二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【オリキャラ】13’s memory【合作】
- 日時: 2012/06/29 21:18
- 名前: 藤桜 (ID: ylDPAVSi)
はじめましての方、お久しぶりですの方、藤桜です
今回は初音ミクの「13’s memory」を甘味みずのさんと合作することにありました
最低限のルール、チェンメや荒らし以外は大歓迎です!
では、みずのさん、挨拶お願いします
- Re: 【オリキャラ】13’s memory【合作】 ( No.20 )
- 日時: 2012/07/04 21:47
- 名前: 甘味みずの (ID: b9FZOMBf)
ルトside
ぞわり、と。
背筋が泡立った。
「ぁ…うでっ………」
誰にも聞こえないような声で、呟いた。
綺麗な女の子。でも、シェールちゃんとは違う、どこか気丈な雰囲気のある少女。その、細長い腕の、先が、まっかで…
「失礼しますね」
シェールちゃんは真剣な顔つきで彼女の傷を診ると、その体に触れた。
私はまた息をのんだ。
信じられない。
嘘だ。
わたしはその光景を見ていることしかできなかった。
彼女の腕が、傷が。元通りのように修復されていく様を。
同時に、シェールちゃんの方が少し振れたのが解った。
何が起きているのかはわからない。でも、なんだろう。私は、とてもやさしくてとてもかなしいものを見た気分になった。
それと一緒に、肩に何かがのしかかる。
私は、こんな場所に、足を踏み入れたのだと。
それはもう、戻ることのできない事実なのだと。
私なんて、すぐに死んでしまうかもしれない。「そういう場所」なんだ。たった今、理解した。身に染みた。ぞっとした。怖い。怖い、こわい…
気づかずに、足元が震えてしまう。
あぁ、私は臆病者なんだ。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
「本来全線にでない筈のラシュカさまが何故このような重傷を負ったのか、ご説明願えますね?」
はっとした。
ラシュカと呼ばれた、今はもうけがが完治している少女に目を向けて、そのあと彼女の脇に立つ男の人に目線を移した。
- Re: 【オリキャラ】13’s memory【合作】 ( No.21 )
- 日時: 2012/07/05 16:38
- 名前: 藤桜 (ID: vy7q..0J)
- 参照: htt http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=24011
「え…や、あの、さ…どうせ始末書見れば…」
分かりやすく言いよどまれるミランさま、まぁ、予想はついているのですがね
「私が目を通さない可能性もあります」
しかし、あえて聞かなくてはなりません、だって、男性が女性…しかも、妹に庇われるなどよほどでしょう?
「ねぇ、シェール、兄さんを尋問するのはいいとして、その子、震えてるよ?」
ラシュカさまのお言葉で、私たちの後ろのほうで固まっているルトさまに気付きました。
そうだ、これは非凡な光景なのです
ですが、長くここにいる私にとっては日常で
ルトさまのお気持ちを汲んで差し上げられなかったことが悔やまれます。
けれど、私の心には、どこか安堵に似たものがありました。
ほんの僅か、ルトさまに残酷なものを見せてしまったという後悔。
ほんの僅か、ルトさまがいずれは知るものという諦念に似た安堵。
けれど、なによりも‥‥……───
私は、つとめて何時もより優しく柔らかな微笑を作りました。
ああ、こんな表情すらも「作る」自分が恨めしく感じたのは初めてかも知れません。
ルトさまに、ゆったりと歩み寄り、その手を両手で包み込みます。
「大丈夫です、何もありません、」
自分でも、おかしなことを言っている自覚はありました、こんなときの、慰めの言葉すらも知らない自分にまた苦しくなります。
けれどこの方の手は暖かくて、私の手がとても冷たいと実感しました。
「し…シェールちゃ…」
「大丈夫です、申し訳ありません」
そう、一番に……───
この凡庸な方が、非凡な世界に染まってしまうかも、という
不安がありました
- Re: 【オリキャラ】13’s memory【合作】 ( No.22 )
- 日時: 2012/07/05 22:29
- 名前: 甘味みずの (ID: b9FZOMBf)
ルトside
「大丈夫です、申し訳ありません」
彼女の冷たい手が、私の手を包み込んだ。
なにが、大丈夫なの?なにが、申し訳ないの?
訊けなかった、けど。
その、こんな状況下でいつもよりも優しくて柔らかい笑顔の奥、なにか憂いを感じるのだ。
ごめんね、ごめんね。言えなかった。まともに声が出なかった。
ショックを受けていたんだと思う。いろんなことがごちゃまぜになって、自分でも気持ちの整理ができてなかった。
ただ、呆然としていることしかできなくて、申し訳なくなって。
場違いに平凡な私が急に恥ずかしくなってきて。
「失礼しました…」
小さな声とともに、掻き消えるみたいに医務室から出た。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
イジュside
資料の返却をするため昼でも薄暗いような廊下を歩いていると、前方から人影。ルトさんだ。
すこし、いつもと表情が違う。どこか、ひどく落ち込んでいるような。
僕には関係ないと、通り過ぎた。
やはり、彼女は「向いていない」。僕らとは、根本が違う。あまりにも平凡、朴訥、普通。あまりにも、ここからかけ離れた場所で生きてた人。
とはいえ、慣れるのも時間のうちだろう。此処はあまりにも違いすぎる。それに慣れようと自然に体が働くから、すぐ体内回路に組み込まれる。此処の生活も。
僕は、それが最善だ。無駄なものなんて捨てて、僕らとまではいかなくても、すぐにここの人間になる。
心配しなくてもいい。何も変われない、変わらない。こんな閉鎖空間で。
- Re: 【オリキャラ】13’s memory【合作】 ( No.23 )
- 日時: 2012/07/06 18:10
- 名前: 藤桜 (ID: O9OgBXhu)
- 参照: htt http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=24011
「あ…」
手のなかから消えた温もりは、ただ私の不安を助長させました
───変わらずにいることなど、できない────
それを、突きつけられたら心地でした
わかっている、私とて変わったのです
だから、仕方ない、彼女も、変わらずにいられない、生き残る為には
凡庸な少女ではいられない。
私は、目の前の双子を見上げました。
彼らは変わらない、最初からなにも。
それは、始めから彼らは凡庸ではないから、この残酷な世界に絶えうる強さがあったから。
「…シェール?」
ふわ、と頬に温もりが触れました、ラシュカさまの手、先ほど私が修復した掌。
「ミラン、何やってるの?さっきの子追いかけて」
ラシュカさまは淡々とミランさまに言うとまた私に視線を向けました。
お優しいラシュカさま、私の数少ない友人と呼べる方。
だけれど彼女とて、時には冷徹な軍略家なのです
- Re: 【オリキャラ】13’s memory【合作】 ( No.24 )
- 日時: 2012/07/07 14:05
- 名前: 甘味みずの (ID: b9FZOMBf)
ルトside
下を向いて歩いていくと、また迷いかけてしまった。
何処だろう、暗い廊下。さっきはシェールちゃんが助けてくれたけど今は違う。困り果てた思いと同時に、結局自分では何にも出来ないんだという悲しさがわいてきた。
あぁ、私いま、酷い顔してるな。
自分でもわかるくらい、うん、すごく落ち込んでるらしい。
涙が眼にあふれてきたけど、必死に堪えた。こんなことで泣いたら、私が弱い人間だって確定してしまう気がして。うつむいて、酷い表情を見せないように歩いた。
前から、人が歩いてきた。
ボサボサの髪の、同じ年とは思えないほど冷めきった顔の青年。イジュさんだった。
彼は、私にすれ違っても何も言わなかった。書類の束を抱えて、すこし早足で遠ざかっていく。当たり前の事だけどなんとなく、私とは違うんだなと思った。私みたいなくだらない悩みなんかで苦しんだりしないんだろうな。そう思うと、やはり自己嫌悪感が頭をよぎった。
別に、イジュさんやシェールちゃんみたいになりたいわけじゃない。そもそも私は彼らの事を一ミリだって理解できてはいないはずだ。でも、あんなふうに当たり前のように生きて行けるのは羨ましい。私がここで生きて行くうえで最も欠いた部分を、彼らは知っているんだろうと思った。私にはわからないけど。最悪だ。辛い。弱音が漏れそうになった。それは私が決定的に弱いからだ。それが、重たく肩に乗ったまま。足取りがだんだん遅くなる。
それでも、重たさを紛らわすように長い溜息をつきながら無理やり足を動かした。逃げるみたいに。
薄暗い廊下の壁から、だんだん部屋数が多くなり、「事務室」の札がかけられたドアを通り過ぎた。ここで一度止まって時計を確認しようとした時。
「おい!」
背後から声。振り返るとさっき医務室にいた男の人がすぐ近くまで来ていた。
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