二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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0番目の兄弟
日時: 2010/03/13 20:41
名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: mx7/95Ob)

初めまして、囮(Otori)と申します
ここではD・Gray-manの中でもNOAH寄り視点で物語を書いていきたいと思います

主人公はNOAHでありながらエクソシストとしての顔も持つ少年
0番目の神の使徒として千年公達の前に現れ
教団と伯爵側の両方と関わりながら両方の側で戦っていく

細かい設定は本文中でちょこちょこ書いていきますね


それでは0番目のNOAHはこの白と黒の戦いにどんな影響を与えるのでしょうか
それは皆様の目で確かめてください

読んでの感想や要望、アドバイスなどは随時受け付けています
更新は遅めになることを御了承下さい


それでは"0番目の兄弟"の物語の開章です


†目次†
【序章】>>1
【第一章】>>2 >>3 >>4 >>5
【第二章】>>6 >>7

Page:1 2



Re: 0番目の兄弟 ( No.4 )
日時: 2010/03/02 21:13
名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: 9yCTBNZC)

【第一章】


「千年公…こいつもエクソシスト狩りやらせんの?」


壁際に立っている千年伯爵に向けてティキが疑問を投げる
現在激化しているエクソシストとの戦争に、この新入りの兄弟も参加させるのかと
その質問に千年伯爵はティキへと顔を向けた


「そうですねぇ…まず、元帥狩りにはジャスデビと一緒にクロスを追ってもらいましょうか」


悩んだ様子を見せながらも実際は殆ど直感でユキナの狩りの対象を決定する
それに不満が出るのはもちろんのこと


「はぁ!?クロスは俺らの獲物なんだぜ?何でこんな化け猫と動かなきゃなんねーんだよ」


「ヒッ!そうだよっクロスはジャスデビのものだもんねっ」


双子からの猛反対を受けてもユキナの表情は変わらなかった
テーブルに頬杖をつくとジャスデビに視線を向けて笑う


「化け猫とは御挨拶やねぇ…ボク、一応れっきとしたニンゲンなんやけど」


ククッと喉の奥で笑いながら自分は紛れもない人だと断言する
人という言い方に少しだけ棘があったけれど
文句を言っても動じないユキナに双子は不満なようだった

千年伯爵はユキナへ顔を向けると首を傾げた


「殺戮対象はクロス・マリアンで構いませんね?」


その確認にやる気なさそうに適当に手を振ってユキナは頷いた


「別に誰でもえぇよ、誰でも…ボクと遊んでくれるんやったら」


ユキナにとっての遊び、それは無邪気で残酷な壁一面が深紅に染まる遊び
その赤い世界を見上げて見下ろして正面から見つめて
両手も服も赤く染めて頬を赤く濡らして晴れやかに笑う

それがユキナの一番楽しい時間


ユキナ本人の了承を得たということで千年伯爵は頷き、勝手にこの話を終わらせた
その様子を見てユキナはおもむろに席から立ち上がる


「千年公…ボク、もう帰ってもえぇやろ?そろそろ時間や」


帰る場所?それはここではないのか?
この場にいるノア一同が不思議そうな顔をした
その視線を一身に受けてもなお、ユキナは笑みを崩さない
さよならと言うようにヒラリと手を振って可愛らしい笑顔を振りまいた

出口へと足を向けながら顔だけで振り返る


「ボクの帰る場所は、二個あるんや……魂の居場所と心の居場所、どっちもボクの大切な場所」


コツン、コツンと出口へ向かう足取りは迷いなく未練もなかった
何も言えずに黙って見送る兄弟を最後に振り返って満面の笑みで道化師のように大袈裟に頭を上げる
顔を上げて口を開いて最後の置きセリフ



「そんじゃ、また遊ぼうな……大好きやで、ロード」



眉間にしわの寄ったシェリルを心底可笑しそうに見ながら
アハハと笑い声を響かせてユキナは箱舟を去った


「何なの?アイツ」


不思議そうな顔のティキの言葉にロードは笑顔で答えた


「兄弟だよ?ティキのお兄さんで、可愛い弟…そうにきまっているじゃん」


飴を舐めながら言い返すロードの声音に迷いはなかった

Re: 0番目の兄弟 ( No.5 )
日時: 2010/03/12 21:38
名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: 8cMqndJ6)

【第一章】


「アハ…やっぱしロードの力は凄いわぁ」


兄弟の居る部屋を出て箱舟の中を自分が出てきた出口を探して歩きながらユキナは小さな笑い声を上げる
灰色だった肌は人間としての色白な肌色を取り戻し始め
鴉の濡れ羽のような漆黒の髪は濃い金色へと染まりゆく

それに合わせて服装も変わり始めていた
崩れ落ちるように消えるワンピースの中からシンプルな白シャツが覗き
薄れていくニーハイソックスの上を純白のスラックスが覆う
そして、灰色の左腕はその色が引くと黒色へと変貌する

その様子を見ながら満足そうに頷いた


「兄弟サン達の目を騙せるだけやなくて…神サンの目まで騙せるんやから————上等や」


ユキナの黒色の左腕は鉄のように無機質で、しかし服で隠れている肩との接合部はしっかりと違和感なくくっ付いていた
最後に掌に浮かぶのは深紅の十字架

それは、紛れもない『イノセンス』

ニコニコと笑みを浮かべたままユキナはシャツのポケットから取り出した眼鏡をかける
背に垂らしたままにしていた金髪をうなじで一本にまとめ上げたその後ろ姿は金色の尻尾を下げているよう
自分の左腕を見下ろしたまま穏やかな微笑を浮かべて呟いた



「そんじゃ…実家へ帰りましょか」



ロードの能力である『夢』

それで兄弟の目からイノセンスを隠し
イノセンスの目から兄弟を隠していた

まさか無機物である神の結晶まで騙せるとは思ってもみなかったので正直少し驚いている
でもまぁ、結果オーライということで良しとしよう


左腕から瞳をあげれば開いたままにしてあった箱舟の扉から薄暗い光が見えた

そこに迷わず足を踏み入れてユキナは呟く


「ただいま帰りました」


Re: 0番目の兄弟 ( No.6 )
日時: 2010/03/12 22:19
名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: 8cMqndJ6)

【第二章】


『談話室』

それは人々がコミュニケーションや憩いの場として集う場所
黒の教団総本部の談話室も例外ではなく今日もいくらかのグループが儚い平穏な雰囲気に浸りながらお喋りに興じていた

しかし、そんな人々とは一線を隔てる少年がいた
綺麗な金髪は腰ほどもある長髪で、うなじで結わえられており
色白の小顔にかかる黒縁眼鏡が知性的な印象を与える
服は全体的に漆黒で、上着のシャツはそのまま団服として使用できるようにローズクロスが刺繍されていた
そんな彼は、三人掛けほどもある広いソファーの真ん中に陣取り
背もたれに頭と両腕をのせて、両足は躊躇なく目の前のテーブルの上へ
楽しげな周りを面白くなさそうに見つめる瞳は眼鏡の奥で光を閉ざしていた
誰を待っているわけでもなく、特にこれといった理由もなさそうな少年は完璧に浮いていた

一つ大きな溜息を吐いてガックリと頭を垂れた少年に後ろから凛とした少女の声がかかる


「セツナ!そんな行儀の悪い座り方は止めなさい」


『セツナ』、と己を呼ぶ声に今まで何事にも興味を示さなかった瞳が光を宿しゆっくりとした動作で振り返る
無表情だった顔に微笑が浮かんでいた
眼鏡の奥の瞳に少女を映しながら口を開く


「なんや、誰かと思うたらリナリーやないの……おかえり」


今さっきの叱咤など完全に忘れていて、足を降ろす気配もなく詫びれない表情で相手に労いの言葉をかける
その言葉に一瞬声を無くしながらも少女、リナリーはセツナへ近づいていく


「もう…ちゃんと人の話は聞きなさい。…ただいま」


任務帰りなのか苦笑を浮かべている頬や手、服などに無数のかすり傷がついていて
それでも最後に返した返事にはきちんと柔らかな微笑を浮かべるリナリー
それを目にしたセツナは瞳を細めて迷いなく傷のある頬にそっと手を伸ばした


「リナリー…また傷増やしとるやん。折角の美人が台無しやで?少しは気をつけぇな」


リナリーは頬に添えられた手を払う事なく受け入れながら眉を下げて困ったような表情で首をすくめた


「まだ医務室に行ってないから目立つだけよ……第一、褒めても何も出ないし、傷つくのを怖がってちゃ何もできないわ」


人を悪から守るためには多少の犠牲はつきもの
その犠牲が仲間ではなく自分が負う建った少しの傷なら安いもの
いまいち理由になっていない言い訳をそうと分かっていながら口にしてセツナの言葉を笑った

リナリーの変わらない笑みを見てセツナも同じ様に微笑を浮かべ頬から手を離す
それに対しては特に反応を見せないリナリーとまた今回の任務についての話をし始める
その二人の姿を遠くから眺める人影が三つあった



「まぁたやってますよ、あの人……何でいっつもリナリーを取っちゃうんですか!?」


「まぁまぁ、落ち着けアレン……でも確かに気に食わねぇさ!オレらのリナリーが!!」


「まずお前が黙れ、馬鹿兎……同い年なんだから仲が良くなるのは普通なんじゃねえの」


リナリーとセツナ、二人から丁度良い距離を保った場所に居る三人組
優男のような白髪の少年と眼帯をした赤毛の青年、何で俺がここに居るんだと言いたげな表情をした黒髪の青年
色とりどりな彼らの意見も色々で
黒髪の青年を除く二人は目の前の光景が気に入らないらしい


「あの人、一体いつから居たんです?」


今更のような白髪の少年、アレンの質問には赤毛の青年、ラビが答えた


「んー、そうさね。アレンが来るちょっと前から居ることにはいたらしいんだけど…本格的に俺らと任務をし始めたのは最近さ」


セツナが教団にエクソシストとして入ってきたのはラビ達ブックマンが入団する少し前だったらしい
しかし入団後も室長にすら姿は見せずもっぱら別ルートで活動していたという
別ルートとは中央庁の方で、主にイノセンス回収を優先していたという報告だ
アレンがクロス元帥捜索に出た後に漸く室長の所へ顔を出し、正式に黒の教団のエクソシストとなった

というわけでセツナとアレンが会うようになったのは最近という事になる
ラビや、その横で不機嫌そうにしている黒髪の青年神田も同じようなものだが

ジーッと見つめていると、やはりいくら鈍い人でも気づくようで
三人の方へ顔を向けたリナリーは、華が咲いたような笑みを浮かべて手を振った


「あ、アレン君、ラビ、神田。ひさしぶりー」


その笑顔に和みながらも、遅いと思う内心は無くすことができない
何故かこちらに来いというように手招きをしているリナリーの元へ歩き始めると
フッと不敵な微笑を浮かべているセツナと視線がぶつかった

Re: 0番目の兄弟 ( No.7 )
日時: 2010/03/13 20:40
名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: mx7/95Ob)

【第二章】


アレンは皆のアイドル的存在のリナリーと一際仲良くしているセツナが正直気に入らなかった
幼い独占欲なのだろうと自分に呆れもするが嫌なものは仕方ない
普段は居るだけでお互いに苛立つ神田の言葉に先程は妙に納得してしまった


『同い年なんだから仲が良くなるのは普通なんじゃねえの』


同い年、その存在は大きいのかと改めて考える
リナリーにとってラビや神田は年上でアレンは僅かながらも年下
同年代ではあるが"同い年"ではない
言われてみればリナリーに同い年はいなかったのだ
大人が多いこの生活の中で同じ年齢の人はやはり居心地がいいのだろうか

リナリー以外に向ける視線は意地悪か冷たいか
そんな男であっても彼女にとっては大切なのだろう
結局のところ仲間なのだから


ラビも神田もリナリーのセツナとの仲の良さには少なからず驚いていた
セツナは仮にもエクソシストとはいえ黒の教団よりも明らかに中央庁よりの人間
酷いトラウマを抱えるリナリーがこれほどまでに打ち解けるとは思ってもみなかった
警戒心一つない安心しきった表情で笑い
肌に触れられても戸惑うこともない
どうしてこれほどまでに相手に身をまかせることができるのか

二人とも淡い春が訪れようとしているのかと口には出さずとも思っていた
それに対して反発はないものの戸惑いはあった
彼女が今までと違ってしまうかもしれないから




「お?十四番目に兎にセカンドやん……おはようさん」


リナリーに呼ばれて歩いてきた三人にセツナは能天気な言葉をかける
しかし、呼び名はどこか挑発的で
それに眉を顰めたのは三人ではなくリナリーだった


「セツナ、皆の名前くらいいい加減覚えて」


パシッと軽く頭を叩きながらのその言葉にセツナは叩かれた所をわざとらしくさすりながらリナリーを見上げる


「んなこと言われても…どーせ名前なんて記号やろ?僕いちいち覚えられるほどえぇ頭しとらんの」


それは理由にもなっていない完ぺきな屁理屈
呆れ顔でどうにもならないと悟ったリナリーは溜息をつく
しかし、その表情もどこか楽しそうだった

二人のその雰囲気に戸惑っている三人に視線を向けたセツナは意地悪く笑いながら口を開く


「僕、あんましアンタらのこと知らへんから色々話し聞きたいんやけど……すまん、今日は無理みたいやね」


笑ってはいるがその瞳には"お前らに対する興味なんて自分にはこれっぽちもありません"と明らかに記されていて
あくまでもリナリーに付き合っているだけのようだった

しかし、何故今日は無理?
リナリーを含めたセツナ以外の四人が疑問符を浮かべる


笑みを浮かべたまま後ろを振り返ったセツナに続いて他もそこへ視線を向ける
リナリーの顔が恐怖に引き攣った


談話室の入り口
分厚いドアの所に居たのはハワード・リンクと彼を引き連れる男
マルコム・C・ルベリエ
中央庁の長官でありリナリーの最大のトラウマ


「久しぶりやね、"お父様"…いきなりどないしたん?」


そんな彼の登場にセツナは笑顔を更に深くしてソファーから立ち上がる
周りが一瞬衝撃を受けるような言葉をさらりと吐いて足を進めた
強張ったままのリナリーの横を通る時に柔らかな微笑を浮かべて囁く


「すぐ戻ってくるから…リナリーの話はそんとき聞かしてな?」


ふざけたように最後にウィンクをしてみせて
アレン達には一切視線を向けずもう振り返らない

眉を顰めた険しい顔のルベリエの元へ歩いていき、彼と一緒に談話室を出た

Re: 0番目の兄弟 ( No.8 )
日時: 2010/03/23 21:26
名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: R/M39rbJ)

こんばんは

最近なかなか更新ができなくて申し訳ありません;
そしてここで一つ連絡なのですが
本日から1〜2週間ほど完全に更新が私用のため停止いたします

ですが必ず更新復活しますので
それまで今までの感想などがありましたらお願いします


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