二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 魔眼の刀鍛冶(ブラック・スミス)
- 日時: 2010/11/24 19:37
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
こんばんは、泉海斗です。
またもや勢いで書いてしまった、聖剣の刀鍛冶の二次です。
執筆はゆっくりだとは思います。
それでも皆さんに読んでいただき、コメントをいただければ嬉しいです。
それではよろしくお願いします。
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第1章 出会い〜MEETING〜
春の温かな風が吹く、ここ独立貿易都市。周りには帝国・聖都・聖国・天都があり、それらとの貿易によってここは多いに成り立っていた。
とはいえ貿易都市もまた、それら以外の国からの旅人たちを受け入れ、ひと時の急速を与えるところとして、旅人たちにとっては天国だった。
「今日も平和でいい天気」
1人の女の子が春の香りをいっぱいに吸い込み、伸びをする。年に比べるとは対句法で、燃えるような赤い髪が特徴的な女の子。腰に派遣があり、どうやら貿易都市を守護する騎士団のようだった。
彼女の名前はレイナー・フロスト。貿易都市にある、とある貴族の家柄のものだ。そしてその腰にある剣はその家に伝わる剣であり、彼女の父親もまたこの剣で幾多の戦いを繰りぬけてきた。
しかし今は亡き父。彼から受け取ったこの県でここを守り抜いてみせるというのが彼女の夢だった。
町の中を歩いていると知り合いの皆から声をかけられる。いつも買い物に行くお店の若夫婦からはそろそろ殿方を見つけたほうがいいのではないかと茶化される。年も17になるレイナー。彼女に言い寄る男性も多いが、なかなか踏み出せないでいた。恋愛経験のない彼女だから不安なのであった。それに彼らに対して好意があるというわけでもない。ため息をつきつつ恋愛は難しいと元気がとりえの彼女に似合わない沈んだ表情になっていた。いつも騎士団に剣を配給している工房では工房長が外でタバコをふかしていた。
「こんなところでサボりですか??工房長さん」
「レイナーか、仕事の合間の一服ってもんだ。タバコを吸わないお前にはわからんだろうな」
そんな健康を害するものはやらないと舌を出して笑うレイナー。まるで子供のような行動である。ここ貿易都市にはたくさんの武器用の材料や各国の職人が来ることもあり、そのとき珍しい武器が手に入るということで、それ目当てで来るものも少なからずいた。それの監視として彼女も参加することもあり、ついこの間もそれに参加したばかりであった。
彼女には今立派な剣があるが、それもまた何代も使われていたためか刃こぼれがひどかった。研ぐことも欠かさなかったがそれでも時間に勝てないこともあった。脆くなっていたのだった。
「そろそろその剣もお役目ごめんてもんじゃねえか??いくら名剣だからといって時間には勝てねえよ」
「確かにそうかもしれないが、私にとってはこれが父からの唯一の遺品なんだ。それにわが家ではこの剣で多くの戦いに勝利してきたのだ。私もまた・・・この剣でこの都市を守りたい」
「お前ならそういうと思ったさ。でもな、もう一本持っててもおかしくはないぞ??どうせなら俺達が造ってるものもって行くか??万が一ってこともある」
「そのときはよろしく頼む」
そう言い残し、レイナーは再び巡回へと向かった。
「これは一体どういうことなんだ??」
レイナーが呆気にとられてみているのは、今まさに目の前で行われている喧嘩だった。1人の旅人らしき青年を囲んで男たち4人が喧嘩をふっかけていた。足元には何やら酒こぼれだしているこっぽがあることから口論から発展したのだろうと思われた。
「テメエ・・・もう一度言ってみろ!!」
男が青年の胸倉を掴んで引き寄せる。対格差があるためか、青年はぶらぶらと持ち上げられた状態である。
「ああ・・・大丈夫でしょうか」
レイナーの隣では、さらりと栗色のロングヘアーの少女が肩を震わせて心配そうに見ていた。神は地面につかんと刷るくらいの長さで、どことなく貿易都市の人間ではないと感じていた。青年を心配していることから、つれであろうかとも思った。
「俺達はな!!幾多もの戦いを生き抜いてきた猛者なんだよ!!それを馬鹿にしやがって」
「俺は事実を言ったまでだが??図星だからと逆切れか??小さい器の人外が・・・」
人外という言葉に違和感を感じたレイナー。それを聞いたのはそう多くなく、騒ぎになることはない。しかし今にも男たちは青年に襲いかかろうとしている。
「死ねやこのガキ!!」
理不尽な男たちの攻撃が降りかかる。大きな剣が次々と降りかかる。それを鼻先数ミリ前でかわす青年。キャーという女性の悲鳴を含めたたくさんの声が聞こえてきた。それでも平然としたかお持ちで攻撃をかわす。しかし青年はまだ腰にある武器に手をつけていなかった。よく見ると自分が使っているような剣とはまた違った形。反りのある武器がそこにあった。
「すばしっこいガキだ!!」
- Re: 魔眼の刀鍛冶(ブラック・スミス) ( No.4 )
- 日時: 2010/11/28 13:08
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
第3話 任務〜MISSION〜
「何故俺もお前の任務に同行しなければいけないんだ??30文字以内で解答しろ」
「設問形式になっているぞ、アリア・ブラックス。あなたが私に覚悟を見せろと言ったから、私を見てもらうにはこうするしかないだろう??」
———言い方一つじゃ、色々やばいぞ・・・。
色々誘惑する要素を持つレイナーである、その言葉を聞いた男たちの鼻が伸びているのを横目で見るアリア。
あきれて言葉も出ない。
現在数十人の騎士たちとともに行動しているアリアとレイナー、そして妹のクリス。
なんでも今度のオークションに出品される大切なものがあるらしい。
しかし下っ端のレイナーにはそれがなんなのかは聞かされていない。
引き車の二台に乗せられたたくさんの荷物を守るのが今日のレイナーの仕事。
彼らから少し離れたところからアリアとクリスは歩いていた。
うっそうと茂った森の中を歩いている。
時間はかなりすぎていて、もう夕方に差し掛かっていた。
茜色に染まる空にはカラスたちがなきながら飛んでいく。
栗栖はそんな不気味な森が嫌なのか、アリアにくっついて歩いている。
———やはり兄妹なんだな。
離れろといいながらも、まんざらではなさそうに手をつないであげているアリア。
涙目になりながら、ぎゅっと手をつないでいるクリス。
ほほえましい光景だった。
道半ばに差し掛かる、少し休憩しようという今回の隊長の指示で休むことになった。
「どうしたんだアリア??きょろきょろ周りなんかを見て」
「黙ってろ・・・」
レイナーが一緒に休もうと思い、アリアたちの下に言ったら、アリアが周囲をなにやら警戒していたのだ。
何かと思い、話しかけるも、また冷たくあしらわれる。
少しはまじめに返してくれてもいいのではないかと思う。
クリスもまた何がなんだか分からないという表情で困惑気味だ。
少しでも元気付けようと、近づいて肩を抱いてやる。
「アリアはどうしたんだ??別段何もなさそうだが・・・」
「あのように周囲を見ているときは・・・きっと近くに」
何かを呟こうとしたクリスの口を手で押さえるアリア。
その表情は何かに耐えているように、苦しげだった。
どことなく汗がでていて、顔色も悪い。
すると森の奥から木々がなぎ倒される音がした。
次々と木々が倒されながら、こちらにそれが近づいてきた。
警戒に入る騎士たち。
レイナーもまた、剣に手を添える。
「ちょっと見て来い」
「了解」
体調の言葉に返事をして、数人の騎士たちが森の中へと慎重に入っていく。
さすがに何かが起きるとなれば、足が震える。
しかし今回は自分の覚悟をアリアに見せなければいけないということもあるので、こんなところで前回みたいなことにはしたくないと思うレイナー。
「何震えているんだへっぽこ騎士様??そんなんだと覚悟を見せられる前にあの世行きだぞ??」
「ううるさい、アリア・ブラックス。私は大丈夫だ」
「・・・そうかい」
嘆息して、また警戒に入る。
それだけ何かやばいものでも来るのだろうかとまた不安が募る。
どれだけの時間がたっただろうか。
静かな沈黙が流れる。
- Re: 魔眼の刀鍛冶(ブラック・スミス) ( No.5 )
- 日時: 2010/11/28 13:08
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
「ぎゃああぁぁっぁあ!!」
「ば・・・化け物!!」
様子見に行っている騎士たちの悲鳴が響き渡った。
ひぃっとくリスがアリアに抱きつく。
アリアもまた、そんなクリスを背中に隠す。
「何が起きたんだ!?」
「敵が来たのかもしれない。皆は荷物を守れ、てだれは前で応戦だ!!」
隊長の言葉にすぐさま反応し、陣形を取る。
レイナーは荷物の近くに立ち、それらを守る。
そしてドガアァァァンという大きな音とともに、木々がなぎ倒される。
それらの影から現れたのは、体中が水晶のように透通った氷の化け物だった。
体中から冷たい冷気を放ち、森を凍らせている。
一気に気温が下がり、吐く息が白い。
「かかれ!!」
「おお!!」
剣や槍を手に攻撃に入る騎士たち。
怪物めがけて、切りかかり、突く。
しかし、ガギィンという音とともに、剣や槍は跳ね返される。
相手にはまったく傷一つついていないのだ。
それに唖然とする騎士たちを無視して怪物は4本足で歩いている1本を横槍にふるって騎士たちを吹き飛ばす。
苦悶の声とともに、木々を倒しながら崩れ落ちる男たち。
それを呆然と見ているしかないレイナー。
荷物を守っていた仲間たちも、怪物に叫びながら特攻をかける。
しかし跳ね返されて吹き飛ばされるという先ほどと同じ展開。
さらに森の中からは盗賊を見られる男たちがぞろぞろと出てくる。
何とか体を起こす騎士たちがそれを見てすぐさま戻ってくる。
何人かは再び化け物と対峙する。
レイナーもまた、迫る男たちに攻撃を加えて、気絶させる。
中にはまさかの下半身を露出させたものたちも。
「!!」
言葉にならない悲鳴を上げるレイナーとクリス。
特にレイナーは顔を真っ赤にさせて叫ぶ。
「切り落とす!!」
その言葉が発せられた瞬間、男たちが皆内股になったのはしごく当然である。
———やべぇ・・・。
同じく内股のアリア。
彼女の鬼の形相に恐怖していた。
しかし目の前に現れた化け物。
あれだけが厄介だと思っていた。
周りでは次々と倒されていく盗賊たち。
ほかはすぐに森の中へと逃げて行った。
どうやら誰かが仕掛けた窃盗らしい。
しかし、気になることもある。
「ぐあああぁっぁ!!」
まったく歯が立たない騎士団。
とうとう周りにはレイナーとアリア、クリスしかいなくなっていた。
「私は独立貿易都市騎士団のレイナー・フロストだ。我々の地でこのような行為を働くのを黙って見過ごすわけには行かない。この私が相手だ!!」
剣を構えたレイナーは怪物に向かって走り出す。
「ウオォォォォ!!」
怪物の悲鳴とともに、からだから羽が生える。
そしてそれから槍溶かした氷がレイナーに向かって放たれる。
剣で防御しようにもまったく面積が足りない。
次々と腕や足に傷を負い、血が流れる。
鉄の胸当てもまた鋭い攻撃にひびが入る。
ようやく収まった攻撃、しかしあまりの傷の多さからの痛みに苦悶の表情。
そしてひざを折ってしまう。
剣を杖代わりに立ち上がろうとしたが。
バギンという音とともに剣が粉々に砕けてしまったのだ。
「そ・・・そんな」
己の砕け散った剣を見て呆然とする。
情け容赦ない攻撃がレイナーめがけて襲い掛かる。
鋭い爪が迫り来る中、恐怖で足が動かない。
———結局、覚悟を見せられなかった・・・。
ただそれだけが悔しくて、こんな任務もこなせない自分が情けなかった。
しかしいつまでたっても攻撃は来なかった。
それどころか、ギイィンっという何かがぶつかる音が響く。
恐る恐る目を開けるとそこにはあの銀色に輝く刀で攻撃を受け止めたアリア・ブラックスの姿があった。
「レイナーさん、早くこちらへ!!」
クリスがレイナーの腕を引っ張る。
ただ呆然とアリアを見つめるレイナー。
「早く行け、無謀すぎるがテメエの覚悟。しかと見せてもらった」
わずかだったが柔らかい笑みを見せたアリア。
自分は認めてもらえたのだろうかと安堵するレイナー。
始めてみるアリアの戦う姿。
大きな背中を見て、まだまだ自分は敵わないと思った。
「次は俺の番だ・・・見せてやる、俺の覚悟ってやつを」
- Re: 魔眼の刀鍛冶(ブラック・スミス) ( No.6 )
- 日時: 2010/11/29 01:06
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
おはようございます、泉海斗です。
コメント・閲覧待ってます!!
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第4話 魔剣精製〜PURIFICATION〜
刀を突然鞘へと戻すアリア。
「何をしているんだ!!それでは素手で戦うことになるだろ」
「お前は頭が固いな・・・。俺の職はなんだ??
「え・・・それは、鍛冶師」
「・・・そうだ」
「まさかここで刀をつくろうっていうのか!?バカな真似はよせ!!その間に殺される」
「・・・黙ってみてろ!!」
怒鳴るアリアの言葉に思わず口をつぐむ。
黒いコートの中にはぼろぼろの私服があった。
コートには色々なものが止められており、その中からなにやら球体と刃のない柄を取り出した。
一体何を始めようというのだろうかと不思議に思う。
ゆっくりと目をつぶるアリア。
すると彼の周りの雰囲気がガラッと変わったのだ。
わずかに温もりがあったそこには冷たく、まるで氷の世界のように。
怪物が作り出したものよりもずっと冷たい世界。
見開かれたその瞳は真っ赤な血の色をしたものに変わっており、奥にはなにやらの魔方陣が描かれていた。
それだけではなく、彼の足元にもまた同じような魔法人が現れ、手元には大きな黒い球体が現れた。
「あれは・・・一体??」
「あれがアリアの力です。魔剣精製・・・」
「魔剣だって!?世界に数本歩かないか、さらに強力な力が宿っているというあの魔剣か!?」
コクリと頷くクリス。
そんなと呟く唖然としたレイナー。
その黒い球体の中へと両手をつっこみ、詠唱を始める。
「鍛錬を開始する・・・」
その言葉には強い真剣みが込められていた。
「水減し。小割。選別。積み重ね。鍛錬。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。折り返し。———心鉄成形。棟鉄成形。皮鉄成形。刃鉄成形。造り込み。素延べ。鋩造り。火造り。荒仕上げ。土置き。赤め。焼き入れ。鍛冶押し。下地研ぎ———備水砥、改正砥、中名倉砥、細名倉砥、内曇地砥、仕上げ研ぎ———砕き地艶、拭い、刃取り、磨き、帽子なるめ」
次々と口から出される聞いたことのない言葉たち。
しかし黒い球体の中で、きっとすごい魔剣が作られているに違いないとレイナーは思っていた。
しかし対照的にクリスは心配そうな表情だ。
それが何故なのか、まだレイナーは知らない。
「———柄収め!!」
一気に引き抜いた魔剣で球体を叩き割る。
塵のように周りに飛散する黒い粉。
そしてアリアの手には、完成したばかりの魔剣があった。
しかし形派遣というよりも、彼が使っている刀と同じ、そりのあるものだった。
それだけではない、魔剣そのものが真っ赤に燃えているのだ。
それ自体に熱があるかのように、赤々と燃えていた。
「・・・魔刀。これが俺の覚悟だ」
場に先ほどの温もりが戻る。
するといきなり化け物が槍状の氷をアリアに向けて放つ。
しかしそれらをまるで地面をすべるかのように華麗な足裁きで交わし続ける。
それも鼻先ぎりぎりでだ。
一歩間違えれば死んでしまうという危険な賭け。
「何故あんな危険な戦い方をするのだ??あの武器ならいくらでも」
「ありあの刀でも、いつかは折れます。それは万物に共通すること。いつかは朽ちる。あの刀も同じです。しかもあれは普通の刀よりも脆いのです」
「なぜ??」
「それは・・・」
口をつぐむクリス。
何故教えてくれないと歯噛みするレイナー。
それだけ何か大きな理由があるのは見て取れる。
自分には関係のないことだからか。
それだけでなく、彼の戦いになれた動きに圧倒されていた。
まるで流水のように滑らかに動き、攻撃を受け付けない。
そして攻撃に停止が起こると、すぐさま高く跳躍する。
「はああぁぁぁぁ!!」
高く構えられた冗談から一気に振り下ろされる。それがからだの半分を叩き切り、炎の熱で蒸発させる。
それでも残っている片方の腕で攻撃してくる化け物だが、それも簡単にあしらう。
- Re: 魔眼の刀鍛冶(ブラック・スミス) ( No.7 )
- 日時: 2010/11/29 01:06
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
支えを失った化け物はそのまま沈んだ。
まだ生きているようだが、もう動くことはできないだろう。
そう思ったアリア。くるりとレイナーたちのほうに向き直る。
しかし、わずかだが何か嫌な予感がしたレイナー。
無意識だが、飛び出していた。
いきなりのことにアリアはびっくりした表情だったが、今はそんなこと関係なかった。
その嫌な予感が当たったのか、化け物の口から巨大な槍が飛び出したのだ。
そのときにはレイナーがアリアを庇うように立ち、腰にあった剣を抜く。
しかしそれは。
「しまった!!」
その剣はついこの前に叩き折られたものだった。
代々家に伝わる名剣の亡骸。
それのまだ残っていた刃の部分に槍が突き刺さる。
そしてそのまま押されるかのように崩れ落ちる。
———今度こそ死んでしまうのか・・・。でも、誰かを守れたのだからそれでよかったのかもしれない。
そんな意識がなくなりそうなレイナーを抱き起こす誰かがいた。
目は真っ赤に血の色に染まったアリアだ。
しかしその瞳が怖いとは思わなかった。
まるでルビーのようにきれいに輝くものだったからだ。
ゆっくりと抱き上げられ、どうやらクリスのいるところに運ばれたようだ。
まだ化け物は死んでいないはすなのにと思うレイナー。
「すぐに終わらせる・・・」
怒りのこもった声だった。
もしかしたら自分のことを心配してくれているのかと思う。
すっくと立ち上がったアリア。
作り出した魔刀にはすでに無数の亀裂が入っていた
———やはり強度に問題があるか・・・。あと一撃が限界だな。
そう思うと剣を腰の高さ、中断に構える。
そしてそのまま怪物へと突撃する。
再び口の中から槍が飛び出る。
それを寸のところで再び回避すると横槍に思いっきり右足を踏み込むと同時に抜刀する。
刀にある炎が勢いよく燃え上がり、真っ二つに怪物を焼ききった。
崩れることなく水蒸気と化して、消えていった。
どれくらいの時間がたっただろうか。
レイナーが目を覚ますとそこはいつも見る自分の騎士団量の部屋の天井だった。
起き上がると体中が鋭い痛みに襲われる。
苦痛の表情をゆがめる。
「レイナー!!だめだよまだ起き上がっちゃ!!」
「サーシャ??あなたどうして??」
「あなたどうしてじゃないでしょ??私がずっと看病してたんだから」
「そうだったんだ・・・。ありがとうね」
「まったくあなたいつも無茶するから今回はお父さんの遺品に感謝するのね」
ふと横を見ると鍔から粉々となった剣があった。
どうやら守ってくれたのは歯ではなく、硬い鍔だったようだ。
だからレイナーは生きている。
———ありがとう、お父さん。
感謝すると同時に周りを見渡す。
しかしアリアとクリスの姿はなかった。
やはり旅人である彼らがここに残る期間は果てしなく少ない。
結局刀を打ってもらえなかったし、彼と打ち解けることもできなかった。
なぜかちくりと胸に痛みが走った。
———もう・・・会えないのかな。
そんな風に考えていると、それが顔に出ていたのだろう。
サーシャが心配そうに聞いてきた。
レイナーは大丈夫だとは言ったが、かなり落ち込んでいたのだろう。
トーンが低かった。
しばらく安静ということをいわれ、ベッドに戻る。
また怪我が治ったら次はオークションの警護だろう。
そう思いながら眠りについた。
- Re: 魔眼の刀鍛冶(ブラック・スミス) ( No.8 )
- 日時: 2010/12/05 19:01
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
大変長らくお待たせしました。すいません。
それではどうぞ!!
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第5話 オークション〜AUKTION〜
「わ・・・私がですか??」
レイナーは目の前に立つ騎士団長のジルベルトから今しがた告げられたことに対して戸惑っていた。
「そうだ・・・。お前がやるんだ、レイナー。運のいいやつだ」
「そ・・・そんな。私なんかが魔剣を扱えるとでも??」
「まあ、何とかなるんじゃないか??」
そんな風に他人事のように言うジルベルト。しかし彼はただ日ごろから鍛錬も任務も人一倍頑張っているレイナーに少しでもいい思いをしてもらいたいという老いぼれの気休めだった。60近いジルベルトだが、いまだその怪力は健在で騎士団の中でも彼に勝てるのはいない。
そんな彼に連れられてきたのは都市長がいる事務室だった。中に入ると椅子に座り、机の上にある剣の入ったケースをまじまじと見つめる都市長フォックスがいた。若い青年である彼は特徴的な丸眼鏡を直しながら立ち上がる。
「やあ、よく来てくれたね。ジルベルトに、そちらは今回の件で言っていた・・・」
「レイナー・フロストです。未熟者ですが、よろしくお願いします」
「あっはっは、そんなかしこまらなくてもいいよ。こちらこそよろしく、都市長のフォックスだ」
そう言って握手を求めてきたので、手袋を取り、握手する。騎士ではない彼の手はまめもなく、すべすべとしたものだった。
そうしてお茶をテーブルに置き、レイナーとジルベルトの向こうに座ったフォックス。ようやく今日呼んだことについての話になろうとしていた。
「まずはこの剣は伝えていたとおり魔剣というものだ」
それは切るというよりも突くというのに特化した形であった。
「これがどうしてここ貿易都市に流れてきたかは分からないが、これも立派な商品だ。だから今度のオークションに出そうと思っている」
「そもそも魔剣とは、ただの剣のように見えて、何か特殊な力があると聞いていますが??」
「そうだね、この剣はどうやら人型にもなるらしく。火を司る剣らしい」
「人型になるって・・・」
ケースから出し、ゆっくりとテーブルに置く。すると目の前で大きな火柱が上がった。思わずその勢いにたじろいでしまう。しかしその炎は暑いというよりも暖かいというものだった。
そして目の前には見たことのない、女の自分でもほれてしまいそうなくらいの美女が立っていた。燃えるような瞳に赤い髪。服装もどこかの貴族みたいなものというよりは一般の人々が着るようなものだった。それでもやはり赤を基調とするものだった。
ゆっくりと目を開けたその女性。ゆっくりと今いる自分の場所を確認しているようだった。
「おはようございます、フラムさん。お目覚めはいかがですか??」
「うーん、まあいいほうかな」
伸びをするフラム。するとレイナーと視線が合った。自分の体とレイナーのからだを見比べるように交互に見る。なにやら恐ろしいことが起こりそうだと感じているレイナー。そしてそれは案の定、現実となる。
「キャー!!何??この子。年の割には発達いいんじゃない??」
そう言ってレイナーのその胸を揉む。いきなりのことに顔を真っ赤にしながらワタワタともがく。しかしそれが帰ってフラムを刺激してしまったのかその手は激しくなる。
「いやー」
「良いではないか良いではないか」
スパーンといういい響きとともにフラムは頭を痛いと抱える。何が起きたのかと振り向くと笑顔のフォックスがなにやら羊皮紙の束で叩いていたのだ。しかしあれだけでそれくらいの威力が出るだろうかと不思議に思う。
「あまり場に不釣合いな行動はよしてくださいよ??フラムさん」
「ふぁーい。ごめんなさい」
涙目で謝るフラムは見た目よりも幼く見えた。というよりも行動がどこか押さないのである。話し合いの最中もソワソワして落ち着きがないというか何というか。何度もフォックスに注意されていた。
そんなわけで、オークションではその魔剣・フラムを使ったレイナーによる剣技の披露が決まったのだ。
話し合いが終わり、ようやく解放されたレイナー。そんな彼女の隣には、魔剣であるフラムがいた。当日まで彼女の護衛を言い渡されたレイナー。少しでもなかを深めておくようにといわれたが、売られてしまうと彼女と別れなければならない。そう思っただけで何故仲良くなる必要があるだろうか。
そんなことを考えているが、露も顔には出さない。彼女に心配をかけたくないのだ。今2人が歩いているのは都市の繁華街だった。ちょうどお昼時ともあってどこかで昼食を取れないかと探していたのだ。魔剣であってもん人型のときは腹が空くらしい。なんとも難しい立場にいるものである。
「フラムは何が食べたいんだ??」
「そうねー・・・。やっぱり肉かな!!」
「肉??そうか、分かった」
悩んだ末にフラムが決めたのは肉だった。一応それを扱う店はあるために、そこに足を運んだ。するとその店には見慣れた姿の男が食事をしていた。相変わらずのぼさぼさ頭に、ズタボロの私服の上に、厚いにもかかわらず黒いロングコートを着込んでいた。
魔眼を持つ刀鍛冶・・・アリア・ブラックスとその妹のクリスがいたのだ。レイナーが目を覚ましたときには姿を忽然と消していて、それからしばらくとしないの巡回の合間を縫って探していたが結局見つからなかったのだ。しかし何故こんなタイミングで出会うものだろうか。そんな風に考えているとあちらから声がかかった。元気な女の子の声だ。
「あ!!レイナーさん。こっちですよー」
妹のクリスだった。とうのアリアは眠っているのか、食べかけの料理をスプーンですくっている状態で止まっていた。寝顔はまるで生意気な子供が眠っているようなものだった。思わず噴出してしまった。
———こんな可愛い寝顔を持っているんだな。
そんな彼をそっとしておいて、レイナーとフラムはクリスト一緒に昼食を食べ始めた。数分後・・・。
「・・・」
レイナーは目の前に積み上げられている皿の量に唖然としていた。その犯人であるフラムとクリス。ものすごい量を次々と平らげていた。大丈夫なのかと思い、聞いて見てもまだまだいけるとのこと。女性として、こんなに食べられるものなのかと思った。そんな状態が続いていると、むくりと起き上がった目の前の青年が開口一番。
「何してんだ??」
「何って私たちは昼食をだな・・・」
「よく食べる騎士さんだ。最近の騎士というのは大食いなのかね」
「なわけあるかあぁァァ!!」
ダンとテーブルを叩きながら反論するレイナー。顔は羞恥で真っ赤だった。そんな2人の犬も食わないようなやり取りを見ながらフラムとクリスはもくもくと食事を勧めていた。
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