二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
- 日時: 2013/04/28 20:26
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。
同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。
作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。
以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。
■取り扱い
【オトメイト】
◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-
【ジャンプ】
◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス
【Gファンタジー】
◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡
【LaLa】
◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事
【その他】
◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物
■お客様
◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様
■いちまんきかく
10000hit Thanks >>208
◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳
参照が10000を超えたので、そのお礼です。
忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。
■更新履歴
<緋色の欠片>
【その声に。/祐一×珠紀】 >>1
【二人の彼】 >>34 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146 【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158
【守りたい人/慎司×珠紀】
ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203
<蒼黒の楔>
【花火】 >>13 【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46 【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71 【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79 【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102 【灰色ノ空/遼の頁】 >>153
<ヒイロノカケラ>
【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39
<薄桜鬼>
【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6 【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111
<ワンドオブフォーチュン>
【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47
<夏空のモノローグ>
【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
<神なる君と>
【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->
【堕ちる瞬間】 >>156
<家庭教師ヒットマンREBОRN!>
【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211
<黒子のバスケ>
【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59
<めだかボックス>
【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177
<君と僕。>
【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57 【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152
<Pandora Hearts>
【終わりに重ねる掌】 >>131
<キューティクル探偵因幡>
【その声をどうか。/圭&遥】 >>27 【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213
<蛍火の杜へ>
【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
<ヴァンパイア騎士>
【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105 【黒ノ独白/零×優姫】 >>121 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136 【虚像/枢×優姫】 >>160
<FINAL FANTASY>
【架かる虹の麓へ】 >>124
<カゲロウプロジェクト>
【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199 【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209 【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222 【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224
◇しりーず
シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。
【朝に見る。】 >>223
<終焉ノ栞プロジェクト>
◇しりーず
【0と1のラブレター/A弥】 >>225 【届くことのないさよならを/C太】 >>226
【君が0になる前に/A弥】 >>231
<ボーカロイド>
【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2 【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3 【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8 【月光と黒/KAITО】>>10
【鬼と娘/KAITО】 >>14 【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15 【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45 【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63 【夢と葉桜/初音ミク】 >>125 【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163 【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164
<Sentimental Circus>
【いつかの温もり】 >>50 【幸福論】 >>166
<創作>
【微睡み/Short Story】 >>4 【譬えばそれを。】 >>18 【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42 【二度はないから】 >>51 【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56 【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64 【懺悔と後悔】 >>65 【謝罪と切望】 >>66 【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72 【光と闇の狂想曲】 >>78 【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140 【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145 【永遠の空白】 >>157 【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171 【color】 >>191 【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202
<そーさく。>
【出鱈目セレクション】 >>204 【感情制御。】 >>207 【この思いが届くなら。】 >>210
■もう戻れないあの日々を、どうか。
01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18
■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い
01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら
■君におくる。
01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219
自分で勝手につくりました。
途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。
もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212
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- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.208 )
- 日時: 2012/12/29 21:05
- 名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
- 参照: 10000hit Thanks
いつもお世話になっています。雲雀です。
参照が10000を超えたということで、そのお礼を言うために、この場を設けさせていただきました。
本当は500超えたらとか、1000超えたらとか、色々考えていたのですが、書きたいときに書くという意味のわからない性格のため、ずっと先延ばしにしていました。
というか、きっと参照が1000になる頃には、もう書きたいものも書き終えて、ここを終わらせているだろうなとか、ふざけたことを考えていました御免なさい。
全然終わりませんでした。
そして今回、10000を超えまして、さすがに何か書きたいと思いました。
それで、お礼に何か書きたいのですが、漠然と考えると何も浮かんでこなくてですね。はい、御免なさい。
皆さまにリクエストをいただけたらと思います。
来ない確率が100%なのですが、無駄な足掻きだとしても、待っております。
普通に、この漫画のこの人達でなんか書いて!って言ってくれたら書きます。取り扱いにないものでもOKです。
シチュエーションとか、この台詞をいれてほしいとか、そういうのがあったら、それも書いておいていただけたら、かならずそれを取り入れて書くようにします。
【カゲロウプロジェクト/メカクシ団/シンタローが風邪をひいて皆でお見舞いする】
こんな感じで書いていただければ……箇条書きでも構いません。
よろしくお願いします。
最早、忘れ去られたかとは思いますが、素海龍様と苗字様のも、これに加えて書こうと思っています。
遅くて本当にすみません。
長くなりましたが、この度は本当にありがとうございました。
そして、最初の頃から何一つ成長していない文章で本当に御免なさい。
でも、コメントを残してくれた皆さまや、読んでくださっている皆さまのおかげで、今もこうして書き続けることができています。
本当に、ありがとうございます。
最後にお知らせとして、>>0の最後にあるお題の全ての空白が埋まったら、このスレを閉めようと思っています。
とは言っても、かなり時間がかかって明後年の今頃にも終わってないかもしれませんが←
とりあえず、そう思っています。
果たしてその最終地点まで自分が辿りつけるのかは分かりませんが、頑張っていこうと思っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
これからも、よろしくお願いします。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.209 )
- 日時: 2012/12/29 21:04
- 名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
- 参照: どんなに願っても、変わらない。酷く、残酷だけれど。
【それでも、世界。】
いつから見つめていたのかは、わからない。
ずっと、終わらない夏の夢を見ていたコノハは、何を思ったのか、それとも、疲れ果ててしまったのか。
青空が広がる、けれど、モノトーンの世界しか見えない少年のことを見つめていた。
もっと細かく言うならば、その少年の心を、見ようとしていた。
少年は自分を救ってくれた少女をなくし、その取り返しのつかない悲しみを、いつも、屋上でひとり、自分に染み込ませているようだった。
いくら悲しんでも、物語の結末は変わらない。
それでも、少年はそれをやめなかった。
まるで彼は、少女のことを忘れまいともがいているようだった。
本当は、苦しくて、寂しくて、今すぐにでも忘れてしまいたいと思っているだろうに。
「なん、で……」
屋上のフェンスに凭れながら、ずっと彼を見ていた。
その日、『今まで』と違う行動をとった彼は、涙を流しながら。
「また会いたい……」
そう、呟いた。
その言葉に、心を抉られるような痛みを覚えた。そして、そんな自分に、驚いた。
今まで自分は、何度もコノハの邪魔をして、終わらない夏の世界を造りあげてきた。
寧ろ自分は、悲劇を嘲笑うものとして、生まれてきたはずなのに。
そして、もっとに驚いたのは。
「僕が君の願いを叶えられたらよかったのにね」
そう言って、コノハが彼の頭を撫でたこと。
コノハはここには存在していない。
あくまでこの世界は、コノハの夢で、もう取り返しのつかない、過去のことで、だから、あの少年に言葉など届くはずないのに。
「ごめんね」
呟いて、少年を後ろから抱きしめた。
ゆらゆらと揺れる透ける身体が、酷く滑稽にうつる。
「あ、やの……」
少年の口から漏れた声に、コノハは顔を歪めて、また。
「ごめん……」
震える声とともに、少年のことを強く抱きしめた。
あんな行為に、意味などないのに。
あの少年には、何一つ、届かないのに。
それなのに、こんなにも嫉妬している自分がいる。
もしも、あそこにいれたのが、自分だったなら。
もしも、その悲しみを受け入れる人間として、自分が生まれていたならば。
自分が、『クロハ』ではなく、『コノハ』だったなら。
自分は、悲劇をつくる人間ではなく、悲劇を受け入れる人間になれていたかもしれない。
悲劇を————覆す人間になれていたかもしれない。
少年が、何かに気付いたように目を見開いた。
その視線の先には、一匹の折り鶴。
また一筋。少年の頬を、涙が伝った。
少年は、何も言わなかった。
ただ、叫びたい心を覆い隠すかのように顔を歪めたあと、目を細めて、一言。
「ありがとう……」
その言葉に、コノハは抱きしめていた少年の身体をゆっくりと離した。
きっと、もう必要ないと思ったのだろう。
愛おしげに彼を見つめた後、ゆっくりと、目を閉じた。
そのとき、本当に、そのときだけ。
コノハになれたらと、そう思った。
どこまでも広がる青い空。
悲しいまでに彼女を思う、彼。
(きっと俺は、)
(そんな彼を。)
■後書き
そんな彼の心を、愛おしいと思ったのだろう。
【あの日、いつか。】の続き。
というよりは、クロハから見たお話……なんですかね。
コノハにコンプレックスを感じるクロハが書きたかっただけです。
そして、コノハが見ているなら、クロハも見ているに違いないと←
原作が好きな方、本当に申し訳ありません。捏造が半端ないですね。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.210 )
- 日時: 2013/01/01 14:54
- 名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
【この思いが届くなら。】
「飛鳥!」
優しい声が、自分を呼んだ。
振り返れば、その声に違わない優しい笑顔と、目。
ふわり、と、頭に何かをのせられる。
不快には感じない。でも、いったいなんだろう。
気になって、その何かに手をのばす。
それはとても柔らかくて、人工のものではないことがわかった。
「よく似合ってるよ。飛鳥」
「これは……?」
疑問をそのまま口に出せば、その人は軽く笑って、
「花冠」
と、答えた。
「花……?花でつくるの……?」
また質問を重なれば、そうだよ。と、優しい笑顔のまま、その人は頷いた。
「私もつくれる……?」
そう聞けば、その人は目を見開いたあと、勿論。と、また笑った。
その笑顔が嬉しくて、気づけば、自分もつられて笑っていた。
——思い出の中のあの人は、いつも優しい笑顔で笑っていた。
施設の中で本ばかり読んでいた私を、いつも外に連れ出しては、一緒に花を見たり、鳥の声を聞いたり。
その人は私に、世界には色があることを教えてくれた。
嬉しかった。いつも、とても優しくて、あたたかくて、両親はいなくなってしまったけれど、この人さえいればいいって、そう思っていた。
——その人は会うたびに、どんどん弱っていっているように見えた。
背こそ高かったものの、身体はやせ細り、いたるところに傷らしきものが見えた。
心配になって、どうしたの。と聞いてみても、その人はいつもの笑顔で、なんでもないよ。と、笑うだけだった。
「飛鳥」
いつもの声で名前を呼ばれ、何。と返す。
その人は目を細めると、静かに私の頭を撫でた。
「きっと俺がいなくなっても、世界は何一つ変わらないけれど。でも、飛鳥は違うんだよ」
そう言って、頭を撫でた手で、優しく私を抱きしめた。
何を言っているのか、全くわからない。
いなく、なる。誰が?あなたが?どうして?
「飛鳥はね、俺の世界そのものなんだ」
耳元で聞こえる声が、酷く優しくて、それでいて、冷たくて。
抱きしめられてわかったのは、その人の身体は、何故立っていられるのかわからないほど痩せこけていて、傷だらけだったことだけ。
「大好きだよ。俺の……世界でたった一人の妹……」
口から、声が漏れた。
それは、大好きな双子の兄の名前。
「い、おり」
それが、その人を見た最後の日。
後で知ったのは、その施設がただの孤児院ではなかったこと。
兄が、いくつものリスクを背負って、私に会いにきてくれていたこと。
兄が——自分を犠牲にしてまで、私を守ってくれていたこと。
その兄は、施設でも最高ランクのリスクを伴う【LPS】を受諾し、その後、消息不明になった。
死亡リストにはのっていない。ただ、もう私の目の前には、いないけれど。
——よかった、のに。
私なんて、守らなくて、よかったのに。
ただ、傍にいてさえくれれば、それでよかったのに。
「伊織……」
ただ、傍にいてほしかっただけなのに。
(あなたの犠牲の上に成り立っていた幸せは、)
(今、こんなにも私を苦しめる。)
■後書き
大好きだった、その笑顔。
あけましておめでとうございます。喪中なので年賀状がもらえない雲雀です。
【感情制御。】と繋がりのあるお話です。
もういっそ、長編で書こうかなと悩んでいます。というか書きたい←
今年もよろしくお願いします。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.211 )
- 日時: 2013/01/01 17:09
- 名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
【くるくるまわる。/ヴァリアー】
校長/ザンザス
教師(数学)/スクアーロ
生徒/ベルフェゴール
生徒/マーモン
生徒/レヴィ
教師(家庭科)/ルッスーリア
生徒/フラン
<変わらない朝。>
「おいこらベルぅぅぅぅぅうううううう!」
この世のものとは思えない声が、朝の学校に響き渡る。
呼ばれた本人はといえば、なんでもないような顔をして、馬鹿でかい声の主を一瞥した。
「なんだようっせーな。血圧上がんぞ、ロン毛教師」
「誰がロン毛だぁぁぁああああ!つーか、テメーはいったいいつになったらまともな制服を着てくるんだぁぁぁぁあああああああ!」
「はぁ?誰があんなだっさいの着るかボーケ」
ベルの制服はというと、いつものボーターのTシャツに、最早、原型を失いつつあるブレザー。
校則違反かどうかと問われれば、間違いなく校則違反である。
「う゛お゛ぉぉおおおい!テメーは一回三枚におろす必要がありそうだなクソガキぃぃぃぃいいいいい!」
「ししっ、望むところだよおっさん」
こうして、いつも通りの朝は始まる。
<おまけ>
「からまれたら面倒だから、裏門通っていこーっと」
あんなのに巻き込まれるなんて、冗談じゃない。
そっと、歩く方向を変えるフランがいた、午前8時12分。
<間違えたら。>
「う゛お゛ぉぉぉおおおおい!間違えたらわかってんだろーなクソガキどもぉぉぉぉぉおおおおおお!」
朝のこともあり、かなり気が立っているスクアーロ。
対抗するすべをもたない生徒たちは、ただ頷くことしかできない。
「おいこらフラン何寝てんだてめぇぇぇぇええええええ!」
「いやー、寝たらこの五月蝿い声から解放されるかなーと」
「なんだとてめぇぇぇえええええ!つーかなんでテメーも校内でカエルなんて被ってんだよおらこの問題とけぇぇえぇえええええ!」
壊れるんじゃないか、というくらいの勢いでスクアーロが教卓を叩く。
案の定、ひびが入っているのが見えた。
フランは面倒くさそうに立ち上がったあと、また座った。
「黒板に行くまでが面倒なんでー、ベル先輩にパスしま」
「ふざけんなクソガエル」
「げろっ」
鈍い音とともに、フランの頭に、というよりはカエルの被りものにベルの投げたナイフが突き刺さった。
無機質な声を上げながら、フランはベルを睨む。
「痛いじゃないですかー」
「あぁ?お前がふざけたこと言うからだろカエル」
「ミーはカエルじゃありませーん」
グダグダと始まる二人の会話に、生徒は授業の崩壊を感じた。
「おいこらクソガキどもぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!」
他の誰でもない。数学担当の教師、スクアーロ教諭によっての。
<おまけ>
「お金にならない授業なんて、受ける価値ないね」
早々に幻術で行方をくらましたマーモンと、
「ボス……!」
今日も敬愛するボスのため、ただひたすらに与えられた問題をやるレヴィがいた。
そんな授業終了5分前。
<込めるもの。>
「はーい!皆、今日はカップケーキをつくるわよー!」
この人のこの口調は、いったいなんなんだろう。
誰も突っ込めないまま、もう2ヶ月が経った。
ルッスーリアによる家庭科の授業、今回は調理実習で、どうやらカップケーキをつくるらしい。
「いい?美味しいか美味しくないかなんて、どうでもいいの。重要なのは、愛を込めることなのよ!」
毎回思うが、何故この人は教師になれたんだろう。
是非一度、教育委員会に問い合せてみたい。
突っ込むことすら面倒なので、はーい。と適当に返事をしてから、作業にとりかかる。
開始から10分。フランがふと思いついたようにルッスーリアを呼んだ。
「ルッスせんぱーい」
「先生、でしょ!で、どうしたの?何か分からないことでもあった?」
「いやー、ルッス先輩が愛を込めろっていうんでー、ミーもベル先輩への愛を込めようと思って毒いれたんですけどー、別にいいですよねー?」
「いいわけねーだろクソガエル!」
「げろっ」
いつかのときと同じように、カエルの被りものにナイフが突き刺さる。
調理実習って血で血を洗うような戦いのことを言うんだっけ?と心のどこかでそう思いながら、フランは立ち上がった。
「痛いじゃないですかー。ベルせんぱーい」
「毒入れた奴が言う台詞かよ!」
「ボスに……ボスに渡そうと……!」
「ちょっと!込めていいのは愛だけ!喧嘩は駄目よー!」
なんともカオスな状況になった、午前10時18分。
<校長先生のお話。>
「では、校長先生のお話です」
どの学校でも、校長先生の話は長いと嫌がられるものだ。
しかし、この学校ではそんな常識さえ通用しないらしく。
「ドカスが、」
そう言って生徒を一瞥したあと、ザンザスは振り返りもせず、暗幕の向こうに消えた。
「この集会、意味なくね?」
「もう家帰りたいですー」
「ボス……!」
「黙りやがれこのクソガキどもがぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!」
こうして終わる、毎月第一月曜日の朝の集会、午前8時40分。
■後書き
素海龍様からいただいたリクエストです。
特に指定はなかったので、学校に行かせました御免なさい。
そして、遅くなって大変申し訳ありませんでした。
最早、覚えておられないとは思いますが、ここにのせておきます。
リクエスト、ありがとうございました。
最後に、本当に御免なさい。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.212 )
- 日時: 2013/01/03 20:08
- 名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
■もう戻れないあの日々を、どうか。
01/あなたの傍にいられるだけで幸せ、それ以上は願わないから。
この思いが届くなら。 >>210
02/口づけだけで満たされる想い、こんなにも焦がれていた。
二度と帰れない場所 >>126
03/幸せになろうね、そう誓ったのはいつの日か。
記憶に残る花はあまりにも鮮やかで >>81 >>82
04/どうかあなただけはそのままで、それがたったひとつの願いだから。
ただあなたの幸せを。 >>105
05/あなたと過ごした日々、あたたかかったあの日々を、私はきっと明日も忘れない。
いつまでも。 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり、恋だと自覚する。
気づいてしまった。 >>68
07/追憶、思い出すのはあなたのことばかり。
それはもう過去のこと。 >>67
08/傍にいて、どうかこのまま。
その言葉に救われる。 >>57
09/大切すぎて、伝えることができなかった。
触れた指先 >>73
10/ずっと傍にいたから、離れていったぬくもりが切なくて。
譬えばそれを。 >>18
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