二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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バトテニ-If you can become happy-
日時: 2010/02/14 11:37
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

亮です。 
こんにちは、または初めまして。
初めましての人は、是非トモダチになってくださいね。
もう1つ、−無駄な感情−っていうの書いているんですけど・・・
そっちのデータがほとんど消えちゃったので立て直し、と言うわけです(涙)

ちょっと怖くて、でも泣けちゃうような小説を目指しています!

応援ヨロシクです。
では、どうぞ。





何処にいても、キミのことを思っている。
何をしていても、キミのことだけは忘れない。

If you can become happy.

俺は精一杯、キミの幸せを祈ろう。

俺たちの太陽だったキミへ。
キミの仲間だった俺たちより。

今を、大切にしてください。


      


【注意事項】 >>1
【参加者名簿】 >>2

【序章】 >>3>>4>>5>>6>>7>>8>>9

【一章】 >>10>>11>>12>>13>>14>>15 

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Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.3 )
日時: 2010/02/09 19:28
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

    


         【序章】 -始まり-



        あの日、まだ中学生だった私たちは、
        全国大会を終え、
        その勝利に溺れぬように、
        また、悔しさからはい上がれるように、
        合同強化合宿に出掛けた。
     
        全国大会で顔を合わせた、“戦友”達。
        一緒にたくさんのことを乗り越えてきた、“仲間”達。
     
        そんな戦友達と、大好きな仲間達と、
        大好きなテニスをしに行った。


        ・・・ただ、それだけ。 
        それだけなのに。

    
        まだ、中学生だった私たち。
        まだ、子供だった、私たち。

        そんな私たちには残酷すぎる現実。
        信じられない、信じたくない。
        でも、信じなくてはいけない、現実。

    
        何故、あんなことになったのか。
        何故、大人達は私たちに、あんなことをさせたのか。
        何故・・・裏切ってしまったのか。
  
    
     

        あれから時が経ち、私は大人になった。
        でも、あの日抱いた疑問の答えは見つからない。
        大人になっても、私1人じゃ分からない。
        何も、分からない。


     
     
        ねェ、皆。
        生き残ったのは本当に、本当に・・・ 
     
     
        ——————私だけなの?
     


Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.4 )
日時: 2010/02/09 19:29
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 01 平和 




全国大会が終わって一週間。
青学テニス部にはいつもの練習風景があった。

「みなさん、おつかれさまですッ ドリンクですよ〜」(香澄)

青学テニス部のマネージャーの香澄は、レギュラー達に練習後のドリンクを配る。

このドリンクは香澄の手作り。
マネージャーの仕事は主に、レギュラー達の世話だから、健康に良いモノを乾と作っているのだ。
香澄のは乾とは違って、飲みやすく、おいしい。
だからみんな、香澄が配るドリンクを楽しみにしている。
キツイ練習の後の、至福の時間だ。

「ありがとう」(大石)
「サンキュー」(タカさん)
「助かるよ」(不二)
「ありがとー」(英二)

「桃と海堂とリョーマもドリンクだよッ」

「ん、悪いな」(海堂)
「ありがとうッス、先輩」(リョーマ)
「待ってましたァ!」(桃)


「「「!?」」」


「な、なんだよ、この味は・・・ッ」(海堂)
「フツーのドリンクじゃないだろ・・・」(桃)
「ま、まさか、コレ・・・」(英二)

皆、一斉に香澄と乾の方を見た。

「えへへッ それは私じゃなくて、乾先輩が作った【新】ペナルティーだよ〜」(香澄)
「今回のも自信作だ」(乾)

「香澄ちゃん・・・;」(大石)
「香澄ッ また乾と手ェ組んだなッ」(英二)
「汚いッスよ! 乾先輩ッ」(桃)
「香澄は一言も“自分が作った”とは言っていない。だまされる方が悪いぞ」(乾)
「それが汚いって言ってるんですよ!」(桃)

桃と乾が口げんかを始める。

香澄が配るドリンクを、部員が楽しみにしているのを知っている乾の作戦は、今日が初めてじゃない。
だけど、皆、だまされる。
皆、香澄のことが好きだから。
香澄のことを、大切に思っているから。

その度に、桃と乾の口ゲンカが始まる。

香澄は、そんな光景大好きだ。

「まァまァ、ケンカは止めなよ」(タカさん)
「そうだよ。それにコレ、おいしいよ?」(不二)
「乾先輩の自信作ですもんね」(香澄)

「「「それはお前らだけだろッ」」」

「「え」」(不二・香澄)

「2人の味覚、どうかしてますよ」(リョーマ)
「あーッ 言ったなこのヤロー」(香澄)

「止めろ、香澄、越前。集合だ」(手塚)

「「はーい」」(リョーマ・香澄)


手塚はレギュラーを集め、明日からの合宿の説明をした。
竜崎先生は同行しないらしい。
香澄は、それが不思議だった。
だけど気にかけなかった。
合同合宿だから、他校の先生がくるんだろう、そう思ったから。

「氷帝と立海大との合同合宿だ。油断せずに行こうッ」(手塚)
「「はいッ」」





ここのチームが大好きだった。

皆、イイ人。
皆、優しい。
皆・・・信じられる、信頼できる。



平和だった。
それがあまりにも当たり前すぎて、全く感じていなかった。

“平和”なんて言葉、当たり前すぎた。

・・・でも、違ったんだ。
“平和”って当たり前じゃなかったんだ。


共に越えてきたたくさんの試練。
笑ったり、泣いたり、ケンカしたり、悔しがったり。
そんなことも、振り返らなかった。

毎日が楽しくて、平和で、明日も、その先もきっと続く。
そう思っていたから。

Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.5 )
日時: 2010/02/09 19:29
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

  02 出発




「おはよー」(香澄)
「おはよう。今日から合宿?」(母)
「うん」(香澄)

香澄はいつものように起きて、いつもの朝食を食べた。
家族と、他愛のない会話をしながら。

「まだ行かなくてイイの?」(母)
「うん、桃が迎えに来てくれるんだ。その後2人でリョーマのトコロに行くの」(香澄)
「そう・・・“桃”って、武くんのこと?」(母)
「そうだよ」(香澄)
「相変わらず親切ね、武くん。昔っからアンタの面倒見てくれて」(母)
「まァね」(香澄)

桃と香澄は幼なじみだ。
家が近所で、親同士も仲が良い。
2人は、いつも一緒にいた。
“桃”とか“桃ちゃん”っていうあだ名を考えたのも香澄だ。


「おーいッ 香澄ッ 迎えに来たぞー!!」(桃)

「あッ 桃が来た。 それじゃ、行ってくるね」(香澄)
「・・・行ってらっしゃい」(母)
「うん、行ってきまーすッ」(香澄)

香澄はいつものように出掛けた。
後ろを振り返ることはなかった。

「おはよう、桃」(香澄)
「オッスッ 急ぐぞ! 遅いと、越前がうるさいからな」(桃)
「うんッ」(香澄)

香澄は桃の自転車の後ろに飛び乗った。
そして桃が、スピードを出して自転車をこぐ。

そんなのはいつものことだった。
でも、香澄は知らなかった。
香澄の母が、2人の後ろ姿を、涙を流しながら見つめていたことに。





香澄と桃は、リョーマの家に寄って、学校まで行った。
すると、もうレギュラー全員集まっていて、この3人を待っている・・・という感じだった。

「「「おはよーございまーす」」」

「遅れてすいませんッ;」(香澄)
「すんません」(桃)

「早く乗ってッ 遅れるからな」(大石)

「「はいッ」」

バスに乗ると、香澄はやはり、違和感を感じた。
竜崎先生がいないと、やっぱりおかしい。
今まで、一度だって来なかったことはないのに。

「お、来た来た」(タカさん)
「遅いぞー 3人ともォ」(英二)
「・・・越前が寝坊でもしたの?」(不二)

「違いますよ、桃先輩が香澄先輩と2人で仲良くゆっくり話してたから・・・」(リョーマ)

「「なッ?!」」

「えーッなんだよソレーッ 桃ォ!?」(英二)
「え、あ、イヤ、別にそんなことしてないッスよ!」(桃)
「そうですよ!普通に話してただけですッ」(香澄)
「どうだかッ」(英二)
「仲良しだもんね、2人とも」(不二)
「・・・いいデータが取れた」(乾)




楽しい。
こうやって、皆で話して、ふざけているのが。
笑いが絶えない。
これって、いつまでも続くことだよね?
これがなくなるコトなんて、絶対ない。
なくなるなんて、あり得ない。
“永遠”だよね。
変わらないよね。

そう信じて疑わなかった。

疑う理由も、なかった。



Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.6 )
日時: 2010/02/09 19:29
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 03 到着



「ここが合宿場かァ」(香澄)
「まさか無人島とはなァ」(桃)
「氷帝の跡部さんとかが企画したんじゃない?」(香澄)
「そうかもな」(桃)

「桃ッ香澄ちゃんッ こっち、こっち!」(大石)

「「はーい」」


香澄達は島にある宿舎へ向かった。
そこの食堂にはもう、氷帝の立海大も到着していた。


「お、青学が来たぞ」(宍戸)
「なんだ、マネージャーも来てるじゃねェか」(跡部)

「お、お久しぶりです、跡部さん」(香澄)

「あーッ 香澄ちゃんだーッ」(ジロー)
「なんや、香澄ちゃんも来てるンか」(忍足)
「ホント、お久しぶりですね」(長太郎)

氷帝レギュラーに囲まれて、ニコニコ笑う香澄。
本人は自覚がないが、誰とでもすぐにとけ込めることは香澄の特技かもしれない。


「・・・女に皆でよってたかって・・・たるんどる」(真田)

「香澄ーッ」(赤也)

「赤也ッ」(香澄)

「お、オイ! 赤也!」(真田)

真田の呼びかけにも応じず、赤也も香澄の方へ走った。

「まったく、赤也は・・・」(真田)
「イイじゃないか。初めくらい」(幸村)
「ゆ、幸村」(真田)
「合宿が始まったら、香澄ちゃんと話す暇もないんだから」(幸村)
「・・・そうか」(真田)

立海大のレギュラー達も、香澄を囲った。

そんな光景が、青学レギュラー達は気に入らない。
特に桃は、なんとなく不安を覚えていた。


・・・なーんかおもしろくねェなァ、おもしろくねェよ


香澄が皆の真ん中にいるのは幼なじみとして誇らしい気分になる。
だけど、自分以外の人にあのカワイイ笑顔を向けられるのは、正直おもしろくない。


「香澄は青学のマネージャーだぞッ 返せ!」(英二)

英二は1人、他の人達をかき分け、香澄の腕を掴んだ。

「アーン? ここに合宿に来たら、皆のマネージャーだろ?」(跡部)
「そーだ、そーだッ」(岳人)
「1人締めはダメッスよ!」(赤也)

「み、皆、何言ってるの?」(香澄)

「やーだよォ! 返して貰うからねッ」(英二)
「え、英二先輩?!」(香澄)

英二は強引に香澄の腕を引っ張った。
こうでもしなきゃ、アイツらから、香澄を取り返せないから。

「香澄、救出せいこーうッ ほいッ桃! 香澄を取られないように気を付けろよッ」(英二)

桃の耳元で、コソッと言った。

「え、あの、何言ってんスか! 英二先輩!」(桃)
「な、何よ? なんて言ったの? 英二先輩ッ」(香澄)

悔しいけど、香澄はいつも、桃のことを見てるから。


香澄はワケが分からなかったが、取りあえず青学メンバーのトコロへ戻って来られた。

安心できる場所へ、戻って来た。

氷帝の人も立海大の人もイイ人達だけど、やっぱり青学レギュラーの皆が大好きだ。


それにしても、氷帝の榊監督の姿も見えないし、立海の監督の姿も見えない。
この宿舎に入ってから、一度も大人を見ていない。

・・・何かが、変だ。

食堂の隅で、乾はそう感じていた。



Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.7 )
日時: 2010/02/09 19:30
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

04 冗談



全国大会で共に戦ったライバル達。
顔を合わせるのも初めてではない。
そのせいか、青学、氷帝、立海大のレギュラー達は一緒に騒いだり、話をしたりしていた。

「香澄ちゃーんッ 宍戸がいじめるー」(ジロー)
「え」(香澄)
「な、何言ってやがるッ んなことしてねェつーの!」(宍戸)
「ァハハッ 分かってますよ、宍戸さんがそんなことしないことくらいッ」(香澄)

しょうがない人達だなァ
そう思いながら、優しい笑顔でそのままの気持ちを宍戸に言った。

思わぬ答えに、宍戸も、ジローも、顔を赤らめた。

そして更に騒がしくなる食堂。
笑い声が絶えなかった。
・・・・・・次の瞬間までは。


「うッ・・・」(リョーマ)

香澄の隣にいた、リョーマが倒れた。

「リョ、リョーマ?! どうしたの?」(香澄)
「香澄?! どうした?」(桃)
「リョーマが、急にッ」(香澄)
「越前?!」(桃)
「だ、大丈夫?! リョーマ・・・」(香澄)

リョーマを支えていた香澄も、ふっと倒れてしまった。

「か、香澄? どうしたんだ・・・!!」(桃)
「桃城?」(海堂)

香澄とリョーマをとっさに支えた桃も、それを見ていた海堂も・・・
食堂にいた全員が、次々と倒れていった。




昼の11時45分を指した。

「香澄ッ 大丈夫か?」(桃)

「ん・・・桃? 私、何で・・・」(香澄)

倒れていた者が、次々と目を覚ます。

「え・・・何? この首輪・・・」(香澄)
「分かんねェ ・・・でも、変だ」(桃)

「跡部・・・お前の仕業か?」(手塚)
「俺がこんなチマチマしたことを企画するわけねェだろ」(跡部)

状況が分からない。
場所も、前にいた食堂ではなく、古びた教室だ。



ドアが、勢いよく開いた。


「起きたか、お前ら」(竜崎)

入ってきたのは、竜崎先生だった。
この合宿には、同行しないと言ったハズだった。
でも、入ってきたのは、竜崎先生だった。

青学レギュラーは、目を疑った。

「な、なんだ・・・竜崎先生付いてきてたんじゃないですか」(大石)
「同行するなら、初めから一緒に来れば良かったのに」(タカさん)

2人の言葉を聞こえていないかのように無視し、食堂のホワイトボードの前に立った。

「りゅ、竜崎先生?」(香澄)




「お前達は、これから殺し合いをする。 BRに選ばれたんだよ」(竜崎)



“BR”・・・
バトル・ロワイアルのことは、合宿に来た誰もが知っていた。
友達同士で一定の期間殺し合い、最後の1人を決めるゲーム。
政府が作ったくだらないゲーム。
今はもう、使われていない政策だ。
香澄も、知っていた。

だけど、香澄は待った。

「先生、冗談キツイッスよ!」
誰かがそう言って、
「ハハ、びっくりしたろ?本気にしたか?」
先生が笑って、「冗談だよ」と言ってくれるのを。

殺し合いなんて・・・ウソだ。
冗談だ。
そうでしょ? 先生。
早く、早く、笑ってそう言って。



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