、どんなモノか分からない。
跡部は、血で染まった海堂を見た。
だが、仲間を失った辛さなら、いくらかは分かる。
そっちが手を伸ばさないなら、こっちから、差し伸べてやろう。
跡部は手を伸ばし、香澄の肩に触れようとした。
「・・・ィヤッ」(香澄)
消えそうな小さな声で叫び、跡部の手を勢いよく払い除ける香澄。
その行動に、驚きと傷心を隠せない跡部。
香澄にとっては、俺も、“乗っている人”なのか?
「怖い、怖い、怖い・・・ イヤだよ・・・」(香澄)
呟く香澄。
酷く傷ついた心。
跡部には、どうして良いか分からない。
「信じられない・・・」(香澄)
香澄が最後に呟いた言葉。
それっきり何も言わなくなったが、香澄の心の中が、少しだけ見えた気がした。
信じられないなら、信じられようにしてやればいい。
この俺様を、信じればいい。
ずっと、味方でいてやるから。
そばで、守ってやるから。
だから、少しだけ休んで、それから強くなればいい。
テメェを、テメェで取り戻せ。 香澄。
次の瞬間、香澄は温かいモノに包まれた。
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