二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜
- 日時: 2011/05/16 19:56
- 名前: 山ちゃん♪ (ID: .MlM.eMp)
- 参照: http://twitter.com/MOYASHI_kueyo
はじめまして、山ちゃん♪と申します。
☆初めに・・・
この小説は「東方project」の二次創作小説?的な何かです。
少数ですが、オリジナルキャラが出てきたりします。
それから小説は書くのが今作品が初めてとなります。所々拙い稚拙な表現が出てきますが、仕様です!どんどん指摘していただけたら幸いです。
☆主要登場人物
紅居 きりと(あかい きりと)
今作品の主人公。ひょんなことから幻想郷に神隠しにあってしまう幸運?な高校生。陸上部のエース。種目は投擲(槍投げ)と走り幅跳びで、全国区の実力の持ち主である。
十六夜 咲夜(いざよい さくや)
銀色の髪の瀟洒な紅魔館のメイド長。一癖も二癖もある紅魔館メンバーのお世話をする苦労人。戦闘、家事、掃除、解説等何でもそつなくこなしてしまうまさにパーフェクトメイドである。戦闘では、ナイフ投げと、時を操る能力を駆使して戦う。
レミリア・スカーレット(Remilia Scarlet)
紅魔館の主で、吸血鬼。見た目は小学生というか幼女そのまま。しかし、戦闘ではさすが吸血鬼といったところで凄まじい力を発揮するが・・・
フランドール・スカーレット(Frandle Scarlet)
とある理由で紅魔館の地下深くに幽閉されている、レミリアの妹。こちらも吸血鬼。触れずに対象物を木っ端微塵にすることができる謎の能力を秘めている。
???
序盤に襲ってくる謎の敵。何やらレミリアと因縁があるようだがそれ以外は全く謎に包まれている。
☆作品の内容に関して・・・
今作品はバトルがいくつか発生しますが、重傷を負うと血が流れたり、バトルによっては剣で突き刺されたりします。原作のほうではそういう事は一切ありませんが、そういうのが苦手な方は読まないことをオススメします。少しダークな回もございますので(予定)
☆作品の更新時期について
最低でも1ヶ月に1回は更新する予定です。速い時は1日で更新したりします。
次回更新予定日→5月下旬〜6月上旬
☆紹介ページ最後に一言
ふぅっと・・・・それでは楽しんでいただけたら幸いです。それから忘れてました、URLは何を貼ればいいのかわからなかったのでとりあえずツイッターです。ちょくちょく更新したりしてます。
もうちょっと一言・・・
第3話において原稿が完成して、いざうpするぞーっと思ったら字数制限でひっかりましたwし、知らなかったわけじゃないよ(汗)あえなく前中後と3回に分けて投稿するハメになりましたとさ。
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- Re: 東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜 ( No.2 )
- 日時: 2011/04/21 00:02
- 名前: 山ちゃん♪ (ID: ..71WWcf)
東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜
-第1話-
『きりとぉ〜、早くしなさいよ〜。とろいんだからさぁ』
『へいへい、郷子さんよ〜』
彼の名前は紅居 きりと(あかい きりと)。市内の高校3年生の陸上部のエースである。種目は投擲(槍投げ)と走り幅跳びで、全国区の実力の持ち主である。
『大体よ〜、なんで先輩の俺たちが後片付け&居残り練習しなけりゃならん?』
『しょうがないでしょ?1年は今全員、ハゲノに英語の補習されてるし。2年は修学旅行だし。』
『ああ、萩野先生か。俺英語得意で良かったよ。・・・で、他の3年はみんな帰ったのに、なんでお前は帰らねぇの?』
『わ、私はただ次の大会が最後だから、うんと練習して記録を残したいだけよ。悪い!?』
若干、郷子のほほが紅潮する。
『練習熱心なこって。俺も後幅跳び2〜3本こなしてあがるわ。』
『じゃあ私もきりとと一緒にあがろうっと。』
『へへ、一緒に幅跳びすっか?俺に勝てたらハンバーガーおごってやるよ。負けたらおごれよ。ハンデで20センチやるよ。』
『乗った!!約束だかんね。』
2人はスタートラインにつく。だが、辺りも暗くなってきたし、天候も怪しい。今にも降り出してきそうだった。
『よーいどん!』
2人はほぼ同時に走り出す。
中間地点、徐々にスピードものってきた。きりとは最高のコンディションを感じている。
『日本高校生新記録でるかもな。』
そして、いよいよジャンプ地点。きりとのタイミングは完璧だった。力強く宙に飛ぶ。軽やかに。優雅に。きりとは目を瞑った。
その時、後から追う郷子はあ然とした。きりとの着地点付近に突然巨大なヒビが入り、ぽっかりと穴が開いていたのだ。まるで異次元の空間・・・。このままではきりとが危ない。そんな気がした。
『駄目ーーっ!!きりと、行っちゃ駄目!!』
『へへ、ハンバーガーはもらったな』
きりとは目を瞑って勝利を確信した。そして、着地した。
ドタンッッ!!!
しかし、柔らかい砂のはずの着地点が固い床のような感触だった。きりとは上手く着地できず、無様にもこけてしまう。
『いってぇ〜!!!何がどうなったんだ?』
目を開けると、見慣れた運動場ではなくどこかの洋館にいた。80年代くらいの古い洋館に見えた。辺りはろうそくの明かりしかなく、ほとんど何も見えない。
こつこつこつ・・・・誰かが近づいてくるが、きりとはまだ立てない。
ようやく目に見える明るさの範囲まで近づいてきた。
『あら、あなたは?』
顔を上げると、銀髪のメイドが立っていた。綺麗な白い肌、透き通るような目、すらりとしたルックス、そしてさらさらな髪。そのメイドがかがみこんで顔を覗きこんできた。美しい顔立ちに、きりとはドギマギする。ふわりと髪がなびくといい匂いがきりとの鼻についた。
『あはは〜。俺は間違えてメイド喫茶にでも入っちゃったのかなぁ』
と、さっきまでの痛みは嘘のように意気揚々と立ち上がり、メイドが押してきた台に乗っていたカップを強引に手にとる。
『あ、それは・・・』
『ぶはっ、なにこれ・・・この鉄のような味は?もしかして・・・血じゃないのか?』
きりとが飲んだ(口に含んだ)のは正真正銘の血である。
『ええ、人間の血ですけど?またいれなくちゃね』
メイドはやれやれといった顔で片付けはじめた。
『こ、ここはいったいどこなんだ・・・』
第2話に続く・・・
- Re: 東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜 ( No.3 )
- 日時: 2011/04/28 01:40
- 名前: 山ちゃん♪ (ID: ..71WWcf)
東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜
-第2話-
なぜ俺がこんなところにいるか検討がつかない。いや、それ以前にさっきの血入りのカップも気になる。考えるととたんに寒気がしてきた。とにかく全てが恐ろしい。殺されるかもしれない。さっきの血入りのカップの「血」・・・駄目だ、考えたくもない。とりあえずさっき出会ったメイドについて行ってはいるが、本当のことをいうと一刻も早く逃げ出したい。美人で上品、気品あふれている女性であることはわかる。しかし、よく考えてみるとこの人も人間なのに、なぜ素知らぬ顔で血の入ったカップを運べるのか。それは誰かに飲ませる為に運んでいるのか。もしかして、この人が人間を殺して血を?・・・・無理だ、逃げたい。正確には逃げられない、この表現が正しい。今まで感じたことのない殺気をこのメイドから感じる。変に動けば何をされるかわからない。
『そういえば、自己紹介がまだだったわね。ごめんなさい。私の名前は、十六夜 咲夜(いざよい さくや)。ここ、紅魔館でメイド長をさせて頂いています。』
いきなり話しかけられて、驚いた。咲夜・・・さんか。ずいぶんと変わった名前だな、と思った。
『紅居きりとです。あの・・・咲夜さん!教えてください。なんで俺はこんな気味の悪いところにいるんですか?』
『なんでって言われてもねぇ。あなたは門番の目を盗んで紅魔館に侵入したのでしょう?おおかた、図書館にあるグリモワールあたりを盗みにきた、ってとこかしら?どこの里の人間かしら?送っていってあげるついでに里のリーダーにうんとしかってもらいましょうか。』
『はい?意味がわからないです。俺はただ、学校で走り幅跳びの練習をしてただけで、気がついたらここにいたんです。紅魔館、とおっしゃいましたね?いったいここはどこなんですか?紅魔館なんて名前の建物、聞いたことも見たこともないです。』
俺は、ここを逃げ出す前に出来る限り情報をつかんでおくつもりだ。あとで警察に通報してさっきの怪しい血のカップとかを調べてもらう。ここでちょっとでもこの意味がわからないメイドから情報を掴んでおこう。それが今の俺に出来る唯一の抵抗だ。
『まさか紅魔館を知らないんですか?幻想郷では知らないものはいないはずです。』
幻想郷・・・また聞いたことのない言葉だ。
『あの、ここは幻想郷っていう地名なんですか?』
『・・・。きりとさん、でよろしいかしら?あなた、もしかして外の世界の人ですか?』
『すいませんが、あなたの言っている意味がわかりません。』
『なるほど、これで確信したわ。あなたは外の世界の人なんですね。』
『そうですね。じゃあ、僕はこれで帰ります。さようなら。』
あまりにもメイドの言ってることがわからない。それにメイドが殺気を解いたように感じたので、俺はいちもくさんに前方に見えた出口に走り出す。全速力で。幸い、陸上部では短距離走以外の奴には負けたことがないくらい足は速い。恐る恐る振り返るとメイドははるか後方にいた。
『逃げ切るしかない。捕まったら今度こそ終わりだ。』
俺はとにかく無我夢中で扉に手をかけようとした。
その瞬間!!
『ここは紅魔館の主、レミリア様の寝室です。ご遠慮願えますか?』
咲夜さんが俺の眼前でナイフを構えて俺を制止した。何故だ?あれだけ距離もあいていたのに。いつの間に・・・しかも息一つ切らしていない。おかしすぎる。ここは本当にどこなんだ?咲夜さんの言葉で言うなら、「幻想郷」・・・とんだ神隠しに遭ったな。でも今の芸当は人間には出来ない。もう嫌でも信じるしかない。とりあえず、扉から手を下げると、咲夜さんもニコッと笑ってナイフをしまってくれた。
『あの、すいませんでした。』
『いいのよ、気にしないで。外の世界からいきなり幻想郷に迷い込んだんですもの。無理もないです。さ、とりあえず、あなたは泥棒ではないようですし、客人としてもてなすことにします。それにいろいろ聞きたいこともありますし、ね』
『わかりました。俺にも幻想郷のこと、詳しく聞かせて下さい。』
咲夜さんはまた、ニコッと微笑むと客間に案内してくれた。豪華なソファに大きなシャンデリア、高そうな絵・・・。本来は客が主人公であるはずの客間に完全にお株を奪われたな、と苦笑する。
『今、お茶を入れますから少しお待ちください。』
咲夜さんは客間を出ていった。
『・・・さて、いったい俺はどうなるんだろう。まずは咲夜さんからいろいろ教えてもらわなくっちゃな!』
少し前向きになる。咲夜さんが帰ってくるまでに聞きたいことを整理しておこう。
1、幻想郷ってぶっちゃけどこにあるの?
2、さっき、手品のように一瞬で俺の眼前に現れたけどどうやって?
3、外の世界ってことは、幻想郷は俺は俺の住んでる世界とはまた違う世界、違う次元の世界ということ?
4、そして俺はそこに何かしらの力で迷い込んでしまったということ?
5、さっきの血のカップはいったい何?
ガチャリ・・・
咲夜さんが帰ってきた。2杯分の紅茶を持って。
俺は差し出されたカップを恐る恐る覗き込む。そして安堵の息をもらす。どうやら普通のレモンティーのようだ。
『咲夜さん。あの・・・先俺から質問してもいいですか?』
『いいですよ。』
咲夜さんは、紅茶を飲みながら答えた。
1について
幻想郷は外の世界、つまりあなたの住んでいる世界と場所は同じです。陸続きなんですよ。でも、結界が2重も敷かれていて、明確に分けれています。簡単には来れないはずなんですが・・・
2について
あれは私の能力の一部です。私は「時を操る程度の能力」を持っています。あなたがお嬢様の寝室に手をかける瞬間に時間停止フィールドを張らせていただきました。
3について
そういうことです。博麗大結界と、幻と実体の境界という二つの結界で幻想郷は包まれています。外の世界とは、文化も常識も非常識もまったく違います。さっきの能力ですが、幻想郷に住んでるものは大抵何かしらの能力を持っていることが多いです。
4について
ビンゴです。結界に何か不具合がなければいいのですけど・・・あ、でも結界の管理をする人はちゃんといますから後で話を聞いてみましょう。
5について
実はここ紅魔館の主は、人間ではなくて吸血鬼なのです。それだけでもう説明は不要ですよね?
なるほど、だいたいこの世界のことがわかった気がする。ただ、一つ言えることがある。俺は果たしてここから無事に外の世界に帰ることができるのだろうか?
『じゃあ、次は私の番ですね』
カップを机に置き、咲夜さんはニコリと笑う・・・
第3話に続く・・・
- Re: 東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜 ( No.4 )
- 日時: 2011/05/16 19:42
- 名前: 山ちゃん♪ (ID: .MlM.eMp)
東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜
-第3話-前編
『まず、どういう経緯でここにとんで来たのか詳しく教えて頂戴。』
咲夜さんはカップを机に置き、淡々と聞いてきた。俺は少しでも咲夜さんに現状を理解してもらおうと、こと細かく説明した。ただ、幻想郷入りした瞬間のことはわからない。なぜなら、ジャンプしてから着地するまでのあいだ、俺は目をつぶっていたからだ・・・。その瞬間を確実に目撃した人物は多分1人しかいないだろう。だが、郷子は外の世界にいるので話を聞けない。
『なるほどね。わかりました。明日にでも手がかりが掴めそうな人物をあたってみましょう。あぁ、人ではないですね、妖怪です。』
ん?妖怪??ぬらりひょんとかだいだらぼっちとかか?幻想郷にはそんな怪物もいるのかよ。でも、素な顔をして答える咲夜さんを見てとりあえず安心しておくことにする。いちいち心配してたらもう頭がおかしくなる。
『それで、あなたのこれからの処遇のことですけど・・・』
外を見るともう真っ暗だ。いまここを追い出されると本当にやばい。今、俺の現状を理解してくれてる人は咲夜さんしかいない。なんとしても今晩はここに泊めてもらうしかない。さっきまでは逃げ出したくてたまらなかったのに今度は居座りたくてたまらない。多分、俺の理解者が出来たからだろう。とにかくお願いしてみよう。
『あの、本当に勝手なことばかりですいません。今晩、紅魔館に泊めてもらえませんか?俺には今はここしかないんです。迷惑はかけません。本当におねがいします。』
まさに藁をも掴む思いだった。
『ええ、私もそのつもりですが、お嬢様の許可が得られないと私の一存では決められません。もうすぐ起きる時間なので私から取り計らって見みましょう。おそらく、許可はくれるでしょう。あなたに会いたがると思いますけどね。外の世界の質問攻めに耐え切れるかしらね。』
ふふふ、と咲夜さんが笑った。俺も、安堵の息で締めくくった。なんだか急に力が抜けてきた。だが、そうやすやすと事は運ばなかった・・・
ゴゴゴゴゴォォォーーーーー!!!
突然、紅魔館が地震に襲われたのだ!豪華なシャンデリアが落ちてくる。俺の真上にあったシャンデリアだ。もちろん、脳天直下コース!俺は鍛え上げられた瞬発力でかわそうとしたが、間に合わない!死・・・こんなとこで俺はあっけなく死ぬのかよ・・・郷子・・・。俺は目をつぶった。
『さぁ、早くこちらへ。』
・・・??痛くないぞ?あれ、シャンデリアは?俺は恐る恐る上を見た。シャンデリアは宙に浮かんでいたのだ。いや、宙で止まっていた。俺の目と鼻の先で。そうか、これが咲夜さんの能力なのか。俺は理解して颯爽とその死地を抜ける。本当に便利な能力だな。
幸い、すぐに地震はやんだ。が、またおかしなことが起こる。
『きゃああぁぁぁあああぁあ・・・・・・・』
誰かの悲鳴が聞こえた。さっきの地震で誰か下敷きになったのだろうか。とにかく早く助け出さなければ。
『今の声・・・・お嬢様だわ!すぐにいかなくちゃ!!』
咲夜さんから余裕の表情が消えた。確かに主が一大事とあれば、放っておけないだろう。
『俺も行きます。手伝わさせてください。』
『あなたはここで待っていて頂戴。そのほうが安全だわ。』
彼女は目で語る。くるな、とそう言っているのだ。
『わかりました。・・・この部屋、片付けときます。』
『ええ、お願いします。』
咲夜さんは、ニコッと作り笑いをして、早急にこの部屋を去った。
- Re: 東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜 ( No.5 )
- 日時: 2011/05/16 19:49
- 名前: 山ちゃん♪ (ID: .MlM.eMp)
東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜
-第3話-中編
咲夜は走る。主である、レミリアの寝室へ。そして、扉に手をかけるが、一応ノックをする。それから声を出す。
『お嬢様?どうかされました?入りますよ?』
返事は・・・ない。おかしい。いつも起こしに行く時は、返事がないのだが(寝坊です)、さっきのあの悲鳴・・・どうにも嫌な予感がする。
『入りますよ。お嬢様どうかされたのですか?お嬢様の悲鳴が聞こえたのですが・・・』
レミリアの姿を確認する。ベッドから落ちたのだろうか?床で寝ていた。咲夜はとりあえず近づいて安否を確認する。
『お嬢様??そんなとこで寝ていてはお体に触りますよ?それに、今は夜なのに何故いつまでも寝ているのですか?』
ここまではいつもの風景だった。実際、ベッドから落ちて床で寝ていることはよくある。しかし、今回は様子が違った。レミリアの服はぼろぼろになり、所々血がついている。息はかすかだがしているが、とても危険な状態であることに違いはない。
『さ、咲・・・夜・・・。』
レミリアは気を失った。
『お嬢様、お嬢様ーー!!いったいこれは・・・どうされたのですか!?』
咲夜は慌てふためく。部屋の異常な痛み具合からすると、何者かに襲撃されたに違いない。しかし、まずはレミリアの安否が心配だった。咲夜はすぐにありったけの他の妖精メイドを呼んだ。出来る限りの手当てをする。
吸血鬼・・・そう、レミリアは人間ではなく、吸血鬼である。体の作りも人間とはまったく違う。日に弱いとか、水を渡れないとか弱点はあるがとても頑丈である。人間とは比にならない。そして、もうすでに傷の再生が始まっている。目に見えてわかるくらいのスピードで。
『これ以上の手当ては入らないかもね』
咲夜は安心する。吸血鬼のすごさは本当に目を見張るものがある。が、今回はその吸血鬼であるお嬢様が負けたのだ。いったいどんな相手だったのだろうか。ここまでお嬢様を痛めつけられる相手なんてそうそうこの幻想郷にはいないはずである。
『まず、お嬢様の回復を待ちましょうか。明日には元気になっているでしょう。』
とりあえずこの部屋では寝られないので、不本意ではあるが客間で看病するしかなかった。空き部屋が他にないのだ。咲夜の部屋は先ほどの地震でぐちゃぐちゃになっていた。
『あとは私にまかせて、あなたたちももう眠りなさい。大丈夫、お嬢様は私がしっかり看病します。ただし、部屋の鍵はしっかりと閉めておいてください。また敵が来るかもしれません。それから美鈴に当直をお願いしておいてください。』
いったん、メイド達を解散させる。さっきの人間はまだ説明していないし、変な誤解を生むかもしれない。そう思ったからだ。
咲夜は傷ついたレミリアを抱え、きりとのいる客間に戻る。
『あ、咲夜さん、お帰りなさい。部屋、ばっちり片付けていきましたから。』
きりとは、自信ありげにいう。
『ありがとう。助かったわ。』
咲夜さんは、あたりチラッと見渡しベッドに駆け寄る。背中には、こうもりの羽ようなものが生えた傷だらけの女の子がいた。気を失っているようだ。さっきから一言も喋らない。年から言うといくつくらいだろう。小学生くらいかな。きりとはいろいろと妄想する。
『咲夜さん、その女の子は誰ですか?』
『・・・・。』
咲夜さんは言いづらそうに重い口をひらく。
『この方こそ紅魔館の主、レミリア・スカーレット様です。』
俺は言葉を失う。早速、主とご対面だ。包帯でぐるぐる巻きにされているのであまりよく姿、形が見えないが第一印象は、幼い。いったい何歳だよ、紅魔館の主は。こんな幼女に咲夜さんは仕えているのか?
『先ほど何者かに襲撃されたみたいで、その時にやられたのでしょう。命に別状はありませんが、今晩は絶対安静です。あなたの処遇の件ですが、お嬢様がこうなった以上、私が許可します。今日はゆっくりと休んでください。私は、ここで今晩お嬢様を看病します。』
さっきの地震はそのときのだったのか。俺は理解した。とりあえず、今日はいろいろあった。ベッドには幼女が寝ているので、ソファで横になる。
仕方なしとは言え、この部屋で男女がいきなり一緒に寝るのか、と思うと鼻の下が急に伸びた。咲夜さんは本当に美人である。一生懸命に主を看病する横顔をちらっとみたのだが、本当に綺麗だ。
『俺も咲夜さんみたいな彼女ができたらなぁ〜。』
急に郷子のしかめっ面が思い浮かぶ。郷子は彼女ではないが、いい友達である。正直、告白されたら付き合うかも知れない。郷子よ、ごめん。そんな感情は今吹っ飛んだ。
異世界に迷い込み、いきなり知り合った子がメイドでしかも超美人である。こんなありえない状況なのに逆にきりとは、わくわくしている。男って意外と単純だなと苦笑する。もう帰れなかったら、いっそ執事にでも志願しようかな。きりとは、それから深い眠りについた・・・
- Re: 東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/05/16 19:50
- 名前: 山ちゃん♪ (ID: .MlM.eMp)
東方紅魔郷〜紅魔館の逆襲〜
-第3話-後編
〜翌朝・・・
どすっ!!!
いきなりきりとの腹に何かが落ちてきた衝撃で目を覚ます。
『ずいぶんと悪い目覚めだな・・・。ん??君は?』
首だけ起こして、目を腹にやると、そこには昨日の幼女がいた。包帯はとれ、傷も治り、背中の小さな羽を一生懸命ばたつかせている。
『えっと・・・確か紅魔館の主の・・・』
度忘れした。
『・・・れみりあ。』
幼女があどけない表情で答える。
そうそう確かそんな名前だった。目もさっぱりしてきて、もう一度首だけ起こしてじっくり見てみる。淡い紺色の髪。よく見ると、少しうウェーブがかかっている。背中には小さな羽根が2枚。あかい瞳が印象的であった。年は10才前後といったところか?
しかし、なぜ俺の腹の上にいるのだ?咲夜さんはどこに行ったのだろう。あたりを見渡すと、咲夜さんはベッドの横の椅子に座ったまま寝ていた。昨日一晩中看病していたのだろう。もう少し寝かせてあげようと思ったので、俺もまた一眠りする。が、幼女が腹の上で暴れるせいで眠れない!!
『こら、レミリア!人の腹の上で遊ぶな!』
軽く叱り付ける。紅魔館の主だということも度忘れしていた。が、すぐに思い出す。
幼女は、一瞬ビクッとなり俺から離れる。がまた近寄ってくる。十分目が醒めた俺はとりあえず起き上がり、話しかける。
『すいません、寝起きなもんで。あの、紅魔館の主人のレミリア様ですよね?ちょっとわけあって泊まらせてもらったんですが・・・あ、咲夜さんの許可はちゃんととってますから』
俺がそう言ってる間、レミリア様は?の表情である。
本当にこんな幼女がこんな大きな館の主なのか?俺にはわからない。
『う・・・ん・・・』
咲夜さんが目覚めた。助かった。正直どうしていいかわからなかったし。
幼女は今度は咲夜さんのところにうれしそうに駆け寄る。
『お嬢様、きりとさん、おはようございます。お嬢様、お体のほうは大丈夫ですか?』
『うん。元気だよー。』
幼女は小さな羽をバタつかせて飛び跳ねている。
『!!!その羽・・・まさか・・・とりあえずパチュリー様に見てもらいましょう。』
・・・第4話に続く!
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