二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

怪盗クイーンはまほらに降り立つ
日時: 2011/12/25 21:48
名前: パク男 (ID: vWi0Ksv5)

 「クイーン、大変です。謎の渦が直前に迫っています。」 トルバドュ−ルを管理する人工知能、RDがいう。 「クイーン、あなたは聞いているんですか?」 いつも道理の無表情な顔の後ろにあふれんばかりの殺気をまといながら、ジョーカーが言い放つ。 二人?の注意を「わくわくするね。」の一言で吹き飛ばす、怪盗クイーン。  ここは超巨大飛行船『トルバドュール。 怪盗クイーンは、怪盗の美学を満足させるえものを求めて航行している。 謎の渦が現れたのは、つい数時間前のことだった。とつぜん真っ黒な渦が現れたのだ。 それは、この飛行船を飲み込むに十分な大きさだった。  「クイーン、まずいです。制御できません。」 RDの慌てた声も、クイーンの耳には届かない。それどころか、インディージョーンズの主題歌まで鼻歌で歌い始め、ゆうゆうと、猫の蚤取りをしている。 「クイーン、まずいです。」ジョーカーが叫ぶ。 「二人とも落ち着きたまえ。目の前に未知の謎が待ち構えているのに見過ごしたりしたら、怪盗クイーンの名折れだよ。」 クイーンは静かにいった。 「この期に及んで」ぼそっといったジョーカーだったが、それ以上は何も言わなかった。 「さあいこう、新世界へ。」 クイーンの声が合図になったかのように、トルバドュールは黒い渦に消えた。                   

Page:1 2



Re: 怪盗クイーンはまほらに降り立つ ( No.2 )
日時: 2011/12/22 21:38
名前: パク男 (ID: vWi0Ksv5)

 sideナギ  よーし、いっちょあがり。帝国兵なんてちょろいもんさ。 「もうおわりか、ものたりねえな。」 ジャックもいっている。 おれは千の呪文の男ナギスプリングフィールド。最強の男さ。  そんなときだった。前方に奴らをとらえたのは。 一人はやせて背の高い男、全く無駄のない動きから、体が鋼の筋肉で覆われているのが、よくわかる。もう一人の方は、性別さえ分からない。神が特別に作ったような美形が、蜃気楼のように動き回っている。 二人を強調しているのは、速さだ。 帝国兵、連合兵に囲まれていながら、風のように動き、一瞬で蹴散らしてしまった。 一人も殺さず。 あいつできるな。俺は直感でそう感じた。 強いやつとはやり合うしかねえ。おれはそいつらに向かって歩き出した。          sideクイーン   「私にも、特殊能力はあるのかな?」 クイーンがのんきにいった。 「特殊能力? どんなものです?」 こういうことに興味のなかったジョーカーが聞く。「そうだね。 読心術、居合い砲、遠当て、剣術、そして魔法等実に様々だよ。」クイーンは答えた。すると、自分は魔法を使えるのか不思議になった。「よーし、やってみよう。」 何のことか分からず、困惑しているジョーカーを放置し、クイーンは詠唱を始めた。 「プラクテビギナルアールデスカット。」 その瞬間クイーンの身につけていた指輪から、火柱があがった。 あまりの出来事に、普段冷静なジョーカーも口をあんぐりと開けている。一方クイーンは、魔法が成功し、キャーキャーいっている。  それから十分後、ようやく話は進みだす。 「ジョーカー君、きみもやってみたらどうかな。」 クイーンがいう。 その声には、自分は一回でできたもんねー、という感情がこもっている。 ジョーカーはクイーンにいわれるがままに、詠唱をしてみた。 しかし何もおこらなかった。 「私には魔力がないみたいですね。でも、なにか体に新たな力を感じるのですが。」 「それは、気じゃないかな。 ちょっと手に力を込めてみて。」 ばちっ、大きな音を立て、黄色いようなオーラが、ジョーカーの拳を覆った。

Re: 怪盗クイーンはまほらに降り立つ ( No.3 )
日時: 2011/12/23 10:24
名前: パク男 (ID: vWi0Ksv5)

 「わっ、何ですかこれは?」ジョーカーが尋ねた。 「それが気だよ。魔法が外部の力を利用して放つのに対して、気は自分の体内に眠る力を利用するんだ。 君は膨大な量の気を持っているみたいだから、拳闘士に成れば良いと思うよ。」  それから一時間、二人は猛練習をした。その結果、クイーンは闇、光、炎、水、草、土、雷の射手をすべて無詠唱で、300本までうてるようになった。しかし、大技を唱えても、魔法が完成することはなかった。 「大技を使うには向いていない体質なのかな?」クイーンがいう。 でも、魔法の射手さえあればたたかえると感じていた。 ジョーカーは気を使う技を繰り返し練習した。 感卦法、瞬動等も使えるようになった。 「さて、じゃあそろそろ出発するか。」 クイーンとジョーカーの旅は始まったばかりだ。       歩き出してすぐ、兵に出会った。 「怪しい奴らめ、ちょっとこい。」といわれたが、クイーン達の敵ではなかった。 魔法、気を使わずに、2秒で5人の兵を全て倒してしまった。 「奥の手は最後まで隠しておくものだよ。」 クイーンの忠告に、ジョーカーはあきれながらもうなずいた。 そのときだった。紅い髪をした青年がクイーン達に近づいてきた。 後ろには、仲間であろう剣士や、魔法使い、戦士等が見える。 「ジョーカー君、気をつけたまえ。彼ら強いよ。」 珍しく深刻な顔で、クイーンがいうと『わかっています』というように、ジョーカーがうなずいた。   「おい、俺はナギスプリングフィールド、おまえら、俺と勝負しろ。」  「我が名は怪盗クイーン、その勝負受けて立とうじゃないか。」  こうしてクイーン対ナギの試合が始まった。   千の雷が大地を揺るがすと、無数の矢が無詠唱で飛んでくる、壮絶な戦いとなった。 クイーンが風のように間合いをつめ、天真流を使うと、ナギのローブが引き裂かれた。そして次の瞬間、クイーンの手が、ナギののどに当てられた。 こうしてナギとクイーンの戦いは幕を閉じた。 「お前、紅き翼にはいらねえか?」 その直後ナギがクイーンに声をかけた。「何だいそれは?」クイーンは聞き返す。 「俺たちのグループ名さ、戦争を速く終わらせる為に戦っているんだ。」  「別に入っても良いよ。戦争を速く終わらしたいのは同感だしね、ジョーカー君。」 「私は別にかまいませんが」 こうしてクイーン達も、紅き翼の一員となった。

Re: 怪盗クイーンはまほらに降り立つ ( No.4 )
日時: 2011/12/25 22:11
名前: パク男 (ID: vWi0Ksv5)

 「そういえば、あなたはどれくらい強いんですか?ジョーカー。」 アルビレオがジョーカーにいった。「別に、私は一般人ですよ。」 面倒なことに巻き込まれないように逃げようと努力する。 だが「お手合わせ願います。」というアルビレオの言葉に粉砕されてしまった。    「さあ、始めましょうか。」此処はとある山奥、ジョーカーとアルビレオの戦いを見ようと、紅き翼は全員集合している。 アルビレオの言葉で戦闘が始まった。 いきなり大きな重力球が、ジョーカーを襲った。 それに対してジョーカーは、感卦法で防ごうとする。 「ガトウ以上の密度ですね。」 アルビレオがいう。 そしてさらに大きな重力球を作り出す。 と、その瞬間ジョーカーが瞬動を使った。一気に間合いをつめアルビレオに襲いかかる。 しかし、次の瞬間にはアルビレオがジョーカーの首筋をつかんでいた。 一瞬強大な重力をかけ、ジョーカーの動きを止めたのだ。 そしてにやりと笑うと「あなたの力はこんな物ですか?がっかりしますね。 よっぽど甘い幼少期を送ったのでしょうね。」という。  その瞬間、ジョーカーの表情が凍った。「あなたには分からないでしょう。」 

Re: 怪盗クイーンはまほらに降り立つ ( No.5 )
日時: 2012/02/18 08:23
名前: パク男 (ID: vWi0Ksv5)

 その瞬間、ジョーカーの動きが変わった。風なんか相手にならないほど、そうまさに音速のパンチが、アルビレオのみぞおちをとらえ、勝負は決した。 そこに、あふれるような銀髪をたなびかせクイーンがやってきた。「アルビレオ君。 ジョーカー君の過去は、私と彼の秘密なんだよ。  さあ仲直りをしようね。」  二人が手を握り合い、一件落着した。 メンバーの顔にも、安堵の色が浮かぶ。   二日後、彼等は戦場にいた。 帝国の鬼神兵や戦艦を落とし、つぶしていくナギを見ながら、クイーンはうらやましく思っていた。「いいなあ。」とつぶやいたくいーんは、今また戦艦を魔法の射手で不時着させたのだった。

Re: 怪盗クイーンはまほらに降り立つ ( No.6 )
日時: 2013/02/16 17:17
名前: 怪盗リラ (ID: vGmb.hg1)

文はうまいです。
ですが。
一つだけ注意点が。
トルバドュール
ではなく
トルバドゥール
です。
あと、
No.5で、
クイーン

くいーん
になっていました。
最後に
~「」~
で、
文と「」

つながっていると
読みにくいです。
ひとつ、良い例として同封しました。
猫目石琥珀様、どうかお許しください。
「クイーンに何か弱点はあるんですか?」
「あいつの弱点は君だろう?」
 問いの主はジョーカーで、答えの主は皇帝だった。
 クイーンにもっとも近い二人は、中国の山奥の宮殿で茶を飲みかわしていた。ヤウズの淹れた緑茶から、濃い湯気が立っている。厚みのある良い湯気だ。山脈を覆う濃い雲霧が、緑茶から生まれているようだった。
 ジョーカーは緑茶を、僅かに啜る。
「冗談はさておいて、クイーンに弱点はあるんですか?」
「冗談抜きで、君だろ」
 似たようなやり取りが繰り返されて、ジョーカーは顔を顰める。
 そんなこと、とうの昔に分かっていた。
「まあ、あの不肖の弟子はたしかに世界一の怪盗だ。それは認めてやっていいが、まだまだだな。弱点なんてつかなくても、頑張れば倒せるんじゃないか」
 さらっと、皇帝が言う。
 宇宙人から異次元人扱いされかねないレベルの生き物にそんなこと言われても、ジョーカーはごく普通の人間だ。頑張って倒せる相手ではない。
 午点(おやつ)の時間になって、ヤウズが月餅を運んでくる。
 飴色に焼けた月餅を、皇帝は美味そうに喰っていった。ジョーカーを友達扱いしているわりに、遠慮なく、というより容赦なくおやつを平らげていく。
「つまり君は、クイーンに勝ちたいのか?」
「はい」
 ジョーカーは凛と言いきった。
 弱点を師匠から探っているとは思えないほど、凛々しい顔つきである。というか、弱点をわざわざ師匠に聞きたくなるほど、クイーンに迷惑を被っている結果なのだ。
「良い手がひとつあるぜ」
 皇帝の口許が、笑みの形に歪む。
 悪魔と取引するような禍々しい空気が、爽やかだったはずの食卓に渦巻いた。



 ここはトルバドゥールのトレーニングルーム。
 クイーンは銀髪をゆったりと三つ編みにして、刺繍の入った絹の稽古着を纏っていた。京劇でも始まりそうな華やかさだ。
「きみに稽古をつけてあげるのも久しぶりだね」
「ええ」
「そういえばお師匠様のところに行っていたらしいけど、何かアドバイスでも貰ってきたのかい?」
 見透かすような灰色の瞳。
「あなたが目隠しすれば、ぼくにも勝機があるそうです」
「目隠し? それだけで? ……さすがにお師匠様も、わたしを馬鹿にし過ぎだよ」
 そのコメントそのものが、ジョーカーを馬鹿にしているのだが、そう言われてしまっても仕方ない実力差がある。ジョーカーは身の程を弁えている。たしかに腹の立つ言葉だが、己の実力不足のせいだと分かっていた。
「目隠ししてもいいよ」
 クイーンは額に巻いていた布で、瞼を覆う。
 その美しい灰色の瞳が閉ざされても、クイーンの技術は何ら損なわれない。目を閉じてロイヤルサッチモ号のURRSをクリアした怪盗なのだ。
「いつでもいいよ、ジョーカーくん」
 余裕綽々の口ぶりである。
 皇帝から受けたアドバイスは、個人的には使いたくないシロモノだった。これで勝っても虚しいだけかもしれないが、それでも試してみたい。
 いい加減、クイーンに対しての怒りが積もりに積もっていた。
 勝手に自分の写真を撮ったり、RDを黙らせてトルバドゥールを熱帯雨林にしたり、のら猫を五十匹も拾ってきたり、無断で夢水のところに遊びに行ったり、ワインの量が増えたり、半年以上仕事をしなかったり、et cetera、et cetera……ここ最近、本当に色々と怒りたいことがたっぷりあった。
 とにかく、クイーンを、殴りたい!
「では、行きますよ。クイーン」
「へっ?」
 その声を聞いた瞬間、白い唇から間抜けな音が発された。
 ジョーカーは躊躇わず間合いを詰める。ためなどの予備動作はゼロ。畳みかけるように拳を繰りだしていく。
 クイーンはコンマ何秒かの動揺から立ち直り、拳をさばいていく。だが拳を払いのける腕に力は無い。足取りにも躊躇いがある。
「どうしました、クイーン?」
「ちょっ、まって、えっ? ええーっ! ……それ卑怯っ!」
「卑怯ですよ」
 ジョーカーの鋭い延髄蹴りが、クリティカルヒットした。



 中国の山奥の宮殿では、怪盗クイーンの師匠と助手が茶を飲みかわしていた。香しく澄みきった緑茶は、空よりも青い眼差しを映す。
「勝てました」
 苦渋を絞るように、ジョーカーは呟いた。
「あいつも甘いなあ」
 皇帝の愉快そうな笑い声が、テラスに響き渡る。空を覆っている雲や、山を覆う霧まで吹き飛ばしそうな笑い声だった。
 勝ったはずのジョーカーは、かなり不服そうだった。眉間に皺を寄せながら、緑茶を飲む。最高級の茶葉でも、険しい皺を宥めることはできなかった。
「二度としません」
 後味が悪いというよりも、恥ずかしくてたまらなかった。
 ジョーカーは声帯模写したのだ。
 模写する相手は、十年前の自分自身。声変わりする前の幼い声で喋った。
 己の子供時代の声がこれほど効果覿面だと、恥ずかしくて、気持ち悪くて、憂鬱になる。やはり自分の子供時代に触れると、ろくな気分にならない。
 午点の時間になったので、ヤウズがゴマ団子を持ってくる。
 今度は皇帝に全部食べられないうちに、ジョーカーはひとつ頂くことにした。









「っていうか、それを思いつくジジィも、意外と似たような弱点だったりして」
[それは言わない方が身のためですよ、きっと]
 厨房におけるヤウズとRDの会話は、誰に聞かれることもなく淡々と流れて行った。


Page:1 2



この掲示板は過去ログ化されています。